場面はヨッシーに切り替わる。
ヨッシー(さて、口に入れたのはいいものの、本当に食べるのは流石にまずいですね…)
このまずいというのは味の話ではなくそのままの意味、ヨッシーはこの戦いに対する構えがサムスと同じで殺すつもりは全くないからだ。
ヨッシー(そうだ一緒に戦ってるカービィさんは?)
時を同じくしてリンクと戦っていたカービィがソードのコピーがなくなり、今まさに致命的なピンチに陥っていた。
ヨッシー(カービィさん!倒れてるじゃないですか!)
ヨッシーは咄嗟に地面を蹴った。口にモノを含みながら運動することには慣れているので、ヨッシーの体は変わらず俊敏に動く。そしてヨッシーはリンクへの対抗手段と口に含んだサムスへの対応を瞬時に思考し、一つの策を閃いた。
ヨッシー(そうだ!口の中から勢いよく吐き出してあの方にぶつけましょう!)
そう決断した瞬間、ヨッシーはリンクへ向かって一直線に駆け出した。どたどたと重い足音が戦場に響く。
リンク「何!」
リンクは迫り来る足音に気づき、急いで振り返る。だが、もうヨッシーの射程圏内だった!
リンク「くっ!」
リンクは咄嗟に盾を構えるが、もう遅い。それよりも早くヨッシーは口から全力で吐き出そうとした。
しかし、突如ヨッシーは口内に異変を感じる。その違和感は瞬く間に増大し、激しい不快感へと変貌していった。
ヨッシー(ゔっ!なんですかこれ!口に何て入れておけない!)
ヨッシーの口内が何度も何度も爆発し、その度に顔が苦痛で歪んでいく。
ヨッシー「おえぇぇえええ!」
ヨッシーは痛みに耐えきれず口を大きく開け、舌を突き出した。口からモーフボールになったサムスが飛び出す。そしてその球は素早く人型へと変形していった。その瞬間、リンクが緊迫した面持ちでサムスに駆け寄る。
リンク「サムス!大丈夫か?」
サムス「あぁ問題ない。奴の口内で爆発を何度もを仕掛ければ脱出可能だった」
モーフボールは単に球状になるだけではない。その形態では無数のボムを連続して生み出せる能力を持つのだ。
サムスは食べられることは初めてではなかった。過去に巨大生物に捕食された際も、内部からボムを放って脱出した経験がある。時には自ら敵の体内に侵入することすらあった。
ヨッシーは激しく首を振り、怒りの眼差しでサムスに向き直る。
ヨッシー「やってくれましたね〜!あんな濃い味を何度も味あわせないでください!」
強がりか本音かは定かではないが、サムスにとってはようやく効果的な攻撃が決まった手応えがあった。
サムス「リンク、奴の長い舌には注意しろ。一度捕らえられたら、自力での脱出は不可能だ」
その時、頭を振りながらカービィがヨッシーのもとへ急いで駆けつけてきた。
リンク「忠告ありがとう、なら俺からも一つ。カービィというヤツの吸い込みに気を付けて、それに下手に技や武器を食われるとコピーされるから」
お互いの能力を部分的に暴露し合った四人は、一触即発の緊張感漂う中、互いを見据え、次の一手を計りかねていた。
そして四人がそれぞれ見つめあい、動き出した瞬間。
「「「「!!!!」」」」
地面から突如として網模様が広がりはじめた。まるで生命を持つかのように蠢き、闘技場の床を侵食していく。四人は危険を直感し、一斉に飛び退いた。
リンク「何だよこの網!、お前らの仕業か?」
カービィ「えーぼくのせいじゃないよー」
焦燥に駆られたリンクの詰問に、カービィは両手を慌ただしく振りながら必死に否定する。その緊迫した空気を切り裂くように、サムスの冷徹な声が響いた。
サムス「待て。観客の様子がおかしい」
四人は一斉に観客席へ目を向けた。客たちの顔が一様に青ざめ、恐怖に歪んでいる。まるで死神を目の前にしたかのような絶望が、会場全体を覆い始めていた。
そのとき、網模様からゆっくりと何かが浮上してきた。ワイヤーフレームに粗末な中身を詰め込んだような、人型の「何か」。輪郭は人間そのものだが、目も口も鼻もなく、ただ黒く歪んだ人の形。それは現実とは相容れない存在感で、ゆらゆらと立ち上がった。
一人の観客が震える声で叫んだ。
「や、闇の軍団だぁっぁぁぁぁ!!」
その言葉が引き金となったかのように、無数の人型が網模様から湧き出した。男性型、女性型、二種類の不気味な人型が、生まれては伸びあがり、観客席へと侵食していく。会場全体が悲鳴で埋め尽くされた。
その瞬間、心に強い正義感を宿した四人の戦士たちは、何の相談もなく本能的に行動を開始した。リンクは一瞬で落としていたフックショットを拾い上げ、観客席の手すりを捉えて引き寄せられた。サムスも同様にグラップリングビームでよじ登る。カービィは大量の空気を吸い込み、丸い体を風船のように膨らませて浮上。ヨッシーは神速の足さばきで虚空を蹴り、重力を無視したかのように跳躍した。
四人は各々の方法で観客席へと飛び上がり、闇の軍団に立ち向かう。
一つの人型の怪物が恐怖で動けない子供に襲いかかろうとした瞬間。
リンク「でやぁっ!!」
閃光のような速さでリンクの剣が怪物を貫いた。闇の軍団は悲鳴すら上げることなく、煙のように消散した。しかし、リンクの周囲には既に新たな軍団が十数体取り囲んでいた。
リンク「回転斬り!」
リンクは全身の力を左手に込め、自らを軸として一回転。マスターソードが描いた円弧が、周囲の闇の軍団を一掃した。青い光の軌跡だけが残り、やがて空気中に溶けていく。
リンクは倒れている子供に手を差し伸べた。
リンク「大丈夫か?」
「うん…ありがとう
その言葉に一瞬違和感を覚えたが、今はそれどころではない。リンクは周囲に向かって叫んだ。
リンク「逃げろ!!急いで!!」
風船のように浮かんでいたカービィにも闇の軍団が迫っていた。いくつもの腕が伸び、カービィを捕らえようとする。しかしカービィは体に溜めていた空気を一気に放出した。
カービィ「ぷはっ!」
突然の爆風は闇の軍団の群れを粉砕し、黒い靄となって散らばらせた。カービィは目の前の敵を標的に、巨大な吸引力を発動させる。
カービィの口から発生した目に見えぬ力場に、闇の軍団はなすすべもなく飲み込まれていった。次々と口の中に吸い込まれ、カービィはそれを一気に飲み込んだ。しかし、すぐにカービィの表情が変わる。
カービィ「あれ?何にもコピーできない!スカッだ!」
カービィのコピー能力は、達人が使いこなした武器や、炎などの自然エネルギー、あるいはそれらを操る能力者を吸い込むことで発動する。しかし、この闇の軍団と呼ばれる者たちは無個性であり、コピーの対象にならなかったのだ。
諦めたカービィは再び吸い込みを始める。闇の軍団を飲み込んだカービィは勢いよく吐き出した。怪物たちは互いにぶつかり合い、黒い霧となって消滅していった。単純な攻撃だが、効果は抜群だ。ただし、この技には弱点がある。正面にしか攻撃できず、口に含んでいる間は機動力が著しく低下してしまうのだ。複数の敵に囲まれた今の状況は、カービィにとって極めて不利だった。しかし、コピーできない以上、これしか戦う術がなかった。
対照的に、闘技場の反対側で戦うサムスの動きは洗練されていた。軽快なステップで闇の軍団の攻撃をかわしつつ、アームキャノンから放たれる青白いビームが怪物たちを次々と貫いていく。一体一体を確実に仕留めていくサムスの動きには無駄がなく、冷静な判断と正確な攻撃で闇の軍団を次々と消滅させていった。
そんな時、サムスの視界に苦戦するカービィの姿が映った。
サムス(なぜあいつは率先して戦っている?)
サムスはカービィが戦うとは思っていなかった。リンクとの戦いでは逃げ回っていたからだ。しかし今、カービィは身を挺して市民を守っている。リンクが言っていた「コピー能力」という力があれば理解できるが、今はその能力も使えないまま奮闘している。サムスはカービィの姿に、戦士としての尊厳を見出した。カービィもまた、自分と同じく他者のために戦う正義の心の持ち主だと。
サムス(技を…コピーするんだったな…)
閃きを得たサムスは高く飛び上がり、アームキャノンをカービィに向けてチャージを開始した。青白い光がキャノンの先端に集まり、次第に輝きを増していく。
サムス「カービィ!!」
名前を呼ばれたカービィがこちらを見上げたのを確認すると、サムスは蓄積されたエネルギーを一気に解放した。
カービィ「え?!なんでぼくを攻撃するの!」
唐突な攻撃にカービィは動揺したが、次の言葉でその意図を理解した。
サムス「コピーしろ!!」
その瞬間、カービィの顔は一気に輝きに満ちた。まるで救世主を見るかのような表情で、カービィは飛来するビームの前に立ちはだかった。
カービィ「ありがとう!サムス!」
そしてカービィは大きく口を開け、青白いビームを全て吸い込んだ。
カービィ「コピー能力!!ビーム!!」
カービィの体が変化する。その桃色の体は淡い黄色に変化し、頭上には中央で分断された特徴的なとんがり帽子が現れた。そして手には不思議な杖が出現した。
背後から忍び寄る闇の軍団。しかしカービィは力いっぱい飛び上がり、空中に浮かぶ。そして杖を下に向け、力強く宣言した。
カービィ「ビームマシンガン!!」
杖から無数の光の粒子が雨のように降り注ぐ。それは闇の軍団に触れると、まるで太陽の光に当たったかのように怪物たちを蒸発させていった。数十体が一瞬で消滅し、カービィの周囲だけが清浄な空間となった。
サムス(たった一発のチャージショットをコピーしただけであれほどの威力を…)
カービィの戦いを目の当たりにしたサムスは、彼がこの世界に呼ばれるだけの実力を持つ戦士であることを、改めて認識した。
一方、ヨッシーは独自の戦法で敵と対峙していた。
ヨッシー「ペロンっごっくん!ペロンっ」
長い舌で次々と闇の軍団をつかみ取り、一体ずつ飲み込んでいく。飲み込まれた怪物はヨッシーの体内で変換され、卵として産み落とされる。
ヨッシー「ざっと一人前平らげて10個卵が出来ましたね、よーし」
ヨッシーは卵を一つ手に取り、密集する闇の軍団に照準を合わせた。
ヨッシー「やっ!」
強靭な腕から放たれた卵は弾丸のように飛んでいった。それは一体の怪物に当たると、そこで止まることなく次々と貫通していく。卵が通過した後には怪物の欠片さえ残らず、ただ綺麗な一直線の空間だけが広がっていた。
ヨッシー「まだまだ行きますよ!!」
リンクは精密な剣技で闇の軍団を一体ずつ切り伏せていく。だが、気づけば完全に包囲されていた。しかし、このような状況は彼にとっては日常茶飯事。リンクは左手を内側に引き絞り、マスターソードに魔力を集中させる。刀身が青く輝き始め、神秘的なエネルギーが渦巻いていく。
リンク「回転切り!!」
リンクがマスターソードを水平に振った瞬間、魔力により刀身が伸長し、青い光の弧を描いた。全方位に光が広がり、周囲の闇の軍団は一瞬で消し飛んだ。リンクの足元には、黒い靄だけが漂っていた。
しかし、四人の奮闘もむなしく、黒い網模様からは際限なく闇の軍団が湧き出てくる。消えては生まれ、生まれては侵食し、その数は増える一方だった。男性型と女性型、二種類の怪物が次々と現れ、その数は尽きることを知らなかった。
リンク「くそっ!!こいつら一体何なんだよ!!」
彼らの前には絶え間なく現れる闇の軍団。地面を這う黒い網模様はますます拡大し、まるで生き物のように蠢きながら、闘技場全体を飲み込もうとしていた。その奥底からは、人間の言葉とは思えない低い唸り声が聞こえてくる。それは別の次元から漏れ出した異形の存在が発する、原初の闇の声だった。
四人は背中合わせに立ち、次々と押し寄せる闇の軍団の波に立ち向かう。彼らの姿は、無限の闇に抗う最後の光のように見えた。
はい!いったんリンク周りの話は終わりです!なんでしょうねこの謎のザコ敵軍団は?
次回は久しぶりにマリオの話です!ドンキーコングに負けた後彼はどうなったのでしょうか?お楽しみに!