僕はフランドール   作:覚め

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乱れるは足から


荒むは髪から

「…むぅ」

 

「フランドール」

 

今になって気付くが。僕のことを呼ぶ声が、恐れている声より親しむ声の方が増えた気がする。フランゴーレムと相対するのをやめ、振り返る。姉さんか。今はいいところなんだけどなぁ…うん、まあ、仕方ないってやつだね。何かあったっけ?

 

「貴女ねぇ…流石に、三日も篭りっぱなしなのは、どうなの?」

 

「そんなにか…いや、そんくらいか」

 

「…はぁ。ほら、支度して」

 

「?」

 

「神社で宴会やるのよ」

 

らしい。体を適当に綺麗にして、服も整えて。行くとしましょう。異形になって酒樽を担ぐ。んー、軽いかな。勿論美鈴も持っている。なんだか、行かない気がしていたのだが。美鈴の代わりにフランゴーレムを補充する。戦闘用5体くらいで代わりはできるだろう。

 

「はーい、霊夢」

 

「あら、吸血鬼なのね」

 

「お嬢様、お気をつけて」

 

「わかってるわよ。それで、他は?」

 

「日が傾く前には来るって。しっかし。妹も来てるのね。珍しい」

 

辺りを見渡して、人がいないのを確認。…僕は知らなかったけど、宴会をやることは周知の事実らしい…僕は知らなかったけど。姉さんも僕に言ってくれればよかったのに。え?フランゴーレムに伝えた?…フランゴーレムは話せないから、言っても無駄だよ。

 

「そうなの?」

 

なんでそこで驚くのか。あれ、説明してなかったっけ?してなかったわ。パチュリーにスペック見せただけだったか。咲夜はわかってるし…まさか、僕が篭ってる間に来たあのフランゴーレムが、姉さんに命令されたフランゴーレムだったりするかな。話せるようにした方が良いのか…?

 

「ところで、あれ…ん、どっか…あ、いた、あれ?」

 

「…何?ウチは幻覚の異変は無理よ。」

 

「はあ…美鈴、日傘ある?」

 

「こちらに」

 

3人に分かれる。おそらくの話にはなるが、三人に分かれた方が意識も分かれるので見つけやすいはず…である。そういう気がするだけで、全然そうじゃないかもしれない。

 

「…いた!」

 

「ラフが見つけたのね。…どこ?」

 

「んー…こう、破壊する時のものがうっすらとは見えるけど」

 

「ルーも…僕わかんないよ?」

 

…うむ。つまりは、僕以外の僕が謎の人物を見てるらしかった。まあそれなら、多分アレだ。幽霊的な、アレ。つまりラフは幽霊を見たりできる能力!…なら、博麗の巫女が見えてなかったらおかしいか。そんなこんなで日が落ち始め、着々と人も集まってきた。お酒は僕らは呑めないので、諦観するに限る。

 

「なんの祭りなのかしら」

 

「んぁ?そーだなぁー…そういや、なんか最近ずっとやってるな」

 

「フランドール様、お酒です」

 

「美鈴、いらないから」

 

「フランドールさまぁ」

 

「咲夜、前と同じよ」

 

…前と同じ酔い方をする辺り、僕は咲夜にとって素晴らしい存在であるに違いない。咲夜の頭を撫でていると、とあることに気がついた。なんだか咲夜の髪が少し荒れている。なぜかはわからない…休みを与えた方がいいかな?美鈴の頭を下げさせ、こちらも見る。こっちは…荒れてない。

 

「そもそも髪の毛は荒れてるって言い方があってるの?」

 

「荒んでる、じゃないか?」

 

「魔理沙も荒んでるわね」

 

「げ、ちゃんとケアしてるつもりなんだが…」

 

宴会ばかりしているからだ、と言っておく。先程の会話の流れを汲めば、かなりの頻度で宴会をしていることがわかる。紅魔館から度々人がいなくなってたのはこの宴会のせいでもあるのか。…それこそ姉さんも僕に言ってくれればよかったのに。全く…

 

「咲夜は本当に可愛いわ」

 

「お、私も撫でてくれ」

 

「育ててない子はちょっと」

 

「ケチな母親だ」

 

「産んだこともないのに」

 

そう返すと、『産んでなくても母親ヅラする奴はいる』と返ってきた。なんだろう、本当にいそうでこわい。まあそれはそれとして。見えそうで見えない奴がいるということに僕は気を取られており。何かあったかな…僕が見えたと思ったら消えたことから。僕の目にはそれぞれ役割がある…のだろう。そこら辺を確かめたりすると楽しいのだけど。

 

「ラフだけはっきりと見えた…なら、ラフにしか見えない?」

 

ルーもルーで曖昧な見え方だった。うーん、わかんないな。何か心当たりのようなものは…ないし。

 

「なに考えても無駄。ここは宴会なんだから、考えることくらいやめたら?」

 

「…そうかなぁ」

 

いやでも気になるものは気になる。どうやって正体を探そうか。やっぱりこの宴会の何処かにはいるのかな?宴会に参加したいけど影が薄すぎて…な人なら、まあ。見えそうで見えないのは当たり前だけど。そんな極端に影が薄い人って、いるかね。

 

「ま…でも確かに、宴会が連続して開かれるから…何か原因があるなら突き詰めたいわ」

 

「なんで?」

 

「二日酔いで毎日頭が痛いのよ」

 

「自制なさい」

 

頭にチョップ。博麗の巫女もこんな人間だったのか。全く、八雲紫はちゃんと教育しているのか?そもそも未成年は酒飲んじゃいけないし…あ、それはこの幻想郷じゃ通用しないのか。後普通に酒豪だしなぁ。じゃ、いいかな。責めるべきことは咲夜を愛でてればなくなるからね。しょうがないね。

 

「…なんで博麗の巫女を撫でてるのよ」

 

「あー、これ良いわ…紫より断然良い」

 

「ちょい」

 

「なんですって!?聞き捨てならないわね…フランドール、私と勝負よ!」

 

「…何で?」

 

「母性で勝負!」




次回
紫バーサスフランドール
尚、フランドール選手には異形化を禁止しております。
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