「スペルカード…」
「そうよ。後、それ使って二十日後に賊が大量に来るから、作っておいてね。」
「あ、キレそう。八雲さん、顔面ちょうだいな」
「嫌よ」
と言うわけで。要は一度でも当たれば即負けな戦い方が提示された。…格下が格上と戦う為の物らしいが。空も飛べない最下位の人間はやはり哀れか。想い違った人間が来ることを考えると、威力の調整ができるものがいいか。じゃあ力任せの魔力砲はダメかぁ…小さくして量を多くするか。
「ルールとして。まだ原型だけですけど、弾幕が相手にあたれば勝ち、弾幕を出すにはスペルカードが必要。このくらいかしら」
「んー…弾幕の量馬鹿にして、避けられなくすれば良いのね?」
「違うそうじゃない」
まあ、なんだ。そう言う感じだろ。わかったわかった。じゃあまず、弾幕の量だ。多い。良し、次に弾幕の出し方だな。多対一だし、メチャクチャに出すか。これを五回繰り返すのを、5枚。トレーニングのセットみたいね。後は…一対一か。螺旋状に連なる弾幕と、疎に撒く弾幕かな。うん、それを一回、さっきの一回、魔力砲を撃って、魔力が通った後から四方にビームを出す弾幕で一回。これくらいやれば当たるでしょ。
「…こんな感じ」
「名前は?」
「…貴女が決めて」
「駄目。まずは滅茶苦茶に弾幕を出すのね。名前、決めて?」
「…定型文みたいなのは?」
「皆んな、なんとか符『なんとか』ね」
言葉だけでは十全に伝わらない定型文だな。紙で来ることを願っていたのだが。まあ良いや…うん。滅茶苦茶に出す弾幕か。「シェ符『気まぐれ弾幕』」ね。次は螺旋状と疎な弾幕か。こっちは「遣唐符『遣われた弾幕』」で、最後の魔力砲ね。これはもう決まり。「畏符『化け物の評判』」ね。うんうん。なかなか良い感じじゃないかな。
「…うわぁ」
「八雲さん、本当に顔面ちょうだい?」
「きゃあ、妖殺し!」
半分本気で殺してやろうかとも思ったが。抑えろ、抑えろ。僕としては、このまま殴り殺したい気分だけど、抑えるんだ。二十日後の賊に対してキレたら良い。そう、そうしたら何でもできる。スペルカードの試運転はしなくて良いかな。最悪魔力砲をスペルカードと言い張れば良いし。
「というわけで」
「来ましたねえ。天気は晴れ、時間は昼。そして今回は私、降りさせてもらいます。割と最悪では?」
「全然。全く…乙女の館に大勢で。躾がなってない集団だこと」
「その通りで」
「うわ、もう弾幕飛ばしてきた!」
走り回って避け続け。狙いを外したような弾幕に気を向けつつ、まずは一つ。と言っても同じスペルカード以外出すつもりもないが。
「シェ符『気まぐれ弾幕』」
「さむっ」
「は?」
弾幕が私の気まぐれで軌道を変えつつ、メチャクチャな進み方をする。速さも大きさも違う弾幕で大勢の天狗を落としていく。つーか、天狗さんなんで来たの?
「我々も撃てー!」
「あらあら」
昼間に攻めてきてくれたせいで、フードが取れるような激しい行動はできない。うーん、害悪。さて、それは置いておき。天狗からの弾幕を身を捩ったり捻ったりとで避け、弾幕をばら撒き続ける。
「あら、もう終わり?」
「今だ!!」
「じゃあもう一度。シェ符『気まぐれ弾幕』」
場が凍るのを感じる。…なんで。良いじゃん。シェ符。もしかしてみんな駄洒落みたいなのって嫌い?僕のセンスが最悪なのか、皆が最悪なのか。よくわからないけど…とにかく!先程の弾幕とはまた変わった流れの弾幕が気まぐれを表しつつ、安地を見つけたようなそぶりをしたやつは直接叩きに行く。
「っとと」
「惜しい!」
「はぁ…重ねて使わせてもらうけど。畏符『化け物の評判』」
ほんと、センスのない奴ら。僕の前世と同じ東洋ならわかると思ったんだけどなぁ。どうにもわかってもらえなかったみたい。これだから、東洋は。表記揺れが激しいんだよ。まあそれはそれとして。魔力の通った道から、更に魔力の塊が方々へばら撒かれる。やってみてわかったのだが、割と大変。複雑なやつを作るのは大変そうだ。
「…あれ、もう終わりなの?」
「お、おのれ…」
「全員当たったっぽいね。それじゃ」
振り返って館へ戻る。なんか、意外と呆気なかったな。もしや僕、気づいてないだけで2枚目の時に全員いなかった?死体撃ちしちゃったかな?うーん。よくわからないから良いや。美鈴に中華作らせましょうか。炒飯とか、餃子とか。炒飯に餃子が良いかしら?
「…え、炭水化物に炭水化物ですか?…ていうか吸血鬼ってニンニクダメなのでは?」
「ふっ…東洋のガセね。臭いがきついだけよ!!」
「やめときますね」
「ニンニク抜きは出来ないの?」
「そうなると、代用品ですからねぇ。望む味とは別物ですよ?」
「良いわ。勝利の美酒みたいなものでしょ」
「…そうかなぁ」
首を傾げながらどこかへ行った美鈴をよそに、食卓へ着く。運動した後のご飯は格別。フードを被って血を吸ってた時期とは比べ物にならないわ。大体、血って言ってもそんなに必要じゃないし。どちらかと言えば、味が好みな料理の方が美味しいからね。美鈴、感謝。
「…ん?」
「炒飯と餃子です。」
「ありがと」
「精一杯作りました!特にこの餃子は…もう食べてる…」
「美鈴。努力なんて見せても見せなくても良いけど、見せびらかすほど貴女の努力は消えると思って。良い?」
「はい」
「ところでこの餃子、おかわりある?」
「ありますよ!もちろん!!」
美鈴「嬉しいですもん」
フランドール「そういえば美鈴って苗字なんなんだろう。メイ・リン?」