□19 南極 ハンプトン山近辺
ドラミの光線道路で南極基地を脱出した一同は一先ずドラミの持っていたカメレオン帽子の中に隠れて地中に潜んでいた。
のび太「ジャイアン。大丈夫?」
ジャイアン「俺は大丈夫だ。スネ夫は?」
静香「ズル木さんと一緒に行ってしまったわ」
ジャイアン「そうか・・・・・」
ドラえもん「それにしてもドラミ。どうしてここに?」
ドラミ「お兄ちゃんのタイムテレビが壊れて声が聞こえないから心配になって届けに来たのよ。それがまさかこんな事態になっているなんて」
パルパル「あの。彼女は」
ドラえもん「ボクの妹のドラミです」
ドラミ「初めまして。大体の事情は知っているわ。私はお兄ちゃん達が南極へ行った後にのび太さんの部屋に辿り着いたのよ。お兄ちゃん達がいないからタイムテレビで過去を見てお兄ちゃんが何処に行ったのか確かめたら南極に行った事が分かったら追って来たのよ」
タガロ「う・・・・・ん」
のび太「タガロ君!」
タガロ「君は・・・・。のび太君!」
のび太「ぼくの事が分かる?」
タガロ「分かるよ。・・・・・。あっ。天上人!?」
タガロはパルパルを見て身構えた。
タガロ「父ちゃんたちを何処にやったんだ!!」
パルパル「まさかあなたの家族は」
のび太「タガロ君!パルパルさんは味方だよ」
静香「そうよ」
ジャイアン「そうだ。俺たちが保証するぜ」
のび太「ぼくを信じて!」
タガロ「のび太が言うなら信じるよ。それに・・・・・。おぼろげにだけどあの基地にいた時の事を思い出して来たんだ。確かあなたは裏切り者の天上人って言われてた・・・・・」
パルパル「信じてくれるのね」
タガロ「うん。ぼくも家族を助けないといけないからね」
パルパル「もしかして家族は人質に」
タガロ「そうです。家族を自由にしたければ部下になれってグリオ管理官が」
パルパル「何て事を・・・・・。それであなたは洗脳されていたのね」
タガロ「あのヘルメットを被ったら何だかの指示する天上人の言う事を聞けばいいやって思えて」
パルパル「それがあのヘルメットの作用なのよ」
ドラミ「それじゃあこれからどうするのかを決めましょう。何が起きたのかは過去だけはタイムテレビで見れるからあらましは知っているわ」
ドラえもん「ざっとこんな所かな」
のび太「再度のノア計画は絶対に防がないと」
ジャイアン「スネ夫の事は俺に任せてくれ」
静香「それにニムゲ星も心配だわ。隣にはアニマル星もあるし」
タガロ「ぼくの家族は北極のノア計画を行うノア州で働かされているんだ」
ドラえもん「ボクらがやるべきはノア計画と惑星ニムゲの破壊阻止か・・・・・。こうなると二手に分かれるしかないなあ」
ドラミ「そうなるわね」
パルパル「私はニムゲ星に行きたいわ」
静香「どうしてですか?」
パルパル「あの天上人の記録には穴があるのよ。どうして地球にニムゲが来たのか分からないわ。だから惑星ニムゲに行く必要があるのよ。惑星ニムゲには何らかの記録がある筈よ」
静香「じゃあわたしも一緒に行きます」
ドラミ「それじゃあ、あたしがニムゲ星まで二人を連れて行くわ。お兄ちゃん。座標を教えて」
ドラえもん「アニマル星の座標だけどニムゲ星は双子星だから問題は無いね」
ドラえもんはドラミにアニマル星の座標を教えた。
のび太「それじゃドラえもん。ぼくたちは」
ドラえもん「北極に行こう」
のび太「その前にさ・・・・・。ドラミちゃん。タイムテレビでこの先の事って見れたりしないの?」
ドラミ「えっ?」
のび太「この先の事が分かればこれからの事が決めやすいと思うから」
ジャイアン「のび太。頭いいな!」
ドラミ「それは・・・・・。出来ないのよ」
のび太「えっ?どうして」
ドラえもん「のび太君。今まで黙っていたけどボクたちの行った25回の冒険は一部を除いて時空における特異点になっているんだ」
のび太「特異点って?」
ドラミ「歴史における絶対に干渉できない点、つまり出来事の事よ。例えば・・・・・。恐竜絶滅や本能寺の変と言った出来事も特異点ね」
ドラえもん「その特異点周辺ではタイムテレビは正常に稼働しないんだ。タイムマシンでその時空に向かう事も難しくなる。それにタンマウォッチや時門、あらかじめ日記と言った一部の秘密道具も機能する事が難しくなる。未来が分からないからこそボクたちは本気で目の前の出来事に本気で取り組めたんだ」
ドラえもんの言葉を聞いてのび太は思い出していた。
のび太とドラえもんは鉄人兵団を誘き出す為に高井山の湖でザンダクロスの通信機を使って誘導信号を送っている間にドラえもんとのび太は鉄人兵団に対抗する為にバウワンコ王国やムー連邦、ピリカ星と連絡を取ろうとしたが出来なかった事。
更にタイムマシンを使おうにも何故か使用出来ずもしもボックスを使おうとしても故障していないにも関わらず使えなかった事が思い出された。
(後で静香がタイムマシンを使えたのは、未来から見て静香の行動が歴史上の事実だったからだと思われる)
のび太「そうだね・・・・・。じゃあこの時間も」
ドラミ「この時間も特異点ね。あたしが来れたのは奇跡と言っても良いわ。時空乱流から生じた現象に阻まれていたんだけど、タイムパトロールとのび太さんの知り合いに助けて貰ったの」
のび太「ぼくの知り合いって?」
ドラミ「それは後で教えてあげるわ。それより早速二手に分かれて行動を開始しましょう」
パルパル「ノア州の構造は分からないけどもし他の州と同じなら司令室を占拠すればそこからコントロールを出来る筈よ」
ドラえもん「早速行こう!どこでもドア!」
のび太「でも北極って言っても広いんでしょ?何処を探せばいいんだろう?」
タガロ「もしかして・・・・・。ガッケルって言う場所にいるのかも」
のび太「ガッケル?」
タガロ「おぼろげに覚えているんだけどガッケルって単語を聞いた気がするんだ」
パルパル「ガッケルって言ったらガッケル海嶺よ!北極にある海底火山の周辺だわ。そこには確か天上連邦の海底火山研究所があった筈よ。恐らくはその上空にノア州はあるのかも知れないわ」
ジャイアン「場所が分かったなら早速行こうぜ!」
ドラえもん「いきなりその場所に行くと総攻撃に合うかもしれないから離れた場所の流氷に行こう」
どこでもドアを通ってのび太、ジャイアン、タガロは移動していく。
ドラえもん「ドラミ。静香ちゃんとパルパルを頼んだよ!」
静香「みんな頑張って!」
パルパル「地球は頼んだわ!」
ドラミ「何が起こるか分からないからテキオー灯を使いましょう」
ドラミたちもテキオー灯を浴びてからカメレオン帽子から出て地上に出た。
ドラミ「宇宙救命ボート!これでアニマル星まで行きましょう」
パルパル「待って!天上連邦が見張っている以上は下手にこの宇宙船で飛び上がったら撃ち落とされかねないわ」
静香「確かこの宇宙救命ボートは脱出用だからもし戦闘になっても」
ドラミ「確かにそうね。何か考えないと」
静香「それなら私に考えがあるわ!ドラミちゃん。どこでもドアを出して」
ドラミ「どこでもドア!」
静香「バレない様に宇宙に行けば良いのよね?それならとっておきの場所があるわ!」
静香がどこでもドアを開くとドラミとパルパルも続いた。
静香「ここなら分からないと思うわ!」
□20 地球 某所 風の民の村 数時間以内
ドラえもんのび太とふしぎ風使いより
その日、風の民の村は大騒ぎとなっていた。
突然、天上人のUFOが村にやって来たからだ。
以前から風の民の村に天上人は定期的に来て長老と何かを話しているが村人は何を話しているのかは知らなかった。
UFOの前に立つ天上人グリオの前には風の民の長老が向かい合っていた。
周囲を囲む風の民の顔も困惑に満ちていた。
テムジン「一体何しに・・・・・」
スン「お兄ちゃん・・・・・・」
テムジン「大丈夫だ。兄ちゃんが付いてる」
テムジン(それにしてもこの天上人って言う連中は一体?前にも村へ来て長老と話していたけど話し合いの内容は誰も知らない・・・・・。けど今回はこんなみんなの前で話をするなんて・・・・・)
長老「・・・・・・」
グリオ「それでは我々には協力が出来ないと言う事か」
長老「全てを風と水で洗い流すなど我らの教義からして許す事は出来ん」
テムジン(全て洗い流すだって!?それじゃかつてのウランダ―と同じ事を!?)
グリオ「だが我々は風の民の存在価値を認めていると言っている。我々に従えばもっと良い暮らしが出来るのだぞ」
長老「我々はそれを望まん。分かっているだろう?昔から我々はそなた達天上人には与しないと。そなた達との争いを回避する為に風使いは外界に出る事を止めて風の大地におるのだろう?」
グリオ「そうだ。だが状況は変わった。我々は全ての地上人を滅ぼす。しかし価値のある地上人に関しては話が別だ。今なら風の民は天上連邦において名誉天上人として迎える準備がある。その風を操る能力は希少な物だ。我々に従え」
長老「出来ん。それにあなたの目には邪気が見える」
グリオ「何だと!?」
長老「そなたは良い事を言っているつもりだろうが、そこには私情がある。それも個人の憎しみがな」
グリオ「貴様に何が分かる!」
長老「ワシの様に年を取って人と関わり続けると心の機敏が見えるものだ」
グリオ「黙って我々に従え!従わないのなら」
??テレパシー(それ以上はやめておけ)
突然周囲の人々の頭に何者かの声、ではない思念が響いた。
長老「これは山神様の声!?」
グリオ「これはテレパシー?まさか」
テムジン「あれは!?」
テムジンが驚愕の表情を向けている草原の奥から巨大なヤクの様な動物が近付いて来た。
??=ヤーク(天上人よ。この地を去れ。風の民は決してお前達に従う事はない)
グリオ「我々が捕獲できなかったイレギュラーアニマルめ・・・・・」
ヤーク(私はお前たちの目的も分かっている。お前たちが欲しいのは風の民の持つ風を操る能力を自分達に取り込む事。同時に風の民の文化を破壊する事も分かっている)
テムジン「何だって!?」
グリオ「動物風情が!」
グリオは腰に付けていた銃に手を掛けようとした。
ヤーク(冷静になれ。周りを見ろ)
ヤークのテレパシーでグリオは周囲を見ると既に多くの風の民がグリオに向けてブンブンと言う風を起こす道具を向けていた。これだけの数のブンブンの風を受ければグリオとて無事で済まない事は確かだった。
グリオ「くっ・・・・・。貴様たちにもいずれは我々が正しい事が分かるだろう!」
グリオはそう捨て台詞を言ってUFOに乗って去って行った。
テムジン「あんなウランダ―みたいな奴が外の世界にいるなんて・・・・・」
長老「テムジン。外の世界の人間もあんな人間だけではない。お前が一番良く知っておるだろう?」
テムジン「!!」
テムジンの脳裏にかつて外の世界から来た5人の姿が浮かんだ。
ヤーク(そうだ。彼らの様な者もこの世界にはいる)
ヤークがテムジンにテレパシーで話しかける。
テムジン「そうだ。のび太達の様な人もいるんだ。そんな世界を見ないで洪水で洗い流すなんて許される筈がない!」
長老「良く言った。テムジン」
ヤーク(天上人の計画を放っておく事は出来ない。これは風の民だけではない。地球に住む多くの命が係わる問題だ)
長老「我々も風の船を準備しましょう」
ヤーク(私も各地にいる友にこの事を伝えよう。彼らも戦ってくれる筈だ)
長老「風の民よ!今こそ再び地球を守る為に我らが立ち上がる時が来たのだ!」