□13 南極 ハンプトン山 天上連邦秘密基地《レテ》アクセスルーム
《レテ》のアクセスパネルにパルパルが触れた瞬間にアクセスパネル全体が輝き始めた。
そして気が付くとその場にいたパルパル、静香、ドラえもん、、のび太、ズル木とスネ夫は真っ暗な空間に立っていた。
静香「これって」
パルパル「どうやら全天周ホログラムのようね」
その言葉と同時に暗黒の中で地球の姿が浮かび上がった。
ドラえもん「地球!?」
静香「でも変だわ。大陸の形が」
パルパル「これは今から六万八千年程前の地球よ」
アクセスパネルの表示を見てパルパルは語る。
映像は地球の内部へと向かって行く。
未だ狩猟生活を行う人類の姿が見える。
そこへピンク色のガスが突如として流れ込む。
その中から防護服を着た未来的とも言える人々が現れる。
のび太「あれはニムゲ!?」
パルパル「ワープガスを使って地球に来たのね」
ホログラムの中でニムゲたちは地球の動物を次々と捕らえて行く。
更には人類を捕らえて行った。
やがてニムゲは地上に基地を作り人類を使って動物を捕らえる様になっていた。
人類から見ればニムゲは神のごとき存在でありニムゲもその様に振舞っていた。
地上に置いて資源採掘が始まるとニムゲは効率的に地上を支配する為に雲の上に都市を作り上げていた。それが最初の天上州である。
ニムゲは人間に宗教的な観念を与えたからこそ天上より人類を管理していたのだ。
やがて人類の品種改良をニムゲは行った。
ニムゲやネアンデルタール人、デニソワ人と言った人類の近縁種からDNAを抽出して人口子宮を使い品種改良した人類を量産して各地に定住させた。
この時代、人類の数は地球環境の激変によって絶滅の危機に瀕していた。
皮肉にもニムゲの手で品種改良された人類を効率的に量産する事で人類は生き延びたのだった。
一方でネアンデルタール人やデニソワ人と言った他の種はニムゲが価値を見出さなかった為に助けられる事無く絶滅した。
天上世界に住んでいたニムゲの人口もそんなに多くは無かった。
そこで天上世界においても人口子宮を用いてDNAを組み替えたニムゲが役割別に生産されて行った。
ニムゲは雲の国に天上連邦を創設すると自ら地球管理をする天に住む格上の存在。
天上人を名乗る様になった。
やがて地上との連絡用に各地にタワーを建設させて地上の資源を用いて天上世界を発展させて行った。
しかしそんな天上人への不満を抱いた人類の一部や人類に同情的な天上人が反乱を起こした。
地上にいる人類が天上人への敵意に満ちてしまったのを見た天上人は最初のノア計画を発動した。
大洪水によって全ては洗い流された。
予め保管していたDNAと労働用に最低限残された人類を使い再び人類を生産した。
この前後で人類の品種改良も違ったアプローチが加えられていた。
海底に適応した海底人。
小さな環境に適応した小人族。
風を操る事に特化した風の民と呼ばれる人間も作られていた。
天上連邦は目覚ましい発展を遂げていた。
しかしそれは地上から人類の用いる事の出来ない資源を奪った事による発展とも言えた。
この段階で製造された人間のDNAは未来の計画の為にもニムゲ人の遺伝子を強く持つ様に操作されていた。
逆に天上人のDNAは専門家が調べても地球を祖とする様に操作されて天上人は人工的に製造されて行ったのだ。
時が下り太陽系内に一隻の宇宙船がやって来た。
それは天上人=ニムゲの知らない未知の移民船だった。
移民船に乗っていたのはイヌとネコに酷似したヒューマンタイプだった。
ワンニャン人を名乗る彼らはかつて環境の激変によって移住した伝説の聖地、地球を探しに来たのだった。
これは天上人の間で大問題となった。
もしワンニャン人が地球の先住権を求めて当時既に存在していた星間連合に訴えてしまえば天上人が地球を奪われる危険性があったのだ。
天上人は密かに他の宇宙人と接触して密輸をしていた事で星間連合の存在は知っていたが今の所、存在を知られておらず加盟する事も考えていなかった。
天上人は直ぐに全てのワンニャン人を殺害した。
宇宙船に乗っていた彼らを殺害するのは容易い事だった。
一切の躊躇い無く全てのワンニャン人を死体に変えた。
しかしワンニャン人のDNAだけは抜け目なく採集しコンゴの奥地にあるヘビースモーカーズフォレストの中で品種改良したイヌ人として繁殖させていた。
地球上に宗教や言葉の違い、国家の誕生も全ては天上人の筋書き通りと言えた。
人間同士の戦争も全ては天上人によってコントロールされていた。
海底において繁殖させた海底人がアトランチスとムー連邦に分かれて争うとアトランチスに戦闘用コンピューター《ポセイドン》と鬼角弾の提供を行ったがアトランチスからの過度な要求に業を煮やした天上人はアトランチスを意図的に事故の様に見せて絶滅させた。
それを見たムー連邦は直ちに天上連邦の傘下となった。
天上連邦に従わない地上の国家があれば大雨を振らせて壊滅させる事もあった。
ヘビースモーカーズフォレストでイヌ人の国家、バウワンコ王国を作り天上人に選ばれた王家を経由する事で間接的に支配した。
地底の中で暮らす竜人と天上人は資源調査の際に接触し交渉は決裂するも、どちらも相手を攻撃する決定的な技術を持たない事から政府間のホットラインのみが作られて互いに存在を無視する事で相手を認めていたと言えた。
同じ頃に渡り鳥パトロール隊と接触するもこちらも政府間のホットラインを作り互いに必要以上の接触をしなかった。
この時期に既に天上人は地球上から資源を得る事無く太陽系内で資源開発を進め他の惑星の商人等と星間連合の目を盗んで密輸を行う事で銀河情勢を探っていた。
更に天上連邦の属する太陽系は銀河系で見れば宇宙の僻地であり未開拓領域も無数に存在していた。
そうした未開拓領域にある地球型惑星に天上連邦は地球上から無作為に餞別した地上人を別の惑星上で生存と繁殖が可能な環境を整えると他の惑星での人間の養殖を行っていた。
これが太陽系近辺にホモサピエンスと同型の生命体や文化が存在する理由なのだ。
地球は天上人の思うままだった。
新型のウイルス兵器実験の為に疫病が撒き散らされて効果が確認されると他の惑星にウイルス兵器として売り払った。
その後にワクチンや免疫のデータがあればそれらも売りに出した。
地上人の文明と文明の接触を意図的に行わせて何度も何度も戦争を引き起こさせた。
長引く戦争に乗じて人間を誘拐すると奴隷として他の星に売り払っていた。
そうして地球上の人口を調整していたのだ。
これは特にヘビースモーカーズフォレスト内で過ごすバウワンコ王国には有効だった。
ヘビースモーカーズフォレスト内部で王国が外部進出を計らずに続いていたのは天上人の干渉と村人を村ごと連れ去る事による人口調整と脅迫があったからだった。
勿論、連れ攫われたイヌ人は奴隷として他の星に売られていた。
更に時代が進み近現代となると地球上の全ての国家を初めとした全ての組織が天上人のコントロール下に置かれていたのだ。
地上における通信網の発達が皮肉にも天上人の支配をより強めていると言えた。
第一次、第二次世界大戦の時期には宇宙に置いても兵器や奴隷の需要が高まった時期であり天上人の商売の為に引き起こされた戦争だった。
冷戦の時代に国家間で核兵器の製造競争をさせたのは他の惑星に出目不明の核兵器として売りさばく為だったのだ。
他にも地球上で作られた麻薬も宇宙に密輸されていた。
地球製の麻薬は宇宙でも裏ルートで人気の商品となっていた。
地上人で優秀な子供がいれば名誉天上人として保護と称して天上連邦にアブダクションして洗脳教育を施した。
そうした中で天上人は地上人の新しい品種改良を行った。
宇宙においては珍しくも無い事だが超能力を持った地上人の製造も行われた。
それらはサンプルとなった地上人の夫婦が妊娠している胎児に秘密裏に遺伝子操作を行うと言う物だった。
無作為に行われた実験によって超能力を持った人間が何人か誕生したが実戦的な能力を得るには至らなかった。
最も天上人が手を下さなくとも超能力を持った人間は生まれていたのだが。
未確認ではあるが佐間丘陵と呼ばれる場所で超能力者の少女が存在していたらしいが天上人にもハッキリとした確認は取れなかった。
地上人の品種改良には別のアプローチも存在しておりUSD=ウルトラスーパーデラックス細胞と言う理論上は人間を超人に変える細胞を使った実験も行われたが成功はしなかった。
USD細胞の実験は別の惑星にて行われる事になったが成果は未だに報告が無い。
地上人が行う環境破壊を天上人は意図的に放置した。
その際に出て来る汚染物質にも毒としての価値があったからだ。
同時に地上人が如何に愚かかという事を天上人社会に知らしめる事になった。
その時、地球に植物星の植物星人が来訪。
彼らは植物を救う為にノア計画に近い事を地球で試みていた為に天上人と共同での計画を進めようとするも植物星人達は突如として本星に帰還してしまった。
その後、天上人は星間連合と正式に接触して地球代表として星間連合への加盟を行おうとした。
しかし本来であれば星間連合に加盟する為には惑星を統一、もしくは完全に統治下におき地球の総人口の8割が賛成する事が必要だった。
地球上の総人口の天上人が占める割合は一割に過ぎなかった。
これでは本来加盟は出来ない筈だった。
しかし長い年月をかけて作られた宇宙密輸ルートを用いて入手した多額の資金と他の惑星との交渉ルート。
更には各地にばら撒いた出目不明の麻薬と核兵器、奴隷としての人間。
そうした巨額の利益を背景とする事で天上人は星間連合に加入する事に成功した。
加入と同時に様々な惑星に天上人は移民政策を取った。
それは様々な惑星に工作員を派遣する事で新たな密輸ルートを探す為でもあった。
工作員の偽装工作として天上連邦を上げてのリサイクル事業を始めていた。
また天上人の移民多い理由作りとして意図的に地上人に環境破壊をさせていたのだ。
環境を破壊しない発明や地上人の方針は天上人が妨害していた。
環境破壊と天上人にとって都合の良い方針のみが地上人に許された暮らしだったのだ。
やがて再び地球上に人口が増え過ぎた為に再び天上人はノア計画を進めようとした。
増え過ぎた人間や動物は他の星へ売り飛ばして最低限の能力を持った人間は地上の再開発に用いようとしていた。
救い出す価値の無い人間や動物、植物は捨て置かれて地上の養分とされる筈だった。
だが地上人が雲の王国を作り出した事により事態は急変し天上連邦政府はノア計画を速めようとしていた。
しかし地上人の抵抗と犠牲的な行動。
更には保護した動物達やドンジャラ村の人々の反対意見。
特にドラえもんの自己犠牲的な行動は盲目的に政府に従っていた天上人にとって衝撃的な物だった。
これを見て本当にノア計画をすべきかと天上連邦議会に動揺が広がる中で植物星大使であるキー坊大使によってノア計画を実行した場合、余りの非人道的な行動から植物星や他の惑星における天上連邦の移民の強制送還もあり得ると星間連合からの通達を下して来たのだ。
天上連邦政府は現段階において星間連合を敵に回すリスクを冒す事は出来なかった。
ノア計画が中止されたのはそれが原因だったのだ。
だが天上連邦議長が率いるタカ派(過激派)はそれで納得はしなかった。
天上連邦の人々は少しずつ植物星の衛星に移民して行ったが、絶滅動物保護州と第2エネルギー州と中央州は残されて運用が続けられていた。
ドンジャラ村や絶滅動物を地上に降ろすのは危険と判断されたからだ。
残された中央州を隠れ蓑に天上人のタカ派(過激派)は動き出したのだ。
新たなノア計画を進める為に。
地上で紛争と環境破壊を促進させて。
雲の王国の崩壊が新たなノア計画を速める手助けとなったのだ。
気付くとそこは元のアクセスルームだった。
静香「今のって・・・・・・」
のび太(そっか。だからバウワンコ王国の犬人とワンニャン国の犬人は酷似していたのか・・・・・)
パルパル「どうやら私たちは《レテ》の持つ記録を見せられたようね。でも・・・・・」
ドラえもん「でも?」
パルパル「この記録は肝心な部分が抜けているわ。どうして天上人、ニムゲ人が地球に来たのか肝心な理由が抜けているわ」
ズル木「その通りだね。クックックックック。お陰で貴重な物を見せて貰ったよ」
咄嗟にズル木に空気砲を向けるのび太。
ズル木「おっと。野比君。君は丸腰の相手を撃つのかい?」
スネ夫「・・・・・・・・」
のび太「・・・・・・・」
答えないのび太だがズル木から空気砲の照準を外さなかった。
ズル木「ふっ。用心深いね。けどここからだよ。本当に大切な事は」
ドラえもん「えっ?」
その時《レテ》のアクセスパネルに設置された大画面に無数の数字が表示された。
ズル木「やはり出たか。ボクが探していたのはこの数字だよ」
ドラえもん「この数字・・・・・。見覚えがある様な」
ズル木「天上人の故郷、惑星ニムゲに向かう為のワームホールの座標だ!ボクはこれを探していたんだ!」
パルパル「探していた!?」
ズル木「今こそ天上人は過去と決別すべき時。惑星ニムゲを破壊して地上人を粛清するのだ!」
□14 バードピア 中央塔政府庁舎 会議室
ドラえもんのび太と翼の勇者たちより
会議室にはオオタカ総理と渡り鳥パトロールの長官であるイカロス、それとオブザーバーとしてホウ博士が難しい顔をして同席していた。。
オオタカ総理「通信を繋げ」
通信士「了解」
オオタカ総理に命じられて壁際で待機していた通信士が通信を繋ぐと会議室に設置された巨大なモニターに通信相手が表示された。
口元以外は隠して頭にアンテナの生えているヘルメットを被った天上人の姿が映された。
グリオ「私はグリオ。天上連邦の代表である。以前も通信した様にジーグリード長官と話がしたいのだが」
オオタカ総理「ジーグリード前長官は更迭された。話は私が聞こう」
グリオ「更迭!? ・・・・・・。では聞こう。ジーグリード長官と共同で進めていた鳥類移送計画の事は知っているのか?」
オオタカ総理「・・・・・。前長官の更迭後に資料を発見した。しかし・・・・・。君達天上人は本当にノア計画を進めるつもりだったのかね?」
グリオ「当然だ。地上人の行動の結果として地球の環境は破壊されている。鳥類だけではなく全ての動物たちの為にもノア計画は行うべきなのだ!」
ホウ博士「何を言っておるのだ!ノア計画など本当に行ったら地球の生態系はメチャクチャになってしまう!」
グリオ「我々は既に準備を終えている。あなた方も鳥類が大事なら我々に協力すべきでは?一匹でも多くの鳥類を救う為に」
オオタカ総理「くっ・・・・・・」
イカロス長官「騙されてはなりません!総理!」
イカロス長官「私にはこの様な人物と交渉する事は無いと断言できます」
オオタカ総理「イカロス」
グリオ「貴様!何が言いたい!」
イカロス長官「グリオさんだったな。あなたは耳心地の良い事しか言わん。それにノア計画を行えば確実に取りこぼされる存在が出て来る。違うのか」
グリオ「どんな物にも取りこぼしはある。仕方の無い事だ!」
イカロス長官「違う!そんな事は断じてない。そして貴様はウソを付いている!」
グリオ「何を」
イカロス長官「前長官の腹心だったバビロン前隊長から聞いているぞ。貴様たち天上人は鳥類をバードピアへ移送完了後に超空間ハイウェイを閉じようとしていたな」
グリオ「!!」
イカロス長官「その為にバードピアにある超空間技術を欲したのだろう。鳥類全ての移送完了後に超空間ハイウェイに関する技術の提供を約束していたな」
グリオ「だから何だと言うのだ!」
イカロス長官「それだけでは無いだろう。人間を憎むジーグリードの為に人間狩りを提案して来たようだな!」
グリオ「ほう・・・・・。そこまで知っているなら話は速いではないか。君達も地上人を憎んでいるのだろう? ジーグリードに変わって君達が我々と取引をすればいい。君達だって人間狩りを楽しみたいだろう?」
グリオの顔に下劣な笑みが浮かぶ。
ホウ博士「見損なうでない!我々バードピアの住人は天上人と違い地上人を信じとる!」
イカロス長官「そうだ。私は知っている。地上人にも類まれな勇気を持った勇者と呼べる者たちがいる事を!」
イカロスたちの脳裏にはかつてバードピアを救ったドラえもん達5人の来訪者の姿が浮かんでいた。
グリオ「それがバードピアの返事か」
オオタカ総理「そうだ。我々は天上人には与しない」
グリオ「なら地上人を制圧したら次はバードピアだと言う事を忘れるな!」
そう言ってグリオは通信を切った。
オオタカ総理「やはり人間との戦いは避けられないか・・・・・」
ホウ博士「総理。彼らは天上人です。自分達は人間では無いと主張していますのじゃ」
イカロス「とにかく超空間ハイウェイの警戒を強めましょう。それに・・・・・。天上人は信じられませんが私は信じられる地上人を知っています」
ホウ博士「そうじゃったのう」
イカロス「彼らならきっと・・・・・」
その頃、渡り鳥パトロール隊の隊長グースケは幼馴染のミルクとトマリギと言う巨木の枝に座って渡り鳥の通る超空間ハイウェイの様子を見ていた。
ミルク「どうしたの?グースケ」
グースケ「何か超空間ハイウェイの様子がおかしい気がするんだ。それに・・・・・」
ミルク「それに?」
グースケ「何か変な感じがするんだ。のび太君たちは大丈夫かな?」
ミルク「大丈夫に決まってるじゃない!だってあの人たちだって勇者なんでしょう?」
グースケ「そうだ。彼らも伝説の勇者イカロスが認めた人間とネコの勇者なんだから」
佐間丘陵はエスパー魔美の地名であり、言及された少女はエスパー魔美その人かも知れません。
USD細胞はもしかしたら・・・・・。
ウルトラスーパーデラックスマンに・・・・・。