ドラえもんのび太の地球開放記   作:ジャックノルテ

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□31中編

□31 地球 北極 ガッケル海嶺上空 ノア州

 

 その頃、巨大化して翼竜と思いこんだ込んだドラ・で・カイトは鉄騎隊やバトルフィッシュを相手に暴れ回っていた。

 透明マントを被ったドラえもんは近くにある建物を片っ端から調べていた。

 

ドラえもん(この周辺の建物は調べ尽くした。やっぱり警戒が一番厳重なあの建物が中枢なのかも知れない・・・・・)

 

 ドラえもんは透明マントで姿を消して歩きながら一番警戒が厳重な大きな建物に近付こうとしていた。

 その時、爆発音が響き驚いたドラえもんは足を止めた。

 

ドラえもん(なんだ!?)

 

 ドラえもんの目の前に映ったのはタケコプターで飛びながらバトルフィッシュと戦っている二人のドラえもんの分身達だった。

 

ドラえもん(ボクの分身達か・・・・・二人はやられたみたいだけど)

 

 様子を窺うドラえもんの眼前で放たれた光線によってドラえもんの分身は倒されて消滅した。

 

ドラえもん「なっ!?」

 

 驚くドラえもんの眼前でバトルフィッシュと真逆の方向から無数の雲ロボットを率いていたのは見覚えのあるプロペラを背中に付けたロボットだった。

 

ドラえもん(ミクロス!?)

 

ミクロス「ギギ!コレデ周辺ニイル分身ヲ全テヤッツケタゾ!」

 

 驚くドラえもんは後ずさりした際に壁にぶつかってしまう。

 派手な音が周囲に響く!

 それをロボットであるミクロスは見逃さなかった!

 

ミクロス「ギギ!ソコニイルノハ誰ダ!」

 

 ミクロスと雲ロボットが次々とドラえもんのいた場所へ攻撃を加える!

 

ドラえもん「わっ!?」

 

 透明マントが被弾してしまいドラえもんの姿が露わとなってしまう。

 ドラえもんは咄嗟に近場にある建物の影に身を隠した。

 

ミクロス「ギギ!ドラえもんが相手ダッタカ。相手ニ不足ナイゾ!!」

 

ドラえもん「ミクロス!どうして君がここに!?君はスネ吉さんの元で映画に出演するロボットキャストをしている筈じゃないか!?」

 

 そう。ミクロスは鉄人兵団との戦いの後でスネ吉の元で特撮映画に出演した事で有名となり今や知らない子供がいない程、人気のロボットキャストだったのだ。

 特にドラえもんが改造した事で試験的に動きのパターンを記憶する為に搭載されていた人工知能の性能が飛躍的に上がりスネ夫並の知能を獲得していた。

 これを知ったスネ吉はちょうど特撮映画のスタッフとして参加していたのでミクロスを起用したいとスネ夫に持ち掛けて気を良くしたミクロスはスネ吉の元へ行ったのだ。

 

ミクロス「ギギ!スネ吉様ハ天上人トナリボクヲ指揮シテイルノダ!」

 

ドラえもん「何だって!?そうか。スネ夫が天上人になったのならスネ吉さんも」

 

ドラえもん(だからミクロスがラジコンにしては出来が良かったのか?もしかしたらミクロスは最初から兵器として転用される為に設計されたんじゃ?)

 

ミクロス「スネ夫様トスネツグ様ノ為ニモ侵入者ハヤッツケル!!」

 

 ミクロスと雲ロボットが一斉にドラえもんに向かって手に持った光線銃で攻撃をして来た!

 

ドラえもん「ボクはスネ夫を助けに来たんだ!やめるんだ!」

 

ミクロス「ギギ!騙サレナイゾ!既ニ天上人ノ勝利ハ決マッテイル!ボクハ命令通リニ侵入者ヲヤッツケル!」

 

 ミクロスが光線銃を再び撃とうとする前にドラえもんは手にした空気砲をミクロスに向けて放とうとする。

 

ドラえもん(ミクロス・・・・・。後で修理するから!)

 

 ドラえもんの発射した空気砲が命中する直前にミクロスは近くにいた雲ロボットを盾にして空気砲から身を守った!

 雲ロボットは骨組みを露わにして地面に落下した。

 

ドラえもん「何て事を!?」

 

 驚きながら周囲を移動するドラえもんの眼前で落下した雲ロボットの骨組みは地面に手を付いた瞬間に雲の身体を再構築した!

 

ドラえもん「まさか!?そうか!ここは雲の上だから雲の地面から雲の身体を再構築出来る様に改造したのか!?」

 

 予想外の天上人の技術力に驚くドラえもんだったがそれでも応戦し続けていた。

 

ドラえもん(このままじゃ・・・・・。みんなは大丈夫だろうか?特に出木杉君の元へ向かったのび太君は・・・・・)

 

 応戦しながらもドラえもんは他のメンバーへの心配を抱いていた。

 

 

 

 その頃、のび太は出木杉の待ち受ける鬼角弾の設置された建物に辿り着いていた。

 

のび太「ここに出木杉君が・・・・・」

 

 緊張した面持ちのままのび太は建物に入って行く。

 通路の一部が光りのび太を誘導している事がのび太にも分かった。

 進んだ先に部屋の入り口がありのび太は躊躇う事無く入って行くとそこには天上人の服装をして頭に金輪を取り付けていた出木杉の姿があった。

 出木杉の背後には巨大なモニターがあり色々な場所を移していた。

 

のび太「出木杉君・・・・・」

 

出木杉「やあ。待っていたよ。のび太君」

 

 出木杉はそう言いながら近くの壁に設置された制御パネルを操作した。

 

出木杉「約束通りに鬼角弾のスイッチは切っておいたよ。他の二カ所も阻止されたからこれで鬼角弾の発射は完全に阻止されたね」

 

のび太「でもまだノア計画は止められた訳じゃない」

 

出木杉「そうだよ。だから僕と君はここで戦わなければならない」

 

 出木杉は手にした光線銃をのび太へと向けのび太も応戦の為に空気砲を向ける!

 互いに隙を見せずにいる両者は攻撃に移れなかった。

 

出木杉「・・・・・。これじゃあ勝負が付かないね」

 

のび太「そうだね」

 

出木杉「のび太君。お互いに時間が無い訳だから一つ提案がある」

 

のび太「何だい?」

 

出木杉「お互いに分かっている合図と共に行う早撃ち勝負をしないかい?同じ条件の武器で」

 

のび太「・・・・・。いいとも」

 

 出木杉が武器を降ろすとのび太も武器を降ろした。

 それを見た出木杉は近くにある机の引き出しから2丁の拳銃を取り出した。

 

出木杉「武器はお互いにこの天上人が決闘用に使うリボルバーを使う。装填する弾丸は六発。両方とも僕が練習用に何度も使用しているから品質は保障しよう。試し撃ちがしたいならしてくれて構わない」

 

のび太「良いのかい?」

 

出木杉「何故か分からないが僕は君と真剣勝負がしたいんだ」

 

のび太「分かった。それ程品質が良いなら試し撃ちをやらせて欲しいな」

 

出木杉「分かった。言っておくけど僕に騙し討ちをした瞬間に鬼角弾は再度投下準備に入る様にしているから妙な事は考えない方が良い」

 

のび太「流石だよ。出木杉君。それだけ対策を練られたんじゃそんな事はしないよ。それに・・・・・」

 

出木杉「それに?」

 

のび太「ぼくは嬉しいんだ。自分の得意分野で真剣勝負が出来る事を」

 

出木杉「その気持ち・・・・・。今なら少し分かる気がするよ」

 

 出木杉が渡した銃を受け取ったのび太。

 

のび太「的はあるかい?」

 

出木杉「あの壁にあるよ」

 

 出木杉の言葉通りに壁には射撃用の的が設置されており見事に真ん中を何度も撃ち抜かれ弾痕が刻まれていた。

 

のび太(出木杉君の射撃は侮れない)

 

 見た瞬間にのび太はそれを悟るも自身も銃を全弾撃った。

 のび太が撃った6発の弾丸は見事に真ん中を撃ち抜いていた。

 寸分違わずに真ん中を撃った事で弾丸がぶつかり合いめり込んでいる。

 それによってのび太はこの拳銃の威力と軌道を正しく認識していた。

 

のび太(これは確かに決闘用に相応しい拳銃だ。相手の命だけを簡単に奪える)

 

出木杉「のび太君。流石だね。まさか的の真ん中を僕の弾痕と寸分の狂いなく当ててくるとは」

 

のび太「いいや。この銃の品質と的にある弾痕の後を見れば容易い事だよ」

 

出木杉(それを容易いと言う君こそ侮れないよ)

 

出木杉「じゃあ勝負を始めようか。お互いにこの部屋の右と左の端に立って合図が来たら早撃ちで勝負をしよう」

 

 そう言って出木杉はのび太に近付くと弾丸を6発渡した。

 

出木杉「弾の入れ方はこうだね」

 

 出木杉は自身の拳銃で弾の入れ方を見せる。

 のび太が天上人の拳銃を扱うの初めてだからこそやり方を見せたのだ。

 親切心ではなく真剣勝負に水を差さない為でもあった。

 

のび太「成程。これで良いかい?」

 

出木杉「ああ。これで準備は万全だ。真剣勝負をしよう」

 

 出木杉とのび太はお互いに部屋の壁に向かう。

 

のび太「ところで合図と言うのは?」

 

出木杉「これだよ」

 

 出木杉が壁際にあるモニターを操作するとカウントが現れた。

 カウントは180秒を表示している。

 

出木杉「このスクリーンに表示されたカウントが0になった時に早撃ちで勝負しよう」

 

 のび太と出木杉の視界にスクリーンのカウントは嫌でも目に写っていた。

 

のび太「分かった。けど一つだけ提案がある」

 

出木杉「何の提案だい?」

 

のび太「この勝負・・・・・。お互いに利き腕を賭けないかい?」

 

出木杉「利き腕?どうしてだい?」

 

のび太「互いに心臓か頭を撃ち抜くのは構わないよ。でも僕はもし僕よりも射撃が上手い相手ならその射撃の腕をしっかりと認識してから死にたいんだ」

 

出木杉「成程。のび太君は僕にそれが出来ると言いたいんだね?」

 

のび太「勿論。出来るよ。本当はやりたく無いけど出木杉君を止める為には命を奪わなきゃいけないかも知れない。出来るならそれを避けたいからこそお互いの最大の武器である利き腕を賭けてみたいんだ。ガンマンにとって利き腕は命と同等だろう?」

 

 のび太の発言は出木杉の想像を超えており一種の可笑しさを生み出していた。

 

出木杉「面白いね。良いよ。お互いに利き腕を賭けて早撃ち勝負をしよう」

 

のび太「負けないぞ!」

 

出木杉「僕もだよ」

 

 のび太と出木杉は微笑を浮かべながらも真剣に互いだけを見ていた。

 既にカウントは10を切っている。

 9,8,7,6,5,4,3,2,1,0!

 

出木杉「!!」

 

のび太「!!」

 

 両者の持つ拳銃から弾丸が一発ずつ発射された。

 

のび太「うっ」

 

 うめき声と同時にのび太は右手に持っていた拳銃をその場に落としてしまう。

 血が流れる利き腕を押さえてその場に倒れかけたがのび太は踏ん張った。

 それは出木杉の早撃ちがのび太より速かったと言う証拠なのだ。

 

出木杉「どうやら早撃ちでは僕の勝ちだったようだね」

 

 出木杉はのび太に拳銃を向けて頭に狙いを定める。

 

出木杉「言い残す事はあるかい?」

 

のび太「あるよ。早撃ち勝負は君の勝ちだ」

 

出木杉「すまないが天上人の為に死んで貰うよ」

 

のび太「でも、試合ではぼくの勝ちだ」

 

出木杉「!?」

 

 その瞬間に出木杉の額に付けられていた金輪にヒビが入ると同時に砕け散った。

 

出木杉「うっ!?のび太君!?君は」

 

 言いながら驚愕の表情を見せた出木杉は倒れて意識を失ってしまった。

 

のび太「ごめん。出木杉君。僕は君を殺したく無かった。だから真剣勝負を捨てて君を助けたんだ。君が決闘用の拳銃をくれたからこんな手が使えたんだ」

 

 のび太の目は壁に付けられた的に向けられている。

 

のび太(早撃ち勝負の時にぼくは出木杉君よりコンマ0・5秒だけ撃つのを遅らせた。計算通りに出木杉君の撃った弾は僕の右腕を貫通した。ぼくは痛みを感じた瞬間に渾身の力を込めて拳銃を的の方に一発撃った。的にはぼくがめり込ませた銃弾が一定の角度で歪んでいた。その歪みに向かって撃たれたぼくの弾丸は跳弾となって出木杉君の額にある金輪だけをギリギリの距離で掠める事で破壊したんだ。完全な博打だったけど・・・・・。ぼくは右腕と引き換えに君を助けたんだ)

 

のび太「ぼくは・・・・・。ぼくは何て酷いヤツなんだ。真剣勝負を汚す事でしか友達を助けられないぼくは酷いヤツだ」

 

 自嘲気味に語るのび太。

 

のび太「でも・・・・・。それでも。例え汚名を浴びせられても友達を助けたかった。それがぼくなんだから」

 

 のび太は右腕を押さえながら部屋を出ようとする。

 右腕からは血が流れ続けている。

 

のび太「出木杉君。後で必ず助けるよ。今度はノア計画を止めないと」

 

 

 

 

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