これは、サムスがヨッシーをリンクから引き離した直後に遡る。
リンク「サムスが頑張ってくれたんだ、このチャンスを逃すわけにはいかない!」
マスターソードが空気を切り裂く音が響き渡る。リンクの必殺の一撃が、カービィのまんまるな体を狙う。だが、まるで予測していたかのように、カービィはその柔らかな体を一瞬で縮め、剣撃をかわした。リンクは怒りを募らせ、横薙ぎに刃を振るうが、またもカービィの俊敏な動きに阻まれる。
リンク「でやっ!」
カービィ「うわッあぶない!」
リンク(くっ!ちょこまかと!)
怒りに任せ、リンクはカービィを執拗に追い詰めていく。だが突如、戦場の空気が変わった。カービィの表情が一変し、不機嫌そうな眼差しでリンクを睨みつける。
リンク(なんだ…?)
カービィ「もう!さっきからぼくばっかねらって!もうおこったからね!」
次の瞬間、カービィは深呼吸のように大きく息を吸い込み始め、その口が異様なまでに広がっていく。吸い込みが始まった瞬間、戦場に恐ろしい風圧が生まれた。
リンクの体が意思に反して前のめりになる。彼の全身を捉える強烈な吸引力に、勇者の顔に焦りの色が浮かんだ。
リンク(なんだこれ…俺の体があいつに吸い込まれ始めてる…?)
危機を悟ったリンクは咄嗟にマスターソードを地面に突き刺し、必死にしがみつく。彼の体は風になびく旗のようにカービィへ向かって引っ張られ続けていた。怒涛の吸引の発生源を見ると、そこにはただカービィが立っているだけ。その小さな体からは想像もつかない力が放たれていた。
リンク(くそっ!なんて吸引力だ…!なんとかしないと!)
片手で必死に剣に掴まりながら、もう片方の手で腰のポーチから爆弾を取り出す。
リンク「これでも食らえ!」
投げる力すら残っていない状況で、リンクはただ手を離した。爆弾は風に乗り、一直線にカービィの大口へと吸い込まれていった。
リンク(よし…これで多少はダメージを与えられただろう!)
一縷の望みを抱き安堵したのも束の間、リンクの背筋に悪寒が走る。カービィがまるで何事もなかったかのようにケロッとしているのだ。さらに恐ろしいことに、挑発的な笑みを浮かべ、その口が開く。
カービィ「へっへっへっ貰っちゃたもんね!」
冷や汗が勇者の額を伝う。この瞬間、リンクは自分の愚かな行為を思い知った。カービィは勝ち誇ったように右足を軸に踊るように回転し、高らかに宣言した。
カービィ「コピー能力、『ボム』!」
右手を天に突き出した瞬間、閃光とともにカービィの頭上に青い三角帽子が現れた。両腕をぐるぐると回し、その目はリンクを捕食者のように捉えている。
カービィ「さっきはよくもやってくれたなー!今度はぼくのばんだ!」
次の瞬間、信じられない光景がリンクの目の前で展開された。カービィの小さな手に爆弾が出現したのだ。ためらいなく、カービィはその爆弾をリンクに向かって放った。
カービィ「ばくだんなげ!」
咄嗟のサイドステップで爆弾をかわし、正面を向いた刹那、彼の目に映ったのは既に仕掛けられていた別の爆弾だった。
リンク「くっ!」
瞬時の判断でハイリアの盾を構え、爆風に耐える。盾に伝わる衝撃は、勇者の腕を痺れさせた。
リンク(なんだこの威力…腕がびりびりする…)
土埃が晴れた時、リンクの直感が危険を察知した。足元に違和感を感じ、視線を落とすと、そこにはニヤリと笑うカービィが立ち、彼の足元には既に爆弾が置かれていた。
カービィ「へへーんしかけばくだんだよっ」
リンク「くそっ!」
瞬時にフックショットを取り出して遠くの壁に打ち込んだ。爆発の轟音が耳を震わせる中、間一髪で爆風圏外へと体を引き上げる。
土埃の向こうには、すでに次の爆弾を用意するカービィの姿があった。
カービィ「にげるなんてずるいぞ!」
カービィは再び爆弾を投げつける。その軌道は完璧で、フックショットの動きを完全に読み切っていた。絶体絶命のリンクはフックショットから手を放し、身を投げ出す。
リンク「ぐぅ!」
地面に叩きつけられる衝撃を、軽い受け身でかわしながらも、次の攻撃への警戒を怠らない。
リンク(まずい何とかして奴に攻撃を与えないと…)
時間の猶予はない。弓と炎の矢を取り出し、一瞬でカービィに照準を合わせる。矢は空気を切り裂き、カービィの手元の爆弾を直撃した。
カービィ「うわああああ」
轟音とともに、カービィは自らの爆発に巻き込まれる。
リンク(くっ炎の矢は魔力を使うから温存したかったけど、この際し方ない)
チャンスと見たリンクは、躊躇なく爆発の残る土埃へと突進した。だが、そこに敵の姿はなかった。
一瞬の隙が命取り。戦いにおいて敵を見失うことは、死を意味する。
背後から襲いかかる恐ろしい吸引力。振り向く間もなく、リンクの体が再び引きずられ始めた。フックショットに手を伸ばすが、さっき手放したままだった。
リンク(このままじゃすいこまれる!)
死の恐怖が脳裏を覆う中、リンクの思考は冴え渡っていた。どうすれば助かるか、どうすれば吸い込みは止まるか。そして閃いた。
リンク(そうだ…おそらくあいつは吸い込んだものの特性を自由に扱えるようになる能力がある…という事はあいつは何か能力を得るという目的のために吸い込みをしている、つまりオレのアイテムを何か投げればすいこみは止まるかもしれない!)
リンクは素早く手を動かし、適当なアイテムをカービィに投げつけた。それはリンクが子供の頃から大切にしていたコキリの剣だった。小さな剣はたちまちカービィの強力な吸引力に飲み込まれてしまう。
カービィ「ごっくん!」
予想通り吸い込みは止まったが、リンクの大切な思い出の品が敵の体内に消えてしまった。
リンク(おそらくあいつは剣の達人に変貌する…だが奴には盾はない…だったら弓で距離を取ろう)
リンクは矢を普通のものに変えてカービィに向かって放った。しかし矢は一瞬で真っ二つに切り裂かれ、無力にその場に落下する。空気を切り裂く鋭い音だけが残った。
リンク「だめか…!」
リンクがカービィの方を見つめると、奴の片手には見覚えのある物が握られていた。太陽の光を反射し、かつての輝きを取り戻したかのようなコキリの剣。
リンク「コキリの剣…それに俺と同じような緑の帽子か…」
カービィ「コピー能力『ソード』!あぶなかったーまたすっぴんになったらぜったいかてなかったもん!」
楽しそうに剣を見つめていたカービィの表情が一変する。目つきに鋭い光が宿った。まるで百戦錬磨の剣士の眼差し。
リンク「!」
その瞬間、カービィから感じ取ったのは圧倒的強者の威圧感だった。空気が凍りつくような緊張感が二人の間に広がる。
その刹那、かろうじて反応できる速さでカービィが目の前に現れた。そのスピードは剣の達人そのものだった。風を切る音すら聞こえないほどの神速。
リンク(早い…そして重いっ!)
カービィはすぐさま間合いを詰めてきて、激しい剣の打ち合いが始まる。金属と金属がぶつかり合う轟音が周囲に響き渡る。火花が散り、一瞬たりとも油断できない緊迫した攻防が展開される。
リンクは左手でマスターソードを鋭く振るい、右手のハイリアの盾で身を守る構えを取った。対するカービィは、サイズこそ小さいものの、コキリの剣一本を両手で握り、驚くべき速さと精度で攻め立てる。
カービィの剣がリンクの左脇腹を狙い、風を切る鋭い音とともに横一文字に振られる。リンクは咄嗟に盾を下げて防ぐが、その隙にカービィは上段から切り下ろしてきた。リンクは剣を横に構え、カービィの攻撃を受け止める。金属同士の衝突音が周囲に響き渡り、衝撃で手首に痺れを感じる。
一撃、また一撃。カービィの連続攻撃は絶え間なく続く。リンクは盾で正面からの突きを受け止めると同時に、カービィの頭上へと剣を振り下ろす。だがカービィは軽やかな跳躍で身をかわし、視界から更なる斬撃を繰り出す。リンクの剣と盾の連携による防御戦術は完璧に見えたが、カービィの予測不能な動きに苦戦を強いられる。
リンクが盾を前に押し出し、カービィを押し戻そうとすると、小さな球体はまるで風のように盾の横をすり抜け、背後から急所を狙ってくる。リンクは咄嗟に身体を捻り、マスターソードを後方に振るって攻撃を防ぐ。均衡を取り戻そうと一歩踏み込むが、カービィはすでに次の攻撃に移っていた。
リンクは以前自分の影、つまりコピーと戦った経験があったが、これはただのコピーではない。明らかに自分の実力を超えた何かがそこにあった。まるで剣術の本質そのものを極めた存在と対峙しているかのようだ。
完全に圧倒されているわけではなく、一見すれば互角の戦いを繰り広げている。だが状況は異なっていた。リンクが特別な剣マスターソードと盾を使っているのに対し、相手は子供時代に使っていたただの剣一本で戦っている。リーチも重さもこちらが勝っているはずなのに、なぜ互角に戦えるのか。カービィの剣筋には無駄がなく、まるで水の流れのように自然で力強い。
リンクが盾で受け止めたカービィの強烈な一撃に、左腕全体が痺れる。それでも盾を構え直し、隙を突いて反撃するが、カービィは僅かな体の揺らぎだけで躱し、即座に剣を振り上げて応戦してくる。小さな体躯から繰り出される一撃一撃には、天性の才と極限まで昇華された剣技が宿っていた。
カービィ「ソード百れつぎり!!」
リンク「ぐぅ…!」
カービィの恐ろしく速い突きを完全には捌ききれず、リンクの腕が薄く切り裂かれた。まるで風のような連撃、一瞬で百の斬撃が繰り出されたかのような錯覚すら覚える。汗と血が混ざり合い、リンクの視界を一瞬歪ませる。
カービィ「アッパーカット!」
リンク(まずい…!)
カービィが剣を下から掬い上げるように振るうと、その威力にリンクは大きくのけぞってしまった。大地を貫く強烈な一撃、あたかも地面から天へと突き上げる龍のような迫力の一撃だった。
リンク(まずい急所が…!)
今やリンクは腕を広げて胸を突き出した無防備な姿勢になっていた。まるでカービィに「切ってください」と言っているようなものだ。黄金の機会をカービィが逃すはずもない。
カービィ「やああああ!!」
カービィは隙を逃さず一直線に胸へと剣を突き出してくる。剣先が空気を切り裂く音が、リンクの鼓膜を震わせた。リンクの絶対絶命の大ピンチ、死の危険が迫る。だが意外にもリンクは冷静な表情で、やむを得ないという顔をして目を閉じた。
そして静かに唱える。
リンク「ネールの愛」
その瞬間、リンクの体は青色のクリスタルのようなバリアに包まれた。女神の加護を受けた神秘的な光が彼を取り囲む。カービィの剣がそのバリアに触れた瞬間、カービィは強い反動でのけぞった。まるで堅固な鉄壁に剣が弾かれたかのようだ。
カービィ「え!硬!」
リンクはその隙を見逃さなかった。
リンク「でやああああっ!!」
カービィ「うわぁ!」
リンクが選択したのは蹴りだった。体制を整えてからでの剣での攻撃ではワンテンポ攻撃がおくれてこの千載一遇のチャンスを無駄にすると判断したのだ。瞬時の決断と直感的な行動が、この緊迫した戦いの流れを変える。カービィはそのまま壁に激突し、リンクは無理な体勢で蹴りを入れたため、そのまま背中から地面に倒れ込んだ。まるでサッカー選手のオーバーヘッドキックのような姿勢だった。
リンク「はぁ…はぁ…」
背中の痛みを感じながらリンクが呼吸を整えていると、上空からひらひらと緑の帽子が舞い降りてきた。リンクの胸のあたりにぱさりと乗った瞬間、それはコキリの剣へと変身した。
リンクはその剣を握りしめながら、ゆっくりと立ち上がりカービィに向かって言い放った。
リンク「俺の思い出は返してもらうぜ」
キャラクター紹介
カービィ
惑星ポップスターの住人。まるくてピンクな体に、果てしない好奇心と大きな胃袋を持つ。吸い込んだ相手の能力をコピーできるという不思議な力を持ち、その能力で数々の危機を乗り越えてきた。
争いは好まないが、仲間や星を守るためなら勇気をもって立ち向かう。基本的にはのんびり屋でマイペース。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」。
ただし、食べ物の話となると周りが見えなくなり、あらゆる状況を忘れて突撃してしまうことも。なお、自分で料理を作ろうとすると大抵大惨事になる。
カービィの冒険履歴
星のカービィ→夢の泉の物語→星のカービィ2→スーパーデラックス→星のカービィ3
次回でリンク周りの話は最後です!