いっしょに夕飯を食べないかという誘いに、吾郎はちらりと真理子の方を伺った。そして真理子が頷き返すのを確認すると、「ご迷惑じゃなければ、ぜひ」と了承の返事をする。
若葉という研究者の女性は、あの謎に満ちた異世界に光を当てられる唯一のあてだ。
でもそれだけじゃなく、信頼できる人間のように思えた。もしかしたら、真理子たちを助けてくれるかもしれない。
若葉が味方になってくれたら。
真理子はそう思ってしまうのは、父のことが大きかった。
今、啓次の命をつなぎとめているのは機械だけ。
容体は安定しているが、目を覚ます気配はない──そう告げる医師の説明も歯切れが悪かった。原因不明だから手の打ちようがない、というのが冷たい現実なのだろう。
「異世界で黄色い目の父を殺めたせいでああなったんです」なんて、本当のことを言ったところで、信じてもらえるはずがない。むしろ、真理子が入院させられるだけ。
でも、若葉は違う。
彼女ならきっと、異世界のことを理解してくれる。もしかしたら、あの廃人状態から父を救い出すことだってできるかもしれない。
そう考えると、暗闇に一筋の光が差してきたかのように感じた。
もちろん、期待しすぎるのは危険だと分かっている。
若葉に相談したところでどうしようもない可能性だってあるのだ。
それに何より、若葉に異世界のことを話すかどうか決めるのは、真理子一人じゃない。
吾郎は、異世界ナビを何か目的を持って使おうとしている。それが何なのか、いまだに聞き出せないでいたけれど──彼の計画を、軽率な判断で台無しにするわけにはいかなかった。
若葉の家は、永福町駅から徒歩五分程度のところにあるマンションだった。
最上階、エレベーターから降りてすぐの角部屋の前で、彼女は足を止める。
「ここがうちなの」
そう言って、若葉はインターフォンを何度か押してみるけれど、返事がない。
「娘が家にいるはずなんだけど……待ってね」
鍵を探して、若葉は鞄をごそごそと探りはじめた。
まだ六時前だけど、もしかしたら娘さんは寝ているのかな。
真理子はそんなことを考えながら、なんとなく隣に立つ吾郎の方へ視線を向ける。
そして、息を呑んだ。
吾郎の背後に、人影が隠れていた。
たぶん、女の子。確信が持てなかったのは、その顔が巨大なお面に覆われていたせいだ。
三日月型の目の、シュールな笑顔が描かれたマスク。そこに小柄な体格がちょこんとくっついているせいで、四頭身くらいに見える。
しかし、いずれにしろ、不審者だった。
もし真夜中にバッタリあったら、叫んでしまうかもしれない。
「どうしたの?」
唖然とする真理子の視線の先を辿って、吾郎が怪訝そうに振り返る。
──そして、間近でお面と顔を合わせた。
「はぅあっ!?」
おかしな声を上げて、吾郎が飛び退く。
「ぎゃあああぁーっ!」
なぜか、お面をつけた後ろの子も飛び上がって甲高い悲鳴をあげる。
阿鼻叫喚の中、若葉がひとり呑気な声を出した。
「あら、双葉。外に出ていたのね」
家の中に入ると、四人は暖房の効いたリビングで、丸いローテーブルを囲むように、床に置かれたクッションに腰を下ろしていた。
落ち着いてから聞いた話によると、こういうことだったらしい。
このお面の子──一色双葉は極度の人見知り。
ゲームに没頭していた彼女は、「夕飯に子ども二人を連れてくる」という母からの連絡に気づくのが遅れてしまった。
メッセージに気づいたのは、すでに六時を回った頃。
パニックになった彼女は、反射的にお面を被って外に飛び出した。でも、しばらくして「逃げるのはよくない」と反省。
とりあえず家に戻って、心の準備をしようとした。
だけどエレベーターを降りてみると、目の前に見知らぬ少年が立っているではないか。
緊張がピークに達した双葉はその場でフリーズ。カチンコチンに固まっていたところを、真理子に目撃されたというわけだった。
「そそそそそういうわけだ、パニクって悪かったな……」
お面をさらに深くかぶりながら、双葉は蚊の鳴くような声で言った。
真理子は、ぱちくりと瞬きをした。
親子がクローンのように似るとは思っていなかったが──それでも、目の前のこの子は「若葉さんの娘」と聞いて想像していたタイプとは、ずいぶん印象が違っていた。
極度の内気な性格。会ってから一度も、双葉はこちらを見ることすらできずにいた。
彼女は真理子の対角線上の位置に、ちょこんと座っている。それなのに話している間ずっと、まるでテーブルの木目を観察しているみたいに俯いているのだ。
「こちらこそ、驚かせちゃってごめんね。双葉ちゃんだよね? 初めまして、僕は明智吾郎っていいます」
戸惑っている真理子をよそに、吾郎はすぐさま柔らかな笑みを浮かべて名乗る。
その姿を見ると、ちょっと懐かしい気持ちになる。
今まで、このキラキラした優等生な演技は、てっきり父や自分に取り入るための仮面だと思っていた。
でも、今日一日を見ていて分かった。
人と接する時、吾郎は何も意識せずともこういう風になるのだ。あまりに板についた演技は、もはや素といってもいい。
「こっちは妹の真理子」と自己紹介するように促されて、真理子は小さくお辞儀した。
「とつぜんお邪魔してごめんなさい。よろしくお願いします、双葉さん」
「よ、よろしくな、明智兄と明智妹……」
双葉の声は小さく、耳のいい真理子以外の人間に聞き取れたか怪しいくらいだった。
「じゃあ私は夕飯の準備をしてくるから。下ごしらえしてあるから、すぐよ。二人とも、よかったら双葉がお話しする練習に付き合ってあげて」
そう言い残して、若葉はキッチンへと向かおうとする。
「えっ……」
不安げに小声を漏らした双葉に、若葉が振り返って、優しい声で呼びかけた。
「双葉。約束ノートに『友達と仲良くする』って書いたでしょ。頑張りましょうっ」
にこっと笑って、腕まくりのジェスチャーをする。
「ぅ……がんばる」
双葉はぐっと両手に拳を作ると、二人の方をまっすぐ向いた。
「よ、よしっ。楽しくおしゃべりするぞ。さあこい!」
初対面の年上相手に会話するのって、一般的には難易度が高いものじゃないんだろうか。
……本当に、大丈夫なのだろうか。
懸念した通り、会話は冗談みたいに弾まなかった。
「僕たちの家は吉祥寺のあたりだから、同じ井の頭線沿いだね。双葉ちゃんは、普段どこで遊ぶの?」
「アキハバラ」
「秋葉原か。確か電気街があるんだよね。そういうの、好きなのかな?」
「……そこそこ」
「へえ。僕も興味はあるんだけど、まだ一度も行ったことがないんだよね」
「…………」
吾郎がなにか話題を振っては、双葉が一言二言ぽつりと言葉を返し、会話が途切れる。その繰り返し。
「いまは期末試験の時期だから、忙しいよね。勉強の邪魔になってないといいんだけど」
それでも諦めずに言葉を投げ続ける吾郎の姿は、さながら心肺停止の相手にCPRを続けるレスキュー隊員のようだった。
ちなみに真理子はというと、早々に諦めて、無音のテレビをぼんやりと眺めていた。
「わたし、不登校だから、ダイジョブだ」
「……そっか」
「そうだ」
「…………」
しかし、これは酷い。
沈黙も苦じゃない真理子としては、もう素直に諦めてこの会話はご臨終させてあげてもいいのではと思うのだけれど、吾郎はまだ頑張るつもりのようだ。
「そういえば、妹は昔ピアニストとしてちょっと有名だったんだけど、知ってるかな?」
にこやかにそう言いながら、こちらを向いてくる。
「いい加減会話に参加しろ」という無言の圧力を感じて、真理子は口を開いた。
「ええ。そうはいってももう一年は活動していないので、ご存知ないかもしれませんが」
「お、おう……おまえのことなら知ってるぞ。ネット民にもファン多いしな」
意外にも双葉の食いつきは良かった──が、真理子としては看過できない発言があった。
「双葉さん。初対面の相手に“おまえ”と呼びかけるのは、多くの人にとって失礼にあたります」
じっと、お面の奥にあるはずの目を真っ直ぐに見据えて、真理子はそう言った。
年齢を問わず、言葉遣いは大切だ。
子どもだからと笑い飛ばしてくれる大人は世の中少ない。特に仕事の際は、こういう小さな非礼が後々尾を引くこともあるのだ。早いうちから直すに越したことはない。
「ひっ……! ご、ごめんなさい」
双葉は小動物のようにびくりと肩をすくめて、縮こまってしまった。
あれ、そこまで強く言ったつもりじゃなかったのだけれど──と思ってから、そういえば自分は人に限りなく冷たい印象を与えるのだと思い出す。
大人の記者ですら、真理子を見て萎縮する人がいるくらいだった。
「ごめんね、妹はちょっと物言いがきついところがあって。気にしないで」
と、吾郎がフォローを入れるも、返事はない。
双葉は完全に固まっていた。
せっかく頑張っていた彼女の気持ちが、ぽっきり折れてしまったのかもしれない。
図らずも、真理子は死にかけていた会話に、ついにとどめを刺してしまったようだ。
「…………」
ずうんと重苦しい空気が、部屋全体に漂う。
何か言いたげに吾郎が視線を送ってくるが、真理子は知らぬ顔を決め込んだ。
「──みんな、お待たせ」
気まずさがピークに達した時、若葉が絶妙なタイミングで入ってきた。両手に持つトレーには、カレーが乗っている。
「あれ、暗い顔して、どうしたの?」
凍りついた空気を感じ取ってか、若葉は不思議そうに首を傾げた。
「すごい……。とても美味しいです、このカレー」
若葉お手製のカレーが舌に乗った瞬間、口の中をスパイスの香りが広がる。
洋食レストランで食べるものよりもずっと奥深くて計算され尽くしたその味に、あまり食に関心のない真理子も舌鼓を打つ。
「だろ? お母さんのカレーは世界一だからな!」
双葉は、さっきまでの姿が嘘のように快活な笑みを浮かべた。
食事中なので、お面はすでに外していた。
中から現れたのは、ぱっちりと大きな目の可愛らしい女の子だった。髪型は、若葉と似ているけれど少し毛先の長いボブカット。
顔立ちを見るとさらにあどけなく見えて、小学生と間違われてもおかしくない。
「美味しい夕ご飯がご馳走になれてよかったです」と吾郎も微笑む。
「おう、もっと褒めていいぞ」
「もう、双葉、恥ずかしいでしょ」
若葉が嗜めると、双葉はニシシと笑った。
今の彼女は、さっきとは別の子と入れ替わったんじゃないかと疑いたくなるくらいに明るい。
きっと、双葉がここまで明るく振る舞えているのは、若葉がそばにいるから。
──母親が隣にいるだけで、こんなにも安心して、自由でいられるなんて。
そう、どこか不思議な気持ちになる。
真理子にとって「母親」は、決して安らげる存在ではなかった。いつだって両親の隣がもっとも苦しくて、辛くて、不安になる場所だった。
でも、双葉にとって若葉は、絶対の安心を与えてくれる人。
隣にいるだけで幸せな気持ちになって、何があっても受け止めてもらえると信じられる存在。そんな感じがした。
つんと胸の奥に刺すような痛みが走るのに、真理子は気づかないふりをした。
「……ねえ、そういえば、吾郎くんって珍しい血液型をしているのね」
と、若葉がふと、思い出したように言った。
吾郎はやんわりと笑みを浮かべたが、真理子には少し困っているようにも見えた。もしかしたら、自分の血液型を把握していないのかもしれない。
「兄の血液型って、そんなに珍しいものなんですか? 実は私、自分のも知らなくって」
代わりに、真理子が返事をする。
「真理子ちゃんは、海外暮らしが長いんだものね。向こうの人は知らない人が多いって言うの、本当なのかしら?」
「そうですね……思えば、血液型というものを話題にすること自体、あまりなかったかもしれないです」
「へえ、やっぱりそうなのね。じゃあ今教えちゃうと、真理子ちゃんはBプラスで、吾郎君はABマイナスだったのよ。うちの娘もそうなんだけど、他に同じ血液型の人って見たことがなかったからちょっと親近感を感じちゃったわ」
「ABマイナスって、珍しいんですか?」
真理子の質問に、双葉は得意げな顔で答えた。
「ふっふっふっ、めちゃ珍しいぞ。いわゆるURキャラってやつだ」
「ゆー、あーる?」
「ウルトラレアの略な。何せRHマイナスのAB型は二千人に一人。ドラマだとだいたい、輸血できなくてピンチになるのがお約束だ。明智兄、そん時はわたしに連絡するといい」
「あはは、頼もしいね」と吾郎は笑う。
「ドラマみたいに困ることは、まずないのだけれどね。今時輸血に困ったりすることは、よほどのことじゃないとないから」
若葉の言葉を聞きながら、真理子は少しひやりとしていた。
考えてみれば、二人の血液型の組み合わせだけでも、自分たちが血のつながった兄妹ではないと露呈する可能性は十分にあったのだ。
別に複雑な家庭なんて珍しくないのだからどうとでも言い訳はできる。でも血液検査をされたときにその可能性をまるで考えなかったのは迂闊だった。
対外的には、吾郎は自分の兄ということになっている。それが違うということがバレてしまえば、簡単に引き離されてしまうかもしれないのだ。
それくらい、自分たちには脆い繋がりしかない。
だからもっと気をつけないとと、真理子は気を引き締めた。
食事を終えて、若葉は皿を片付けるとキッチンへ持っていった。
子ども三人でテレビをなんとなく眺めていた時、吾郎が立ち上がって隣の部屋へ向かう。
壁越しに「手伝えること、ありますか?」という声が聞こえ、すぐに「気を使わないで。くつろいでいていいのよ」と若葉の声が続いた。
リビングへ戻ってきた吾郎は、今度は、壁際の棚の前にいた双葉のそばへ行き、「何を見ているの?」と声をかけた。
──ああそうか、と真理子はようやく気づいた。
吾郎はずっと気を遣っているのだ。さっきから双葉に話しかけているのも、きっと「娘の話し相手になってほしい」という若葉の希望をくんでのことなのだろう。
思えば、吾郎はいつもこうだった。
真理子や父の表情をよく見て、何を望まれているかを読み取ろうとしていた。
言葉にされる前に、先回りして応える。
まるで、「ここにいることを許していい存在」なのだと、証明するかのように。
──いろんな家で、使い捨てにされたおもちゃ。
岡倉のシャドウが言った言葉が、ふと脳裏をよぎる。
今までも引き取られた家で、ずっとそうやってしてきたのだろうか。
暗くなる真理子の気持ちをよそに、隣で和やかに吾郎は双葉と話している。
「大学時代のお母さんの写真! どうだ、美人だろ? 今もだけどな!」
「へえ……」
双葉が指さす写真立てに目を向けると、吾郎は何か言いかけて、ふと黙りこむ。
「ん、ぼーっとしてどうしたんだ、明智兄?」
「……ごめん、なんでもないよ。素敵な写真だね」
「なんだ、もしかして、見惚れたのか?」
「あはは……まあ、そんなところかな」
その時、キッチンから聞こえていた水音が途切れた。若葉が片付けを終えたらしい。
その気配を察してか、吾郎が真理子の方を振り返った。
「そろそろ、帰らないといけないね」
「そうですね。お暇しましょう」
真理子も静かに頷いて、そっと立ち上がった。
「もう帰るのか……?」と、双葉がぽつりとつぶやくように言う。
その声には、ほんの少し寂しさがにじんでいた。
少し、意外だった。
母親とせっかく過ごせる時間を邪魔してしまったのに、名残惜しそうにするなんて。
そう思ってから、真理子自身、寂しいと思っていることに気づいた。
柔らかな照明に包まれたリビング。
丸いローテーブルの上には、飲みかけのジュースが入ったグラスがひとつ。
カレーの残り香が空気にうっすらと残っていて、さっきまで笑い声が響いていた室内は暖かく感じる。
壁には、仲良い親子の写真がいくつも並んでいる。運動会の一枚、誕生日ケーキを囲む笑顔、旅行先の風景──幸せを切り取ったような四角い窓。
この家に流れている空気は、真理子にとっては初めて触れる種類のものだった。
今日ここに来れてよかったと、そう思わされる素敵な場所だ。
「双葉さん、今日はありがとうございました。……よかったら、また遊びに来てもいいですか?」
真理子が微笑むと、双葉は嬉しそうに笑った。
「ああ。また会う日まで、サラダバー!」
帰ると告げると、若葉は車で送ると言ってくれた。
さすがにそこまでしてもらうのは申し訳なくて、しばらく押し問答になった末、駅まで送ってもらうことで落ち着いた。
双葉に手を振って、マンションの外へ出る。
バタン、と扉が閉まる音が、やけに大きく響いた。
暖かい家の空気の代わりに、夜のしんと冷えた風が肌に触れて、真理子は少し震えた。
ふと、若葉は優しい目でこちらを見た。
「ふふっ、本当に楽しかった。引き留めてしまってごめんなさいね。おうちの人が心配していないといいのだけれど」
おうちの人……。
その言葉を聞いた瞬間、いきなり、冷たい水を頭から浴びせられたみたいに、現実が押し寄せてきた。
今から帰る場所。
そこには、真理子の帰りを待つ兄も母も、誰もいない。
そして何より、あそこで父は、真理子のせいで廃人になった──その事実は永遠に変わらない。
今までずっと、今日見たような団欒を家族でできることを望んできた。
真理子がピアノで成功すれば、いつかあんな風になれると希望を抱き続けていた。
でも、もう全てが終わってしまった。これからの人生で、あんなぬくもりが手に入ることは永遠にない。
分かっていたはずなのに、そのことが実感として、今までのどの瞬間より強く押し寄せてきた。
帰りたくない──。
冷たい風が指先まで染みていく。なのに目元だけが、熱い。
その時やっと、真理子は自分が泣きそうになっているのだと気づいた。
堪えようとしても、ぼろぼろと大粒の涙が勝手にあふれていく。
「真理子ちゃん、どうしたの……?」
若葉の優しい声が、戸惑い混じりに響く。
肩に手を当てられて、真理子はしゃくりあげた。
「わ、わた、し……!」
絶対に不審に思われている。何か、言い訳をしないと……。
そう思って話そうとしても、喉が詰まって、短い嗚咽しか漏れなかった。
今にもすべてを洗いざらい話して「助けて」と若葉に頼んでしまいそうで、止めて欲しくて真理子は吾郎を見た。
すると吾郎は、黙って真理子を見つめた後、瞳を伏せてから、何かを飲み込むようにひとつ息をついた。
そして、若葉の方へ顔を向ける。
「若葉さん。僕たちの父のことで、聞いてほしいことがあります」
若葉は一瞬きょとんとして、吾郎の顔を見た。
「あなたたちの、お父さんのこと……?」
「はい。あのとき──誰が家にいたかと聞かれたとき、嘘をつきました。本当は、僕と妹と……そして父も家にいました。その父は今、意識不明の重体で病院にいます」
更新、大幅に遅れてごめんなさい!
ついに双葉を登場させられました。好きキャラなので嬉しいです。