「館の名前?」
「だって、名無しの館は嫌じゃない?」
「そんなに決めたいこと?」
「みんなで出し合うのが筋よ」
「それなら、建てるのに貢献した私と美鈴に権利があるけど」
パチュリーの異議を無視して話は進む。何やってんだか。でも館の名前か…そうか。でもなぁ、あんまり頭に思い浮かばないんだよなぁ。ふと妖精を見る。つい先日、実験的に雇うことになった妖精。ある程度の力があるので、話し相手にもなる。優れた妖精だ。
「何があると思う?」
「私に聞かれても…真っ赤な館なんですから、マカカとかで良いのでは?」
「全部カタカナじゃないの」
「フランドール様は何かあります?」
「そうねぇ…寝てる間に出来たから、スリープ館」
「うわあ」
言いたいことがあるなら言えと詰める。どうやら僕にはネーミングセンスがないらしい。おかしいな。真っ赤なことから由来したら良い感じになるのかな…だめだ、マカカがノイズすぎる。となると…真っ館。ダジャレっぽくて良いんじゃない?ダジャレが通じるかは別として。
「少なくともダジャレの館で私は働きたくないです」
「力がある分、自我もあるのね」
まあそうでなければ駄目と言ったのは僕か。数週間借りるだけ、とは言ったが、勿論反発もあった。現地の妖精から。だがまあ、今こうしてここで働かせてるから良しだ。後でお礼か何かを持っていくべきか。妖精たちは砂糖菓子を好むだろうか。子供っぽいのが多かったし、お菓子で良さそうね。お菓子…どうしよう。苦いのが好きとか言う大人びた妖精がいたら…
「甘いものが大好きです」
「ほっ」
「でも、そもそもお菓子自体食べなかったですし。」
「…元も子もない事言わないで。あ、元毛館!」
「ダサいです」
瞬時に館の名前と分かり、かつ却下。この妖精、やっぱり頭の回転が速い。雇って良かった。しかし、これもダメか。もう名前なんか思い浮かばないよ。どうすんの。真っ赤にちなむか。真っ赤…赤…レッド。レッド館?駄目ね。たぶん言った。ダジャレはダメだし…あー、思いつかない。どうしよう。
「…はぁ。もう思いつかないから、姉さんたちに任せるとしましょうか」
「引き伸ばし癖ですか。」
「んー…でも一つは考えとくべきね。赤…鼈甲館」
「それで良いんじゃないですか?」
「投げやりね」
急に投げやりになったメイドをよそに、集合場所へ行く。鼈甲館。うん、良い感じだと思う。べっこうかん。ダジャレっぽくて好き。集合場所に着いたのは僕が一番最後だったようで、他の皆はちゃんと席に着いていた。咲夜とパチュリーも。皆の意見を聞いて館の名前を考えるんだから当然か。
「じゃあ、私から。私の姓にちなんで、レッドデビル館!」
「…レッドデビルかぁ」
「館も真っ赤だし、それで良くない?」
「保留でしょ。次は…」
「私です。」
「咲夜の考えた名前はなんでしょうね」
「私は…よくわからないので、館っぽい物事を並べてきました。龍馬館、選抜館、魔倒館etc…」
「エトセトラって言いながら書いていかないで、多い、多い」
「では10個ほどで…」
咲夜がこんなに真剣に考えるだなんて。元からこう言う子だったの?…後、咲夜って西洋の人よね。なんでよりによってそんなにも東洋の言葉並べるの?変、変だわ。さて。次はパチュリー、その次に私か。鼈甲館、嫌われないと良いけど。笑った奴の右目だけ破壊していきましょうか。
「私は…そうね。うーん。敵魔館。」
「皆んな東洋の言葉ね…うん、僕もだけど。と言うわけで、鼈甲館」
「…由来は?」
「この館の長期的な存続。鼈甲飴も同じような理由で、鼈甲って言うし」
「あら、しっかりしてるのね」
「あ、では私ですね。紅魔館、です」
場が少し固まる。姉さんのレッドデビル館を思い浮かべる。ほぼ同じでは…違いは言語くらいでは…?うーん。これは、実質二票だから紅魔館かレッドデビル館…レッドデビル館は嫌だな。紅魔館か…まあこれはもう、これ以外ないでしょ。紅魔館で決定、そんな雰囲気だし。
「じゃあ、皆それぞれ決めたわね。せーので指さすわよ。せーの!」
結果。美鈴二票、他は姉さんのものを除いて各々一票。自分のものに指さしてた。咲夜は自分に指さしており、恐らくは自分の10個でもう一度やろうとしたのだろう。何故そんなことを…私はもちろん美鈴のものを。姉さんも同じ。美鈴は…何故か、僕の鼈甲館に指さしていた。えー…なん、なんで?
「フランドール様が私のを…嬉しい!」
「美鈴ので決まりね。」
「ふん」
「そんなぁ」
「しっかし、なんでまた紅魔館なんて?」
「え、だって…私たちの中だと、赤多いですよね。しかも妖怪が多い。じゃあ、紅と魔で。紅魔館」
「あぁ、咲夜。安心して。誰もあなたのことを忘れてなんかいないわ」
「…」
なんとも言えないような顔でこちらを見ないでほしい。でもそうか。確かに、この中だけで言えば咲夜は異質ではあるのか。うーん、何にも考えてなかったよなぁって。僕からしても、というか僕だって髪の毛は金色だし。咲夜に魔法を覚えさせて、無理やり人外に…いや、それはダメね。前世で学んだはず。
「それじゃあ、次に」
「何かあるの?」
「館の主人、決めましょうか」
「私はないですね。咲夜さんも」
「姉さんに一票」
「えっ」
「そうねぇ。私もかしら」
「わ、我々従者には投票権がないんですか!?」
「別に良いけど…僕とパチュリーは、絶対やらないから。消去法で姉さんだよ」
紅魔館命名。
さらっと主人決定。
そんな回。