死後の魔皇様   作:ラットマンΣ

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【本編完結済み】混沌怪奇譚 夢幻に生きる者たちよ を終えたアキルの物語


プロローグ

 私は魔皇として多くの罪を犯した。

 友を殺し、家族を殺し、愛する多くの人々を殺した。

 そんな私が冥界(ここ)に居ていいわけないのに……

 

 

 

「……キル! ア……! アキル!」

 

 1人の青年の声で夢から醒める。

 まだ眠っていたいのに。

 

「おはよう、クリス」

 

「おはようじゃないですよ! もう1週間寝たまんまじゃないですか! いい加減起きてください!」

 

「そうは言われても、眠いんだもの……しょうがないじゃない」

 

 嘘。

 本当は起きているのが嫌なだけ。

 

「むぅ……たまには外に出たりとかしませんか? 皆んなもう慣れましたって」

 

「やだ、外には出ない。と言うか部屋から出たくない」

 

 外に出るのは嫌だ。

 皆んなを怖がらせるし、何より拒絶されるのが嫌だ。

 

「……まぁ、無理強いはしませんがせめて館の中でくらい活動したらどうでしょうか? 気分も少しは良くなりますよ?」

 

 クリスはそう言って私に目線を合わせる。

 もはやそう言う気分じゃないのだけれど、無碍にはできない。

 

「……気が向いたら何かするわよ。だから今はほっといて」

 

「……わかりました。何か用があれば言ってください。それでは」

 

 そう言ってクリスは私の部屋を後にした。

 ……またやってしまった。

 クリス達はただ私を心配してくれているだけなのに私が彼らを拒絶してしまっている。

 けど、仕方ないじゃない。

 一度殺した相手からこんなに優しくされるなんて私は知らないんだもん。

 実際、冥府街の人たちは私を恐れているしそれが普通だ。

 なのに、クリス達は変わらず接してくれる。

 それが嬉しくて/怖くてたまらない。

 いっそ敵意を向けられた方が楽になれるのに……

 再び布団にくるまって眠りにつく。

 眠っている間だけは何も考えなくていい。

 ただ、自分の犯した罪と向き合えるのだからなおのこといい。

 人類を絶滅寸前まで殺し尽くした魔皇。

 意志の弱さをつかれ傀儡となった私。

 人類の汚点。

 そう、私なんていなければいいのに……

 何度そう願ったかわからない。

 もし自分の意志が強ければ? 

 もし魔皇の力を御せることが出来てたら? 

 もしその力を使って忌々しい邪神どもを皆殺しに出来てたら? 

 考えれば考えるほど嫌になってくる。

 結論はいつも同じだ。

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 もっと強ければ誰も苦しまなかった、誰も悲しまなかった、誰も恐怖しなかった。

 人類を襲った大災害、それが私。

 あぁ……もし、やり直せるならやり直したい。

 大虐殺も破滅もなかった世界をつくりたい。

 

「……眠れないなぁ」

 

 思考が暴走する。

 眠りによる逃避すらできはしない。

 なら、いっそ部屋の外に出てみるか? 

 ……怖いけど、それ以外の選択肢が思いつかない。

 私は重い体を起こして部屋のドアに手をかけた。

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