ダンジョンでプーサーになった転生者が女の子になった主人公と出会うのは間違っているのだろうか   作:カフェインましまし

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読者「作者!?今週は仕事で投稿出来ないはずでは!?」

ワイ「ハハハ。トリックさ読者」




第6話 雄牛との戦闘(ミノとランデブー)

 

 

 

「まさか…こんなところで会うとは…!」

 

ブルルルル…!

 

ミノタウロス。

本来であればベルがダンジョン5階層で遭遇してしまい逃走の果て追い詰められて万事休すの所でロキ・ファミリアの剣姫アイズ・ヴァレンシュタインに助けられて物語が始まっていくはずであった。

 

しかしこの世界では全く異なるイレギュラーが目の前に起きてしまった。

 

(くそ!もっと早く気付いていれば対策を取れていたはずだ…!今になって思い出すとは!)

 

今更後悔しても後の祭りだ。相手はそんな事は知ったこったと眼の前にいる獲物に狙いを定める。

 

ブオオオオ!!

 

「くっ…!!」

 

石斧を振り上げて獲物(アル)目掛けて渾身の一撃を当てようと大きく振りかぶって叩きつける。

だがアルは咄嗟に左に全身を傾けて転がるように回避し間一髪で急死を得る。

しかし、避けたミノタウロスの攻撃の余波は凄まじく、振動がビリビリと全身に浴びて直様体勢を戻すのに遅れがでてしまった。

 

(くそっ!避けただけで衝撃波がここまで凄いとは…!)

 

もし避けずに剣で直接受けていたら…

想像してしまうだけでも考えたくないと身体が身震いを起こす。

 

ブルルル…

 

攻撃を外されたミノタウロスは再度石斧を持ち上げて冒険者(アル)を見る。赤く殺気の孕んだ目からは獲物を逃さないと言わんばかりにこちらを凝視して目を離さない。

 

「はしれ…走れ…走れッ…!!」

 

硬直した己の脚に命令して動かすように"走れ"と繰り返し声に出し、その場から一刻も早く離れるため勢いよくダンジョンの通路を駆け出す。ほんの数秒しかたっていないのに身体中から脂汗が流れ出てくる。

 

ブオオオオ!!!

 

己から逃走した獲物を仕留める為ミノタウロスも後を追いかける。全力で疾走しているがどう考えても怪物の方がポテンシャルが圧倒的に上だ。徐々に徐々に距離を縮められていき、このままでは追いつかれてしまう。

 

「っ!?くそっ…!!こんなところでっ!!」

 

だが不運な事に、目の前を進んで行くと最悪な選択肢を余儀なくされた。

 

「…ん?なっ!?ミ、ミノタウロス…!?」

 

自分の逃走経路に他の冒険者のグループと遭遇してしまった。ここで探索しているファミリアだろう、だとすれば全員ほぼ同じレベル1の冒険者だ。ミノタウロスには当然敵うはずがない。

 

(クソっ!!こんな時にっ!!)

 

ここで他の冒険者達に怪物進呈(パス・パレード)すれば少なくとも自分が助かる確率は出てくる。だがそんな選択は瞬時に破棄して、冒険者としては最悪の手を選んでしまう。

 

「こっちだ!!こい!!」

 

わざと声を上げて先程の冒険者達から視線を逸らす為に大声で挑発し自分に意識を向けさせる。

 

ズドンッ!!

 

左右あった分かれ道の他の冒険者達とは逆の道を選んだ所で後方から何かが来るっと直感で感じ取り横に転がり避けると自分の走っていた道をもの凄い勢いで通り過ぎて行きダンジョンの壁に激突する。

 

衝撃の正体はミノタウロスが突撃(タックル)を仕掛けてきたのだ。

 

「…くっ!なんて威力だ」

 

あんなモノ、モロに喰らえば1発でミンチになってしまう。

 

アルは肩で呼吸を整えて立ち上がり、周りとミノタウロスを再度確認する。

今自分がいる場所は行き止まりの広いフロアスペース。逃げようにも元の道を戻ってもさっきの冒険者達に遭遇してしまう可能性がある。幸いこのフロアは広くて動きやすい。

 

パラパラ…とミノタウロスは突進して頭から突っ込んでついた瓦礫を払い、鼻息を荒げてこちらを見る。

 

「…やるしかない…!」

 

シャキンッ…

 

腹を括って剣を両手で構え、ミノタウロスと対峙する。

ミノタウロスも石斧を振り払い臨戦体勢をとる。

互いに間合いを取りつつ、少しずつジリジリと前に歩みを進める。

 

(ミノタウロスの潜在値(ポテンシャル)はレベル2。今の俺がまともに相手したらひとたまりもない)

 

ドクンッドクンッと心臓が音を立てて身体中の全神経を研ぎ澄ませる。

 

ブオオオオ!!!

 

先に動いたのはミノタウロスの方だ。

石斧を振り上げて叩き潰す。

アルは身体を回転しながら逸れる。先程とは違い大きく回避するのではなく、相手から目を離さないで最小限の回避で足場を崩さずに身体を流した勢いでミノタウロスの右腕を斬るように振りかぶった。

 

ギンッ!!

 

「くっ…!」

 

しかし、剣は腕を切るどころかかすり傷すらつけられずまるで金属を叩いたような音をだして弾き返された。

 

「硬すぎる…!」

 

ズザザザッ!!と弾かれた勢いで後方に追いやられた身体を両方足で踏ん張り体制を整える。

その瞬間───

 

───ブォンッ!!!

 

右から来る何かを感じ取り咄嗟に下に身体をしゃがみ込む。すると真上にミノタウロスの石斧が薙ぎ払われたのがわかった。

 

「ッ!!…ハァ…!ハァ…!!」

 

正に間一髪。

あと一コンマ遅かったら危ゆく首と胴体がサヨナラするところだった。

 

(…くそ!単純なスペックだけの話じゃない、何もかもが場違いだ!)

 

これがレベルの差。

同等のレベルの冒険者でもソロは難しいと言われるのも納得する。ましてやレベル1の冒険者達が束になっても敵うはずかないと肌で感じ取った。

 

「だが…勝算は、ある!」

 

だがアルには一つミノタウロスを倒せると考えた作戦を閃いた。これならあの硬い皮膚を斬ることができ、ダメージを与えることもできると。

 

「その為にも、今は耐えるっ!」

 

 

◇◆◇

 

 

ミノタウロスとの戦闘が始まって10分が経過しようとしていた。

ミノタウロスの攻撃を避けて、受け流して、避けての繰り返しで戦闘しているフロアは汗が蒸発してサウナのような空間へと変わっていた。

 

ミノタウロスは己の攻撃が中々当たらず、避けられた隙で自身の身体がに斬られるの繰り返しで段々とイライラして大振りになってきていた。

 

対してアルは受けきれないと判断した攻撃は回避し、弱い攻撃は石斧を剣で滑らせ、受け流し返す勢いで斬り払う。これはゼウスから教えてもらった"弱者の剣技"の1つで相手の力を利用してカウンターをお見舞いする技になる。

 

そして今も攻撃を受け流した勢いでミノタウロスの脇腹を斬った時、ある異変がおきた。

 

ザシュッ…!

 

ブモッ⁉︎

 

「よし!!効いてきた…!」

 

なんと散々ダメージが入っていなかったアルの攻撃がここにきて漸く効いてきたのだ。

これにはミノタウロスも動揺して足を一歩寄ろめて後ろに引いてしまった。

 

よく見るとアルの剣が光り輝く様に、徐々に徐々に剣の刃に集まっている様子が見える。

 

アルの作戦はこうだ。

アルにはスキル【魔力放出】があり、その効果は自身の精神力(マインド)を消費することでステータスを上げることができ更には武器に使用すれば威力、強度を上げることもできるのだ。

但し、武器に使用の場合には急激に魔力を集めると武器自体の耐久力が魔力に収まりきらなくなり、最悪破壊してしまう恐れがあるのだ。

その為アルはミノタウロスの攻撃を避けて受け流しつつ、少しずつ自身のステータスと武器の強化を【魔力放出】を使う事で勝機を伺っていた。

 

(よし!!ここまで溜めればいけるっ…!あとは!!)

 

あとは相手に大きな隙を作らせて魔石がある胸元に強化した剣を放出すれば勝てる…!

そしてその勝機が今!

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

蹌踉めきで大きく空いた胸元(魔石)目掛けてありったけの魔力を斬りながら放出する。

 

 

ドォォォン!!

 

 

入った!!

渾身の一撃が決まった事を感じ取り心の中で叫んだ。

 

───そのせいなのか。

アルはここまで全神経を集中していたのを勝利を確信し、あろう事か、気を緩めてしまった(・・・・・・・・・)

 

 

その一瞬の隙を、怪物が逃すわけがなかった。

 

 

「何っ…!?」

 

煙が散って視界が見えてきて最初に見たのは血だらけになりながらも胸元が焦げ臭く焼けているだけのミノタウロスがまだ現存していた。

そして次に視界に入ったのは鋭いツノでこちらに頭突きしてくるミノタウロスの頭だ。

 

「くっ!?グアハッ!!??」

 

パキンッ!!

 

 

ドォォォン!!

 

 

そのまま頭突きされた攻撃をモロに喰らい後方の壁に真っ直ぐに激突し、背中を強打して血反吐を吐く。

そのまま重力にしたがって地面に落ち、糸の切れたマリオネットのように倒れ込んだ。

 

ブオオオオ!!

 

ズシンッ!ズシンッ!

激しい雄叫びを上げトドメを刺さんと一歩一歩ずつこちらに近づいてくるミノタウロス。

 

「ガッ…ま、まだ…」

 

ミノタウロスの頭突きを喰らって全身を強打し既に虫の息なのにアルはなんとまだ息をしていた。

本来ならあの攻撃で絶命してもおかしくは無かったのだがアルが一命を取り留めたのは頭突きを喰らう直前に剣を盾にして身を守ったのだ。

 

「…っ!?くっ…剣…が…」

 

しかし主を庇った剣は無惨にその刃を折られてしまいもはや武器としては振るうことはできなくなってしまっていた。

 

「うっ…ここ、から、逃げな、くて、は…」

 

一刻も早くこの場から去らなければ、だが先程の一撃がでかく身体が思うように動かない。

 

ズシンッ!ズシンッ!ズシンッ!

 

ブルルルル…!!

 

顔を上げると目の前には石斧を振り翳し、こちらにトドメを刺そうと狙いをさだめるミノタウロスが仁王立ちしていた。

 

「くそ…くそ…!!お、俺はまだ…こんな…ところで!!」

 

もはや絶体絶命。

それでもアルは力を振り絞って身体を起こそうと、生き延びると声を出す。

そんな中思い出すのは白い処女雪に染まった長い髪をした紅と灰色の目をした少女。

彼女を救う為に、彼女を悲しませない為に、彼女に会う為に!!

 

「俺は、こんなところで!死ぬわけには!いかないんだっ…!!」

 

声を上げ、それでもっと魂が叫ぶ。

しかしミノタウロスの石斧はアルの脳天目掛けて振り落とした。

 

ザシュッ!

 

ブモッ?

 

ミノタウロスは獲物を叩き潰したと思ったが見てみると相手は潰れていない。それどころか自分が握っていた石斧が自分の右腕ごと(・・・・・・・)地面に落ちていることに戸惑いを感じていた。

そして───

 

ザシュッ!ザシュッ!ズパッ!!

 

ヴモォ!?

 

急に身体中から痛みを感じどうなったと考えようとする時間もまもなく己の身体が崩れ落ちていくのを感じながらミノタウロスは瞬時にバラバラになり灰となって絶命した。

 

「あの…大丈夫…ですか?」

 

視界がぼやけているアルが声が聞こえた方へ目を向ける。

そこにいたのは片手剣を仕舞い、こちらの様子を見て伺っている少女。

 

金髪のストレート。髪は腰のほうまで伸びており、目は黄金の瞳をこちらを隈なく観察している。そして何よりその少女の鎧には小さな道化師のエンブレムが刻印されていた。

 

「あ、あぁ…なんとか…助かった…」

 

彼女の名は、アイズ・ヴァレンシュタイン。

 

オラリオ二大派閥の一つ、ロキ・ファミリアの幹部の1人。

【剣姫】の異名を持つレベル5アイズ・ヴァレンシュタインだ。

 

 

 




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