僕はフランドール   作:覚め

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妖精、泣いて暴れる。


冬、長引く。

「自我を確立した妖精を使うべきよねぇ」

 

「ま、そもそも妖精はあんまりいないけど」

 

「フランドールのフランゴーレムのおかげね」

 

この冬。もう冬が始まって4ヶ月は経つというのに、何故か温まる気配がない。それどころか寒くなるばかり。霧雨魔理沙も家に保温機能がないのか良く紅魔館にいる。迷惑だからやめて欲しい。咲夜がお菓子とか作り出しちゃうから。パチュリーも色々と世話焼いてるらしいから、邪険にはしないけど。

 

「これは立派な異変だと思わない?」

 

「門番の身としては、そろそろ暖かくなって欲しいですね。寒すぎます。はぁー」

 

美鈴が息を吐いて手を擦り合わせる。誰もが自然に祈るような季節が何故長引くのか。いまだに門に積もる雪が溶ける様子がない。僕にとってそれは大変嫌なことであり、勿論、それは姉さんや咲夜にとってもだ。特に咲夜。人里に買い出しに行ったりすると必ず鼻を赤くして帰ってくる。

 

「従者の適切な環境は、主人達の仕事よねえ」

 

「やだなぁ、じゃあ私はもう門番できないじゃないですか」

 

「毎日僕との手合わせにしてもいいんだよ?」

 

「勘弁してください」

 

しかし行き先がわからなければどこを探しても同じだ。なので、姉さんの能力を頼りに行く。冬が解決する運命では、何が運命の舞台か。

 

「そうねぇ…うーん、上、とだけ言っておくわね。どう解釈するかはフランドール次第。…咲夜にでも行かせれば良いじゃない」

 

わかってないな姉さんは。従者に適切な労働環境。これが一番良いんだよ。あと咲夜が寒そうで。可哀想でしょ?と聞けば、姉さんは変な目でこちらを見つめ、そのまま溜め息を吐いてきた。

 

「ま、それもそうね。ただし、このマフラーを持って行きなさい。外は寒いでしょうし」

 

博麗の巫女はどう見ているだろうか。同じ異変として見ているならよし。見ていないなら…霧雨魔理沙を探しに行くとする。人間の活動時間に合わせると、頭に石ころを置かないといけないのが嫌で仕方ないがまあ良い。空でも飛んで行こうか。

 

「博麗の巫女〜」

 

襖を開ける

 

「げっ」

 

「あっ」

 

目の前に、如何にもだらけていますと言わんばかりに炬燵に足を突っ込みみかんを食べている博麗の巫女…と。こちらは説得しているのだろうか、炬燵に足を入れながらも背を伸ばしている霧雨魔理沙がいた。ちなみにげっとうめいたのは博麗の巫女だ。この際だし、全員連れて行ってもいい。

 

「でも、どこかわかってるのか?」

 

「姉さんに聞いたから間違いない」

 

「あのレプリカがねぇ」

 

「運命を操るんだったか?」

 

「僕もよくは知らないけど。上だって」

 

実際姉さんの能力についてはよく知らない。なんなんだろう、あの能力。操るんだったか、見るだけなんだったか。僕からしてみれば、あれは未来視に近いものだ。そうでなければ、どのようにしてヒントを与えられるのか。僕が姉さんに紅魔館の主人を任せた理由にもなる。

 

「最近、この寒さで咲夜が可哀想なの」

 

「あら、じゃあ私も可哀想だから帰ろうかしら」

 

「原因としては、春告精とか冬の妖怪とか考えたんだけど。上ってことは、多分違うのよね」

 

「霊夢、無視されたからって凹むなよ」

 

「っと」

 

「あらぁ、人間に妖怪なんて変な組み合わせ」

 

冬の妖怪、というよりも寒い妖怪と言ったらでおそらく出てくることが多い雪女。レティホワイトロックである。初めて会った時はもう少しきっちりしていたのだが…どうにも、酒で酔っているような姿だ。顔が赤く、どこかふらついているような飛び方をしている。

 

「ま、急いでるから仕方ないわ」

 

「すげえ」

 

「セリフ一行で終わらせるって、鬼?」

 

「あ。またスペルカード忘れた」

 

「は?」

 

「ま、なんとかなるか」

 

また上へと行く。このまま行ったのなら、天国か地獄にでも着きそうなものだが。と、頭をぶつける。油断しきっていたからかなり痛い。が、面白いことに頭をぶつけたのは床であった。床じゃなくて地面?人工か自然かの違い、消えなさい。博麗の巫女と霧雨魔理沙はぶつからなかった様子だ。

 

「あら」

 

「っ」

 

「抜き身の刀だなんて」

 

「おお、丁度いいところに人間が。貴女たちの持っている春、貰わせていただきます」

 

「失せなさい」

 

指から魔力を放つ。抜き身の刀を持っている相手だ。弾幕なんかするようには見えない。が。どうやら刀を持っているにも関わらず、そのくせチビなのに、速かった。思いっきり避ける。危な、肋骨の横切られた。あと少しでブラが…まあ、胸無いけど。それは良いや悲しいし。

 

「弾幕、肉弾戦」

 

「…弾幕で、よろしくお願いします」

 

「じゃ、博麗の巫女か僕か普通の魔法使いか」

 

「……」

 

選ばれたのは、普通の魔法使いだった。博麗の巫女には僕がつけてきたマフラーをかけてやる。出番になった時、『寒くて動けない…さっき体を動かしとけば…』という言い訳をなるべく出したくないから。あと純粋に寒そうだったから。鼻がもう、咲夜より赤い。

 

「うう…」

 

「ま、酷いことするわ」

 

「おいおいフランドール。お前の言ったことだろ?」

 

「…何、僕何か言った?」

 

「言ってないわよ」

 

「…え?」

 

「うらめしや〜」

 

霧雨魔理沙が思いっきり飛び退く。魔理沙氏曰く、あれが黒幕で間違いはない…らしい。僕としてはあんな薄い奴相手に何をすればいいのかわからないが…だが、亡霊相手ならそれこそ神社の者が行くべきだ。そろそろ僕から離れて異変解決に向かって欲しい。離れろ、離れて。

 

「はぁ…じゃ、始めるわよ」

 

「頑張れー」

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