真(チェンジ!!)ウルトロイドゼロ 作:アイアイホイホイおさるさん
ウルトロイド・ゼロワン。それはウルトロイドゼロの地上専用の形態であり、バランスに優れ、イーグル号のナガレ・ジュンヤがメインパイロットを務める。
外見はネオゲッター1にウルトロイドゼロの仮面をつけた物を想像して欲しい。
ゴガガァ!!
ハッタリかますな!と言わんばかりに、三大怪獣の攻撃が開始された。デマーガとパゴスが口から熱線を吐き出し、それはゼロワンに直撃する。
「うわああっ!直撃だ!」
『も、燃えてますぞハルキ!』
「そうッスZさん、あの特空機が怪獣の熱線で………」
『違う!』
「えっ?」
『あのロボットの………パイロットが!』
Zに限らず、ウルトラマンとは感受性が豊かな種族。だから感じ取ったのだろう、あの熱線の直撃を受けようと進軍をやめないゼロワン。そのコックピットに座るジュンヤの覚悟を。
妹を奪われただけではない。ジュンヤは見てきている。自分のように「奪われた」人々を。大いなる怪獣の一歩により何もかもを奪われた人々を。だが相手が相手故に諦めるしか無かった人々を。
それがジュンヤの復讐の炎を更に燃やし、怪獣の熱線すら焼き尽くす怒りの業火となっているのだ………若い命が
「チェェーンナックル!!」
ゼロワンの拳がドワォ!と射出される。セブンガーの硬芯鉄拳弾の延長として作られた、鎖により本体と繋がれたロケットパンチ「チェーンナックル」だ。それは熱線すら引き裂いて飛び、まずはデマーガの頭を吹き飛ばした。そして次にパゴスの頭を吹き飛ばす。土曜朝の番組ではまずできないゴア描写だ。
首をはねられ倒れるデマーガとパゴス。これはまずいと逃げ出そうとするゴメスだが、それを逃がす怪獣ハンターナガレ・ジュンヤではない。
「逃がすかッ!ショルダーミサイルッッ!!」
追撃にはバックパックに内蔵したミサイルを使う。キングジョーのペダニウムミサイルから発展した「ショルダーミサイル」の直撃により倒れるゴメスに、背後からズシンズシンと迫るゼロワン。
「マグネリュームトマホークで叩きのめしてやる!」
トドメに使うのは肩から射出した手持ち武器の「マグネリュームトマホーク」。ビームの刃の走る破壊力満点の手持ち斧。それを起き上がろうとするゴメスの脳天めがけ………
「だりゃあ!!」
ズオと振り下ろした。ゴメスの頭蓋骨はかち割れ、そのまま縦半分に真っ二つになったかと思うと、そのまま大爆発。ウルトロイド・ゼロワンはあっという間に、三体の怪獣を撃滅してみせたのであった。
「あ、圧倒的じゃないすか………!?」
その既存の特空機とは比べ物にならない、セブンガーなどただの玩具に見えてくるような恐るべき戦力を見せつけた後、再び三機に分裂したウルトロイドゼロは飛んでゆく。そう、怪獣が現れたのはここだけではないのだ。
***
ウインダムは全身に内蔵したロケットによる空中戦を得意とする特空機。しかし今回は相手が悪かった。
なんせここに現れたのは、空を覆い尽くすばかりのグエバッサーの大群。その多くが通常種より小さな亜成体ばかりだが、それでもウインダム一機で対抗するには無理がある。
「こんなにどこに隠れてたのよ………ああっ!」
レーザーとミサイルで対抗するウインダム。倒すのは容易だが数が数だ。絶え間なく攻撃は押し寄せ、このままではやられてしまう。そう思われたその時。
「チェェーンジ・ゼロツー!!スイッチオン!!」
ウインダムのすぐ隣を矢のように飛び、グエバッサーの群れに突っ込んでゆく三機のウルトマシン。ヨウコがそれを認識した直後、三機はジャガー、ベアー、イーグルの順番に合体。ゼロワンとはまったく別の姿へと変幻してゆく。
「ウルトロイドゼロ!別の形態にもなれるっていうの!?」
驚くヨウコの眼前で、ウルトロイドゼロはまったく別の機体へと変わった。陸の青は空の赤へ。その名を「ウルトロイドゼロ・ゼロツー」。ウルトロイドゼロの空中戦用の形態だ。外見はネオゲッター2にウルトロイドゼロのマスクをつけただけ。
そしてパイロットを務めるのは、ジャガー号に乗るヒルカワ・ミツヒコ。
「鳴ったぞ………戦いのゴングが!」
何をほざくか!と四方八方から襲いかかるグエバッサーの群れ。そのクチバシがゼロツーを貫くかと思われた瞬間、なんとゼロツーが消えた。
その直後、グエエ!?とグエバッサーの断末魔が響く。ウインダムが振り向くと、そこには切断されたグエバッサーの頭部を持ったゼロツー。
そしてゼロツーは再び姿を消し、今度は別のグエバッサーが切り裂かれた。
「こいつ………消えたんじゃない、移動してるんだわ!認識できないほど早く!!」
ヨウコが言うより早く、ゼロツーのドリルアームにより次々と切り裂かれていくグエバッサーの群れ。その度に血まみれの白い羽根が宙を舞い、空はもはや一方的な虐殺ショーの舞台と化していた。
「俺はてめえら怪獣が大好きだぜェ………そのデケェ
ピギャああ!と次々と輪切りのサラミにされてゆくグエバッサーだが、やられるばかりではない。群れの生き物なだけはあり残存した群れが一斉に行動を開始する。羽を畳み、嘴を先端に高速回転しながら、無数のグエバッサーがゼロツー向けて突っ込んでくる。
「てめえらもそんなにやりたいか………"ドリドリ"をよぉっ!…」
しかしそんな事、事前にグエバッサーの生態を頭に入れていたヒルカワからしたら想定済み。ゼロツーの腕に装備されたもう一つの武器が起動する。
「喰らいな!ドリルワーームッ!!」
ドリルワーム。高速回転するドリルの触手を射出し、敵を次々と切り裂く武装。本来はウインダム用に開発されたものだが、扱いが難しく制式採用は見送られたもの。
そして………これこそがゼロツーのパイロットにヒルカワが選ばれた理由。ドリルワームを使いこなすには、戦況を分析しつつ触手を操作し、なおかつその間にも自機に向かってくる怪獣に対処するという二重三重の仕事をこなす身体能力と頭脳が必要になる。
してヒルカワは、あらゆる危険な現場にその身一つで潜入し、逆に叩き潰してでも特ダネを持ち帰るだけの頭脳と身体能力を有していた。まさに高速戦闘と状況判断が求められるゼロツーのパイロットにふさわしい。
「来やがれボニータァ!ガスガスに"いわして"やる!!」
迫る無数のグエバッサー!迎え撃つゼロツーのドリルワーム!
対決!ドリルvsドリル!
「ドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリィッ!!」
ずば、ずば、どわぉ!
最後の望みをかけ放たれたグエバッサーの回転ドリル戦法も、ヒルカワという最凶最悪の頭脳を得たゼロツーの前には無駄の一言。特殊合金の刃の回転から生み出される破壊の嵐は、残っていたグエバッサーの全てを羽毛と鶏肉と血飛沫に変えた。
「む………むごい………っ」
意図せず一方的な殺戮ショーの観客となってしまったウインダムのコックピットでヨウコがつぶやく。その瞬間、ゼロツーがチラリとこちらを向いた。
ヨウコにはまるで、ゼロツーやそのコックピットに座るヒルカワが"甘いな"と嘲笑っているように見えた。
「………オープンウルト!」
ずばっ、と再びゼロツーは三機のマシンに分離。次の戦場へと飛んでゆく。そこには呆然と立ちつくすウインダムと、グエバッサー虐殺ショーにより羽毛と血飛沫による赤い雪山と化した山岳地帯が残された。
***
ストレイジの保有する特空機の中で最強とされるのが、外宇宙の機体であるキングジョーを改修したキングジョー
「限度があるだろ!そんなにウルトロイドゼロを壊したいのか?地球は!」
しかしウルトロイドゼロを強奪する算段の外れたヘビクラ・ショウタことジャグラスジャグラーは、キングジョーSCの大火力を持っても港に侵入しないようにするのが精一杯の海の怪獣軍団を前に舌打ちをするしかなかった。
原作通りのゲスラ、タッコングに加えてマジャッパの三体。そして………
「というか"あれ"はどう考えてもレギュレーション違反だろ!!」
ヘビクラが吐き捨てたレギュレーション違反の怪獣。それは三大怪獣を後ろでけしかけている巨大な怪獣。巻貝のようなおどろおどろしい外見をした邪神・ガタノゾーアだ。
本来なら地球を闇で包む大怪獣なのだが闇を吐き出していない辺り、プラズマスパークのある宇宙で見たようなクローンか劣化種の類だろう。しかし、強力な怪獣である事には変わらない。
「………来たか!?」
ミサイルとペダニウムキャノンによる水際作戦を展開するヘビクラの耳に、爆発音に混ざってジェットエンジンの音が響く。ベアー、イーグル、ジャガーの順に並んだ三機のウルトマシンだ。
「今度は水中戦だ、しくじるなよ」
「言われなくてもわーってるねえ!!」
気合を入れるのは、三人組チームのトリを務めるウワザカ・スミレ。ある意味三人の中で一番の変わり者で、三号機乗りの証であるお肉成分は元の声優としてはかなり立派な胸で補っている。
「チェェーンジ・ゼロスリー!!スイッチオン!!」
三機のウルトマシンが合体し、ウルトロイドゼロは新たな姿へと変形した。三形態の中で水中戦を得意とし、最も鈍重であるがパワーと火力はナンバーワンの伝統と信頼の3号機「ウルトロイド・ゼロスリー」に。
外見は案の定、ウルトロイドゼロのマスクをつけたネオゲッター3。
「ハープーンミサイルッ!マグネリュームブレイクッ!!」
元ネタに無かったミサイルに加え、広範囲にビームの雨を降らせるマグネリュームブレイクが三大怪獣に襲いかかる。断末魔の叫びを上げる怪獣と、爆発でうねる海。一方スミレはというと。
「В спокойных морях гремят взрывы.♪」
呑気に「STORM」のロシア語訳版を歌っている。まるで夕飯のボルシチスープを作るような感覚で、彼女は怪獣達を殺戮してゆく。穏やかな海を爆音で渦巻かせているのも、黒煙の空でほくそ笑む死神もお前の事じゃろうがいとツッコミを入れる者は、残念ながらここにはいない。
ば、ばおおん!
こいつは敵わん!と、それまで人知れずこの世界の海の覇者で居続けたガタノゾーアは、生まれて初めて恐怖を感じ、深海めがけて逃げ出した。
劣化種とはいえ海を支配する邪神なだけはあり、ガタノゾーアは海の事を熟知していた。つまりは、まさかこんな海の底まで奴は追ってこないと高を括っていた。
「Бегите навстречу врагу.♪」
ばおおん!?
考えが甘かった。大自然の力の前に人間は無力だと過信していた。だがどうだ?奴は、ゼロスリーは人間が到達できない水圧の嵐の中に平然と現れた。それ所かミサイルを連射してガタノゾーアに追撃を仕掛ける。
「Я потушу все пламя зла.♪」
ばおおお!!
ホームグラウンドであるハズの深海にまで侵攻され、完全に戦意を喪失してしまったガタノゾーアの、扇風機越しに録音したかのような情けない叫びが深海に響く。
「………許してくれ、だと?」
それが許しを請うように聞こえたのか、スミレの目尻がピクリと動いた。
「巫山戯るな………お前達怪獣が、宇宙人が、力を振りかざして私達人間にやった事を忘れたとは言わせないねえ!!」
そもそもスミレがユウキ・マイのスカウトを受けた時に一人で大雪山を行軍していたのは、住んでいた街を宇宙人に滅ぼされたからだ。家族も、仲間も、恋人さえも殺されて一人大雪山山中に隠れてサバイバルしていたからだ。
………その時に宇宙人が言っていた「ウルトラシリーズの面汚しのトリガーを許すな」という言葉の意味は未だわからないが。
とどのつまり、スミレもまた「怪獣に奪われた側」なのだ。そんなスミレが、日常と大切なものを全て奪い去った怪獣が今更命乞いをした所で、返す答えはただ一つ。
「
無慈悲な死刑宣告を本能で受け取ったのか、ガタノゾーアはヤケクソなバオオ!という咆哮と共にハサミを振り上げてゼロスリーに向かってくる。わざわざ殺しやすくしてくれたガタノゾーアにヨクモアリガトウと感謝しながら、スミレは正義の怒りを込めてスイッチを押す。
そうだ………
「マグネリュームトルネェェェェーーーードッッッ!!」
高速回転するゼロスリーの首元のスクリューは凄まじい海流を引き起こし、巨大な渦となってガタノゾーアを飲み込む。ガタノゾーアは断末魔の叫びを上げる間もなく、甲羅が、鋏が、触手が千切れ、一生の内の最大の絶望と恐怖と痛みを感じながら海の藻屑と消えた。
***
襲来した怪獣を一匹残らず撃破したウルトロイドゼロの猛威を見てもなお、ユウキ・マイは高鳴る鼓動を抑えて自らを冷静に保つ。
「戦闘能力はひとまずの合格という所ね」
単騎で地球を守れる性能は今のウルトロイドゼロには間違いなくあるだろう。だが、その戦いを見た多くの人々の顔は恐怖したかのように硬い。ウルトラマンのように怪獣を倒しても、歓声すら上がらない。
おそらく、この世界を放送している人々の目にはまだウルトロイドゼロは恐怖の対象として映っているのだろう。ユウキ・マイの因果律との………この世界を支配する神とも呼べる存在との戦いは、まだ始まったばかりなのだ!
「
西暦2020年、
これより銀河を股にかけた怪獣軍団との戦争3000年におよぶ
そして!!
そういや昔児童誌の企画でレオ大師匠がゲッターロボと戦ったらしいですぞ