魔法少女リリカルなのはdestroy ~死神様の言う通り~ 作:敗者
「……ここは、」
「目が覚めましたか?マスター。」
目が覚めると辺りを見渡す。そこは自分が本当の両親によって捨てられた場所だった。しかし、十年以上たっているにも関わらず余り汚れは目立たない。
「……俺はどれくらい寝てたんですか?」
「大体八時間です。」
体を起こそうとすると目の前にいる女性が支えてくれる。
「…ありがとう、ございます。」
「いえいえ、私のマスターですから。」
マスター?ああ、そうか。
真琴はその意識を覚醒させていく。
大切な人が殺され、そして自分も殺されかけて。魔法の力を手に入れて、大切な人を殺したヤツを自分は同じように殺した…。
「………くそッ!!」
なにも出来なかった自分に苛立ちを覚えて、床に拳を強く叩きつける。
「まだ体の調子も戻っていません。無理をなさらずに。」
叩きつけた拳にそっと手を添える。
「マスターが悪かったのではありません。しかし、なにも出来なかった事も事実です。ですから過去を糧にして、このような事が二度と起きないよう日々己を高めてください。私が貴方をサポートしますから。」
ラグーンが微笑みながら励ましてくれている。けど、まだ認めたくなかった。あの人は自分の存在を認めてくれる、数少ない大切なヒトだったから。
「けど貴方はまだ子供です。泣きたいときに泣くのが子供の特権だと思います。私が受け止めますから。」
そしてラグーンは優しく真琴に抱きつくと、不思議と涙が零れ落ちるのがわかった。
俺が、俺が弱かったから!かーさんが、、、
もうこんな思いはしたくない。
もしなのは達が居なくなったら…!俺はもう誰も失いたくない、失わせない!もし神様が決めた運命なら、俺は神だって殺してやるッ!!
強い想いと共に強く誓う真琴は落ち着きを取り戻し、明日どうするか考える。
「もう遅いですし、マスターも疲れていると思いますから今日の所はもう寝るとこにしませんか?」
「…そうですね。ちょっと疲れちゃいました」
確かに。今日ほど濃い一日は無いだろう。かなり疲れが溜まってるはずだ。
「それでは就寝の準備をしますのでお風呂にでも浸かって疲れを癒してきてください。もう沸かしてありますから。」
「すいません、ありがとうございます。じゃあ入ってきますね。」
重たい体を持ち上げ風呂場に足を運ぶ。服を脱ぎ湯船に浸かると一気に疲労感が抜けるのを感じた。
「っ……」
「湯加減はどうですか~?」
「はい、丁度いい感じです。わざわざありがとうございます。」
「いえ、それではお背中をお流ししますね。」
ん?幻聴?疲れてるな~俺
風呂場のドアの開く音が聴こえ、その方向を見ると、けしからんおっぱ……じゃなくて、美味しそうな桃二つを見つけてしまった。というより見てしまった。
「………………ふぇ!?!」
突然のことでまるでなのはみたいな声をあげてしまった。
「マスター、背中を流しますから、此方に来てください。」
「え!?ちょ!!じじじじじじ自分で出来ますからから、ではなくていやいやいやいやいやいや大きい!!…………は?」
自分は何いってんだよ、その、大きいけど俺は健全な男子であって…………
「?いえ、そんなマスターが苦労なさる必要などありません。それに貴方は子供ですから何も心配事はありませんよ?」
うん。ダメだ、通じねぇ。
結局背中を流してもらう事になり終始緊張して逆に疲れが溜まってしまった。気がする。寝よう。
翌日、朝目が覚めると朝食を準備していたラグーンの姿があった。が、その格好に驚く。
「あ、マスターおはようございます。」
「え!ラグーンさん!?何でそんな格好してんですか!!」
「これ、ですか?なにってエプロンですよ?」
「そうじゃなくて、な・ん・でエプロンの下に何も無いんですか!?あーもうー、服着てください!!」
それは世間的に言う裸エプロンというものだった。若干十代の真琴は、他人からするとかなり美人に見えるその容姿で裸エプロンは余りにも刺激が強すぎた。昨日は倫理コード外れそうだったけど。ただそれだけではラグーンの暴走は止まらない。
「そんな、それでは此方の方がお好みですか?」
そういって取り出したのは水着、そしてブルマだった。
「……一体どこから持ってくるんですか?それ?」
「それはですね、朝台所の整理をしている途中、引き出しの中にこれがあって、ここで着るものなんでしょうか?」
台所の、引き出しだと?一体誰がこんな危険なものを置いていったんだ!?何が危険かって、勿論理性が。ていうか何で裸?とりあえず服を着させよう。
朝食のメニューはご飯、鮭の塩焼き、玉子豆腐にホウレン草のお浸しだ。マイナーといえばマイナーだな。けどどうやって食材を一晩で揃えたんだ?
朝食を食べ終え、ラグーンのことや今後について話し合うことになった。
「それじゃあまずはラグーンさんについて。ラグーンさんは俺の事をマスターと呼ぶけど、デバイスって武器だけじゃなくて人の形をしたデバイスもあるんですか?」
「はい、デバイスというのはインテリジェントデバイス、アームドデバイス、ストレージデバイス、そしてユニゾンデバイスと大きく四つに別れます。
インテリジェントデバイスは人格型AIを搭載され、高い自意識を手に入れ、デバイスだけでの単独行動が可能なデバイスです。基本これを使うことのできる魔導師はレベルの高い方が多いですね。未熟者が使うと逆にデバイスに振り回されてしまいますから。その他にも所有者にアドバイスや、デバイス単体で魔法も発動するものもあります。
次にストーレジデバイスですが、純粋な道具として扱うためのものとなります。大抵、非人格型AIが搭載されてますが簡単なだけ俊敏な受け答えで、使用者の実力が遺憾なく発揮されます。それと引き換えに補助機能が少ないのが多くですけど。
アームドデバイスは紫電のような完全に武器型です。主に持ち主の肉体強化や特殊な形状で力を発揮するものもあり、それとこれにはカートリッチシステムが搭載されており、一時ですが大幅に魔力を増幅させる事ができます。因みにAIはどっちもありますね。
最後に私、ユニゾンデバイス。通称『融合型デバイス』『融合騎』と呼ばれ生命体型デバイスという分類になります。これ自体数が少なく、実際使っている人も少ないですね。私のような成長した姿は滅多にいません。基本は小人の大きさが多いです。それに誰でも使える訳ではなくそれぞれ相性があります。相性が悪いと融合中にうまく同調できずに、融合事故を起こしてしまう事が場合があります。相性が良いほど本領を発揮といった具合です。ユニゾンデバイスの支配率が高く、悪い時は使用者本体にデバイスの容姿が強く影響されます。髪や目の色が変わったり、見た目が変わります。そして、ユニゾンデバイス自体が独立して魔法や違うデバイスを使って独自で行動することなどができます。簡潔にいえば『運命共同体』です。
私はちょっと特別でマスターのリンカーコア自体に私のコアが埋め込まれています。要するに貴方だけのデバイスとなります。」
すげぇ、デバイスだけでこんなに時間を食うとは、しかも量が多すぎて全然わかんなかった……最後辺りは絶対に突っ込みたかったが…
「?だとしたら相当俺は危険じゃないですか?大まかに言うとユニゾンした時、結構ラグーンさんの容姿に近かった気がしますけど。」
「その点に関しては大丈夫だと思います。マスターと私の共鳴率は110%ですから。」
なぜだ。まあ余り気にしないようにしよう。
「うーん。中々難しいですね。それに結構羨ましがる連中も出てきて、俺が狙われるじゃないですか?」
「はい。他の魔導師が見たら殺したくなるほどです。その時は返り討ちにしましょう。大丈夫、マスターはとても強いです。」
そういってラグーンは笑いかける。 やっぱり綺麗な人だなー。可愛いです。
「それと魔法の種類はどれくらいあるんですか?」
「そうですね、ひとつはミットチルダ式というものがあります。効果範囲と汎用性を重点をおいた仕様になっていて、遠・近距離、防御や支援などとても幅広く使いやすいのが特徴です。ベルカ式は近距離戦を想定して作らられています。肉体強化も含まれます。魔法陣の形なんですがミットは円形、ベルカは三角形といった感じです。他にも様々ありますがこの二つが多いと思います。」
この小一時間で自分の全く知らないことを知ることが出来たな、けどちょっと辛いです。難し過ぎますよ先生。
「そういえば外の俺の扱いってどうなっているかわかりますか?」
「マスターと……マスターのお母様は行方不明になっています。お母様のご遺体はこのお寺の後ろの墓地に埋葬しておきました。」
「そうですか、、、ラグーンさん、ちょっとかーさんに挨拶に行ってきてもいいですか?」
「かしこまりました、ちょっと休憩しましょうか。」
真琴は寺の裏に回り、母親の墓の前で足を止める。
「かーさん、かーさんは俺が闘う事をどう思ってるのかな?俺、初めて人を殺しちゃったよ。かーさんを殺したヤツを。多分またあいつ等が出てきてたら闘うことになると思う。向こうも殺しに来るんだ、その時は手加減出来そうにない。かーさん。俺どうしたらいいのかな?」
わからない。なにもわからない。今でも何でかーさんが殺されたのか、俺があの夢を見てしまったから?
「よく、わからないや。……でも、もうだれも失わないように強くなりたい。今いる皆を守りたい。だからその為にこの力を使っていいよね?……そろそろいくよ。また、来るから…」
死者は何も語らない。それが辛く、悲しい。
「ラグーンさん。ありがとうございました。ここまでかーさんを連れてきてくれて。」
「はい。もう大丈夫なのですか?」
「かーさんに挨拶したんで。後は今自分が出来ることをするまでです。」
自分はまだ子供で、世界のことはよくわからないが身の回りだけでも守れるものがあると、そう信じよう。
「ではマスター、少し魔力を上手に使えるように練習しましょう。実際ぶっつけ本番でやるのはかなり危険ですので。」
自分でもなぜあのときあれほどまで動けて知らない魔法の使い方まで解ったのだろうか。
「マスターは元々、潜在的にとてつもない魔力の持ち主だったので、暴走させないよう魔力の使い方をしっかり練習しないといけないですから。」
衝撃事実がまたひとつ。やばい、このままいけば人間兵器になりそう……
「練習の前にそろそろ私の呼び方を変えていただけませんか?それと口調も、その、マスターにその感じで話されると、ちょっと恥ずかしくて……」
「うーん……それじゃあラグ、これでいいか?」
「はい!!、境内まで行きましょう!」
この場所は寺自体は小さいものの敷地はとてつもなく広い訳で、誰の目に付くことをはそうそう無いだろう。寺の裏に回り込み、広く、石が敷き詰められた場所に出る、ここなら安全だ。
「もしマスターが魔力暴走した場合は、私が止めますのでご安心を。それではまずバリアジャケットを装着してください。」
「わかった。紫電!」
「set.lady」
光に包まれ、黒い騎士甲冑を身に纏う。基本は自身の強化の仕方を教えてくれた。初めは良くはできなかったが闘った時の感覚が残っており、言われた通りに魔力を自身の内側に溜め、それを体に馴染ませるようにすると腕の筋力が上がる感じがした。
「いい感じです!それではそのままこの木刀を千本素振りしてください。」
ラグから渡されるその木刀を持ってみると、魔法を使っているのにも関わらずかなりの重量だった。
「筋はとても良いですね。しかしまだ荒い。剣捌きは一族の人間のデータが紫電の中に入ってますから、それを元に後でイメージ練習をしておいてください。次はちょっと実践形式で私と打ち合いをしましょう。一本でも私から取れたら今日はデザートをつけますよ?」
「随分と余裕だね。一応イメージは掴めた、昨日の戦い位は動けると思うけど?……」
その言葉を口にして一時間。一本も取れなかった。
「凄いですマスター!この短時間で人通り魔力の扱いが上手くなっています。それに剣での打ち合いもなかなかものになっていますね。そうですね、昨日の戦いは私もサポートしていましたし、今の力をあの時出した力の十分の一程度と考えてください。」
。誉めてくれるのは嬉しいが結局は一本も取れず終い。ハイスペックすぎるラグさん。
「そろそろお昼にしましょう。一緒に食材を買いにいきませんか?お金の心配はありませから。」
「じゃあ汗を流してから行こう。先に入ってきてくれないか?」
ラグは少し驚き、逆に進めてきた。
「マスターより先に入るなどそんなことは出来ませんお気になさらずに。そうだ、それでは一緒に…「入りませんよ?」……。」
少しむすっとしてしまったが、かなり可愛いです。御馳走様でした。
山から降りてスーパーにいき食材を買いにいく。途中家の横通ったが青いビニールが被せられていた。高町家の横も通ったがなのはは学校のはず、桃子さんはお店の方に出ている時間だと思う。きっともう会わなくなるのかな。
お昼にはクリームパスタが食べたかったので牛乳と生クリーム、卵、ベーコンとマッシュルーム、そしてインスタントのパスタを買って帰る。家に帰り材料を揃えて作ろうとしたとき、異変が起きた。
「!?ッ何ですかこの感覚!」
「マスター、もしかして魔力感知できるんですか!?凄い…普通こんなに早くデバイス無しで出来るようになるなんて…」
数は二つ、しかもかなり強い魔力を感じる。もしかしたらあの二人が現れたのか!?
「行きましょうマスター、もしかしたらアイツの仲間かも知れません!」
一旦材料を冷蔵庫にしまい、紫電を持ち、騎士甲冑を装着する。
「紫電!ラグはユニゾンしないでいくぞ!」
「!!はい、わかりました!」
すぐに鍛練で教わった飛行術式を組み、空を飛び現地に向かう。
なのは、お前達だけは全体に巻き込ませない…!!
しかしその思いは誰にも届かない。