□17 南極 ハンプトン山 天上連邦秘密基地
ドラえもん、のび太、静香、パルパルの4人はジャイアンの閉じ込められている地下格納庫へとエレベーターに乗って向かっていた。
のび太「ジャイアン。待ってて」
ドラえもん「のび太君。でも気を付けないと」
静香「出木杉さんがわざわざ教えったって事は」
パルパル「確実に罠だと思うわ」
のび太「それでも友達は絶対に助けないと」
ドラえもん「のび太君らしいね」
静香「のび太さん」
パルパル(いいチームワークね)
エレベーターは直ぐに地下に辿り着いた。
地下フロアには最低限の電灯しか付いてなかった。
パルパル「地下牢はこの先よ」
案内用のディスプレイを見てパルパルは一つの方向を差す。
のび太「急ごう!」
パルパル「慎重に進みましょう」
早歩きで進みながら曲がり角に敵がいないかチェックしながら進んでいた。
静香「パルパルさん。こんな時に聞いて良いのか分からないんですけど・・・・・」
パルパル「なに?」
静香「出木杉さんが名誉天上人って言うのは・・・・・・」
パルパル「恐らく事実でしょう。天上連邦では地上人でも優秀な者がいれば名誉天上人として迎え入れていたのだから」
のび太「それって出木杉の両親は」
パルパル「恐らくは監禁したか人質に取ったか。天上連邦では昔から同じ事を行っていたわ。優秀な名誉天上人候補を守る為だと言って」
静香「そんな。酷い・・・・・」
パルパル「でも出木杉さんは恐らく洗脳されているわ。あの頭に付けている金色のリング。あれは最近、天上連邦で兵士の思考を一定に統一する為に作られたリングよ。それに出木杉さんはつい最近まであなた達と一緒にいたんでしょう?」
のび太「確かに学校には来ていたよ」
パルパル「そんな短期間で洗脳教育は出来ないからきっとリングでコントロールしているのよ」
ドラえもん「だとしたらスネ夫はどうして・・・・・」
パルパル「確か彼は骨川スネ夫と言うのよね?」
のび太「そうだよ」
パルパル「骨川と言えば天上連邦の地上工作を行うグループがボーンリバーグループと言うわ」
静香「それって・・・・・・」
のび太「えっ?どういう事?」
ドラえもん「ボーンは骨。リバーは川と言う意味の英語だよ。つまり」
のび太「ボーン。リバー。えーと」
静香「骨川・・・・・」
のび太「じゃあスネ夫は・・・・・・」
パルパル「天上連邦から援助を受けている工作グループの子供なのかも知れないわ。着いたわ」
パルパルが壁際にある扉の前に着くと操作盤を操作すると直ぐにドアは開いた。
そこには牢屋があり中にはジャイアンが拘束されていた。
ドラえもん「ジャイアン!」
ジャイアン「気を付けろ!」
そこへ牢の奥から一人の下級天上人が武器を手に飛び出して来た。
下級天上人「・・・・・・・」
のび太「下がって!」
皆を下がらせるとのび太は咄嗟に下級天上人の被るUFOの様なヘルメットに向かって空気砲を命中させた。
下級天上人のヘルメットは撃ち所が良かったのか破損して下級天上人の素顔が露わになった。
パルパル「えっ!?」
ドラえもん「まさか」
のび太「タガロ君!?」
ヘルメットを破壊された下級天上人の顔はかつて天上連邦から逃亡を試みて連れ戻されたタガロだった。
のび太「タガロ君がどうして!?」
パルパル「確か口止めをした上で地上に帰したって聞いていたんだけど」
ジャイアン「おーい!俺を出してくれよー」
パルパル「直ぐに出すわ」
パルパルが牢の外側から電子ロックを外すと牢の入り口が開いた。
ジャイアン「じゃあこれも外してくれよ!」
ジャイアンが背中に回っている手に付けられた手錠を示す。
パルパル「待ってて」
パルパルが操作すると手錠のロックは簡単に外れた。
パルパル「変ね。この手錠。簡単に外れる様になっているわ」
その時、突如として地下牢内部で警報が鳴り響いた。
ドラえもん「これは一体!?」
出木杉スピーカー「どうやら剛田君を助けたようだね」
天上にあるスピーカーから出木杉の声が響く。
静香「出木杉さん!?」
のび太「もうこの基地にいないんじゃ!?」
出木杉スピーカー「確かにこの基地にはいないよ。今はこの基地の上空にいるよ」
パルパル「この警報は何なのかしら?」
出木杉スピーカー「それは僕の仕掛けたトラップが発動したんだよ。剛田君の手錠を外すと発動する様にしていたからね」
パルパル「トラップですって?」
静香「きゃっ。急に毛が逆立って」
のび太「うわっ!?急にバチって」
ドラえもん「まさか」
出木杉スピーカー「この基地全体に帯電させて静電気を発生させやすくしたよ。それに天上連邦の技術によって基地内部に雷が発生しているね」
ドラえもん「まずい!?みんな空気砲を外して!?」
ドラえもんの直ぐ近くで雷が発生して火花が飛んだ。火花が飛んだ後の床は黒焦げだった。
ジャイアン「マズいぞ!当たったら怪我じゃ済まないぜ!」
のび太「ドラえもん!何とかして!?」
ドラえもん「これじゃ秘密道具を出せない!?」
静香「そんな!?」
出木杉スピーカー「僕の知る範囲でドラえもん君の道具を封じるのはこれがベストな手段だからね」
スピーカーの音声はそこで途切れた。
パルパル「床も壁も金属よ。このままじゃいつか黒焦げになってしまうわ!?」
ドラえもん「とにかく逃げるしかない!」
のび太「タガロ君を連れて行かないと」
ジャイアン「俺が担いでやる!行くぞ」
ドラえもん、のび太、静香、パルパル、タガロを担いだジャイアンの6人はエレベーターに向かって走った。
雷に当たる可能性はあったが考えてられなかった。
パルパル「そんな!?エレベーターが」
到着した時にエレベーターは既に機能停止してしまっていた。
ドラえもん「他に出口は無いの?」
パルパル「非常階段が向こうのドアに」
だが非常階段のドアの前には雷を発する黒雲が陣取っていた。
静香「これじゃドアを開けないわ」
ジャイアン「ドラえもん!?何とかなんないのかよ!?」
ドラえもん「道具が出せないんじゃ無理だよー!?」
のび太「ぼくたちこれで終わりなのー?」
パルパル(これじゃ使命を果たせない・・・・・・)
絶望する5人の眼前に黄色い光線が横切った。
ドラえもん「これは!?」
??「助けに来たわ!お兄ちゃん!」
光線の中からドラミが雷ステッキを持って現れた!
ドラえもん「ドラミ!」
のび太、静香、ジャイアン「ドラミちゃん!」
ドラミ「みんな!助けに来たわ!速くこっちに」
ドラえもん「みんな!速く光線道路に!」
ドラえもんに先導されてのび太、静香、タガロを担いだジャイアンとパルパルは光線道路を通って南極基地を脱出した。
□18 ピリカ星 首都ピリポリス近郊 特別刑務所
ドラえもんのび太と小宇宙戦争より
ピリカ星。
その星には人間に比べると小さな、地球にいる小人族と同じ位の大きさの知的生命体が住む惑星だったが文化レベルは既にワープ技術を実現させ星々の探査を行えるレベルにまで高めていた。
かつてドラえもん達はクーデターによってピリカ星から脱出したパピ大統領に協力して独裁者ギルモアを打ち倒す切っ掛けを作っていた。
その後、ドラえもん達は何度かピリカ星に遊びに行っていた。
特にスネ夫は自身を巨人と驚かれる事を気に入った様子でもあった。
余談となるがドラえもん達が使用したピリカ星の宇宙船を使用した事で地球からピリカ星への間に残された宇宙船のワープの残留物が原因で鉄人兵団は地球の存在に気が付いたとする説も存在する。
地球には天上人が存在しその宇宙船も存在していたが、天上人とピリカ星の繋がりは無かった為に地球とピリカ星の間にある空間に残されたワープ残留物はパピ大統領がドラえもん達に譲渡した宇宙船の物だけと思われる事もこの説の信憑性を高めているが真相は藪の中である。
地球の位置を知る方法など幾らだも存在しているからだ。
その日、ピリカ星にある特別刑務所は上から下まで大騒ぎだった。
ピリカ星の指導者であるパピ大統領がとある人物に面会を求めて訪問したのだ。
この特別刑務所には先のクーデターで失脚したギルモアを初めとした特に政治的に重い罪を犯した者が個々に独房に収監されていたのだ。
なおギルモア元将軍はクーデターの失敗のショックによってボケてしまい完全に正気を失っていた。
今は特別刑務所にある一室で静かに過ごしている。
パピ大統領の入った面会室に一人の人物が刑務官に引き連れられて現れる。
パピ大統領「久しぶりだね。ドラコルル」
ドラコルル「これは・・・・・。まさか大統領が私に面会を求めるとは思わなかったよ」
少し驚いたドラコルルはパピと向かい合う形で椅子に腰掛ける。
パピ大統領「少し瘦せたのかい?」
ドラコルル「刑務所にいれば嫌でも痩せるものさ。貴様も入ったらどうだ?健康には良いぞ。保障しよう」
パピ大統領「既に体験しているから遠慮しておくよ」
ドラコルル「まあ貴様がまた入る事は無いと思うがな」
パピ大統領「早速だが本題に入ろう。君はPCIA(ピシア)長官として様々な調査を行っていた。そうだね?」
ドラコルル「そうだ。確かに行っていた」
パピ大統領「その中には宇宙調査も含まれていたね」
ドラコルル「ああ。宇宙には我々と同じサイズの宇宙人もいれば地球人の様な巨大な宇宙人もいる。それらがピリカ星の脅威となるかどうかを調べるのが私の役目だった」
パピ「星間連合への加盟を反対したのは当時、情報部に所属していた君とギルモア将軍だったね」
ドラコルル「確かにそうだ。だが私が反対したのは情報部が集めたデータを元に宇宙での情勢が不安定過ぎる様に思えたから同じサイズの宇宙人とだけ貿易をすれば良いと考えていた。ギルモアの様にクーデターで自分が権力を得る為ではない」
パピ大統領「君はクーデターの際にギルモア将軍に付いたね。何故だい?」
ドラコルル「星間連合の実情を調べれば調べる程、ギルモア将軍の様な強権を持った指導者こそがピリカ星を守るのに必要だと思ったからだ。つまりは利害の一致だ。それにギルモアは軍需産業と癒着して既に多数の無人兵器を作り上げていた。その状況を知れば、奴にはお飾りの指導者となってもらい私が引き続き宇宙での情報収集をするのが一番効率的だろう。最も地球人のお陰でギルモアと私は失脚してしまったがな」
一通り話してドラコルルは皮肉から来る笑みを見せていた。
ドラコルル「それにしても・・・・・。パピ大統領。貴様は何を知りたいんだ?何か私から知りたい事があるからここに来たんだろう?」
パピ大統領「君は僕を捕らえる為に地球まで遠征した。その途上でも情報収集は怠らなかったんだろう?」
ドラコルル「確かにそうだ。地球への旅の途上には星間連合の関係種族もいたからな。私は部下に命じて様々な惑星や宇宙船に探査球を派遣して様々な情報を集めていた」
パピ大統領「それではこの情報は確かなのかい?」
パピ大統領は机の上に持って来たノートパソコンにあるデータを表示させる。
それを見てドラコルルの顔色が変わった。
ドラコルル「これは・・・・・。確かにこの情報は部下が集めた物だが・・・・・」
パピ大統領「だが?」
ドラコルル「この情報はまだ精査が出来ていない。情報を入手した時はまだ貴様の探索中で私も部下も精査に動く事は出来なかった。だから信憑性に関しては保障が出来ない」
パピ大統領「成程。では精査が出来ればこの情報の信憑性は高まると言う事だね?」
ドラコルル「ああ。だが今のピリカ政府にそれが出来る人物はいるのか?この件に関わっていた情報部の人間は軒並み刑務所にいると思うが」
パピ大統領「ドラコルル。僕と取引をしないか?」
ドラコルル「何?」
パピ大統領「この情報の精査を君が行うのなら君の刑期の減刑をしよう」
ドラコルル「お笑いだな。私がそんな取引に応じると思うのか?どうせ私はギルモアと同じく終身刑だ。何をしても無意味だろう?」
パピ大統領「そうかな?君が協力するのなら情報部にいた君の部下たちの減刑も考えているよ」
ドラコルル「部下の為に私が動くと思うのか?」
パピ大統領「ドラコルル。君は確かに約束を守らない」
ドラコルル「そうだな」
パピ大統領「だがそれは相手が敵であり戦略的に必要だからそうしているだけだ。君は部下への昇進や待遇に関しては約束を守り待遇の改善に努めている」
ドラコルル「それは部下との関係を崩さない為だ。ギルモアの元で情報部の仕事をする為には確かなチームワークが必要だからな」
パピ大統領「だったらその部下たちの為にも協力して欲しい。この通りだ」
パピ大統領は椅子から立ち上がるとドラコルルに頭を下げた。
ドラコルル「大統領が罪人に頭を下げて良いのか?」
パピ大統領「人々にとって必要な事をするのが政治家だと僕は思う」
ドラコルル「・・・・・・・。良いだろう。協力しよう。その代わり条件がある」
パピ大統領「どんな条件だい?」
ドラコルル「情報精査に関しては私一人では無理だ。私のチームと協力したい」
パピ大統領「無論、直ぐに集めよう。人選は君に任せる」
ドラコルル「この精査が終わったら少しは刑務所での待遇を改善して欲しいものだな」
パピ大統領「協力してくれるなら約束しよう。けどドラコルル。妙な事は」
ドラコルル「フハハハハハ。何を言っている?ギルモアが倒れた以上、その腰巾着呼ばわりされている私が何かをした所で国民から支持は得られまい」
パピ大統領「その言葉。信じるよ」
ドラコルル「気にするな。所詮はヒマつぶしだ。終身刑で時間だけはタップリとあるからな」
パピ大統領「ドラコルル。君は今日一番いい顔をしているよ」
ドラコルル「その誉め言葉。素直に受け取っておこう」