活動報告の方で次の話の進捗報告を毎日更新していますので、よければそちらも確認してください!
ルイージ(そういえば…なんで僕旅に出たんだっけ…?)
それはつい最近のことであった、双子としてうまれて学校も仕事もずっと同じで片時も離れことがなかった、最愛の兄マリオから離れて旅を始めたこと。今、闘技場の床に倒れ、ドンキーコングの一撃で意識が遠のく中、過去の記憶が鮮明に蘇る。
ルイージ(はじまりは…そうだ…兄さんがサラサランドって国を救った話を聞いた時だ…)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
僕はそれまで、兄さんと常に冒険をしてきた。配管工事中に迷い込んだキノコ王国だって、七つの隣国だって。常に一緒だった。僕と兄さんは二人そろえば最強、怖いものなんて何もないと信じて疑わなかった。それは僕の中で揺るぎない真実だった。
でも、ある日、兄さんはたった一人でサラサランドという国を救ってしまった。僕が修理依頼に追われていた間に、兄さんは僕なしで冒険し、英雄になっていた。
兄さんが話すサラサランドでの冒険譚。目を輝かせて語る兄さんを見ながら、僕の胸の奥には何かが芽生えていた。誇らしさ?嫉妬?それとも…不安?
そんなある日、兄さんとピーチ姫と共にヨースター島にバカンスへ出かけた。息抜きのつもりで楽しんでいたはずだったが、ピーチ姫は旅先でクッパにさらわれてしまった。
マリオ【くそ!クッパめ何度も何度も懲りずにピーチ姫をさらって…!!待ってろ!今助けに行きますピーチ姫!行くぞルイージ!!】
兄さんの声には燃えるような情熱があった。その横顔は決意に満ち、眼差しは鋭く、体は前のめりだった。
ルイージ【う、うん…】
兄さんとは対照的に僕の返事は小さく、頼りなかった。この時、明らかに兄さんとの温度差を感じていた。別にピーチ姫が大事じゃないとかそういう話ではないはず…。ただ、なぜか僕が頑張らなきゃいけない理由が見つけられなかった。なんでなんだろう…。
ヨースター島で初めて見た緑の卵。それが突然割れた時、僕の喉から出た言葉は—
ルイージ【うわああ!卵から化け物が!!】
僕の声は震え、足はすくみ、腕は防御するように顔の前に上がっていた。恥ずかしいくらい臆病な反応だった。
ヨッシー【失礼なっ!私は化け物ではなくれっきとしたスーパードラゴンです!】
卵から出てきた緑の生き物は怒ったように言い返した。その時の兄さんときたら—
マリオ【君、名前は?】
まるで慣れた挨拶のように、自然に会話を始めた。恐れの欠片も見せずに。
ヨッシー【ヨッシーと呼んでください…!ところで…昔私とどこかでお会いしませんでしたか…?】
マリオ【え…?いたって初対面のはずだけど?】
そこで出会った新しい仲間にも無様に怯えてしまった僕と、平然と対話をしている兄さん。その対比が、胸に刺さった。兄さんがなんだか眩しく、頼もしく見えた。それと同時に、自分の存在がどんどん小さく感じられた。
あの崖での出来事も忘れられない。足を滑らせて—
ルイージ【うわぁああああ落ちるーーー!】
死を覚悟した瞬間、兄さんの手が伸びてきた。
マリオ【ルイージ!!掴め!!】
ルイージ【兄さん!!】
ヨッシー【マリオさん!一緒に引っ張り上げますよ!】
自分がミスして崖から落ちそうになった時だって、兄さんは冷静に対応した。僕は助けられる側、兄さんは助ける側。それが当たり前のようになっていた。
お化け屋敷での記憶も鮮明に蘇る。暗い廊下、突然現れたテレサの群れ。
ルイージ【ひいいいい!お化け!!】
その時の僕は震えて動けなかった。でも兄さんは—
マリオ【なんだこいつら…?顔見てたら照れて近づいてこないぞ…!可愛いとこあるなぁ!】
お化けを前にしても余裕を失わない兄さん。それどころか、相手の弱点を瞬時に見抜いていた。
クッパとの最終決戦。あの時の絶望感は今でも覚えている。
クッパ【ガッハハハハハ!どうだ空中から攻撃されては手も足もでないだろ!】
クッパがクッパクラウンに乗って空から攻撃してきた時、僕の心は完全に折れていた。
ルイージ【兄さんもう無理だよ…!あんな乗り物に乗られたんじゃ勝ち目なんて…】
僕の声には諦めが滲んでいた。でも兄さんは違った。
マリオ【いーや!大丈夫だ!あいつがさっきから落としてくる奴を利用すれば勝てる!】
どんな状況でも諦めない兄さん。どんな窮地でも戦略を見出す兄さん。そして僕は...僕は怯えてばかりだった。
マリオ【行くぞルイージ!僕たち二人なら何とかなる!!】
「二人なら」と兄さんは言った。でも、『違うと思う』
冒険が終わり、無事ピーチ姫を救出した後のこと。
ピーチ【二人とも今回も助けてくれてありがとう】
マリオ【どういたしまして!姫がどれだけ危機に瀕してもこのマリオブラザーズがお助けしますよ!】
「マリオブラザーズ」と兄さんは言った。でも、『違うと思う』
マリオ【ルイージ、お前がいてくれたから今回もうまくいったよ!】
『違うと思う』
ルイージ【…】
マリオ【どうしたんだ?】
ルイージ【ううん!なんでもないよ!】
その時の僕の笑顔は、きっと作り笑いだった。胸の奥で思っていたこと。『違うと思う』、そう冒険が始まる前からうすうす思ってしまったのだ。自分がいなくてもマリオはなんでもできてしまうと。
そんなことは誰に言われたわけでもないし、兄さんがそんな態度を見せたこともない...。ただ...僕は...兄さんを支えられるほど、凄い人間じゃないと深く、深くおもってしまった。その思いが日に日に大きくなり、ついに僕を一人旅へと駆り立てた。
僕も兄さんのように、一人で何かを成し遂げたかった。誰かの助けになりたかった。自分の価値を、自分の力で見つけたかった。
そしてそれを成し遂げたとき、僕は兄さんの…
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ルイージ(そうだ…隣に立ちたかったんだ…!)
ルイージが旅に出たのも、大乱闘スマッシュブラザーズに乗り気だったのもすべてそうだった。ただ兄と肩を並べられるすごい人間になりたい。その一心でルイージの心に炎がともった。
床に倒れ、意識が揺らぐ中でさえ、その思いは色褪せなかった。ドンキーコングの一撃で体中が痛みを訴え、視界は霞み、周囲の歓声は遠くに聞こえていた。しかし、心の中では一つの思いが鮮明に燃え上がっていた。
ルイージ(いやだ…負けたくない…負けたくない!勝って僕は…また兄さんと一緒に…!)
その決意が、ルイージの体に新たな力を注ぎ込んだ。彼はゆっくりと身体を起こし、よろめきながらも立ち上がった。観客たちが息を呑む中、彼は懐に手を入れ、アイテムを握りしめた。
ファイアーフラワーの力が彼の体内に広がり、瞬く間に変化が起きた。帽子は真っ白に、オーバーオールは鮮やかな緑色に変色した。
DK「ちっ!またそれかよ!!」
彼の声には明らかな焦りがあった。先ほどのマリオとの戦いを思い出し、再び炎の雨を浴びることを想像したからだ。巨大なゴリラは瞬時に判断し、ルイージが力を使う前に叩きのめそうと、間合いを詰めるために疾走した。
床を踏みしめる足音が轟き、観客席から歓声が上がる。ドンキーコングの動きは、その巨体からは想像できないほど俊敏だった。
その時、ルイージの頭の中で一つの言葉が響いた。
ルイージ(一緒に!!)
彼は手のひらに現れた赤熱したファイアーボールを強く握りしめた。顔を上げると、そこには先ほどと同じ光景—迫り来るドンキーコングの姿があった。巨大な拳が風を切り、眼前に迫っていた。
DK「おわりだぁぁぁぁ!!」
ドンキーコングは勝利を確信し、雄叫びを上げた。
この瞬間、会場の誰もが勝負が決したと思った。しかし、ルイージの心の中では、兄との思い出、冒険の日々、そして最愛の兄を追いかけ続けた日々が走馬灯のように駆け巡った。
ルイージ「一緒に!!」
彼の言葉は、もはや心の中だけではなく、声として響き渡った。ルイージは手のひらのファイアーボールを握りしめたまま、とにかく上を目指して全力で飛び上がった!
DK「何!!」
ドンキーコングの驚愕の声が会場に響く。彼の眼前からルイージの姿が消えたかと思うと、次の瞬間、あごの下から強烈な衝撃と熱が襲いかかった。
ルイージ「一緒に冒険するんだぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ルイージの叫びは闘技場全体に響き渡った。それは決して威力を底上げするための雄叫びではなかった。しかし、その魂のこもった叫びは彼自身の体に力を与えるようだった。兄をも凌ぐ脚力で跳躍し、握りこんだファイアーボールのパワーと完璧に掛け合わさり、爆発的な威力を生み出した。
瞬間、ドンキーコングの巨体が宙に浮かび上がった。
本人の長所を活かし、本人の意図せず生まれたこの技は、素手に限りいかなる
その名も『ファイアジャンプパンチ』
ドンキーコングの体は放物線を描き、強く打ち上げられた後、地面に二回背中をつく。脳震盪を起こしたのか、彼の目はすでに焦点を失い、意識はなかった。
つまり——。
アナウンサー「勝者!!!!ルイ―――ジィィィィィィ!!!!」
「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」
ルイージは大きく息を吐きながら、空を見上げた。額から伝う汗、肩で上がる息、それでも彼の顔には清々しい笑顔が浮かんでいた。
ルイージ「はぁ…はぁ…やったよ兄さん…」
本人に自覚はなかったが、これは最愛であり壁である兄を超えた瞬間だった。
ヨッシーの言ってたどこかで会ったか?というセリフはヨッシーアイランドでの出来事の事を言ってます、このころマリオ達は赤ん坊だったので当然覚えていません。
よければ感想と作品評価お願いします!
次回はリンク達の視点の話を書こうと思っています!