真(チェンジ!!)ウルトロイドゼロ   作:アイアイホイホイおさるさん

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前編

 「これが貴様の末路だ、ユウキ・マイ」

 

 いきなりウルトラマンに酷似した金ピカが現れた事にもユウキ・マイ女史は動じる事はなかった。しかし、そのタルタルソースとか名乗った金ピカがこれから自分に待ち受ける未来を見せつけてきた時は目を疑った。

 地球を守る守護者として作ったはずの我が子ウルトロイドゼロは悪の手先となり、自身も地球を危機に陥れた悪人として銃殺刑に処される。科学への好奇心が強い事は否定しないが、少なくとも地球を守るために今までやってきたハズなのに、全て否定されるのだ。

 ………しかし、こうも面白いぐらいに何もかも上手くいかずどうやっても悪い方に転がるのを見ていると、ユウキ女史にはこの世界の根幹の部分で、彼らウルトラマン中心に世界が動くよう誰か上位の存在が手を回しているようにしか思えなかった。

 

 「貴様の取る道は一つ、その科学力を我がザ・キングダムの為に活かせ」

 

 そこで金ピカが提案してきたのは、この世界を捨てて新しい世界………彼らの住む宇宙の彼らアブソリューティアンの国でやり直そうという案だ。たしかに、平行世界を渡る彼らの技術には興味があるし、この世界のこの場所で自らに待ち受けるのは「愚かな地球人」として殺される事だけだ。しかし。

 

 「魅力的な提案ね、だけどお断りするわタルタルソースさん」

 「何………あとタルタロスだ」

 

 ユウキ女史が出した答えは「だが断る」だった。困惑する金ピカの前で、ユウキ女史は続ける。

 

 「この先どうなるかは大体は解ったわ。なら、今の時点からそれを変えるよう行動すればいいという事」

 「そんな事が出来ると思っているのか?」

 「出来るわ、何故なら………その方法も知っている」

 

 ユウキ女史はスッと、自分のトレードマークであるメガネを外した。その瞳は既に果てない狂気と好奇心を表すかのようにグルグルと渦巻いているのが見えた。

 

 「貴様は何をしようと言うのだ?ユウキ・マイ」

 「………とてもすばらしいことだよ」

 

 そこで金ピカ、アブソリュート・タルタロスは彼女とウルトロイドゼロから手を引く事を決めた。何故ならこのグルグルの瞳こそ既に彼女が「それ」と接触した事の証。

 何より彼女の背後にうっすらと見えたからだ。ライトグリーンのエネルギー体に覆われた強面の男が「既にヘッドハンティング済で〜す!残念でした〜w」と悪ガキのようにニヤついているのを。

 はっきり言って一発殴ってやりたかったが、ただでさえ危機に陥ったアブソリューティアンにエンペラー艦隊と敵対という別の問題を発生させないようにするだけの理性は、タルタロスにもあった。

 

 

 ***

 

 

 「えっ!?ストレイジ解散しないんすか!?」

 「そうなのよ、なんかいきなり撤回されて………」

 

 組織が解散し、配属が変わったと思いきやいきなり呼び戻され困惑してるナツカワ・ハルキ(とウルトラマンZ)だったが、同じく呼び戻されたナカジマ・ヨウコ筆頭の旧ストレイジメンバーも混乱の最中にあった。

 

 「あと特空機四号だけど、ストレイジとは別の部隊が使うって話だそうよ」

 「四号機………つまりD4レイもか。なんか心配ですね」

 「まあ私としては、またキングジョーの時みたいな事にはならないと思うと安心だけど」

 

 再会を喜びつつそんな話をするハルキとヨーコは、計画が大外れになってしまい頭を抱えているヘビクラ・ショウタ隊長に気付かなかった。

 

 

 ***

 

 

 ウルトロイドゼロを運用する新たな部隊を編成するに当たりユウキ女史は、運用の邪魔となる様々な要因の排除に乗り出した。

 まず当然であるが、文明自滅ゲームを裏からプレイしていたセレブロはさっさと見つけ出し、クリヤマ長官から引っ剥がしてストレイジのオオタ・ユカに突き出した。解剖だー!と喜ぶ様は、ユウキ女史的には娘を見ているようで微笑ましかった。

 

 「ざまあ見なさいセレブロ、文明自滅ゲームのコンティニューは許さないわ」

 

 次にD4レイの封印。D4の絶大なエネルギーはあくまで動力として使い、武装はマグネリュームエネルギーによる攻撃を主体にする事にした。D4をエネルギーする事でその威力も上がるだろう。

 そして最後に………ウルトロイドゼロを、おもちゃとして遊んで楽しい仕様にする事。

 ナンノコッチャとも思ったが、人造ウルトラマンは暴走するというジンクスから離れるために必要な事だ。どうやらこの世界を統べる因果律は人造ウルトラマンや強力なロボット兵器はウルトラマンの邪魔になるので排除しにかかるが、おもちゃにした時に楽しい機能………合体変形や換装ギミック等を付けると例外的に許してくれるらしい。

 

 「きっとこの世界を統べる神様とやらは左翼思想の重役がいるおもちゃ屋さんでもやってるのでしょうね。力に頼る展開は嫌がる割に、強いおもちゃは売りたいなんて」

 

 その上で単機で怪獣を撃滅できるような性能や、ストレイジやウルトラマンZの援護に頼らならい戦略の幅を広げるあれやこれやをした結果………。

 

 「うわあ、なんかすごいことになっちゃったぞ」

 

 様々な強化や対・血を吐きながら続ける悲しいマラソン改修を繰り返した果てにウルトロイドゼロは当初のロボットウルトラマンのような姿とは似ても似つかない姿になってしまった。元々ウルトロイドゼロは後のD4レイ実用化・安定化のための試作機という構想があった事を考えると、この姿は逆に完成に近づいたとも言えるだろう。戦闘能力も格段に上がったのだが、一つ重大な問題が発生した。

 ………人が乗れなくなってしまったのである。

 

 「困ったわね………人が乗れない搭乗メカなんてただの鉄屑よ」

 

 このウルトロイドゼロに改修により追加された"とある機能"を使うにはパイロットが、それも三人も必要になる。しかし機体性能を上げに上げた結果強烈なGがかかる仕様になってしまい、並の人間が乗れば瞬く間にミンチ肉になってしまうという有様だ。

 AIを搭載して無人機化するという案も上がったが、上記の血を吐きながら続ける悲しいマラソン対策の観点からそれは却下される事になった。

 

 「こうなれば意地でも探すしかないわ、これを乗りこなせる優秀なパイロットを………!」

 

 かくしてユウキ・マイのドクターショッピングならぬパイロットショッピングが始まった。地球防衛軍に所属するパイロット、レンジャー、その他諸々を探しても機体に耐えられる肉体と精神を持つパイロットは三人も見つからなかった。

 ………が、探す範囲を興味本位で民間に広げた時、なんと三人はすぐに見つかった。

 

 「ノーベル平和賞でも貰うためにやるのが地球防衛か!?これじゃまるでダンスだッ!」

 「まて………!貴様、何の魂胆があってこの怪獣保護の邪魔をする?」

 「怪獣保護?ふふふ………わははは!生存競争に正義もくそもあるかよ!あるのは………勝つことだけよ!」

 

 地球防衛軍アラスカ支部の問題児。ストレイジから提供されたデータで建造されたセブンガー2号機を駆り、罪なき怪獣すら徹底的に殲滅する、かつて怪獣災害により妹を奪われた怪獣ハンター、ナガレ・ジュンヤ。

 

 「ゆ、ゆるしてくれ………俺達はただ推しのスキャンダルを暴露した事が許せなかっただけなんだ」

「お前、遊びで記者を襲撃したのか?俺の取材をイタズラを先生にチクる程度の事だとでも思ってたのか?」

 「ゆ、許して………」

 「許せだと?ふん、仕事帰りに集団で襲いかかり、その上………せっかく手に入れたスクープ写真まで破かれて、許せると思うかあっ!!」

 「ぎゃあああ!!」

 「目だ!耳だっ!鼻っ!!」

 

 スクープのためなら手段は選ばぬ。防衛軍のスキャンダルまで暴こうとしてブラックリストに載り、現在はストレイジ周りを嗅ぎ回っている本人もペダン星で訓練したかってぐらいめっぽう強いジャーナリスト、ヒルカワ・ミツヒコ。

 

 「おいユウキのババア!パイロットスカウトから戻って来るの遅………ってなんじゃこりゃあ!?」

 『あだだだだ!!乳が!!乳がつぶれる!!』

 「二次元ならまだしも三次元の年増は誰得だよ………」

 『違う!私はこっちだ!!』

 

 平行同位体で済ますのも限度がある。大雪山で露軍ごっこをしてた所を拉致してきたやけに身体の丈夫な女。真っ当な怪獣好きからは出演作品ごと蛇蝎のごとく嫌われている闇の巨人カルミラ………の人間態のそっくりさん、ウワザカ・スミレ。

 

 「なんだてめえは!!」

 「納得のいく説明をしろ!!」

 「も゛る゛も゛っ゛どぐーん゛!!」

 

 そんな立場も出典もバラバラながら一名を除いてウルトラファンからあまりいい印象を持たれていない人物達の同姓同名のそっくりさん達。彼等を拉致同然に連れてきたユウキ女史は、三人に向けて言い放った。

 

 「私の名はユウキ、ユウキ・マイ!これから先貴様らに地獄を見せる女だ!!」

 

 

 ***

 

 

 本来の歴史からは大分遅れて、ウルトロイドゼロが一般公開される日がやってきた。ストレイジはその発表会の警備を任されたのだが。

 

 『なんで警備に特空機まで出してやるでございますかねえ?ハルキ』

 「さあ………わかんないっす」

 

 普通は人員を使った会場の警備を想像する所だが、ストレイジに任されたのは特空機を使った、会場から離れた三つのポイントの監視だった。

 海沿いの街にヘビクラとキングジョーSC、山岳エリアにヨーコとウインダム、そして会場から一番近い平原地帯にはハルキとわざわざ退役したものを引っ張り出してきたセブンガーが配置された。

 警備と呼ぶには明らかに過剰な戦力。一体防衛軍は何をさせようと言うのだろうか。

 

 『ハルキハルキ!始まりましたぞ!』

 

 そんなハルキの疑問を知ってか知らずか、Zはセブンガー内のモニターからウルトロイドゼロの発表中継を観ていた。

 

 「ウルトロイドゼロ………」

 

 ウルトラマンと一体化している人間として、ウルトラマンの力を解析した人造ウルトラマンの存在はやはり妙な気分になるハルキ。さてどんな機体が出てくるかと画面に注目していたその時。

 

 『緊急事態!怪獣出現!!』

 「なんだって!?」

 

 セブンガーのシステム音声が地上に接近する怪獣の生体反応をキャッチし警告した。次の瞬間、セブンガーの眼前の山肌が砕け散り、ゴメス、パゴス、デマーガの3体の怪獣が現れた。

 

 『ハルキ大変だ!怪獣が!』

 『こっちもよ!きゃああっ!』

 「隊長ー!ヨウコ先輩!」

 

 そして怪獣が現れたのはセブンガーの前だけではない。別々の場所で警戒に当たっていたウインダムとキングジョーの前にも怪獣が現れた。まるで、ウルトロイドゼロの発表を妨害するかのように。

 ユカの言っていた事が当たったと、ハルキは思った。怪獣、ひいては地球意志そのものがウルトロイドゼロを異物と判断し、自然界の調和のために排除しようとしていると。

 

 『どうすんだハルキ!流石に三体はセブンガーじゃキツいぞ!』

 「じゃあZさんで………!」

 

 ならウルトラの力の出番だと、ゼットライザーを呼び出し変身しようとしたハルキだったが、そこに………

 ズワォ!!

 させるか、とばかりに轟音を立て、三つの影が飛来した。

 

 『戦闘機でございますか?』

 

 Zはそれを、防衛軍の戦闘機だと認識した。しかしハルキは、あの形の戦闘機が防衛軍に存在しない事を知っていたハルキは、別の可能性を考えた。

 

 「違います!あれは………!」

 

 ハルキの予想は当たっていた。そう、この3機はただの戦闘機ではない。ユウキ・マイ博士がその持てる技術とこの世界への反逆のために作り上げた「ウルトマシン」だ!

 

 「ようし!行くぞ!ヒルカワ!!スミレ!!」

 

 ナガレ・ジャンヤの操るウルトマシン・イーグル号。

 

 「ふん、言われるまでもない!」

 

 ヒルカワ・ミツヒコの操るウルトマシン・ジャガー号。

 

 「待ってましたあっ!!」

 

 ウワザカ・スミレの操るウルトマシン・ベアー号。

 セブンガーの頭上を引き裂き飛来した3機はタイミングを合わせ、なんと空中で合体した!

 

 「チェェーンジ・ゼロワン!!スイッチオン!!」

 

 イーグル、ジャガー、ベアー。3機が合体し、戦闘機と思われたそれの各部から腕が、足が飛び出し、まるで人間のようなシルエットを形作る。ここで、状況を見守っていたZも気付いた。

 

 『ま、まさかアレが………ウルトロイドゼロ!?』

 

 生まれた変わった禁断の特空機が、世界に反逆する新たな姿と形を得て、今大地に立つ………

 

 見たかッ

 

 合体ッッ

 

 ウルトロイドゼロだッッ!!

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