説明不足すみませんでした。
「と、いう訳で全部バレました」
「バレちゃった!」
「それ、バレたというより途中から『バラした』に変わっていませんか?」
ガルガルとなったニコアニマルをニコガーデンへと帰した一向は、お互いにちゃんと話し合うべきと判断して、一度いろはの実家である動物病院に移動する事となった。
此処はドッグランも併設されてあり、フブキ達はそこのベンチに腰を掛けている。
そして、プリキュアやニコガーデンの事など色々バレてしまった事に対して噂のメエメエが登場。そして二人に正座をさせてお説教中みたいだった。
「全くお二人は、どうしていつもいつも」
「えー、でもフブキはニコガーデンの事なんか知ってるみたいだよー」
「そういう事ではありません! 先ず大前提として、他人に秘密を知られるというのが問題なんですよ! わたくしが怒っているのはその部分でありまして──」
「まーまー、良いじゃないですか。今回は不幸中の幸いって事でここは穏便に、ね?」
「ですから……はぁ、もういいです」
「良かったね二人共、許してくれたみたいだよ! お咎めなし!」
「わーん!」
「違います、そうじゃありません‼︎」
フブキが仲裁に入り、その説得によってこれ以上のお説教は打ち止めとなかったが、そこからの流れがとても綺麗で漫才のようなやり取り。
無邪気に喜ぶこむぎを隣に、メエメエは胃に穴が空きそうなくらい表情が青ざめている。
「それよりも、一体貴方は何者ですか? ニコガーデンの関係者でしたら、一度は顔は合わせると思うのですが」
「ボクは、ニコ様の側でニコガーデンを守護していたただの野良猫だよ」
「ま、まさか貴方は、いえフブキ様はプリキュアと同じく伝説の守護アニマルとして語り継がれていたあの伝説の!」
「伝説二回言っちゃってるし、その伝説とやらにも全く身に覚えがないのだけど。あと、キミが噂に聞くメエメエだね。よろしく、フブキです」
ぺこり、と丁寧にお辞儀をするとメエメエは感極まって涙を流していた。
自己紹介しただけでこんなに感情を昂らせる人に出逢ったのは生まれて初めてなので、フブキが思わず一歩を身を引いてしまった。
「申し遅れました、わたくしニコガーデンの管理等しております執事のメエメエです」
「ねえメエメエ、伝説ってなーに? フブキってそんなに凄いの?」
ベシベシとフブキの頭を叩きながら、メエメエにそう質問を投げ掛ける。フブキは苦笑いをしつつも、特にこむぎの行為に対して何も言及はしない。
メエメエはメエメエで、冷や汗をかきながらフブキを叩くこむぎの手をはたき落とす。
「失礼ですよこむぎ様! すみませんフブキ様、とんだご無礼を」
「大丈夫だよメエメエ。そこまで気にする事じゃないし、それに無邪気な女の子って可愛げがあって良いじゃないか」
「なんと謙虚で寛大なお言葉。こむぎ様も少しはフブキ様の立ち振る舞いを見習って」
「ねーねーフブキフブキ!」
「だからこむぎ様‼︎」
メエメエによって一旦は離れたかと思われたこむぎだったが、すぐさまフブキにくっ付いては盛大に肩を揺らす。
困る事は一切無いので、フブキはそのままの状態で返事をする。
「どうしたのこむぎちゃん?」
「フブキってニコガーデンに居たんだよね? こむぎ達もニコガーデンには行った事あるけど、フブキのこと見てないし今まで何処行ってたの?」
「あ、もうこむぎ。あまり踏み入っちゃダメだよ?」
「いろは様の言う通りですがまあ、それはわたくしも気になります。何処へいらしてたのですか?」
守護アニマルとかいう名を持っているのに、ニコガーデンを不在していた。その事を聞き出そうとするのは別に不思議ではない。こんな話をしていれば、遅かれ早かれ訊かれる。
それでもフブキは、別段隠す程でも無いし少し内容を濁す程度にならと意を決した。
「自分の在り方を見つめ直す旅をしていたんだ」
「旅? それって日本各地を?」
悟の返事にフブキは頷く。
「ニコ様には許可を貰ってね、色んなものを目にしたよ。そこで沢山考えさせられる事もあった」
「じゃあアニマルタウンに来たのもその旅の途中ってこと?」
いろはの質問にフブキははにかむ笑顔で「違う」と否定する。
「アニマルタウンは元々故郷なんだよ。此処に帰って来た理由は二つある。一つはニコガーデンとの連絡が急に途絶えたこと。二つ目は行き来するのに必要なトランクが、旅のドタバタで壊れちゃって」
ポケットから取り出したのは、いろはが鶏をニコガーデンに送り帰した時に持っているトランクと似たものだった。でも、フブキのトランクは所々ヒビが入っており破損部分が目に見えて多かった。
「これの修理を頼みたくて」
「これまた、分かりました。それでは一度わたくしが預かり、修理した後またお返ししますね」
「良かった、これでも修理出来るんだ」
こんなにボロボロになっているのに、それを修理出来ると言ったメエメエは頼りになると感じた。トランクを預けた後、フブキも聞きたかった事を訊く。
「それにしても、また何でニコガーデンと連絡が取れなくなったの? メエメエなら知ってるよね?」
「その事なんですが、末恐ろしい事が起きたんです!」
メエメエの話によれば、ニコガーデンは今荒廃としており、そこに住まう動物は皆ガルガルにされてしまったらしい。特殊な力を持つ「キラリンアニマル」も含めて。
そして追い討ちをかけるように、現在ニコ様も行方不明でニコガーデンは崩壊の一歩手前までの状況下。
メエメエもガルガルにされた動物の一人だったが、プリキュアに助けられて以降ニコ様の行方を探すのと同時に、動物達も助けるという今の形になった。
「それは非常にマズい状況だね。分かった、それならボクも協力は惜しまない。こんなボクでも何か出来る事があれば、遠慮なく頼って欲しい」
「私達の方こそ協力ありがとうございます!」
「そんなに堅くならなくてもいいよ。もっと気楽でフランクに、これから付き合っていこうよ」
「だってさメエメエ、フブキは『きらく』? とか『ふらんく』? だってさー!」
こむぎはフブキの背中をバシバシ叩いて、無邪気な笑顔でメエメエに言う。
何故だか知らないが、こうも距離感が近いと嬉しい反面フブキ自身一歩身を引いてしまう。一応女の子だから。
「こむぎ様、貴女はもう少しその振る舞いを謹んで下さい。親しき仲にも礼儀ありですよ」
「した、れい?」
メエメエのこめかみがピクピク動いている。怒り心頭なところだが、ギリギリのところで理性が保たれている。
「て、提案なんだけど、フブキくんも学校に行かせてみたらどうかな?」
この悪い空気を変える為に悟が口を開けた。
「学校か……」
フブキがポツリと呟く。確かに今後行動を共にし、且つガルガルの迅速な対応するには「個」で動くより「集」で動いた方が良い。ガルガルを無傷で元に戻すなら尚更だ。
悟の提案に、メエメエは特に間を置く事なく返事をする。
「分かりました、準備がありますのでフブキ様も明後日から学校に通えるよう手配しますね」
そんなあっさりと、と思うフブキ。
後日、制服から教科書など学校を通うのに必要最低限の物品が揃って開いた口が塞がらないフブキだった。
次回から本編である十二話からのお話になります。
感想等お待ちしております