窓一つないコンクリートで塗り固められた真っ暗な部屋に、ぴちゃぴちゃと水の垂れる音だけが響いていた。
「くそッ……!」
冷たい床に転がされた吾郎は、苛立ちにまかせて、がちゃがちゃと自分を拘束する金具を鳴らす。
あの馬鹿げた警察官のレゴ人形に煙を浴びせられて気絶した後、気がついた時には鎖に繋がれて、ここで寝ていた。脱出に使えそうなものは周りにない。埃の舞う部屋のなかあるのは、中央を大きく陣取る、黒い布で覆われた物体だけ。他には何も見当たらなかった。
とはいえ、たとえ都合よくナイフやノコギリが落ちていたところで、何の役にも立たなかっただろう。
吾郎を拘束している器具は頑丈だ。金属の首輪に、手首を後ろ手にまとめて拘束する無骨な手錠。その両方が、床から伸びる鎖につながっている。赤く錆びた鎖の長さには立ち上がる余裕すらない。何をしても無駄なことは分かっていた。
唯一の救いは、いまのところ人の気配がないことくらいか。
もっとも、この状態で二日も放っておかれれば水分不足で死ぬ。それが相手の狙いだったらこれでお陀仏だ。
「こんな訳わからないところで、死ねるかってんだ……」
たった一日足らずで、天地がひっくり返ってしまったかのようだった。
昨日まで仲良しこよしの家族ごっこを生ぬるい環境でしていたはずが、今は鎖に繋がれて光すら差さない部屋に閉じ込められている。
すべての引き金は、啓次の狂暴な一面だった。
何か裏があるとは睨んでいたが、まさか本物の明智吾郎を手にかけているとは。道理で、本人が現れれば即破綻する入れ替わり計画に乗り気のはずだ。真理子の足を壊したのも、おおかたあの父親の仕業だろう。そう考えると、真理子が他の人格のフリまでして、父親とまともに顔を合わせるのを避けたことの辻褄があう。
あの暴力性を啓次が家族にぶつけたのも、おそらく一度や二度なんてものじゃない。
素手で人を殴ることにはかなりの熟練がいる。例えば顎の骨なんかに直撃すれば、まず折れるのは自分の指のほうだ。
だが啓次は暴発する怒りのままに拳を振るいながらも、自らの手が壊れないよう、吾郎を殺しきらないよう、じわじわと長く痛ぶれるように加減していた。あの時の啓次に理性があったようには見えなかった。たぶん、何度も何度も人を殴るうちに、どうすればいいのか身体が慣れで覚えたのだろう。
散々人を痛ぶったあと、朝方になって我に返った啓次は、床に青ざめた顔をこすりつけて謝罪した。
しどろもどろに「あれは僕じゃない、わかってほしい」「こんなことをするつもりはなかったんだ」などと言い訳を重ねた。
おそらくこれも何度も繰り返しているのだろうなと、吾郎はそれを冷めた気持ちで見ていた。もちろん、態度に出すことはしなかったが。
そうしてひとしきり謝り倒した後、啓次は「僕には君の父親の資格はない」と有無をいわせずに吾郎を車に乗せた。岡倉の家に戻るくらいなら死んだほうがマシだと思っていたが、こちらの意思はいつものごとく関係ないらしかった。まあ、吾郎の知る大人はみんなそんなものだ。
あと少しで完全に明智家の息子という立場を手に入れるはずだったのに、岡倉のところへ逆戻り。
実のところ、吾郎はあまりその状況を悲観していなかった。
なるほど、啓次からすれば自分を捨てるのが倫理的に正しい行動なのだろう。だがあの手合いの人間は、そういう正しい選択をするのはどうせ一時的なもの。そもそも息子が生きていて受験中だと吹聴してしまった手前、何があってもまた自分を引き取りにくるはず。
そう考えたのは吾郎だけじゃなく、岡倉もだった。
「あらら、失敗しちゃったか。次はもっと啓次さんと仲良くなれるように頑張ろうね」
吾郎に治療を施した後、岡倉は揶揄うような調子でそう言った。そのうちまた啓次が泣きつきにくると、確信しているのだろう。ひょっとしたら、本物の明智吾郎がすでに故人なことも知っているのかもしれない。
本当に、どこまでも狡猾な男だ。
だが、明智家に戻ることに、吾郎は何の文句もなかった。
今まで一年間、啓次の逆鱗に触れることなく上手くやれたのだ。それに、そもそもあの男は滅多に家に帰ってこない。このまま大人になるまで、真理子と自分が殺されないようあの家でうまく立ち回ればいいだけ。ゲームの勝利条件が変わっただけだと、吾郎は淡々と考えていた。
だが、それがどうしてか、こんな場所にいる。
真理子とともに迷い込んだ、悪夢と絵本が混ざったような”おもちゃ屋”の世界。視覚から毒を摂取できたら一瞬で致死量に達してしまいそうなほどおぞましいこの場所に、吾郎はデジャヴを感じた。
子どもに未成年売春を強制して金儲けをする慈愛の翼という組織のあり方に、あまりにこのおもちゃ屋は似ているのだ。
岡倉は、慈愛の翼というNPO団体を使って巨万の富を得ている。
表では寄付金を募りながら、その裏では未成年に売春を強制して会員制の風俗を運営しているのだ。売り物にする未成年を集めるために、岡倉はなんでもした。家出中の子どもを騙して勧誘したり、金銭的に首が回らなくなっている親を探して「あなたの子どもでもできる簡単な仕事」を紹介すると持ちかけたり……。
その中で、里親業は趣味程度のものなのだろう。あの男は、吾郎や良太のような施設から引き取ってきた子どもは商品として使わない。
それでも何人もの子どもの里親をしているのは、数ある保険の一つなのだ。結局のところ、社会は保身で回っている。岡倉のことを公的機関が審査し、子どもを信頼して預けたという事実は重い。信頼していた大人が実は世紀の犯罪者だったという事実を、国はそう簡単には認めない。
毛細血管を張り巡らすように、あらゆる分野の組織や人間と繋がりを持つことが、あいつの生存戦略なのだ。
真理子には言わなかったが、おもちゃ屋の一階と慈愛の翼の待合室の共通点は、家具の配置だけじゃなかった。
一階の壁に貼られていた掲示物。「廃棄されたおもちゃの記録」と書かれたそこに載っていたのは、繁華街で飛び降り自殺した家出少女に関する新聞記事の切り抜きだった。
実際の待合室にも、「救えなかった子どもたちを忘れないために」の啓発運動という名目で同じものが貼られている。その真の目的は見せしめだ。岡倉の元から逃げた子どもがどういう末路になるのか、脅すために張り出されたものだとあそこにいる子どもは誰もが知っていた。
この場所は、慈愛の翼と深く関係している。そのことは疑いようのない事実だった。
もっとも……そんな仮説を立てたところで、現状は変わらない。
結局のところ、いま吾郎は身動き一つ取れずに鎖に繋がれていた。
そう再認識すると、焦燥感でどうにかなってしまいそうだった。
──焦るな。こんな修羅場、今まで何度だって切り抜けてきただろ。
自分を叱咤するように、そう考えた。
今からなにをされようと、いつものように、歯を食いしばって耐え抜けばいいだけの話。体力を温存して、機を見て、一瞬のチャンスにかけるのだ。今更トラウマになるようなものはない。
そう思っても、普段はすぐに取り戻せる冷静さが戻ってこなかった。
ざわつく意識の奥には、真理子の姿があった。
か弱く世間知らずな少女。あの状況から、彼女がうまく窮地を脱したとは思えない。こうして手をこまねいている間にも、彼女は取り返しのつかないことになっているかもしれないのだ。
父親に首を絞められていたときの、悲嘆と絶望に染まった瞳。あんな表情の真理子は、見たくない……。
そう思ってから、人の心配なんてしている場合かと笑いそうになる。
情けない。一人でこんなところに閉じ込められて、感傷的になっているのか?
自問自答していたその時、低く唸るような音があたりに響いた。
そして、真っ暗な部屋に小さな光が灯る。エレベーターが起動して、フロアの表示が点灯したのだ。
拘束された状態でできる抵抗なんてタカがしれているが、吾郎は身構える。
目を逸らさないこと。悲鳴を上げないこと。
身に降りかかる苦痛に対して、いつもそれだけが自分に許される最大の反抗だった。
薄暗い部屋の中、唯一の光源であるフロアの表示が10F、9Fと移り替わっていくのを、いまかいまかと見ていた。
やがてB2Fの文字が点り、エレベーターの扉が開く。
天井のライトが一斉につき、眩しさに目がちかちかした。
埃の舞う地下室へ、カツカツと靴音を立てて何人か歩いてくる。
目が徐々に慣れてきて、人影が輪郭をはっきりとさせていく。その中には……。
「──吾郎くん!」
泣き出しそうな真理子の姿があった。いつにもまして、歩きづらそうだ。どうやら、後ろから誰かに腕を掴まれて無理やり歩かされているらしい。
彼女の左隣には、ひどく下品な笑みを貼り付けたピエロがいて、楽しげにスキップしていた。
「違うよお、あの床に転がっているおもちゃは、ゴロウくんじゃないよぉ」
わざと人を苛つかせるような声には、聞き覚えがあった。
「岡倉……!」
「本物のゴロウくんは模範的な人形だからね。ボクを呼び捨てにしたりしないよ。ねえ、ゴロウくん?」
ピエロ姿の岡倉は大仰に首をかしげて、真理子の後ろの人間を見やる。
岡倉の呼びかけに答えるように、真理子の影から少年が姿を表した。
その顔を見て、吾郎は息を呑んだ。
そこにいるのは、自分そっくりの人間だった。
ドッペルゲンガーとしか形容できない。そんな自分の生き写しが、従順に岡倉の言葉にうなずいていた。その顔に浮かぶ完璧な笑顔は、何度も鏡の前で練習したのと寸分違わず同じもの。
「ゴロウくん、君にはたくさん仕事があるからね。もう、上に戻っていいよ」
「分かりました、岡倉さん」
そう言って、少年は真理子の腕を離した。
声帯すら完全に同じなのかよと、吾郎は気色の悪さに舌打ちした。
少年は最後までこちらに一瞥もくれず、言われるがままにエレベーターへ向かった。
「吾郎くん! 怪我はない?」
小走りで駆け寄ってきた真理子が、しゃがみこんで目を合わせてきた。彼女も後ろ手に縄で縛られているのだと、近づいて初めて気づく。
絶望的な状況だった。
「吾郎くんを離しなさい。後悔することになりますよ」
見たことのないほどの怒りに満ちた顔で、真理子は岡倉を睥睨した。
離れていた間に何かあったのは間違いないようだ。
「もちろん離してあげるよ、改造手術が終わったらね」
鼻を鳴らしてそう言うと、岡倉はコミカルな動きでスキップしながら壁際へ向かった。目的は、そこにある大きな赤いスイッチのようだ。
岡倉がスイッチを押すと、部屋の中央の何かを覆う黒い布が手品のようにするりと落ちた。
中から出てきたのは、腹を見せてひっくり返ったクモのような形の機械だ。
まず目に入るのは、真ん中の椅子と、その長い背もたれから生える八本のアーム。アームの先には一本一本、大きなドリルやハサミやトンカチがついている。
その鋭い矛先が向けられるのは、当然、拘束具らしきベルトや手錠のついた赤い革張りの椅子だった。
手術という言葉の意味と合わせれば、あの機械の用途は明らかだ。これから何が行われようとしているのか察して、吾郎は一心不乱に拘束を解こうとした。
「おもちゃの修理をするのは久しぶりだから、腕が鳴るなあ!」
ひょこひょこと岡倉は近づいてくる。
「近づかないで……!」
間に入ろうとする真理子をいとも簡単に、岡倉は手で押しのける。
そして腰をかがめると、無駄な抵抗をする吾郎の顔を岡倉はじっくりと眺めた。その顔は、ピエロのメイクでは到底隠しきれない、サディスティックな愉悦に満ちている。
──間違いない、これは現実の岡倉のクソ外道野郎と同じ人間だ。
唾を吐きかけてやろうとするが、その瞬間に首の鎖を引っ張られて、吾郎はうめくことしかできなかった。
「品のないところも、直さないとね」
にやにや笑いながら、岡倉は鎖を壁の金具から外す。そのまま易々と吾郎を引きずって、ついに手術台のうえに押さえつけられた。わざとらしいほどゆっくりと、一つ一つ、拘束のベルトをつけていく。
「やめて!」
半狂乱になって叫ぶ真理子の声が遠くで響いた。
「これで準備完了だ」
岡倉はポケットから三色のボタンのついたプラスチックの箱を取り出すと、吾郎の目の前で振って見せる。
「この青のボタンを押すとね、君の周りのトンカチやノコギリやハサミが全部一気に動き出すんだ。ねえ、ゴロウくんのニセモノくん、怖いかな?」
おどけた調子でそう言う岡倉に、「地獄に落ちろこのゴミクソ野郎」と吐き捨てる。
「あらら、やっぱりこれじゃ愛されっこない。うちのゴロウくんみたいになるには、長い長い改造手術が必要だ」
岡倉は拘束台から離れると、見せつけるように勿体ぶって緑色のボタンを押した。
「テスト稼働、開始!」
その瞬間、うなりを上げて、周りのアームが狂ったように暴れ出した。
コミカルな動きでハサミはがちゃがちゃと音を立てて開け閉じを繰り返し、ドリルは歯医者で響くような甲高い耳障りな音を出しながら回転する。
恐怖を煽るためか、どれも目元ギリギリに近づいてきては離れてを繰りかえす。
「ッ……!」
さすがの吾郎も、冷たいものが骨の髄を駆け上がってくるのを感じた。
今はまだ脅しだが、あのトンカチやノコギリが身体に当たったら、即死するに違いない。いや、岡倉のことだ。むしろあえて急所を避けて、痛めつけて殺してくるのかもしれない。
目を閉じたら負けだと言い聞かせて、吾郎は凍り付いたように動かず、視線だけはアームの動きを追っていた。
やがて、ゆっくりと機械の動きが止まる。
「おお、しばらく使ってなかったけど万全みたいだ。それじゃあ、次は本稼働だね」
ベルトを外せないか身をよじる吾郎を見て、岡倉はくちびるの端に笑みを浮かべると、青のボタンを容赦なく押した。
もう、逃げられない。それならせめて、目を閉じるものか。
挑むように吾郎はアームを見た。
今度は、ドリルだけが稼働した。
獲物を狙う肉食獣のように、ゆっくりとした動きで──しかし確実に、吾郎の目に向かって近づいてくる。
「大丈夫だよ。君は新しい自分にまた生まれ変わるんだ。ボクはね、ここに来る可哀そうなおもちゃたちに愛を教えてあげたいんだ」
岡倉は、得意のご高説を垂れ始めた。
『子どもたちに愛を教える』というのは、慈愛の翼でも何度も岡倉がスローガンにしてきた言葉だ。
「ボクの取り組みがどれだけ素晴らしいか、分かるだろう? 色んな家で好きに使われて、汚くなったら捨てられて、ついには誰にも見向きもされない姿になってしまった可哀そうなおもちゃ。そんなゴロウくんも、ボクの手入れで『王子様のお人形』になれた。汚れを取り除いて、肌を磨いて、壊れていた歯を綺麗に直して、違う性格を演じて、みんなから求められるおもちゃになれた。使い捨てにされたガラクタだった彼が!」
使い捨てにされたガラクタ、言い得て妙かもしれない。
岡倉は、そういう子どもだけを選別して慈愛の翼に迎えていた。誰からも関心を払われず、何度も救いを必要とするサインを無視され、過去には虐待された記録。そんな子どもはもう声を上げることを諦めていて、どこにも逃げる場所がない。いや、逃げようという発想にすら至らない。
「なんと、あの清水家のご令嬢である真理子ちゃんだって、ゴロウくんの偽りの姿に騙されて、ここまで拾いにきてくれた! ありのままの彼じゃ、彼女だって見向きもしなかった。ボクの補修によって、みんな愛されることができるんだ。これは、ボクの取り組みの素晴らしさの証明さ」
岡倉の言葉の意味を考えている余裕はない。
いよいよ凶器が眼前に迫り、ぎゅるぎゅると激しい唸りを上げながら、吾郎の目に穴を穿とうとしていた。
視界いっぱいが錆びた鉄の色になって、顔に当たる風圧すら痛く感じるほどドリルが近づいたその時──ピタリとアームの動きが止まった。
「痛い、痛いいぃ!!」
左目を手で押さえた岡倉が、金切り声で喚いている。
「目、ボクの目がッ!」
鮮血がどくどく流れ出る岡倉の指の間から、大きなガラス片が飛び出ていた。
左目に、尖ったガラスの欠片が深く突き刺さっているのだ。
「吾郎くん!」
真理子が駆け寄ってくる。いつの間にか彼女の腕は自由になっていた。手には、三色のボタンがついた機械のコントローラー。
何があったか、やっと理解した。
真理子はあのガラス片で腕の縄を切った後、岡倉の目を刺して機械のコントローラーを奪ったのだ。
「やってくれたね、真理子ちゃん……」
岡倉は静かな怒りをたたえた声でそういうと、残った右目で真理子のことを睨みつけた。そこに浮かぶ憎悪を見て、吾郎は声を上げる。
「バカが、早く逃げろ……!」
このままじゃ、何をされるか分かったものじゃない。俺のことなんか助けようとしている場合か。満足に走れもしないくせに……。
だというのに、真理子は鋭利な凶器のついたアームを押し除けると、吾郎の腕に手を伸ばしてくる。手術台のベルトを外そうと、そこから動かない。
「真理子さん、もういい」
「大丈夫、大丈夫だから、待ってて」
そう言いながら、真理子は、吾郎の右腕を拘束するベルトをやっとのことで外す。
だが、間に合うはずがない。起き上がった岡倉が、暴れ馬のような勢いで突進してきていた。
「──真理子、逃げろ!」
真理子は後ろから迫る危機に気づいても、動こうとしない。それどころか吾郎を庇うように、覆い被さってくる。
そうしたところで、ただの十三歳の少女が成人男性の力に勝てるはずがない。
「うっ……!」
背後から岡倉に突き飛ばされて、華奢な身体が強かに床に叩きつけられた。
「駄目じゃないかァ、子どもが危ないものを持っちゃ」
岡倉は優しい声音でそう言うと、仰向けに倒れこんだ真理子の肩に足を置く。
「やめろッ!!」
吾郎の叫びなんて聞こえないかのように、岡倉は体重を足に乗せた。
ぐっぐっと強く力をかける度に、真理子のか弱い悲鳴が響く。
解かれた右腕で他のベルトを解こうとするけれど、焦りのせいで上手くいかない。
そうしている間に、岡倉は真理子の手に足を乗せた。
「簡単に壊れちゃいそうな細い手だなあ。そうしたら、彼女もおもちゃにしちゃおうかな? 足も手も壊れて、なぁんにもできなくなっちゃった元天才ピアニストの女の子。そういう可哀そうなおもちゃが、お客さんには受けるんだ」