魔法少女リリカルなのはdestroy ~死神様の言う通り~   作:敗者

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第一章 始まりは終わり
神様なんていやしない


 

 

 

 

 

 

目の前は赤色の液体で満たされていた。

 

大人の女性の体があちこちに転がっている。腕や足がない。

 

よく見ると自分の右腕も無惨にも取れていて、傷口から血が溢れ出ていた。腹部からは鉄の棒の様なものが突き出ている。

 

 

「痛っ、てぇぇ!はぁ、はぁ、どう…なってんだよこれ!!」

 

気付いた時には全身から激痛が走り、叫ぶことしかできなくなっていた。いつ死んでもおかしくは無い筈なのに意識がしっかりしている。

 

 

体から血が無くなるのを感じ、叫ぶことを止めてしまった。

 

俺は死ぬのか?

 

 

そう思った時、突然自分の前に、赤い雷が降ってきた。轟音と共に姿を表したのは、少し小さめな女の子だった。

 

 

「…大丈夫?」

 

声を出した少女の声は少し愉しそうに聴こえた。

 

「大、丈夫な訳、ねーだろ…これ、どうなってんだよ」

 

 

力なく言う事しかできない自分は少女に質問をした。

 

 

「ふーん。そっか~、まあ当たり前だよね~。体はボロボロのぐちゃぐちゃなんだから」

 

 

 

『じゃあ、キミは殺したい?』

 

満面の笑顔でそう告げる。

 

「は?」

 

コイツはなに言ってるんだ?殺す?誰を?

 

「キミの事をめちゃくちゃにしたヤツだよ。家族を殺したヤツだよ。キミの世界を狂わせた奴等だよ。彼達は無差別に人を殺して魔力を吸い付くす。魔力を吸われた人間は跡形もなく消えるけど、君達地球の人間は魔力を持たない様だから。ただただ殺されるだけ。」

 

この電波はなにをいってんだ?

 

 

「まあ難しい話は後にしてさ、取りあえず答え、聞きたいな~。死にたくないよね?」

 

 

「当たり、前だ………生きたいに決まってるだろ…」

 

 

 

「そう、だったら取引しましょうよ。貴方は助けてあげるわ。その代わりあいつらを殺してくれない?」

 

少女が笑う。そして目の前が暗くなり、意識が遠退いていく……そして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ!!!!!!」

 

目が覚めると自分はベッドの上だった。冷や汗がべっとりと体にまとわりついて、気持ちが悪い。回りを見渡してもさっきのような惨状にはなっていなかった。

 

 

 

「…夢、だったのか?…………くっそ。胸クソ悪いもん見ちまった」

 

あれが夢だった事を確認するように自分の部屋を見渡した後、冷や汗でびしょびしょになったパジャマを脱いで学校の制服に着替える。もう少し寝てても良かったが、また悪夢を見そうで寝るのを止めた。

 

 

 

バン!!!!!

 

「!?」

 

「おはよ~~♪朝だよ起きて~~真琴くーん!!………え。え?いにゃああぁぁぁ!桜さーーん!真琴くんが起きてるよ~~ーー!!」

 

強く部屋の扉が開けられたと思ったら、いきなり叫び、嵐のように去っていった少女。

 

 

心臓に悪すぎる、というよりなんか俺の扱い可笑しい気がするんだけど…

 

 

下の方で何やら騒いでいたが、気にせず学校へ行く仕度をする。制服に着替えて階段を降り、リビングに行くと、

 

「真琴~!風邪でも引いた?頭どこかぶつけたの~!?」

 

 

そういって俺の体のあちこちを触れるほんわかした雰囲気のこの人。俺のかーさん、影月桜である。この人は両親が勝手な理由で協会に捨てて逃げていった俺のことを引き取ってくれた俺の恩人だ。

 

 

「きっと真琴くん病気だよ!早く病院に連れていかないと!!」

 

「そうね~。でも病院よりもお布団で寝かせた方がいいんじゃないかしら?」

 

そして朝から全力で叫んでいる天然ツインテールのこの少女は高町なのは。俺からみて頭が少し残念な小学三年生だ。今では朝学校に遅れない様にとわざわざ起こしに来てくれる、なんとも有難い存在。と、かーさんはいうが俺自身にとってはギリギリまで寝れない最大の原因を産み出している悪の権化としか言いようがない。

 

というより失礼過ぎるぞ、この二人。

 

 

「二人とも落ち着いてくれよ、ただ目が覚めちゃっただけだから。」

 

そして俺、影月真琴は『寝ること』が『甘いもの』の次に好きなのだが、他の人曰く病的なまでに寝ていると言われる。歳は11になりなのはより二つ年上だ。

小さい時に両親に捨てられ、協会の人に拾われた。そして一ヶ月過ぎたくらいに桜さんが引き取ってくれた。桜さんは、夫と息子が居たらしいのだが、交通事故で二人を亡くしてしまったそうだ。この時は子供ながらに嫌なことを聞いてしまったと思っている。

 

なのはに出逢ったのは、公園のブランコで一人で泣いている所に声を掛けた。泣いていた大まかな理由を聞くと、お父さんが入院していて家に帰って来れないそうで、家族の関係がギスギスしていると事を教えてくれた。俺は問題を一緒に解決すべく家まで付いていったのだが、驚いたことに影月家の隣だったのだ。

 

無事に問題を解決した所で桜さんが隣の家なのに迎えに来てくれて、そして高町家との付き合いが出来た。

 

「あら、もうこんな時間。取りあえず朝ごはんを食べて。もし気分が悪くなったら帰って来なさいね」

 

「うん、ありがとかーさん」

 

「じゃあ真琴くん、学校に行こっか♪」

 

そして今日も天然さんに引っ張られて学校に行くのだった。

 

 

自分の学校である私立聖祥大学付属小学校では基本文武両道を重んじているのだが、どうしてもなのはの運動能力が低すぎる気がする。なのはは一時間目から体育で、走り出したすぐにこけるというどじっ子属性全開で授業に望んでいた。本人曰く真面目に走っているそうのなのだが、あからさまに走ることを諦めていた。

 

高町一家は五人家族でなのはとなのはの母親である桃子さんを除く三人は武術の達人らしい。なのになぜなのはだけがこうも飛び抜けて運動音痴なのか……

 

 

 

 

四時間目が終わりお昼休みのこと

 

「なのはって本当運動神経ほんっと悪いわよね~」

そういってなのはを小馬鹿にするコイツはアリサ・バニングス。かなり元気でいつも回りを明るくしてかれるムードメーカーだ。

 

「アリサちゃん、そんなこと言ったら駄目だよ?なのはちゃんが可哀想だよ」

 

そしてもう一人は月村すずか。物静かでおとなしい性格の子で何時も友達のことに気を使ってくれるだ。

 

「も、もうだめぇ~、しんじゃうぅ~~」

 

 

この三人は一年の時にアリサがすずかの事を馬鹿にしていた所をなのはが止めに入り、大喧嘩をしてしまったのだが、すずかの心遣いもありお互いに反省して仲良くなったのだ。色々あったが、今では親友だ。

 

「あー、お腹ペコペコだよ。早くお昼にしよ。」

 

アリサはすぐに弁当を広げ、なのはとすずかも同じように弁当を広げる。

 

「あれ?真琴くんは?」

 

「いや、弁当は家に忘れてきた。」

 

「え、じゃあ私の少し分けてあげるの。」

 

なのはが心配して弁当を分けてもらうと、

 

「あ~、なのはちゃんだけズルい。私のもあげるね。」

 

「しょ、しょうがないわね、私のもあげるわよ。はい////。」

 

二人もおかずを分けてくれた。 うん。皆いい子。

 

 

なのはのおかずは、桃子さんがしっかり下味を着けた唐揚げだ。かーさんが夜遅くまで仕事をすることになった時、高町家にお邪魔させて貰った事がある。その時の晩ごはんで桃子さんの唐揚げを食べる事になったのだが、唐揚げはとても柔らかく、そして醤油と生姜の味ががしっかり染み込んでいた肉はまさに絶品だった。自分も結構料理を作る事があるのだが、ここまで美味しくできない。

 

またここでまた食べられるとは…嬉しすぎる!

 

すずかからはアスパラのベーコン巻きと、お稲荷さんを。すすかはこの近くに住んでいる人間だったら誰でも知っているかなりのお嬢様だ。そんな家のお稲荷さんは、酢と砂糖のバランスがよくいくらでも食べてしまいそうな、そんな味がするのだ。

 

アリサからはウインナーをタコ型に切ったものと卵焼きを貰った。アリサの家もかなりのお金持ちで最初の時は重箱だったのだが、最近手作りが多くなってきて、よく俺に余ったから、と言って俺の分の弁当を作ってきてくれる時がある。流石に弁当一個分余るとは考えにくいが、きっと練習で沢山作るのだろう。

 

アリサが弁当を持ってくる度なのはとすずかがふてくされるのだがなんでだ?

 

 

「みんな、すまん。それじゃあ頂きます」

 

「「「頂きます」」」

 

 

「そういえば今日の放課後どうするんだ?まあ俺は寝るが。」

 

「じゃあ、みんなで翠屋に食べに行かない?良いでしょ?なのは?もちろん真琴も一緒にね♪」

 

アリサの提案により翠屋に食べにいくことになり、なのはとすずかも賛成のようだ。

 

「ちょっと待て」

 

「なによ?」

 

「俺の予定は「寝る」だ。これ以外はあり得ない」

 

「暇だから良いでしょ別に?」

 

あからさまに俺をベッドから引き離すつもりだ。そうはさせるか!

 

「俺は寝る、まさかとは思うが………「シュークリーム二個奢り」……嘘じゃねーよな?」

 

 

 

翠屋に着いた俺達は一番奥の席へと座る。

 

「いらっしゃ~い。」

 

店の奥から出てきたのは、このお店のオーナーである桃子さんだ。

 

「今日はどんな用で来たのかしら? 」

 

「お母さん、今日はお母さんのシュークリームを食べに来たの。真琴くんはアリサちゃんがシュークリームでつったんだよ♪」

 

ん?なのはの言葉が変な風に聞こえたんだが気のせいか?

 

「こんにちは、桃子さん。」

 

「いらっしゃい。今日は桜さんはお仕事?」

 

「はい。けど夕方には帰ってきますから」

 

「そう。うふふ、こんなに可愛いお嬢さんを連れて来て~、隅におけない子ね~♪」

 

いや、釣られただけですよ。シュークリームに……

 

 

「真琴君はこの中で誰の事が好きなのかしらね♪」

 

「「「!!!!」」」

 

この人はいきなりなに爆弾発言してんだ!?

 

そういうとなのは達の顔が真っ赤にしてこっちを見ていた。

 

「なに突然言い出すんですか!?」

 

「あらあら、女の子達はまんざらでも無さそうね~。頑張っ! まあゆっくりしていってね♪」

 

桃子さんが奥に行った後この場はカオスとしていた。

 

ヤバい、目線がヤバいすぎる!!

 

「はい、翠屋特製シュークリームよ」

 

来た!!

 

「シュークリームきたし、食べよう!頂きます!!」

 

「うー、まあ今日は許してあげるわよ。」アリサが少し拗ねた感じで言うと三人ともシュークリームを頬張る。

 

味はというと、まず生地がしっとりしていて、中身のカスタードクリームがほんのり甘く、舌触りがとても滑らかだ。きっとどんな人でもこれを食べたら歓喜するだろう。

 

 

 

シュークリームを食べ終えて少し雑談をした後、アリサとすずかと別れる。そしてなのはとの帰り道の途中の事だった。

 

「ねぇ、真琴くんは好きな人っているの?」

 

「なにいきなり言い出すんだよ。そんなヤツいねーよ。」

 

なのはは少し俯く。

 

 

「けど、大切な人達だったらいるよ。お前やアリサ、すずかだって。俺の数少ない友達だ。これからもずっとお前達と居たいとは思ってる。」

 

俺は当たり前の事を言うが、あの夢を見てから何だかこの生活が無くなるんじゃないかと怖くなっていた。

 

「そうだね。皆と一緒に居たいよね。」

 

そう言ってなのはと俺は家に帰った。

 

 

 

 

次の日の朝、なのははおかしなことを言っていた。何でも夢を見たそうだ。その夢では誰かが助けを求めて頭に呼び掛けてくるらしい。少し不安になった。もしかしたら俺の見た夢が本当になってしまうんじゃないかと。

 

 

そして運命の歯車が廻る

 

 

 

 

 

学校が終わり放課後なのはと帰り道の途中、変な服を着た人を三人見つけた。あいつ等、何やってんだ?

 

「真琴くん、ごめん。先に帰ってて?ちょっと用事が出来たの」

 

「わかった。俺も少しやんないといけない事があるっぽいから。じゃあまた明日」

 

「うん。じゃーねー♪」

 

そう言ってなのはは奴等とは違う方向の森へと入っていった。

 

「さて、取りあえずもう少し近づいてみよう…」

 

通りから出て草を掻き分けながら近づいて様子を伺う。

 

 

「おい、準備は出来たか。」

 

「ええ、揃ったわ。」

 

「……」

 

そんな会話が聞こえる。

 

「まあ今回は時空管理局の監視がない場所だからな。打ち合わせどうりやってくれ。」

 

 

 

三人はそれぞれ別れ、女の人と無口な人がどこかに消えてしまった。

 

 

「さて、ここの人間はどんな味がするんだろうな」

 

 

 

 

「??」

 

今あいつ、何て言った?味?とても嫌な予感がする。

 

そいつは大柄な体型の男だった。顔にいくつもの傷が出来ている。少しした後男は町の方向に歩いていく。

 

とりあえず後をつける事にした。

 

 

しばらく歩くと一軒の家の前で止まった。

 

 

「……………俺の…家?」

 

男は家の中に入っていく。

 

 

「あ!、かーさん!!」

 

そう叫んだ瞬間、目の前は爆発が起きた。自分の体は爆風に耐えきれず、高町家の目の前まで吹き飛んだ。そして全身を強く塀に強く打ちつける。

 

 

「く、そいってぇ……なんだよこれ、」

 

家は爆発によって一気に燃え上がり、炎に包まれていた。

 

「嘘だろ、くそ!!」

 

かーさんが危ない!

 

痛みなど気にせず家の中へと全力で駆けていく。

 

そこで見たものは…

 

 

 

「かー、さん」

 

血だらけで男に首を捕まれていた桜さんの姿だった

 

 

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