拾う神として
「…」
「どうしたの?私の母っぷりに声も出ない?」
僕は、何をしているのだろうか。咲夜の頭を撫でながら、頭を撫でられている博麗の巫女を見る。すでに他の皆は寝ている。というか、肝心の判定を下す役が寝ていて良いのか。咲夜を撫でながら思う。美鈴は完全に酔い潰れた。酒を飲んだ火を吹いた後から死んだように眠っている。姉さんは神社の中。パチュリーは…どうだったか。
「巫女、起きなさい」
「ん…何よ」
「どっちのなでなでが良かった?」
「んー…空の見える、フランドール…」
「は?」
異形化を行う。どうやら八雲紫がなぜかキレたらしい。心当たりが複雑なのでノーカウントとし、うんやはり心当たりはない。僕としては。胸だろ、空が見えるのは。八雲紫の八割近くよこせ…と言いたい気持ちである。良いだろ、空が見えるほどの胸…虚しくなってくるな。
「そんな、ここでやろうって訳じゃないわよ」
「そこ」
「えっ」
ガシッと掴んだ。その先には変な鬼みたいなやつ。ていうかこいつ多分鬼だ。天狗らと共に来たあの鬼に似ている。あいつらは弱かったが。今回の鬼は確かに強そうである。が、それはどうでもよく。疑問としては、何故ここに、どうして?という方だ。少なくとも僕は宴会で一度も見ていないし、今までで一度も見ていない。
「誰?」
「酒呑童子…萃香だ」
「そ。それで、なんで見えない姿に?」
「その方が都合が良くてね」
指から魔力砲。が、相手はかすり傷ひとつない。はて、この鬼は八雲紫と同等の力を持つ妖怪なのか。驚きだ…まあそれは良いとして。この神社から飛ばしてしまいたい。見えない姿のどこが都合良いのかは知らないが、おそらくは碌な都合ではなかろう。しかしここでやろうってなると。咲夜が…
「萃香…ね」
「八雲紫も来てるけど、気づいてくれないんだ」
「そう?少なくとも、貴女も同類よ」
萃香と名乗る鬼の周りからサイコキネシスによる壁を作る。フタは魔力砲がその役目だ。上から合計30本の魔力砲で追撃する。うーん、綺麗。サイコキネシス動きを止めさせ、蹴り飛ばす。鬼なんてこれくらいの扱いで良いんだよ。前回の襲撃で習ったからね。
「いきなりかよ〜」
「それがお望みでしょ。わかりやすい…」
「そう?じゃ、こっちも」
殴り飛ばされる。異形の僕を殴り飛ばすとは、中々。身体を重くしてすぐに落とす。目の前に鬼。三本の腕で掴んで、三本の腕で殴る。掴んだ手で地面に叩きつけ、マウント。
「中々に野生的じゃないか」
「そう?」
口角を切り、口を開ける。90度…いや、130度まで。そのまま魔力を思いっきり…と思ったら、喉元に拳を突っ込まれた。思わず咳き込み、集めた魔力が霧散する。
「けほっけほっ」
「楽しめるねぇ!」
「あー、あー。声出るわね」
「本気だ!!」
重量マックス、六本の腕で一本の腕を掴む。すごい、余波だけで強風。掴みついでに骨折っとくか。口から魔力を叩き出しながら距離をとる。しかしまあ、先ほどから不便なのが。真正面にいられるとなんでかわかんないけど少し透けて見える。これが目の役割の違いとか抜かすんなら、目も統合するか。こう、ぐぐっ!と。
「うへぇ」
「あら、よく見えるわ。貴女も、貴女の死に様も」
「は?」
蹴り飛ばす。魔力で追撃、重くする魔法で地上に叩き落とす。重量を相手もマックスにして。幻想郷最重量の二人が行うデブ選手権。両者共に立てるらしい。
「こ…のっ!」
遅い蹴り。ふくらはぎを爪で切り、腹に三本の拳を叩き込む。流石に重いからか全く動かなくなった。でもそれが好都合。腹パンを止められるまで連打。一応膝は蹴っとくか。破壊は無理だな、力強いし。
「まだまだ!!」
「けつだせ」
「えっ」
少し汚いって言うか、かなり汚いけど。お尻を蹴り飛ばすことにした。素直にさせてくれなくてもいいよ。後ろに回って蹴り飛ばすから。尻を蹴って頭を掴み、地面に叩きつける。一方的なのは良いね、大好きだ。喧嘩自体は嫌いだけど。痛いし
「っし」
そこから数分。頭を蹴ったり殴ったりして、なんだか手応えが無くなってきた。あ、気絶してる。…僕は悪く無いね。喧嘩したいってのを隠さなかったこいつが悪い。後妖怪の山も悪い。さて。僕達はさっさと帰るとする。全員持って帰るとして、持ち上げたときに死にそうな奴と持って帰る時に死にそうなのがいるなぁ
「八雲藍」
「…なんでしょう」
「八雲紫がアレだから、紅魔館までスキマ開けて」
「そのようなことをする義理はないですし…神社を直す方が先では?」
「あ、ほんとだ」
これ博麗の巫女に見つかったらまずいな。サイコキネシスで直るか…?んー…そうだ、鬼が殴り込んで来てその余波でぶっ飛んだことにしよう。つまりは鬼が悪いってね。鬼に直させれば良いのさ。あと、僕が作ると西洋風になるか微妙な和洋折衷になるし。
「ふぅ…フランゴーレム稼働しながらの戦闘はキツイ…美鈴はさっさと起きて」
「ひどい…」
「そもそも貴女は酔わないでしょ」
「うぐっ」
「咲夜はまだしも、ねえ?酔拳とかできるの?」
「で、出来ますよ!こう、ゆらぁぅと」
「足元のおぼつかない老人みたいね」
「そんな」
異形フランの目の統合はBLEACHのユーハバッハを想像してください。その目で見えないものも見えた感じです。