魔法少女リリカルなのはdestroy ~死神様の言う通り~ 作:敗者
「かー、さん?」
目の前には血にまみれた桜さんの姿があった。
「おい、誰だ貴様?」
男は手から桜さんを離し、ゆっくりと此方に近ずいてきた。
真琴は恐怖で足がすくみ、腰から落ちていった。
どう、なってんだ?なんで、かーさんが…アイツが?
「ま……こ、と…………にげ、て!」
「ほう、まだ生きてんのか、邪魔が入ったがまあいいか。」
男はそういうと手から魔方陣が現れ、そこから剣が表れる。
「まあ、せめて苦しまない様に殺してやるよ。」
「え?」
「やめてぇぇーー!」
かーさんの叫び声と共に、剣はそのまま胸を貫き、真琴は意識を失った。
「……ここは?」
気がつくと、そこは濃い霧に覆われていて辺りがよく見ることが出来なかった。
「そうか。俺、死んだのか…」
「貴方はまだ死んでないよ」
「誰だ!?」
声のした方へと進んでいくと霧の中から少女が出てきた。
「君は…」
その少女は夢で見た少女とそっくりだった。
髪は背中まで伸びていて、色は黒だが所々赤色が混じっている。背は俺と同じぐらいで黒の和服に身を包んでいた。とても大人びた雰囲気で凛としている。夢の中の少女の様に愉快に笑ってはいなかったけど。
「けど後少ししたら死んじゃうけど」
「それってもう死んでる事と一緒じゃないのか?」
「……そうね。そうかもね。でも死なせない。そのために私の前に出てきて貰ったんだから」
やっぱり別人なのか?
「…やっと見つけた、影月真琴」
俺を知っている?
そういった彼女はナイフの様なものをとりだし自分の腕を切りつけた。そして傷口から黒い血が流れていく。
「なにしてんだよ!?」
驚いた俺は少女からナイフを取り上げどこかに投げ捨てる。しかし、痛みを感じないのか表情を歪ませることなく、淡々と喋り出した。
「この血を飲んで。そうすれば生き返れるし力を手に入れることができる。その代わり、アイツ等を殺して。交換条件。悪くない条件だと思うけど。」
「生き返れるのは嬉しいけど、そっちのメリットがわからない。」
「…私の世界でも貴方と同じように皆がアイツ等に殺されたといえばいいいかしら」
「!!」
「私の一族は呪いの魔法を操る一族だったの。呪いなんていってるけど精々苦しめる程度だけど。私が産まれて、12年が過ぎた時よ。アイツ等が来て、ただ蹂躙され、そして喰われた。」
「そんな…」
信じられない事だったが、今は少女の言葉を信じることができる。なぜなら目の前でかーさんが殺されかけているを見ているからだ。
「アイツ等が来る理由は単純。ただ魔力を食べるために私達の世界にきたの。ただの気まぐれで。私達も撃退を試みたけど全く通用しなかった。魔力の違いだった。アイツ等は強すぎた。一族で一番高くてせいぜいAランク止まり。」
「?魔法が存在するのか?」
「…貴方の世界の地球は全く魔法が存在してないからなにも知らないのは当然。魔力が存在しない世界は珍しいものだけど。この世界は沢山の次元が存在し、そこに世界が多く存在するの。いきる全ての者にはには魔力の源、リンカーコアがあり、その源が大きいほど魔力がある。希にとてつもない魔力の持ち主がいるのだけれど。」
「だいたいはわかった。だけど君の血を飲んだだけで魔法は手に入るものなの?」
「貴方にはもう血の盟約があるから。血の盟約は普通の人では契りを交わせないの。夢の中で強い思いを持てたもの、復讐を強く願うものじゃないと。それに夢で彼女が見えることが条件。覚えあるでしょ?」
「…あの子か」
色々と聞きたいことがあるのだが、とりあえず話をきこう。
「話を戻すけど、私達の一族は半日も経たずに滅んだ。皆が喰われた。
ある人は、体をバラバラに裂かれて殺された。
ある人は、犯されて、事が終わった後首を切られて殺された。
ある人は愛するものを目の前で魔力を喰われ、どんどん衰弱していくのを見せられた殺された。
けど誰も抵抗することが出来なかった。私はお母さんにある祠に連れていかれたの。そこの祠でお母さんが一族の力を託してくれた。そして私の魂を人の夢に縛り付けて肉体から精神だけを抜き取ったの。」
自分はあまりにも少女の運命が残酷で、同時にアイツ等を許せないと思った。
「もうそろそろ時間が無くなってきた。聞きたいことがあると思うけど、今日はここまで。」
どうする?
ここでなにも出来ずに死んでいく?
それとも血を飲んでアイツ等を殺す?
全部貴方次第…
「俺は……」
俺は自分を産んだ両親を憎んでいた。自分達の都合で捨てた事に。けど産んでくれなかったら、皆にも会えることが出来なかった。
俺は自分を拾ってくれた桜さんを好きだった。自分の本当の息子の様にいつも優しくして心配してくれたあの人の事が。
俺は友達になってくれたなのは達を心から感謝した。平凡で普通の日常だったけどいつも一緒にいれて楽しかった。
そして今大切な人を殺そうとするヤツがいる。
今大切な友達を殺そうするヤツがいる。
今俺の日常をめちゃくちゃにしたヤツがいる。
今までに幸せに暮らしていた人達を殺したヤツがいる。
今までずっと一族の思いを背負っていた子がいる。
理由はそれだけで十分だった。
「俺は、アイツを、殺す!!!!」
少女の腕の傷口に口を当て、そして血を啜る。
「…それじゃ後はこの子に任せるわ」
少女はそういって消えていった。
目の前に赤黒い雷が落ち、そしてそこから別の人が現れた。
「私はユニゾンデバイス、ラグーン・シャナス。貴方は私のマスターに契約されました。そしてこれを…」
ラグーンから渡されたのは一本の刀だった。
「貴方のデバイスです。名は紫電。一族の力を…!!」
白を基調とした刀身になっており、柄の部分には青紫の龍の刺繍が編まれていた。
刀を手にすると、なぜかわからないが、体によく馴染む。自然と力が湧き出てくる。そして紫電を通して一族のの思い、そして喰われたもの達の思いが込み上げてきた。
「紫電!!」
「set,lady!!」
光に包まれ、騎士甲冑を装着する。 その姿はまるでどこかの騎士王の姿。黒を基調とした色で左腕には赤い鎖が巻き付けられていた。
「ラグーン!ユニゾン、イン!!」
更に姿を変え、右目が真紅に染まり、髪の色が赤黒色へと変わる。
「いこう。」
霧が晴れ、目の前に光の渦が現れた。その中に入ると目の前が照らされ、足元に赤色の三角型の魔方陣を広がる。
男は真琴を喰らうべく近づくが、真琴の回りに光の柱が差し込む。
「なんだ!?」
突如現れた魔方陣に驚き少し後退する。
「よくも、よくもかーさんを!!!」
気付けば目からは赤い涙が流れていた。傷は塞がり、傷痕も残ってはいない。
「生きていたとはな、それにそのバリアジャケット。最近やったあの一族の生き残りか?」
男はもう一度剣を取り出すが、
「お前は!殺す!!」
そう叫んだ瞬間真琴は一気に男の懐に入り込み、剣を持っていた左腕ごと切り落とした。
「あ?…ああぁあぁ!こんの、くそガキがアアーー!」
『スフィアです。 障壁を!』
男は幾つも魔力を形成してそれを飛ばしてくるが、目の前に防御魔法を展開し、それを防ぐ。
「この!これでも喰らえ!!ディバイドバスター!」
男は更に強力な魔力弾を撃ち込んでくる。
「そんなもん!これで…!迅雷衝破!」
此方も高密度の魔力弾を放ち、そして男の魔力弾を消し飛ばし命中させ爆発を起こす。煙が晴れると、男は怒り狂っていた。
「調子に乗るなよ、くそガキがあぁぁぁ!!!!カートリッチリロード!!!」
男は右腕の近くの魔方陣から大剣を取りだし、大剣から薬莢が排出されると男の魔力がさっきとは比べ物にならないくらい跳ね上がる。そしてそのまま突進して大剣を振るってきた。紫電で受け止めるが、威力が凄まじく押し潰されそうになる。
「だったら!」
一瞬で男から離れると、相手の残った腕と足にバインドかける。
「く、バインドか!」
「解除準備完了。マスター、いつでも』
「この身に宿れ 紅き迅雷 虚空の果てに!轟炎解放!!」
黒い魔方陣が自分のを包み、そしてもう片方の手には紅い剣が握られていた。
「…村正」
その刀身は誰をも魅了するほどに美しく紅い光を放っていた。
バインドが外れ、男は勢いよく大剣を振りかぶる。しかし短距離瞬間移動《ショートジャンプ》で男の背後に回り背中を切りつける。
「なに!?瞬間移動者だと!」
それだけでは終わらなかった。何度も瞬間移動を繰り返し男を切り刻む。それだけでは終わらず切り口からは黒い霧が現れ男を苦しめた。
「く、ぁぁぁあ、なんだこの痛みはッ!?」
「それはお前が殺してきた人達の数だけ痛みが増す怨念の魔力だ。一体お前はどれだけ斬ってきたんだろうな…これで終わりだ。ラグナロク、セット」
大きな魔方陣を展開し、一気に収縮させる。
「消えてなくなれ!!ディストリビューレーター!!」
「くそおおおおぉぉぁぁ!!」
紅と蒼の閃光が男を包み込み、轟音を撒き散らす。
煙が晴れ、男のいた場所をに目を向けるが男は跡形もなく吹き飛んでいた。
「かーさん!」
「ま、こと……ごめんね」
血まみれになっていたかーさんを起こしあげると何故か謝られていた。
「辛い目にあって、ばかりだね。」
「喋んないで!傷口拡がっちゃうよ!!」
「あのね、真琴は、強い子だから。これからも大丈夫……だ、ょぉ。」
目からは大粒の涙が零れ落ちる。
「嫌だ、死んじゃダメだ!かーさん!」
かーさんはその手を真琴の頬に当てて慰めようとしてくれたが、その手はもう震えて限界のようだった。
「最後まで一緒に居たかったなぁ、真琴のお嫁さんはどんな人かなぁ、もしかして、なのはちゃんだったりして」
「そんなの自分の目で確かめろよ!!」
「悪い口だなぁ。真琴…………」
「ありがとう」
その言葉を最後にかーさんは息を引き取った。
「ぁ、ぁあ、かー、さん!かーさん!!!…………アアアあアあァァァアアあアァアアアぁアァァァあああァァァア!!
殺す!絶対にあいつらを殺す!!」
「ユニゾン、アウト」
バリアジャケットを外し、ラグーンを解除させる。
「あそこの山の上にお寺があるから…そこにいって。」
力を使いすぎたのかその場で崩れ落ちるが、ラグーンは優しく受け止める。相当疲れたのだろう。すぐに寝息を立てて、寝てしまった。
「……お疲れ様です。マスター」
ラグーンは真琴を抱えて山を登っていった。
山を登った所に小さな寺が見えてくる。
「あそこか…」
中に入ると、少し埃っぽい感じがした。一度真琴を廊下に寝かせる。この寺には昔人が住んでいた後があり、掃除をすればすぐにでも使えるようだ。 押し入れから布団を取り出し、そして広げてそこに真琴を寝かせる。
「マスター、貴方のお陰で一族の思いを果たすことが出来そうです。この命、貴方のためならば死すら本望でしょう。 」
寝ている真琴に対し、付き従うことを改めて誓った。
真琴が起きるそれまでの間、少しでも過ごしやすいように寺の掃除をすることに。きっと此処に住むつもりでここに来させたのだろう。高町家に一旦避難するのもよかったのだが、事の成り行きを話さなくてはならなくなる。そうすれば間接的とは言え関わってしまうことになるからだ。きっとマスターはそれを望んではいないだろう。高町家の方はきっと一緒に暮らそうと言えば、快く引き取ってくれるだろうが、また自分のせいで誰かが死ぬとかもしれないと思ったはずだ。
「とりあえず今はマスターが起きるのを待ちましょう…」
そうして掃除をしながら、真琴が起きるのを待つとこにした。