人類史初の魔法使い(仮)   作:ねうしとら

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当方、モンスターハンター未プレイ勢にて。
最新作のベータ版を友人がやっていたのを隣でみたり、Twitterでキャラクリが話題になったり、PC版の要求スペックが高いことだったりと何かと話題には尽きません。
小学生のころ友達が持ってたwiiのモンハンを一緒にやった覚えがあります。初見時は敵の体力ゲージが無いの!?とかアイテムのアイコン独特だなあとか思いましたわ。


魔力の感知

 俺が魔法に関する研究を行っているとカミングアウトしたことによって、ヨーク卿との協力関係が結ばれた。あれから色々とお話を進め、アンノウンの経口摂取によって何か得られるものがあるのでは?と提案したけど、まあ何が起こるか分からないということで却下された。まずは動物実験から始めていくとのことだ。

 

 そもそも、カニバリズムは倫理的にアウトだし、魔物の臓物を食うという発想も中々おぞましいのだとか。人体実験までの道のりは長いらしい。

 

 目下の目標は魔力の感知。なぜこの世界の住人は魔力を感知することが出来ないのか。恐らく、身体能力の増強に全て持っていかれているからだと思う。

 

 人間が酸素や血液を感じ取れないように、魔力も察知できないとなるとお手上げだが、現状の仮説では体外から摂取することで魔力量を増やすというものである。

 

 これを前提に考えるのであれば、観測自体はできるだろうと言うのが、ヨーク卿の考えだ。

 ヨーク卿曰く、人間では知覚できなくとも観測さえできればやりようは幾らでもあるとのことだ。魔導具とかを作成して擬似的に魔法を扱う方法へとシフトしているようだった。

 

 だが、俺としては己の体ひとつで魔法を扱いたい。補助器具による魔法の行使も良いのだが、少し浪漫に欠ける……いや、杖で魔法を扱うなら浪漫か?

 

 まあいいや。当てはないわけではない。

 

 そもそも、俺は二つの人間の肉体を操った経験がある。魔力というのが人間でも自覚できるような代物なら、もしかすると、前世と今世の体の違いが浮き彫りになり魔力を察知することが出来る可能性もある。

 

 転生者なんだからこれくらいできても良いと思うのは悪いことじゃないだろう。

 

 ヨーク卿は魔導具作成の方向へ、俺は肉体ひとつでの魔法の行使という方向で研究を進めることになった。

 

 

 

 

 

 

 ヨーク卿とお会いしてから約三年が経過した。俺はもう十一歳となり、いやそろそろ十二歳か。歳を重ねたことによってある程度自立した行動を取ることが許可されてきた。師匠との特訓もかなり身を結んできており、一般人の割にはかなり強い部類となってきた。

 

 この国では十五歳で大人として扱われるため、俺もそろそろ自分で考えて行動するようにという方針であろう。まあ、元々成人男性としての人格が宿っていたので今更感は否めないけど。

 

 父上と母上には俺の秘密について全く明かしていないし、彼らの前では年相応の子供を演じていたはずである。まあ、嘘も方便というやつだ。転生とか気味悪いしね。

 

 さて、俺は大人の階段を登り始めたわけだが、最近になって行動範囲の拡大とお小遣いが貰えるようになった。……貴族の金銭感覚は恐ろしいものだったという感想を言おう。

 

 だが、これのおかげで俺はやれることが一気に増えた。そう、冒険者たちへの聞き取り調査である。

 

 俺の小遣いと師匠の協力を経て、冒険者協会に依頼を出すことに成功した。冒険者は実力に応じてランク付けされており、DからSまでの五段階である。まあよくある異世界の冒険者ランク付けって感じだ。

 

 このランク付けにおいて、俺が求めている実力者のボーダーラインは聞く限りだとB以上。できればAとSの人たちにも話を伺いたいが、如何せん報酬という面でギリギリAランク冒険者までという見積もりが付いた。

 

 冒険者協会に依頼を出す上で、名義はどうするのか迷ったがここは師匠の名をお借りすることにする。さすがに俺名義では胡散臭さがあるからな。

 

 

 

 ということで、やってきました冒険者協会。ライナード領にある支部であり、ここら一帯の冒険者協会の元締である。

 

 どうやら依頼に応じてくれる物好きがいるようで、協会から連絡を受けてやってきたのだ。

 

「いやあ楽しみだね」

 

「……坊ちゃん。仮にも貴方はこの地を治める領主様の子であり、次期当主であることをお忘れなく」

 

「分かってるけど?」

 

「……いえ、坊ちゃんは何も分かっておられない。高位冒険者と言えども身分は平民。貴方が相手となると萎縮させてしまいかねません」

 

「今更では?というか依頼人の名義が師匠なんだから気にするだけ無駄でしょ」

 

 騎士団長で現役の貴族が依頼を出しているのだから俺程度で今更萎縮することは無いと思うけど。まあ、忠告はしっかり受け取っておこう。

 

 今回依頼を受けてくれたのはAランク冒険者パーティである『竜の牙』の方々だ。まさかAランク冒険者が来るとは……。と思っていたが、師匠やフィン曰く、貴族の依頼は大抵Aランク冒険者が受けるのが鉄則らしく、実力や礼儀、それに対外的な見栄という観点からBランク冒険者では不足らしい。

 

 なんでも、Aランクになるための条件には貴族相手の礼節が求められるのだとか。それが足りない場合は協会がセミナーを開いてくれるらしい。

 

 なんだかしっかり職業斡旋業やってんだなと感心しつつ、今回の対談の場へと向かう。協会にある来客用の一室で行うらしい。これも貴族用だとか。

 

 この時代、やはり権力関係は明確になっているようだ。協会から派遣されてきた使者の案内に従って、通常とは異なる経路で目的地へと向かう。

 

 特別待遇をされていることに若干の居心地の悪さを感じながら、俺は努めて堂々とした態度を崩さないように歩く。

 前世の庶民的な感覚が残っているから、こういう扱いはむず痒いのだ。師匠とフィンはさも当然かのように振舞っているけど。

 

 流石貴族。師匠はもちろん、フィンもやはり常識が貴族なのだろう。

 

 談話室に到着した俺たちを出迎えてくれたのは、一人の男性と三人の女性だった。協会のスタッフの方は挨拶をしてごゆっくりどうぞと扉を閉める。

 

 恐らくこの四人が冒険者パーティ『竜の牙』の人たちだろう。子供である俺が入室してきたことに若干の戸惑いが見られるもすぐに平静を装った。

 

 師匠のギルバード卿が俺を立てている様子を見て戸惑ったのだろう。なにせ依頼人は名義上師匠だ。その師匠が下手に出る人間は限られている。

 

 俺たちは彼らの前に備えてあるソファに腰を下ろす。すると、冒険者の方々は自己紹介を始めた。

 

「お初にお目にかかります。私たちは冒険者パーティ『竜の牙』。私はリーダーのユングです」

 

 リーダーと名乗るのはパーティで唯一の男性冒険者だった。その後も三人の女性が順に自己紹介をする。アリス、サガ、エリカというらしい。

 ハーレムパーティだろうか。羨ましいからさっさと始めよ。

 

「自己紹介ありがとう。僕はイザーク・ライナード。今日はよろしく頼むよ」

 

 間髪入れずに自己紹介を返した俺に、冒険者たちは呆気に取られている。

 

「……ライナード」

 

 俺の姓を反芻して呆然と俺を見つめるユングさん。すぐに気を取り直したが、よほど驚いたと見える。

 何をそんなに驚くことがあるのかと思ったが、よく考えれば、彼らにとって今日は師匠であるギルバード卿を相手にするものだと考えてここに来たのか。だと思えば突然領主の息子が現れたという状況なのか。

 

 ……いやごめん。そんなつもりは無かった。

 

 ジト目でこちらを見てくるフィンの視線に気づかないふりを続けながら俺は内心反省する。確かに、この年齢でもちゃんと権威はあったようだ。

 

「これは、失礼しました。イザーク様。お許しください」

 

 と、気を取り直したユングさんが礼をして謝る。

 

「いや、気にしていないとも。僕の存在を隠していたこちらにも不備はある。謝罪は不要だ」

 

 とりあえず、何も気にしていないということを表明しておく。

 

 さて、さっさと本題に入ろうじゃないか。

 

「依頼の内容は見てくれているね?冒険者に対して聞きたいことがあるんだけど、早速本題に入っても良いかな?」

 

「ええ。こちらとしてはいつでも」

 

「ありがとう。率直に聞きたいんだけど、君たちには魔物を倒した時に自分の実力が如実に上がったと感じる経験はあったかな?」

 

 俺のその質問に対して、彼らは分かりやすく反応を示した。三者三様ならぬ四者四様。皆少なからず心当たりがあると見える。

 

「はい。私たち全員、そのような経験をしたことがあります。それに、他の冒険者にも似たような経験がある者が複数存在しています」

 

 これで確定だろう。サンプルは一気に四つも増えた。その上、また聞きであるが身体能力の上昇は彼らだけではないらしい。

 

「それなら話は早い。なんでそんなことが起こったと思う?ああいや、単刀直入に聞くなら、何か魔物から与えられたような感覚とか、流れてきたような感覚はあった?」

 

 これで何か心当たりがあればいいのだけれど、そうすれば魔力の感知に関する光明も見えてくる。

 そう思った俺の希望は、あっさりと潰れた。

 

「いえ、そのようなことに心当たりは……。君たちは?」

 

 ユングさんは首を横に振りながらそう言う。そして、彼は仲間である冒険者たちに目線を向けて聞くも、彼女たちも首を横に振るだけだった。

 

 はあ……。ダメか。

 

 と思ったのも束の間、すぐに新たな情報がユングさんによって齎された。

 

「……私たちにそのような経験はありませんが、Sランクの冒険者の方には自分の中にある“気”というものを操作して自らの能力を引き上げている。と聞いたことがあります」

 

 ……それだ。

 

「その“気”を操るっていう情報は誰から聞いたもの?」

 

「件のSランク冒険者その人に。当時は私も何を言いたいのか分からず、ただの比喩表現かと思っていたのですが」

 

「その“気”というのは、彼の出身地に伝わるような特殊な技術という可能性は?」

 

「いえ、そのような話は聞いたことがありません。彼はこの国の出身ですし、そのような技術が体系化されているのであれば今頃もっと話題となっているかと……」

 

 その言葉を聞き、自然と俺の口元は三日月の形を描いていた。隣にいる師匠も思わず沸き立っている。フィンは後ろにいるため様子は分からないが、ここに来て一気に進展があった。

 

 これで明らかになった。この“気”というのは恐らく魔力であり、Sランク程の実力者になれば感知することは可能なのだと。

 

 人間に感知できるエネルギーならば、転生者である俺が感知できる希望は十分に存在する。

 

 アンノウンが元々目に見えないほどに小さい器官だということも、恐らく人間は生まれながらに魔力を大して保有しない種であるという考え方ができる。

 一定以上の魔力量を保有することで、魔力を感知することが可能になるのではないかと俺は仮説を立てた。

 

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