もしもプロメテウスがHUNTER×HUNTERの世界に転生したら… 作:カチコミ侍ニン任にん
原作:HUNTER×HUNTER
タグ:R-15 ガールズラブ オリ主 残酷な描写 アンチ・ヘイト 転生 性転換 クロスオーバー
この話は、本編の主人公である『プロメテウス・バーキュラー』が、『オーバーロード』ではなく『HUNTER×HUNTER』の世界に転移したIFの世界線のお話。
久しぶりの投稿です。ハロウィンとは全く関係ありませんが、生存報告も兼ねて投稿いたします。
——『キメラ=アント』
それは非常に貪欲かつ凶暴なことで、人間界において第一級隔離指定種に認定されている蟻の種族名である。
全体的な生態としてはそこらにいる蟻とそれほど変わらないが、『キメラ=アント』には他の蟻にはない大きな特徴が3つある。それは『摂食交配』という独自の産卵形態と他の蟻にはない『他生物への危険性』、そして圧倒的とも言える『生命力の高さ』だ。
まず一つ目の『摂食交配』について。それは女王が他生物を摂取することで、摂取した生物の‶特徴″を次世代の蟻へと受け継ぐことが出来るというものだ。例として、もしも女王蟻が『蝙蝠(こうもり)』を接触した場合、接触した後に生まれた蟻には蝙蝠の特徴である『翼』や『鋭い牙』、『超音波』などといったものが受け継がれるということだ。
次に二つ目の『他生物への危険性』について。『キメラ=アント』の女王は種の繁栄のため、栄養価の高い生物に目をつけて捕食しようとする傾向がある。それと『他生物への危険性』と何の関係があるのかというと、『キメラ=アント』の女王は餌として気に入った種を積極的に狩る。だが『キメラ=アント』はその圧倒的な食欲によりその種を徹底的に喰い尽くすため、他生物を絶滅させる危険があるのだ。そのことから『キメラ=アント』は、別名‶グルメアント″とも言われている。
そして最後の三つ目の『生命力の高さ』について。蟻などの昆虫類は元々生命力が高いのだが、『キメラ=アント』についてはそれが輪をかけて高い。例を挙げるとすると、身体をバラバラにされたり穴だらけになったとしても、頭部さえ無事ならばその状態で1か月ほどは生きていられるほどだ(再生能力があれば、そこから身体を再生することも出来る)。
そんな危険な蟻『キメラ=アント』だが…………実は、人類にとっては然程の脅威ではない。
確かに『キメラ=アント』は、上記に記された通り普通の蟻とは一線を課すほど危険な生物である。だがそれは、あくまでも‶昆虫類目線″での話。上記の特徴は確かに他の蟻にはない事だが、それは逆に言うとそれ以外については他の蟻や昆虫類とさして変わらないということでもある。大きさは特大でも20㎝程で、硬度は最高でも鉄並み、そして力(パワー)も最大で大型(50㎝)の蟹程度でしかない。仮に人間が『キメラ=アント』に遭遇したとしても、余程の不運やバカでない限りは死ぬことはない(大怪我をする可能性はある)。ではなぜ『キメラ=アント』が第一級隔離指定種に認定されているのかというと、それは‶生態系を崩す″可能性があるためだ。それ即ち、【五大厄災】のように人類に対して滅亡レベルの危険性を与えることはないということである。そのため『キメラ=アント』は危険度が【Bランク】という上位でありながら、それほど危険と認識されていないのである。
————だが、何事にも‶イレギュラー″というものは付き物だ。
そしてそれは、『キメラ=アント』においても例外ではない。
‶それ″は、人間界の外側——世間一般では【暗黒大陸】という場所からやってきた。人間界で確認されている『キメラ=アント』の女王の大きさは、最大でも小動物(約20㎝)ほどしかない。しかし、【暗黒大陸】から漂流してきた『キメラ=アント』の女王の大きさは、驚異の‶約2m″であった。
2mともなれば、鼠や猫、カラスなどの小型動物は勿論のこと、猪や鹿などの中型動物、場合によっては象や熊などの大型動物も狩ることが可能となってくる大きさである。そして大型動物を狩ることも可能ということは…………自然において中型動物に分類される‶人間″を狩ることも『可能』ということである。
……さて、ここ問題だ。もしも約2mの『キメラ=アント』の女王蟻が、他の動物と比べて栄養価が高く数も多い上に比較的楽に‶狩る″ことができる『人間』という存在を知れば、どうするであろうか?
………
……
…
……答えは簡単である。それは————人間を‶積極的″に狩り始めるのだ。
そしてそれは、不幸なことに現実のものとなってしまった。
【暗黒大陸】から漂流してきた女王蟻は、人間界にある『ミテネ連邦』の西端に位置する『NGL(正式名称:NEO・GREEN・LIFE)』という自治国にたどり着いた。『NGL』に流れ着いたことは、女王蟻にとっては最大の幸運であった。その理由は、『NGL』という国の特徴が深く関わっている。
『NGL』とは、表向きは『機械文明の一切を捨てて自然と共に生きる』という意思を持つ人々が集まって出来た人口約200万人の国である。そのため、国民は文字通り自然の恵みと共に生きてるわけなのだが、それが女王蟻にとって有利に働いてしまった。
『NGL』では、『機械文明を捨てる』と書いている通り、機械に関わるものを全て除去してしまっている。テレビや携帯は勿論のこと、冷蔵庫や暖房といった日常家具に加えて、注射器・ペースメイカーなどの‶医療品″や拳銃・爆弾などの‶武器″についてもその内容に含まれる。現に過去には、世界的にとある病気が蔓延してそれが『NGL』で発生した際に、国際医療団の入国を拒否したほどである。自然と共に生きるという意思自体は悪い事ではないが、それは即ち何か『非常事態』が発生したとしても、対応はおろか誰かに連絡をすることすら困難としてしまうということだ。そう仮に……『キメラ=アントの兵隊蟻が、大勢の人間を誘拐した』としても、『NGL』の国民たちにはどうしようもないということだ。
普通の国であれば、人間大の昆虫が集団で人間を攫って行くともなれば解決の有無はともかく、世界中にその‶情報″が拡散されるはずだ。しかし、『NGL』には携帯やネットというものがないため、解決はおろか助けを呼ぶことすらできず、『キメラ=アント』により犠牲者が出続ける結果となってしまった。それでもなお勘の鋭い一部の者たちは、『NGL』の異変を嗅ぎつけて調査及び解決を図ろうとした。
……しかし、その時にはあまりにも手遅れの状態であった。なぜなら、既に人間への被害は千人単位で発生している上に、『キメラ=アント』の兵隊蟻の中に人間並みの知能を持った蟻が既に生まれてしまっているという、極めて厳しい状況であったためだ。しかも知能を携えた蟻が1~2匹という少数ではなく、最低でも30匹以上はいる。その上通常サイズでも危険だというのに、人間大の大きさに加えて知能まで加わっているのだから、正に最悪の事態と言っても差し支えないであろう。
しかし、だからと言って人間側もその様子をただ傍観するだけでなく、『キメラ=アント』に対抗するべく行動をしていた。その対策というのは、『ハンター協会』からの『プロハンターの派遣』である。
『ハンター』とは、怪物・財宝・賞金首・美食・遺跡・幻獣など、稀少な事物を追求することに生涯を懸ける人々の総称。そのため一口にハンターと言っても、 世界の財宝発掘を専門とする‶財宝ハンター″やブラックリストに載っている犯罪者を捕らえることを専門とする‶賞金首ハンター″といったように専門分野の違いによって様々に分かれている。そして『プロハンター』というのは、ハンターの中でも『ハンター協会』が実施する数百万分の一の難関と言われる『ハンター試験』を突破した上で『念』という特殊能力を身に付けた者のことを言い、その2つを取得しなければプロのハンターとは認められない。
そんなプロハンターは元々の身体能力の高さに加えて『念』という特殊能力を有していることもあり、今回の一件の様な特殊な案件に対しての解決にはうってつけの存在である。そのため今回の『キメラ=アント』の一件を耳にした世界の均衡を保つ機関『V5』は、『ハンター協会』に対して『キメラ=アント討伐』を依頼したのだ。『ハンター協会』としても、既にプロハンターの中にも犠牲者が発生している上に兵隊蟻の中に念能力に目覚めた個体がいるとの報告を受けた時点で、『V5』からの依頼に関係なく討伐を計画していたため、依頼に対して直ぐに了承した。
そして元から計画が練られていたこともあり、直ぐに討伐隊が結成された。『キメラ=アント』の中に念能力者がいることや既に『王』が生まれていることもあり、『ハンター協会』もプロハンターの中でも実力者を選りすぐり討伐作戦を実施した。
先に結果だけを述べると——————『キメラ=アント討伐作戦』は成功した。
プロハンターたちにも少ない被害が出た上に想定外なことがいくつも起ることとなったが、最終的には『キメラ=アント』を討伐することには成功した。
————しかし、それはあくまでも‶本来の時間軸″では、の話である。
……世の中には、【パラレルワールド】という概念がある。
【パラレルワールド】とは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指し、【並行世界】、【並行宇宙】、【並行時空】とも言われている。分かりやすく言うと、例えば分かれ道に遭遇した際に仮に本来の世界では‶右″を選んで進んだとしても、‶左″を選んでいた世界があるかもしれないという、『もしかしたら有りえたかもしれない世界』のことを指すのだ。
——これは、そんな数多ある【パラレルワールド】の中にある一つの物語である。
————‶メルエム″。
その名は、本来の世界線においては『キメラ=アント』の女王が生んだ【王】のものである。メルエムは自らが種の全てを託された王であるという自覚と自負を生まれながらにして持っていることから非常にプライドが高く、自身の発言・命令への拒否、偽り、誤魔化しは断じて許さない性格である。生まれた当初は自分以外の全ての生物を「餌」として認識(護衛軍の三人にだけはある程度の仲間意識を持ってはいるが、それでもあくまでも‶配下″としてのみ)していたが、世界征服のための足掛かりとして支配した『東ゴルドー共和国』にて『コムギ』という少女との出会いにより彼は変っていく。コムギと『軍議』という盤上ゲームをしていく内にメルエムの中に新たな思いが芽生え、プロハンター『アイザック・ネテロ』との死闘により己の死期を悟った彼が最後にコムギといつものように『軍議』をしたことで、自身の生まれた意味は『コムギと出会う事』と理解したことで満足そうに死んでいった。
これが、本来の世界線のキメラ=アントの王の物語であった。
——しかし、そんな物語は‶この世界線″には存在しない。
男————『プロメテウス・バーキュラー』は、知らない場所で目を覚ました。
本来の世界線であれば、ユグドラシルに酷似した世界へと転移し自身のギルドハウスで目覚めるはずだったプロメテウス。しかし、ゲームの不具合か、はたまた全く別の原因であるのかは定かではないが、兎に角何かが起ったことにより、彼はこの世界へと転移してきた。
女王蟻の腹を破って出てきたプロメテウスは、自分が現実世界の自室ではなく洞窟の様な薄暗い場所にいることに内心動揺していたが、その動揺も長くは続かなかった。なぜなら、次の瞬間には脳内に自身のモノではない記憶がなだれ込んできたためだ。その記憶の量は膨大であり、常人であれば『ショック死』か『廃人』となってしまうであろう情報量も『キメラ=アント』という超人以上の肉体に加え元々の強靭な精神を持って生まれたプロメテウスにとって、それは少々頭痛がする程度のことであった。
その痛みも、時間が少し経てば自然と引いていった。プロメテウスは脳内に流れて来た情報を整理したことで、自身が所謂『異世界転生』をしたことを理解した。常人であれば自身がその様な状況にあれば困惑するところだが、プロメテウスは異世界転生したこと事態には何ら問題なくむしろそれを内心喜んでいた。プロメテウスとしては現実世界の生活もゲームについても飽き始めていたため、このことは願ってもない事であった。脳内に流れ込んできた人間たちや女王蟻の記憶の中に、自分のいた世界では見たこともない景色や猛獣・珍獣、人種、秘宝などがあったこともその想いを強くさせていた。
そしてプロメテウスはこう決意した、『この面白い世界を精一杯楽しもう!』と。
プロメテウスが内心にてそう決めた後に、周りを見渡した。彼の周りにはキメラ=アントの『直属護衛軍』と『師団長』、『兵隊長』たちが勢ぞろいしていた。実は彼らは女王の鳴き声から『王』であるプロメテウスが誕生するのを察知し、『直属護衛軍』の招集により彼が生まれる直前に『下級兵』以外は全員ここへ集まっていたのだ(プロメテウスは『異世界転生』したことによる興奮で今まで気づいていなかったが)。
そんな『直属護衛軍』と『師団長』、『兵隊長』の者たちは、それぞれが目の前にいる『王』の存在感に釘付けとなっていることで、『女王』と『王』の御前であるというのに跪くこともなく棒立ちとなっている。そんな『直属護衛軍』と『師団長』、『兵隊長』たちは、大きく分けて2つの感情のどちらか(もしくは両方)に胸中を支配されていた。
その2つの感情というのは…………『恍惚』と『恐怖』だ。
前者の方は、『直属護衛軍』と『師団長』・『兵隊長』の中でも雌型か女王への忠誠心が高い者に多く、逆に後者には『師団長』・『兵隊長』の中でも野心や反抗心の高い者・強さに自信のある者に多かった。前者の方を感じた者はプロメテウスの全身から発せられるカリスマ性やその美しい容姿に魅了されており、後者の方を感じた者はカリスマ性以上に全身から発せられる禍々しいオーラとそれによる濃厚な死の幻影により心が折れてしまっていた。
そんな彼らを見回したプロメテウスは、今度は自身の正面にいる女王へと目線を向けた。女王蟻は息子(プロメテウス)を出産した影響で、腹部が破れて臓器の損傷により大量出血していた。いかに生命力が昆虫界でトップレベルの『キメラ=アント』の女王といえども、命の灯があと少ししかないことは誰から見ても明白であった。
プロメテウスにとって母親とは、前の世界で物心つく前に亡くなった女性であり目の前にいる女王蟻ではない。しかし、母親の顔も愛も知らずに育ったプロメテウスは、‶母親″というものに対して特別な感情を抱いている。また、さきほど脳内に流れ込んできた記憶の中に、王(息子)を愛しむ彼女の姿を見てしまったためか、本来なら面白いか好みの身体・性格以外の女性に対して興味を持たない彼が、女王蟻から目を離せなくなっている。
プロメテウスにとってもそんな彼をただ見つめていた者たちにとっても、ただ見つめているだけのその時間は、まるで永久の様に感じられた。
するとプロメテウスに見つめられていた女王蟻が、身体を震わせながら彼へと腕を伸ばしたことで、プロメテウスの時間は戻った。プロメテウスは血によって汚れている女王の手を両手でしっかりと握ると、彼女は電波を用いて脳内へ直接言葉を伝えて来た。
『ああ………っ。良かった………! 私の、愛しい……王……っ。其方が元気に…産まれて、くれて……っ。本当に、良かった………っ!』
プロメテウスは脳内に直接語りかけられるという未知の体験をした。普段のプロメテウスであれば、未知の体験をしたことを喜んだりするはずである。だが、今の彼にはそのことにまるで興味を示さなかった。なぜなら、今のプロメテウスにとってはそんなことよりも、目の前にいる死にかけの女王蟻……いや、今世の‶母親″の方に意識が向いていたからだ。
プロメテウスは女王からの言葉を聞くと、目を少々見開いた後にふっと笑った。そして、優しく彼女の手を包みながら、初めてにもかかわらず女王の様に電波を用いて脳内にて直接言葉を返した。
『っ。…………ああ。あんたのお陰で、こうして元気に生まれることが出来たよ。ありがとうな』
『そうか……そうか……っ。それなら、良かった……! 最早、私に…悔いは……ない…………っ! グフ…ッ!?』
女王はそう言うと、口から吐血した。プロメテウスは目線を彼女の顔から腹部へと移した。女王の腹部から出産により潰れた内臓が千切れて飛び出してきており、とうとう彼女の命が途切れようとしていた。そのことを確認したプロメテウスは、思わず手を強く握ってしまいながらも再び目線を女王の顔へと向けて最後の言葉を聞こうとした。
……実はこの時、プロメテウスには女王を助ける方法がいくつもあった。プロメテウスは気づいていなかったが、何の因果か彼は【ユグドラシル】のゲームのキャラとして生まれており、その所為か【ユグドラシル】にて習得していた【魔法】をこの世界でもそのまま使用することが出来ていたのだ。
しかし、仮にプロメテウスが【回復魔法】を使用できることを知っていたとしても、今回においては使用しなかったであろう。なぜなら、女王は死ぬことを全く恐れておらず、むしろこういう死に方を望んでいたからだ。
『ゴホ…ッ! グパ……ッ!? ハァ……ハァ……ッ! ——其方を、産むことが……出来て……カハッ!? ハァ……ッ。ハァ……ッ! 私は、使命を……全う…出来た……っ! さぁ……早く…出立……なさ…い…。どうか、この世を……統べる、王と……なっ…て…くれ…………っ』
『————ああ、任せろ。あんたが産んだ『王(おれ)』が、世界を統一してやる。だから、安心して逝ってくれ。…………‶母さん″』
血反吐を吐きながら言葉を伝えてくる母親の手を片手でしっかりと握ると、プロメテウスはもう片方の手を顔へと伸ばしてゆっくりと頬を撫でながらそう呟いた。
それを聞いた女王は、安心したかのようにふっと息を吐くとゆっくりと息を引き取った。顔が蟻の形であったため分かりにくかったが、亡くなった女王の表情は正に子を慈しむ‶母親″のモノであった。
プロメテウスは女王が亡くなったのを確認すると、彼女の遺体を横抱きにして持ち上げた。そして、女王を横抱きにしたまま振り返ると、それを黙って見ていた者たちに向けてこう言った。『この城で、最も景色の良い場所は何処だ』と。
それを聞いた『師団長』や『兵隊長』たちは、プロメテウスからの問いに答えることが出来なかった。なぜなら、脳内が混乱していたからだ。『王が誕生する』と言われて『直属護衛軍』に呼び出されたかと思えば、王はとんでもない存在で目を奪われている内に女王が死んでしまった。はっきり言って、彼等は今目の前で起っている状況に脳内の情報処理が追い付いていないのだ。まぁそれ以外にも、『キメラ=アント』の本能として‶下″である彼等が、‶上″である王に声をかけてもいいのかが分からないというのもあるが。
そうして『師団長』・『兵隊長』たちが問いに答えられずに黙っていることで沈黙が部屋を支配していたが、とある人物が返答を口にしたためそれは破られる。
『——私どもがご案内させていただきます、王よ』
『お前らは……』
プロメテウスは声が聞こえた方に顔を向けた。プロメテウスが向けた先にいたのは『直属護衛軍』の3人であり、彼の問いに答えたのはその中で唯一の雌型で猫の特徴を色濃く残した『ネフェルピトー』であった。
そんな『直属護衛軍』の3人は、プロメテウスが自分たちの方へ顔を向けたと同時に跪き、謝罪と共に挨拶をしてきた。
『挨拶が遅れてしまい誠に申し訳ございません。私は『直属護衛軍』のネフェルピトーと申します』
『ネフェルピトーと同じく『直属護衛軍』のシャウアプフと申します。以後お見知りおきを、我が君』
『同じく『直属護衛軍』のモントゥトゥユピーでございます』
『『『今後は我々が王の手足となり、御身の全てを叶えまする』』』
最後は全員でプロメテウスに対して服従の誓いを宣誓した3人。しかし、その宣言を受けたプロメテウスはというと、そのことについて特に反応することなく3人に案内を頼んだ。
『……そうか。それじゃあ案内してくれ』
『『『はっ!』』』
そうしてプロメテウスは『直属護衛軍』の案内の元、この城で最も見晴らしのいい場所まで赴いた彼は、そこに女王……母親の墓を建てた。そしてプロメテウスは、完成した墓の前で合掌しながら改めて心の中で決意した。
『楽しく自由に生きつつも、産んでくれた‶母″のためにも必ずこの世界を統一してやる』と。
そう決意を新たにすると、プロメテウスは立ち上がり『直属護衛軍』の3人を引き連れて先程までいた女王の間に戻った。そこには未だに『師団長』と『兵隊長』の全員が待機していた。そして、プロメテウスが戻って来たのを察知すると、命令されていないにも関わらずその場にいた全員が彼に対して跪いた。先程の出来事で、この場にいる全員がそうしなければならないと強く思ったからだ。
プロメテウスはそれを一瞥した後に、女王が今まで座っていた場所に腰を下ろした。そしてプロメテウスが座ると、彼に侍っていた3人も直ぐそばで皆と同じく跪いた。
腰を下ろしたプロメテウスは、この場にいる『師団長』・『兵隊長』の全員に対して話しかけ始めた。
『俺が産まれるまでの我が母への奉仕、真に大儀であった。よって俺も、お前たちの大義に報いろうと思う。俺はこの城から出て新天地へと赴くが、それについて来るか、ここに残るか、はたまた独立するか。そのことへの選択権を与えてやる。自由に選べ。例えどの選択をしたとしても、俺に敵対しない限りは絶対に手を出さないことを『王』としてここに誓おう』
これは嘘偽りないプロメテウスの本心であった。プロメテウスは脳内に流れて来た記憶を見たため、『師団長』や『兵隊長』たちの中にユンジュやハギャ、ザザンの様な女王に対して忠誠を誓っていない者がいることを知っている。蟻の世界において、絶対的上位である女王に対して忠誠を誓っていないというのは、即刻死刑となっても仕方のない大罪である。
しかし、それはあくまでも『蟻の世界』での話だ。『人間』の特徴を色濃く受け継いだ今の『キメラ=アント』は、もはや‶蟻″ではなく‶人間″……いや、『亜人』と分類した方が正しいであろう。そして、プロメテウスは転生した‶元人間″ということもあり、身体はともかく精神は彼ら以上に『人間側』だ。プロメテウスのいた世界では人間同士の争いなんて日常茶飯事で、彼自身幾つもの策謀や陰謀をしたり逆に受けたりすることは当たり前のことであった。そのため、プロメテウスとしては彼らの中に反意を持つ者がいようとも何とも思わなかった。だってそれがプロメテウスにとっての‶普通″であったからだ。それに彼らに反意があったのは事実としても、最低限女王に‶餌″を運びその身を守ってくれてはいたため、前の世界の人間たちと比べたら大分マシであったことも、彼等の反意に目を瞑る材料となっていた。
そうして彼等に選択肢を与えたプロメテウスだが、ここで彼の予想外のことが起こった。それは『師団長』・『兵隊長』たちの中で城(蟻塚)に残る選択をした者たちはいても、独立する選択を取った者が誰一人としていなかったことだ。プロメテウスとしては、ハギャやユンジュ、ヂートゥ、ザザンあたりと彼らに従う直属兵は自分の手から離れると思っていたためだ。
しかし、彼等のその選択は別に不思議な事ではない。プロメテウスは知らないことだが、彼は誕生の際にその膨大なオーラを垂れ流しの状態であった(今ではオーラをコントロール出来ている)。彼等はそのプロメテウスのオーラを直に受けてしまったことで、その強大さに魅了されたか心が完全に折れていたからだ。これがもしオーラを直に受ける前であればほとんどプロメテウスの予想通りになっていたであろう。
こういったこともあり、残留を選択した者たち以外の全員(全体の8割)が、プロメテウスに服従し新天地へついて行くことを選択した。
こうしてプロメテウスは、大量の配下たちを従えて新天地へと歩み始めた。その歩みは人類にとって、滅亡へのカウントダウンに等しきものであった。
ここから先は、私が勝手に考えたプロメテウスの配下たちの軽い設定となっております。
【設定】
『オリ主』
・名前:プロメテウス・バーキュラー
・性別:男
・種族:キメラ=アント
・階級:王
・念系統:6系統全てに対応
・念能力
➀【全生物の頂天/ワールドディザスター】(分類:強化系)
~動植物を喰らうほど、身体能力とオーラが成長していく能力。
『制約と誓約』
1.自身が喰らう物が何かを知らなければならない。知らないと経験値が得られない(例:名前や種族名など)。知れば知るほど得られる経験値が多くなる。
2.得物を喰らう際にそれを自身で調達(殺害)していた場合は、ボーナスとして50%の経験値を得る。それが念能者である場合、ボーナスとして10倍の経験値を得る。しかし、他者からの援護をもらうと、ボーナスの経験値が得られない。
3.調達(殺害)してから24時間以上経っていると、ボーナス分の経験値が得られない。
➁【淫夢王の契り/メスハオレノモノ】(分類:強化系)
~女性に印(淫紋)を付けることで、性行為の度にプロメテウスと女性の身体能力及びオーラを成長させることが出来る能力。
『制約と誓約』
1.プロメテウスと性行為(セックス)をした上で、雌堕ちした女性にのみ印(淫紋)を付与できる。
2.セックスした回数が多いほど成長の幅が広がるが、念能力の『発』においては成長の対象に含まれない。
3.印(淫紋)の付いた女性がプロメテウス以外の男性と肉体関係を持った場合、即座に女性は死亡しプロメテウスも女性とのセックスにより得た成長分がなくなる。
4.印(淫紋)を付与した女性が死亡した場合も、女性とのセックスにより得た成長分がなくなる。
➂【力が全ての世界/パラレルワールド】(分類:具現化系・放出系)
~念空間を創り、そこに自身と自身の半径10m以内にいる者又はプロメテウスが口頭にて指名した者を強制的に転移させる能力。その念空間の中において、連れてこられた者は『発』を使用できなくなる。
『制約と誓約』
1.念空間にいる間、プロメテウスは念能力を一切使用できなくなる。
2.念空間に連れてこられた者は『発』が使用できないが、それ以外の念能力については使用できる。
3.最大収容人数が10人(プロメテウスを除く)であること。
4.プロメテウスが念空間から脱出するためには、連れて来た相手を殺害するしかないこと。殺害できない場合には、一生念空間から出ることは出来ない。
『オリ主の配下』
◎チセ(『魔法使いの嫁』の『羽鳥智世』が元ネタ)
・性別:女
・種族:キメラ=アント(元人間)
・階級:下級兵
・所属:ネフェルピトー配下の‶宮殿警備兵″
・念系統:具現化系
・念能力
【楽しい動物園/ビューティフルネイチャー】
~自身(一部分のみも可)を他生物へと‶変身″させることが出来る能力。
『制約と誓約』
➀変身する‶動物″を実際に見て触った上で、種族名と特徴を知っておく必要がある(例:犬なら『嗅覚』、象なら『牙』や『長い鼻』のことなど)。『人間』に変身する場合は、『名前』と『性別』、『身長・体重』を含めたその人物の特徴を5つ知っておく必要がある。
➁全身を他生物へと‶変身″させた場合は、能力を解除しない限り他の生物へは変身できない。一部のみであれば、2つの動物に変身することが出来る(例:両手を『烏の翼』、顔を『象』とするなど)。
➂空想上の生物については、『具体的な姿』、『名前』などを含めた情報を最低でも8つ知っておく必要がある。
➃念能力者が創り出した生物については、変身することは出来ない。
◎ヒューリ(『ワンパンマン』の『弩S』が元ネタ)
・性別:女
・種族:キメラ=アント
・階級:兵隊長
・所属:ザザン隊
・念系統:操作系
・念能力
【矛我鞭虫/ラブ・ウィップ】
~念で創造した蟲状の鞭で叩くことで、叩いた相手を操作することが出来る能力。
『制約と誓約』
➀操作することが出来るのは生物のみで、無機物には効果がない。また、念獣についても操作することが出来ない。
➁相手を操作するには、オーラを纏わせた鞭で5回相手を叩く必要がある。
➂鞭のリーチは、通常80㎝(持ち手:30㎝、紐:50㎝)と決まっている。また、紐の部分は伸ばせるが、最長でも5mまでしか伸ばすことができない。また、リーチを伸ばすほど耐久性が低下する。
➃鞭は一度に2つまでしか創造できない。
◎ラモット
・性別:男
・種族:キメラ=アント
・階級: 師団長
・所属:ネフェルピトー隊の‶特攻隊隊長″
・念系統:強化系
・念能力
【相手を憎む自分/ビルドアップ】
~相手からダメージを受けて怒りを抱くことで、自身を強化することの出来る能力。
『制約と誓約』
➀自身を強化させることが出来るが、相手を殺害又は自身の半径50mから逃げられた場合には、強化が解除されてしまう。
➁強化していられる時間は3時間。時間を過ぎれば、1時間の間【相手を憎む自分/ビルドアップ】が使用できなくなる。
➂自身を強化させることが出来るが、自己再生能力を強化して受けたダメージを回復させることは出来ない。
➃ダメージを受けたとしても、怒りを向ける相手が分からないと強化はされない。
➄ダメージ扱いされるのは、身体的ダメージのみである(精神的・社会的ダメージは含まれない)。
◎コルト
・性別:男
・種族:キメラ=アント
・階級:直属護衛軍
・念系統:変化系
・念能力
【殻に籠った雛/ゴッドバード】
~オーラを羽根の形に変えて操作することの出来る能力。また、形どった羽根にオーラを付属することで特殊な効果を付けることが出来る。
『制約と誓約』
➀一度に出せる羽根は500枚。
➁オーラで出来た羽根を自身や他者に付けることで、集合させて空を飛んだり防御したりなどをすることが出来る。
➂羽根自体には攻撃能力が一切ない。また、羽根にオーラを付属させないと硬さは本物と同程度しかない。
➃オーラで羽根を形どった場合、能力を解除しても使用したオーラは戻ってこない。
➄オーラを付属させることで特殊な効果を加えられるが、一つの羽根につき一つの効果しか付属できない。
➅特殊な効果は、『硬化』・『反射』・『接着』の3つである。
◎トゥワイス
・性別:男
・種族:人間
・念系統:具現化系
・念能力
【増え続ける俺/ドッペルゲンガー】
~最大2人まで自身又は他者のコピーを生み出すことの出来る能力。コピー元が念能力者でその能力のことをトゥワイスが知っている場合、生み出したコピーも念能力を使用することが出来る。
『制約と誓約』
➀コピーを作るには、コピー元の精確な情報(名前、身長、体重、体格)が必要になる。また、コピー元の『発』をコピーも使えるようにするには、コピー元の念系統と『発』の能力名を知っておく必要がある。
➁コピーの耐久性が低いこと。一般的成人男性のパンチ一発で崩壊する程度。
➂コピーは60分までしか存在できない。
◎トガ・ヒミコ
・性別:女性
・種族:吸血鬼(元人間)
・念系統:変化系
・念能力
【大好きな貴方に/ウリフタツ】
~他者の血を摂取することで、他者の姿へと変身することが出来る。
『制約と誓約』
➀摂取する血は最低10ml。
➁血の摂取量で変身時間が決まる。10mlなら30分。50ml以上で3時間。100ml以上で24時間となる。
この話を読んで面白いと思われた方は、『高評価』と『感想』、『お気に入り登録』のほどよろしくお願いいたします。
それではさようなら!