「ふぁ〜」
「欠伸ですか?」
「そうねぇ。欠伸、欠伸…吸血鬼って欠伸するの?」
「フランドール様が知らなければ」
同族だって少ないんだから、わかるわけもない。まあ生き物なので欠伸はするものでしょ。ちなみに昨日は欠伸で魔力を放出したので噛み締めるようにしている。あの時の、パチュリーの唖然とした顔は忘れられない。あの時の復興作業は疲れた。パチュリーにめちゃくちゃ魔力取られたし…
「そういえば、神社で度々あった宴会。最近は鳴りを潜めましたねえ」
「やっぱりあの鬼が原因だったのかな?」
「鬼?」
「随分と強かった…と思う。ほら、前来た鬼よりは強かったよ」
「本当ですか!?えー、私も戦いたかったなぁ…」
「お勧めしないわ。美鈴じゃまず見つけることも無理ね」
実際、目を統合させるまでは真正面にいることが全く見えなかった。だからマウント取ったりしてる時は鼻を横向けてたし、不恰好だった。いやぁ、異形化が進む進む。僕としてはそろそろ満足できるような身体にはなってるかな。忘れがちだけど、一応二回目の人生だし。自由度も高いからね!
「おーい!会いに来たぞー!」
「おや…どなたのお客様で?」
「そこの!」
「げっ」
「フランドール様の?」
「そうそう。前の宴会から会えなくてさ。探し回ってたんだよ」
チッ。フランゴーレムの改良が終わったからって外に出るべきじゃなかったか。まあ良いか…厄介ごとじゃなければね。しかもなんだろ、神社では気づかなかったのに、酒臭い。あの時は辺り一面からお酒の匂いしたから気づかなかったんだわ。いやほんと臭う。美鈴が鼻を覆うレベルで。
「いやぁ最近宴会で飲みすぎてなぁ?酒の匂いが抜けないんだよ。神社で風呂に入ろうにも、貸してくれなくてさぁ?頼む!貸してくれ!」
「…どうします?」
「こんな酒臭いの入れたら姉さんが怒るでしょうね…パチュリーもか。追い返すしかないでしょ」
蹴り飛ばしてさよなら。八雲紫に言ってこい。僕は知らない、気にしない。しかもあの鬼、酒の匂い残して行った。うっ、臭いだけで少し…あの鬼はほんと、この、っ…!パチュリーに消臭の魔法を…いや、多分パチュリーは臭いだけでダメだ。ここはフランゴーレムに掃除させるか…
「そういえば。美鈴っていつお風呂に?」
「あっはは」
「…え、ねえ、答えて?」
「いやだなぁ。ずーっとここにいて、ずーっと門番してるのに。どうやってお風呂に入るんですか?」
「…は、はは」
フランゴーレム5体との交代制にしても良いけど…そしたら来客の対応ができないか。僕が出るわけにもいかないし…夜だけなら、人も少ないか。いや、対話可能なフランゴーレムを作れば良いのか?いやそしたらそれはもう僕だわ…いや、そもそも呼ばれても無いのに夜来る方が悪いじゃん。じゃあ良いや。
「良いですねフランドール様。さっきのは冗談で水浴びくらいはしてますから」
「僕の心配を返せ」
「いやだなぁ。私だって乙女なんですから、そりゃあ不潔なのは嫌ですよ」
「…僕は皮膚燃やして終わりだけどね」
「それはそれでおかしいですよね?」
魔法で肌を焼いて自己治癒で治すとあらびっくり。臭いは全部消えてスッキリするんだよ。美鈴に話すと『何言ってんだ』って顔された。まあ僕以外で見た目に気を使わないのは…いるかな。いなくない?…博麗の巫女はつかうか。もしかしてあの鬼と同じような状態…!?
「フランドール様」
「咲夜か。何?」
「付き合う相手は選んだ方が良いかと」
「そう」
「後お酒を飲まなくても頭を撫でてもらっても」
「欲張りすぎ」
というか、覚えてたの。咲夜みたいな人ってお酒で記憶飛ぶタイプだと思ってたんだけど。今回のは二日酔いで少しキツそうだったし。覚えてるわけないと思ってたから撫でてたんだけど…そんなに僕は撫でるのが上手いのか?今度美鈴にでもやってみようかな。いや、咲夜を撫でてもらうか。
「後、フランゴーレムについてなのですが」
「何か不具合でも?」
「たまに私にぶつかるので、どうにかならないかと」
「あー、それね。無理」
「えっ」
「前それやろうとしたんだけど。フランゴーレムが結構変な挙動して…」
「まあ」
「ひどい時は何もないところに手を振ってたわ」
最も。そこにはゴミが舞っていただけだったり。ぶつからないようにした時の動作が…退かせるなら退かす、退かせないなら避けるで判断させると、ゴミを退かせようと手を振るのよね。だから無理。難しい。パチュリーに頼めば良いんだけど、パチュリーも研究があるだろうし。
「よっす」
「あら、泥棒」
「魔理沙じゃない」
「お前んとこのフランゴーレム、一体借りて良いか?」
「ダメ」
「研究したいんだ!」
「ダメ」
「魔理沙、諦めて図書館行きなさい」
「ちょい咲夜」
「あそこはなぁ…フランゴーレムを!!どうか!!」
実際フランゴーレムの術式といったものは簡単なものばかり。魔理沙の魔力なら確かに二体くらいまでは使って動かせるだろうが…僕としては、貸すメリットがない。あと弄られて返されたら困る。動きがおかしくなってたら…もう、ね。殺したくなるね。
「ケチ!」
「貴女を食って糧にしても良いのよ?」
「出来るものならやってみな!恋符『マスタースパーク』!!」
「咲夜」
昨夜に指示すると、何をどうしたのかマスパをどこかへやった。うわすごい時止め強いわ。
「…くそー!」
「…。そんなにフランゴーレムって便利?」
「まあ、物を運ぶ時は役立ちます」
咲夜「マスタースパークを飛ばしたついでにお菓子をポケットに入れてあげたから、食べといてね」ヒソヒソ
魔理沙「…意外と甘い…」