僕はフランドール   作:覚め

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死ねば正義、はっきりわかるよね


朽ちれば白

「…チッ」

 

無意識に舌打ちが出る。今、月に異変を感じたから異形になって空を見てみたのだ。するとどうだろう。月が月らしいものにすり替わっている。紅魔館では姉さんと僕と…あとパチュリーが気付くくらいの嫌なすり替え。これを異変と呼ばずに、紅霧が異変になるのはおかしな通りだ。

 

「一人で行ってもねぇ」

 

人間に邪魔をされて、弾幕ごっこなる遊戯を強いられるに違いない。今日は館の皆で月見の予定だったのだが。

 

「おや、どこかお出かけですか?これからお月見では?」

 

「美鈴…どこか体調に異変はない?」

 

「異変?いやぁ、何も。元気ですよ!これもフランドール様が交代制を申し出てくれたおかげで」

 

「そう。」

 

こんなことを言ってはいるが、どーせ月があのままであればどこかおかしくなるだろう。妖怪なんてそんなものだ。姉さんを連れて行くには…面倒だ。パチュリーはもっと面倒だ。美鈴はいつおかしくなるかわからない。咲夜…姉さんに言って咲夜を借りようか。

 

「フランドール様」

 

「そろそろ時間だった?」

 

「お嬢様から、ついて行けと」

 

「…やっばり、敵わないものね」

 

姉さんの先回りというのはなんだかおかしなことをしている。というのも、姉さんは常日頃から運命を見ているわけではない。その日その時の挙動から、ある程度推察して先回りしている。曰く、『運命を見続けた弊害』らしい。破壊よりはマシだ。

 

「とは言っても、心当たりはないわよねえ」

 

「何がですか?」

 

「あー…月がね。変なのよ」

 

「通りで、妖精の様子がおかしいわけですね」

 

「群がるわねぇ」

 

群がる妖精を蹴散らしつつ進む。こういう時に腕が何本もあるのは良いことだ。魔力放出で消し進める。妖精なんて一回休めば蘇るんでしょ?じゃあ良いじゃない。二回休もうが関係ないわ。三億年後にでも目覚めなさい。

 

「フランドール様、抑えてください」

 

「抑える?無理ね。これでも僕は怒ってる方なんだし」

 

「その怒りはあの連中にぶつけた方が良いかと」

 

昨夜が指差す先に四人のシルエット。なるほど、これはぶつけても良い相手らしい。腕に力が入る。魔力も沸る。鏡の僕を見つけたような気分だ。あの時は姉さんにやられたけど、今回は姉さんもパチュリーもいない。加えて僕は月のおかげか調子が良いように思える。

 

「…何?喧嘩売ってるの?」

 

「でしょうね」

 

「三つ巴か?」

 

「異変は何処へ…ね」

 

「…」

 

いたのは変な組み合わせだった。八雲紫、博麗の巫女、霧雨魔理沙、あとは…よくわからん奴。その先に、大きな結界のようなもの。んー…結界が得意なのは八雲紫と博麗の巫女か。ということは…この中には首謀者はいない。霧雨ももう一人もそんな力はないはずだし。見てくれだけでわかるくらいには。

 

「退いてもらえる?」

 

「あんな派手に喧嘩を売られたんだからな。買わないわけには」

 

「そう」

 

人の癖に。思わず殴ってしまった。生きていれば死なないだろう。そして。それを見て八雲紫と博麗の巫女、変なやつが戦闘態勢に入る。ここで全員蹴散らしても良いんだけど。そんなことしてて何か得があるわけじゃないのよねぇ。結界を壊してさっさと進むとしましょうか。

 

「もう一度だけ言うから。退いて」

 

「そんなものをここで放たれることを見過ごせないのよ」

 

「私としても、放たれたら困りますわ」

 

「この先には魔理沙もいるんだけど」

 

「そ。じゃあ、文句言わないで」

 

全力で一点に留めた魔力砲を放つ。マスタースパークのような大迫力かつ高威力なものと比べれば地味としか言えないソレは、3人の間をすり抜け、そのまま空を切る。結界に限らないが、一箇所が崩れたのならそのあとは簡単。だから極限まで鋭くして一点を破壊したんだけど。

 

「邪魔ね、この結界」

 

「は…?」

 

「見えてたの?」

 

「気付かなかったわよ…」

 

「フランドール様、安全の確認は私に」

 

「…従者が死ねばそれだけ僕の器量って物が図れる。大人しく下がってなさい」

 

「…わかりました」

 

結界の中に身を乗り出す。すると、大量のうさぎが集まってきた。僕を中心に、2メートルくらいの間を開けて。どれもこれも妖怪の類だ。まあ、問題はない。結局はこの結界内も蹂躙して終わりだ。というよりもそれ以外での攻略方法を知らない。スペルカードもないので、簡素なものになるだろうか。

 

「おーい、お姉さんや」

 

「喋れるウサギがいたのね」

 

「あはは、こりゃ、まあ。それで?今日は何のご用件で?」

 

「あら、見てわからないの?」

 

「そりゃ、予想が外れてほしいからね」

 

「…残念。そんなに安い吸血鬼じゃないんだけど」

 

ウサギを掴んで歩く。咲夜にも伝えておこう。しかし…三つ目のどれを使っても至って普通だ。が、なんだろうか。破壊しようにも、まず破壊するためのモノが手に来ない。不動のようだ。この結界内に存在するモノほぼ全てが全く動かない。どうやら壊すのは諦めた方がいいらしい。

 

「っ、止まれ!!」

 

「あら、もう一匹いたのね」

 

「そのウサギから手を離しなさい…今すぐ!」

 

指を拳銃のように構えて…子供じゃないんだから。でもここは幻想郷、アレから本当の弾丸が出てきちゃ困るから、離すしかないけど。改めて目の前のウサギを見る。ブレザータイプの制服だ。ウサギが制服を着るとは…皮でも剥がれているのが似合いよ。

 

「私の目、見てるでしょ」

 

「痴漢って言いたいの?それじゃあ━」

 

「━━」




フランドール「あら、狂っちゃった」
咲夜「フランドール様…?」
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