魔法少女リリカルなのはdestroy ~死神様の言う通り~   作:敗者

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触らぬ神に祟りなし

『グキャァァァァガァ』

 

ラミアは理性が無いのか叫ぶことしか出来ないでいた。ただひたすらに叫び、叫び、叫び続ける。

 

 

「どうなってんだ、あれ?」

 

「あの力は……神獣化は神話やおとぎ話などに出てくる化け物をベースに産み出されたある計画の末端です。本来の計画の名はproject ghostです。」

 

「ゴースト?どういう事だ?」

蛇は気づいたのか、此方を向き弓を引き絞り、矢を一本放つと魔方陣に吸い込まれていった。

 

「またか…!ラグ、ユニゾン!」

 

「はい!」

 

そして真琴は黒に染まる。

 

何処から飛んでくるかわからない矢の気配を、神経を研ぎ澄まし探っていく。蛇は全てが終わったかの様に後ろを向き何処かに行ってしまう。

 

「ヤバい、逃げられる!させねぇ……!」

 

 

 

来る!!

 

 

矢は背後から飛んでくるが、飛んできた本数が異常に多くなっていた。

 

 

「くそ、どうなってんだ!?矢は一本だけじゃないのかよ!!」

 

 

次々に魔方陣から飛んでくる矢を紫電、村正で一本一本狙い振り回し切り落とすが、全ては防ぎきれず脇腹と左太股に刺さってしまう。

 

「ッ、!」

 

『マスター!!』

 

 

全て射ち終わった魔方陣からは矢が出てこなくなり消失する。さっきより矢が体に刺さっていて傷口からは鮮血が流れ出ていた。

 

「ハァ、ハァ、ラグ!」

 

『はい!癒しの風、我が身に宿れ。汝の傷に微笑みを!!エンシェントヒール!』

 

回復魔法により真琴の傷を癒していき、疲労をほとんど回復させる。

 

「いい加減死ねよ!!!アトミックブレイズ!」 

 

目の前を覆い尽くす程の炎の砲撃を放ち、巨大な爆発と供にラミアの叫び声が聞こえた。

 

「まだだ!!」

 

真琴はそのままラミアの目の前まで突っ込み、切り刻み更に傷を負わせる。

 

 

『マスター、相手はもう限界のはずです。ここは一気に止めを…………?マスター?』

 

 

ラグはいつの間にか真琴の腕に淀んだ魔力が溜まっているのに気がつく。

 

「ぅ、ぐぅ、がぁっ!」

 

村正を持った右腕はラミアに向けて次々に斬撃を飛ばしていく。その斬撃でラミアは完全に倒れ、蛇の姿から人型へと戻っていく。

 

「うぅ、なんなの、その力?」

 

 

真琴は意識が無いのか、村正を振り回し次々に回りの木々を薙ぎ倒していく。

 

『マスター!マスターッ!!』

 

「あがぁぁぁ、アアアア!」

 

 

「ハァ、ハァ、なんか知らないけど好都合。今のうちに逃げさせてもらうよッ」

 

ラミアは深傷を負いながらも次元移動でその姿を眩ませる。 

 

 

『不味い、このままだとマスターが!!』

ユニゾンを解除しようにも真琴は受け付けなかった。

 

 

 

 

「やっと、やっと見つけた……真琴くん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはは、フェイトに倒された後、気を取り戻しユーノによってフェイトが危ないことを知らされる。

 

 

「なのは、急いで!!物凄い危険な魔力が暴れまわってる!もしかしたらまたジュエルシードが暴走を始めたのかもしれないよ!」

 

 

「うん!」

 

なのはは目的地に到着するとその目を疑った。

 

 

 

「え?まこと、くん?真琴くんなの?」

 

少女の目からは大粒の涙が流れ落ちていた。

 

 

 

「やっと、やっと見つけた………真琴くん!!!」

しかしその姿はなのはの知っている真琴ではなく、体から黒い靄が吹き出ており、禍々しいものであった。

 

真琴はなのはに気づいたのか、村正からなのはに黒い斬撃を飛ばし攻撃をしかける。

 

「きゃッ!!」

 

「今は彼を止めるしか方法はない!なのは、ありったけの魔力を彼に与えるんだ!!」

 

「真琴くん、お願い!正気に戻って!」

「ヴゥ、アアァ!!」

「ディバインバスターー!!」

 

真琴も斬撃を飛ばし、ディバインバスター共々辺りを破壊し尽くす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは、どこだ?

 

 

暗い。なにも見えない…

 

 

確か、俺はアイツと戦ってて、それで?

 

 

ああ、なんかもうやる気が起きない。このまま眠ってしまおうか。

 

 

 

……………………誰かが呼んでる。

 

 

だれ?

 

 

な、のは?

 

 

 

 

 

 

「ァァァァァァ!!」

「、真琴くん!!」

暴走した真琴は瞬間移動(ショートジャンプ)を使いなのはの懐に潜り込み切りつけるがギリギリで防ぎ、弾き返す。

 

「ユーノくん、あれって」

「うん、彼からは魔力が漏れ出ているよ!このまま持久戦になれば力を使い果たすと思うよ!けど、こっちが持たないッ!!」

 

「一撃にかけるしかないみたいだね!練習しておいてよかったよ!あれを使うッレイジングハート、set lady!!」

「yes Master.starlight breakr. 」

 

 

 

 

 

 

俺は何の為に戦ってた……

 

 

守るためだ。大切な仲間を守る為に戦うと決めたんだ。

 

 

なのはが呼んでる。

 

 

行かないと。

 

 

ここは、村正の中か?

 

 

そして突然頭に響くような声が聞こえてくる。

 

『おい主様。中々に扱いやすい体じゃの~』

 

「村正か?…俺はここから早く出たいだが。」

響く声の主は女性のようだ。なのになんだ、この威圧感。

 

『嫌だ、といったら?』

 

「!……俺の体を好き勝手使ってもらっては困るな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはは、真琴より遥か上空まで飛行し、辺りにちりじりになった魔力をレイジングハートで収束させる

「……ッ!うまく纏められない!」

「もっと意識を集中させるんだ!大丈夫、君ならきっと出来るよ!!」

「うん!ユーノくんは離れてて!」

 

真琴はなのはの魔力に反応し同じく魔力をかき集めていた。

 

 

「真琴くんも砲撃を?けどもう遅い!!戦いで使いきれなかった魔力をこの砲撃にッ!スターライト、ブレイカー!!!」

瞬間、桜色の閃光が真琴を飲み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『主様は解っていない。わしは血が足りなくての~困っておるのじゃ。』

 

「血?」

 

『うむ。ワシ村正は血を力にして動いておる。主様がワシを使うのはいいんじゃが、血を集められないのなら話は別じゃ。主様の体を使って集めるしか無かろう。』

 

「村正、血が欲しければ今は俺の血を使え。次お前を使うときは必ず他の血を与えてやる」

 

『ほほぅ、それでは集められなかった場合はどうする?』

 

「その時は、、、俺の命と引き換えだ」

 

『いいじゃろう。では次の時を楽しみに待っててやるぞ、主様♪』

 

瞬間光が射し込む。それに触れると目映い(まばゆい)光に照らし出される。

『血を流せ、血を注げ、全てを血に染めてみせろ。』

 

最後に村正の言葉と共に意識を取り戻す。

気づけば自分の体は横になっていたが、そこは地面ではなく、なのはの膝の上だと言うことに気がつく。なのはの顔が間近にあり、少女の目から大粒の涙が流れているのがわかる。 

 

「真琴くん、ぐす、良かった、本当に良かったよ……生きててくれたんだね」

 

 

真琴は体が動かせない程に痛みが走っていたが、今はそんなことどうでも良かった。

 

「なのは…………ごめん、心配かけた」

 

「ほんとだよ、皆心配してたんだよ!火事の時に遺体が見つからないってずっと探してたんだよ?もしも本当にこのまま居なくなっちゃったら、どうしていいかわかんなかったよ、、、」

 

 

「ほんとにゴメン。」

 

 

数分そのままの状態だったが、ユニゾンを解くため一度立ち上がる。

 

「ユニゾンアウト」

 

ユニゾンを解くとまたすぐに倒れ込んでしまう。 そして今度はラグにもたれ掛かる様な形になる。

 

「マスター!大丈夫でしたか!?」

 

「ああ、村正の中で精神を縛られてた。どうなってるんだ?」

 

「そんな、まさかあの方の…………」

 

真琴は取りあえず家に一度戻ることを提案する。

 

 

「今は一回休んで、その後に色々話そう。説明しなくちゃいけないこともあるだろうしな。なのはは一度家に戻ってくれ、後で行くから」

 

「うん、わかった。絶対来てね? 絶対だよ!?」

 

そう言うとなのはは行くのを一瞬躊躇ったが真琴を信じ、自分の家に帰る事にした。

 

真琴はなのはが飛んでいくのを確認すると、そのまま意識が薄れていく。

 

 

 

 

 

 

 

復讐。自分にとっての復讐は実はもう果たしているのではと思う。母さんがあの男に殺されて、俺が殺した。ラグのいう復讐は彼女達の一族の復讐の事なのか?他人の復讐をなんで俺がやんなくちゃいけないんだ?痛い目にあって、身体中ボロボロにして………

 

 

 

けど、それじゃあなのはやフェイトは?化け物達をアイツらに任せるっていうのか?

 

俺には守る人達がいる。その人達にはこんな辛い経験なんてさせる必要なんて無いんだ。殺された人達の為にも俺が終わらせる。この悲しい連鎖を、この力で、、、

 

 

 

 

 

 

 

家に着き、目を覚ましたのはちょうど朝だった。

 

「まだ体が痛い、昨日は無茶し過ぎたなぁ」

 

「マスター、おはようございます。朝食の準備は出来てますから。ゆっくりでいいですから体起こしていらしてくださいね」

 

「ああ、そうするよ」

 

ラグはキッチンに戻り、真琴も体をゆっくり起こすことにした。そしてどさくさに紛れてラミアから奪い取ったジュエルシードを紫電から取り出す。

 

「全部で四つか……全部は取り返せなかったな。フェイト怒るかな…………」

 

 

今日の朝食はおかずに目玉焼きにアジの塩焼き、アボカドサラダ、アサリの味噌汁にごはんとバランスの取れた食事になっている。

 

 

 

食事を終えるとラグと本題に入ることにした。

 

「まず、ラミアの事についてだ。俺が意識を失ってから何があったんだ?」

 

「はい、あの後マスターが急変し、ラミアに深傷を負わせる結果になりました。しかしマスターの隙をついて次元移動で逃がしてしました、申し訳ありません……」

 

真琴はそっと笑いかけ、慰める。

 

 

「気にしないでくれ、元は俺の責任だ。巧く力を使えない未熟さがこの結果になっただけだよ。それに暴走してるときユニゾンは解除出来なかったみたいだしね」

 

 

「ありがとうございます、マスター。それと気なる点があります。敵の使った神獣化ですが、あれは本来一度使えばその姿を戻すことが出来ない筈なのです。しかし、あのラミアという者は変身してなおその姿を元に戻しました。」

 

 

「奴らはその力を制御出来ている事になる。あの力は厄介だ。今後何か対処法を考えないと。次の問題は村正についてだ。何が心当たりはないかな?」

 

 

「……村正は、元の使い手が一族随一の剣士様でした。しかし多分その怨念かと……」

 

「そうか、早めに対処しておいた方が良さそうだな。そっちは俺がなんとかしとくよ。……そろそろなのはの所に行ってくる。ラグはカートリッチの補充をお願い」

 

「かしこまりました。お気をつけて」

 

 

 

 

 

 

山を下り、なのはの家の前で立ち止まる。そして全焼してしまった自分の家を見渡し、俯くがなのはの家のチャイムを鳴らす。

 

「はーい、どちら様ですか~?え、真琴くん?」

 

「お久しぶりです、桃子さん」

 

すると桃子さんは勢いよく真琴に抱き着く。

 

 

「…………良かった!無事だったんだね!」

 

「むお、むぐぅ、ううぅ!!」

 

胸に埋もれなんといっているのか全く理解出来ないがそんなことお構いなしに真琴のことを強く抱き締める。

 

 

ゾクゾクッ

 

 

「お母さん、真琴くんが死んじゃうよ?」

 

その光景を見ていたなのはからはどこかの魔王レベルのオーラを放ち、目のハイライトも消えていた。 

 

「なのは、真琴くんが、真琴くんが生きてたよ!!…………あら?全然驚かないのね?一番心配そうにしてたから、てっきり泣いて喜ぶのかと思ったわ」

 

「昨日会ったから。それより真琴くんは大きい方が良いのかな?かな?」 

 

その声に怯えている真琴はすぐさま桃子の胸から跳ね起き、なのはに弁解を始める。

 

「あぁん♪」

 

「真琴くん??」

 

「ヒィィィィッッ!!そんなことは無いぞなのは!俺はまだ子供だ、そんなのわからない!!第一俺は被害者だ!!無実だ!」

 

その言葉を聞きなのはは落ち着きを取り戻し、いつもの笑顔に変わる。

 

 

「そうだよね、まだ子供だもんね。私もお母さんみたく大きくなるよね?ならなかったら…………真琴くんの好みを変えちゃえばいいだけなの………………」

 

後半からおかしいと思ったが触れてはいけない何かを感じたため、何も言わないでおく。 

 

 

「立ち話もなんだから上がっていきなさい、今お菓子持ってくるから」

 

「お言葉に甘えて。久し振りに萃屋のケーキが食べたいですから」

 

「真琴くん、私の部屋に行こう?」

 

 

なのはに連れられ部屋に向かう途中、異様に殺気を感じられた。きっと士郎さん達だろう。ああ見えてあの人は武術の達人らしく、その技を恭也さんと美由希おねえちゃんに教えているのだろう。

 

 

 

なのはの部屋に入り、これまでの自分が何をしていたのかを話した。魔法の事や、黒フードの奴等、そして母さんの事…………

 

その話を聞いたなのはは優しく真琴の事を胸に抱き寄せる。

 

「大変だったんだね。もう大丈夫だから。皆いるから。だからもう何処にも行かないで、これ以上皆を悲しませたら、めっ、だよ?これからは私達が居るから」

 

なのはは、まるで母親の様に真琴の頭を優しく撫でていた。そのせいなのか、真琴も今まで溜まっていた感情を吐き出す。

 

それをドア越しで聞いていた桃子も本当に優しい笑顔になっていた。 

 

 

「お待たせ~、ハイ、萃屋特性シュークリームね♪」

 

「あ、お母さん、ありがとう」

 

「ありがとうございます」

 

「それじゃあ食べ終えたら下に来てちょうだい。家族会議するから、皆を呼んでおくわね」

 

 

 

 

 

きっと俺の事だろう。今はどうするかは決まっている。

 

 

その後何をするかはその時に考えることにする。

 

 

まだ色々問題はあるけど、きっと何とかしてみせる。

 

真琴は決意を胸に、シュークリームを頬張るのだった。

 

 

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