魔法少女リリカルなのはdestroy ~死神様の言う通り~ 作:敗者
「あのクソガキ!!ロストロギアをいつの間にっ!!」
ラミアは真琴がいつの間にかジュエルシードをいくつか奪っていた事に気づかずに自分達の根城である場所に帰ってきていた。
「今度あったら絶対にぶち殺すっ!!」
手元にあったマグカップを砕き割り、中に入っているコーヒーを床にこぼす。
「そんな怒りを振り撒いた所で現状は変わらない。今君に出来る事をするだけでいいよ。」
フードを深くまで被り、顔が見えないが、声からするにまだ少年のようだ。
「けど、アイツは…!」
「僕がいいって言ってるんだ。それとも君は僕の言うことがわからないのかい?」
「うっ、、、」
ラミアの怒りを鎮めさせ、今後はどうするか話し合う。
「初期の状態ではグルーヴが居たけど、彼によって殺されてしまったね…………少しでも戦力が欲しいから、この街で力を欲しがっている子に分け与えようと思う。」
その意味を少し理解できなかったラミアは少年に質問する。
「私達の力をかい?そんなことしたら普通の人間じゃあ発狂して死んじまうよ?それに魔力を持たない人間しかいないじゃないか」
「確かにその通りだ。けど不可能ではない。その人間の想いが強ければ強いほどきっとこの力を受け入れることができるはずだよ」
「ふ~ん、そこら辺は貴方に任せるわ。じゃあちょっと人材調達してくるわね。あのコアの準備はお願いね~」
ラミアは出ていく時、少年の口元が歪むのを見えた気がした。
「…………」
少年も同じように姿を闇に溶かし、いなくなる。
「フェイト、ジュエルシード見つけたよ!」
「わかった、行こう、アルフ」
夜の街をマンションの上から眺めるフェイトは一昨日の事を思い出す。
真琴と一緒にいた時、私は間違いなくドキドキしていた。なんとなくだけど、その感情を知っている。好きなんだ、真琴の事が。理由はまだ解らないけどこの感情には逆らえないと思う。
「あそこ……アルフ、魔力を思いっきりぶつけるからそのあと封印するよ。出来るだけ被害は出さないよう結界は強く張っておいて、じゃないと真琴くんに起こられちゃうからね」
「任せな!ただ、真琴の言ってたことが少し気になるね~……」
「大丈夫だよ、私はもう負けない。相手が、、、真琴であっても…」
「フェイト…………」
歓迎会が終わりすっかり夜になり、帰り道でアリサとすずかにも居なくなっていた訳を出来るだけ違和感の無いように話し、まだ時間が掛かる事を伝えると、
「ふんっ!あんたがなにやってるのか、別にどうでもいいけどこれ以上心配させたら承知しないんだからね!!」
「真琴さんが何かを成し遂げようとしているときは、いつも人のために動いていました。きっと今回もそうなんでしょう。私はまた帰って来ると信じております。頑張って下さいね♪」
と二人とも信じて待ってくれるそうだ。だからこそ本当の事を言えないのが苦しい。
二人と別れて、山道を歩いていると誰かが強力な結界を張り巡らした感覚があった。多分フェイトだろう。あの子なりに被害を抑えようとしてくれているようだ。
『マスター、結界を関知しました。行かれますか?』
『……ああ、今すぐ行くよ。ラグはアイツらの気配を探っておいて』
『分かりました、お気をつけて』
ラグから念話が通じ、一旦帰って休みたいと思ったが時間が惜しいのですぐさま騎士甲冑を纏う。
今日のなのはは間違いなく作戦を建てて来てるはず。どれだけフェイトに通用するか凄く気になる所だ。
実際魔力値だけだったらなのはの方が高い。その分どんどん力をつけて来ているため俺が戦ったとしても、それなりは抵抗できるだろう。
アリサはその帰りとても上機嫌で帰っていた。
「~♪~~♪、真琴が生きてた、本当に真琴が生きてたんだ!」
「そこの貴方?随分と嬉しそうね?」
突然暗い影の奥から声が聞こえ、身構えてしまう。
「誰!?」
「誰でもいいでしょ?」
アリサは携帯を取りだし110番を押すが一向に繋がらない。影の奥から出てきた女はアリサの近くまで近寄り。
「どうして影月真琴が居なくなっていたか、知りたくないの?」
そして一呼吸いれ、
「全ては貴女の為なのよ?」
「え?」
その言葉を聞き、アリサは揺らぎ始める。
「貴女を全ての敵から護るために力を付けていた。それは貴女のお友達、高町なのはから守る為にね」
「な、なんでなのはが出てくるのよ!」
女は事前に用意しておいた映像を投影しアリサに見せつける。それは真琴がラミアによって魔力の矢で傷ついている動画と、なのはが砲撃を撃っている時の動画を合成したものだった。
「なによ、これ。合成かなんかでしょ?信じないわよ」
「あら、魔法の事を言っているの?それじゃあこれなんてどうかしら」
女は魔方陣を展開し、そこからクロスボウを取り出す。
「な、なによそれ…」
急に光出した女の手に驚くアリサ。
「これでお分かり頂けたかしら?さっきの映像を信じるんだったら私に着いてきなさい。力を与えるわ……」
「っ…………」
アリサは前から引っ掛かる事はあった。最近なのはが授業を抜け出したり、放課後の時にも先に帰ったり。そんなことが最近続いていた。
真実を知りたかったアリサは女のあとを付いていく事に。
そして二人は闇に消えていった。
「ジュエルシード、No.9封…くっ!!」
「させないよ!!今日こそは名前を教えてもらうからね!」
フェイトが封印しようしたその瞬間、桜色の砲撃が一面を散らしフェイトに当たる寸前でアルフが守る形となった。
「…………君はどうして私の邪魔ばかりするの?」
「理由をまだ聞いてないから。今のあなたは昔の私と同じ目をしてるの。多分それは悲しいこと。どうしたらいいか解らないって目だよ」
「君には関係ない、これは私の問題。話したところで敵のままだ。だから今日は…本気で行くよ?」
「私は話したいだけなの!」
「武器を取る人と話しなんて、出来ない!」
そしてフェイトはバルディッシュでなのはを切り裂こうとし、なのははそれを受け止め、弾き返す。
「ッッ!」
サイズモードに換装し、三日月型の衝撃波を飛ばす。速度はたいして無いが不規則に飛んでいくため、やられる側として厄介な魔法だ。
「シュート!!」
なのはは魔力弾を三発飛ばし魔力刃にぶつけ相殺させる。すぐに魔力弾を四発作り、順に撃っていく。
フェイトはその魔力弾をかわし、格闘しようとしたがかわしたはずの魔力弾が後ろから襲ってくる。
「ッッ!追尾型!」
「レイジングハート!今のうちに!!」
「ファイア!」
フェイトも同じように魔力弾を放ち、相殺させる。
「はぁっ!」
高速移動でなのはの背後に回り魔力刃を飛ばす。なのはは防御するが、アークセイバーと同じくバリアを咬まれ爆煙を引き起こす。
「きゃっ!、ディバインバスターッ!!」
体勢をすぐに建て直し、少しの隙で出来た魔力を煙の中から収束砲として放ち、フェイトの不意を突く。
「フェイトッッ!」
「君の相手は僕だ!鉄鎖の鎖!」
アルフはフェイトに飛んでいこうとするが、ユーノによって防がれる。
「く、こんの、邪魔すんなーーー!」
「君達はなんでこんな事をするんだ!あれはとても危険な物だ!君達でどうにか出来る代物じゃない!」
アルフはユーノに向かって殴りに行くがユーノは鎖の様なものを飛ばし近づかせない。
「あんたらには関係ないんだよ!!」
「くっ!」
「「はああ!」」
互いのデバイスをぶつけ合い、すれ違う毎に火花が散る。
「君はどうして!!関係無いのにっ!」
「それでも!貴方を助けたいの!話し合おうよ、そうすればっ!!」
瞬間、互いはジュエルシードを確認すると、全速力で取りに行く。
「ジュエルシード!」
「No.9!!」
「「封印っ!!」」
レイジングハートとバルディッシュがぶつかり合い、膨大な魔力が溢れだす。魔力が徐々に増していき、それぞれのデバイスにヒビが入っていく。
耐えきれなくなったデバイス達は無惨にも砕け散る。
「え?」「あ?」
「不味い!!魔力が暴走してやがる!間に合うか、、、フェイト!?アイツなにやってやがる!!」
デバイスが壊れたことで二人は混乱していたがフェイトがとっさにジュエルシードを掴み、暴走を抑えようとしていた。
「ッッッ!お願い、止まって、止まって!」
「くそっ!フェイト!!」
「あ、真琴……」
その目に涙が溜まり苦悶の表情を見せている。
「そいつをはなせ!俺がぶっ飛ばすから!」
「でもっ!」
「早くしろ!!」
「……うん」
フェイトがジュエルシードを手放すとまた魔力が暴走し出す。
「紫電!」
紫電から赤い稲妻が走りだすと真琴の魔力が膨れ上がり、周囲一帯の空気が圧迫される。
「ううぅ、なに、この魔力、重い…」
なのはは余りの魔力の禍々しさにたじろぎ、フェイトは自分の思っていた人物とは思えない真琴が恐ろしく思え、怯えていた。
「魔力因子解析、因子破壊ウイルス構築、ぶっ壊れろ!
計りきれないほどの紫色の魔力砲が真琴から放たれ、地響きと共にジュエルシードを呑み込む。
「きゃぁあ!」「うぐぁ!」
余りの威力に、なのはとフェイトは吹き飛ばされてしまう。
爆発と共にジュエルシードの暴走が止まるのを確認すると、真琴はジュエルシードを封印し、それをフェイトに渡す。
「いいの?」
「ああ、これはお前が止めたものだ。あそこでフェイトが止めてくれなければ俺はもっと大規模な魔法を使ってこの街を危険な目に合わせることだった」
きょとんとしたフェイトは両手を出して受け取り手を握り締める。
「わかった。ありがとう……」
「なのは!今回はお前の敗けだ、だからおとなしくソイツを直してやってくれ。フェイト、お前もな」
少し遠くに離れたなのも頷き、フェイトもアルフの背に乗り自分達の家に向かう事にした。
なのはは家に着くと、家族にばれないように家に入り込む。しかし、玄関にお父さんとお母さんが待っていた。
「あ、ただいま~、お父さんとお母さん……」
「こんな時間まで何していたんだ?」
士郎がなのはに静かに告げ、理由を聞こうとするが一向になのは喋ろうとしない。
「ふうん。困ったわね~、何かいけないことでもしてたのかしら?」
「そんなことないよ!私は、私がやらなくちゃいけないことをやっていただけ!」
「いいか、なのは?小学生がこんな時間まで遊んでちゃ駄目だろ?心配するじゃないか、、、、もしかして真琴君が絡んでいるのか?」
なのはは少し焦り、士郎に見抜かれてしまう。
「やはりか、桃子、ちょっと外してくれるか?」
「何かありそうね、わかったわ」
そういってお母さんは家の中に消える。
「外に行くか」
「…うん」
少し歩き丁度いい丘の上まで来ると士郎は、なのはにあることを伝える。
「なのは、実は歓迎会の後に真琴とやりあっていたんだ。その時にアイツの目に何が写っていたと思う?」
「復讐…………だよね?」
「そうか、お前はどうしてその事を?」
「時々口にしてたから。真琴くんのお母さんだけじゃなくて他の何かの仇もとろうとしてるの」
俯くなのはの頭に手を置き士郎は言い聞かせる。
「今お前達が何をやっているかは知らないが多分危険なことなんだろう。もし、どうしても闘いたいのなら私を倒せ。今持っている全ての力でな」
「え!でも」
「他言無用だ。今から起きることは何も見ていないし覚えることはしない」
少し考えたが、もう隠し通せるとは思えずレイジングハートを取り出す。
「今日は出来ないの、実はこの子が壊れちゃって今は力を使えないから。けど三日もすれば直せると思うから。それまで待っててくれない?」
「わかった。それじゃあ三日後にまたここで話そう」
「ありがとう、お父さん!」
二人の親子は夜の街を歩き家路についた。
「おはよー♪真琴ー」
「ああ、おはようアリサ。朝早いんだな、なんかあったか?」
朝になり俺がランニングをしていた時、後ろからアリサが大声で挨拶をしてきた。結構朝早くから走っていたのだが案外早起きなのかも知れない。
「実はね、言いたいことがあって探してたのよ」
「何となくそんな感じはしてたけど、一体どうしたんだ?」
どこかおかしい。アリサから微弱だが禍々しい魔力の反応がある。前はそんな感じは一切しなかったのだが。嫌な予感がする。
「あのね、私も一緒に闘いたいの、魔法を使ってね。なのはを倒そうよ、真琴」
全ては嘘から始まる本当の気持ち。