スターウォーズ エピソード3.5 ジェダイの逃走 作:壊れゆく鉄球
何回目だろうか、レヴィルは扉をまた開く。しかし、今頬を撫でたのは、蒸れた空気ではなく、熱気を孕んだ外の空気だった。
上から音が聞こえる。上を見ると、ジャバウォックとグリフォンが空中戦を繰り広げていた。グリフォンがジャバウォックの上を取り背中に爪を立てる。グリフォンがレヴィルたちを見た。それのせいだろうか。ジャバウォックも気づき連続で火を噴く。待っていても狙い撃ちされるだけで、先に進むしか道はなかった。
「橋を早くわたるんだ!」
そうはいったものの、火球が橋に当たってしまう。崩れ落ちる前にレヴィルはフォースを使ってアリスを対岸の島に飛ばした。レヴィルが落ちる。レヴィルは落ち付いて橋の木片を足場に次々とジャンプして岸に降り立った。
「さて、あの高さに攻撃するのは不可能。どうするべきか…」
「あなたの言う『フォース』とやらでなんとかならないのかしら?」
「自分が丸焦げになってもいいと言うのならやるけど?」
「人間の焼肉には興味ないの。やめておくわ」
「それはどーも」
こうして話していても火球はやってくる。しかし、レヴィルたちは立て続けにやってくる火球をよける。
ジャバウォックの我慢は限界に達し、グリフォンを振り払い降下してきた。
「変身」
降下してくるの見て取ったレヴィルはタイガに変身し、さらにジャンプして思いっきり蹴りを放った。
ジャバウォックはアリスに攻撃するをやめ、軌道を少しずらしてタイガの蹴りを受け止めた。タイガ本来のポテンシャルに加え、フォースが合わさり威力は格段に上がっていた。
ジャバウォックがうめき声をあげた。
「死人のくせに生意気な…!」
「生きているかなんて関係ない。どんな状態でも全力でやるだけだ」
タイガはデストバイザーを取り出すと、素早い動きでジャバウォックの側面に回り込んだ。先ほどグリフォンがひっかいた部分に当たりをつけて切りかかる。ライトセーバーとは違い、浅くではあるが、確実に傷をつけた。
ジャバウォックが振り向きざまに手をたたきつける。タイガはジャンプして反対側に降り立った。再び切り付ける。今度は確かな手ごたえとともに傷ができる。
ジャバウォックはいらだちの眼でレヴィルを見る。その直後、レーザーがジャバウォックに照射され、その数秒後に爆発した。原因はアリスの『ジャバウォックの目玉の杖』だ。
「私の存在を忘れていないかしら?」
「私もいるぞ!」
上からグリフォンの声が聞こえ、すれ違いざまにジャバウォックにひっかき傷を残した。
「小癪な…!」
ジャバウォックはついに怒った。最初の標的はたまたま目に入ったアリスだった。
ジャバウォックは口を開き火を吐く。しかし、さっきと違ったのは火が拡散したことだった。炎の範囲から抜け出すことができなかったアリスに火が灯る。
「ああああ!!」
「アリス!貴様ァ!」
身体は熱くなるが心は冷静になるように努めてジャバウォックの首に切りかかった。さすがに硬く火花が散ったが、タイガに気を逸らすことに成功した。
タイガがジャバウォックにまとわりついて視線をくぎ付けにする。その間にアリスは火を何とか消し、再び『ジャバウォックの目玉の杖』をジャバウォックに向ける。
当然、タイガもそのことには気づいており、射線上に入らないように飛び回っていた。ジャバウォックが気づいた時にはすでに遅く、再び頭部で爆発が起こった。
ジャバウォックの身体はボロボロになっており、今にでも倒れそうだ。
タイガはそう判断し、デッキからカードを引き抜いた。
《FINALVENT》
手にデストクローを装備して走り出す。タイガが何かをやることに気付いたアリスたちは援護するためにジャバウォックの足や背などを攻撃する。下手に動けなくなったジャバウォックはされるがままだ。
タイガはジャバウォックの顔をめがけてジャンプする。顔の後ろにはデストワイルダーが現れる。そしてタイガはデストクローを、デストワイルダーは手に生えている鋭利な爪を突きだした。
爆発が起きる。
タイガはその中から飛び出てきた。手ごたえはあったが、まだ警戒をしている。
煙が晴れる。ジャバウォックはまだ力尽きていなかった。しかし、満身創痍だ。
「アリス、君が終わらせるんだ」
アリスはうなずき、杖をジャバウォックに向ける。次の瞬間には杖の効果で爆発が起きる。
この爆発でついにジャバウォックの限界を超えた。ジャバウォックが爆発を起こす。そして、その場には何も残らなかった。
「ジャバウォックを倒した。あとは『赤の女王』だけだ」
「そのことなんだがグリフォン、君はアリスを連れて先に『女王の間』に行っててくれないか?」
「どうしたのだ?若き騎士よ」
突如、壁が破壊され粉塵が舞った。煙の中からの強い殺気を感じる。
「新たな敵だ!ここは抑える!早く!」
「わかった!気を付けろ、奴はただものではないぞ!」
「ただものではないやつとは何度も戦っている!」
グリフォンが飛び立つ。そこを『何か』が襲う。レヴィルはライトセーバーを使って『何か』を切り裂いた。
煙が晴れる。最初に現れたのは歩く絨毯のような仮面ライダーだった。しかし、仮面ライダーは突然倒れ、変身が解ける。だが、冷たい殺気はまだ消えていない。次に現れたのは死相の濃い男だった。手にはさっきグリフォンに投げたものと同じものに見えた。
「お前が最後のイレギュラーか……」
「とすると、もうこれ以上現れないようだな。君たちの相手をするのは飽き飽きなんだ」
「おまえを倒せばソラのもとに戻ることができる。これが最後のチャンスだ」
そういって男はまた『何か―――独楽』を投げた。
レヴィルは再びライトセーバーで焼き切る。
「またやるか?何度でも切ってあげるけど?」
「ならこの数はどうだ?」
男―――死郎は先ほど投げたものより大きめの独楽を投げた。そして、独楽に鞭を当てる。すると、大きな独楽はいくつもの小さな独楽へと姿を変えた。
「どんなトリックを仕込んだのかなァ!?」
レヴィルはライトセーバーで防ぎぎることはできないと判断して足元の岩を持ち上げた。
まっすぐレヴィルを狙った独楽たちは、まっすぐゆえに曲がることができずに岩に激突した。
「…なかなかやるな」
「そいつはどーも」
死郎は懐からライダーパスを、レヴィルはデッキを取り出した。
「「変身」」
《HIJACK FORM》
☆
「私不安だわ…。―――彼がいないと言うのもあるけれども…。―――女王と話し合いで解決できないの?」
「言葉と論理だけで邪悪な意思に勝つことは無理だ…。あいつは強い、あまりに多くが犠牲になった。あいつを倒す。それだけが正義だ。この国をこんなにした代償をあいつに払わせるんだ」
「自身ないわ…」
「頑張るんだアリス。ベスト尽くせ。誰もが全力を尽くすしかないんだよ」
グリフォンが諭すように言った。城はもう目の前だ。
グリフォンは城の扉に突っ込んだ。城の階段にはバリケードが張られていたが、空を飛べるグリフォンには意味がなかった。バリケードを乗り越え、奥に進む。
奥の広場には、女王の間へと続く扉とトランプ兵がいた。無視して女王のところへ行って、応援として来られても困る。グリフォンとアリスはトランプ兵を倒すことにした。
アリスの持っている『おもちゃ』には悪魔を呼び出すものがある。文字通り『悪魔のサイコロ』と呼ばれるものだ。
「運命のダイスロール!」
サイコロを3個振るう。ダイスの目の合計は15、ぎりぎりキングデーモンを呼べる目だ。
宙にゲートが現れる。ゲートからアリスの2倍ほどの大きさのキングデーモンが現れた。
キングデーモンは手始めに近くにいたトランプ兵を殴った。3m近くの巨体から放たれるパンチは薄っぺらなトランプ兵を壁にまで殴り飛ばした。当然、一撃でノックアウトである。
トランプ兵がキングデーモンを一番の脅威と認識して攻撃し始める。しかし、あの巨体ではトランプ兵の突きも効果がない。トランプ兵はすぐ反撃を食らった。
キングデーモンが帰るころには、広場は死屍累々となっていた。これで邪魔は入らない。
扉を開けると、そこにはまた扉があった。レヴィルの言うフォースがなくとも、ここに赤の女王がいることがわかる。
チェシャ猫が現れ、申し訳なさそうに口を開いた。
「俺は大胆さとは距離を置いている。溢れる好奇心を用心深さで抑え込んできた。だから長生きできた…。しかし今うそを言って逃げ出したいのを我慢して真実を話そう。君や彼の勇気に敬意を払ってだ。『彼ら』には申し訳ないことをしたと思っている。この世界を救うために、彼の言う『フォースの魔術』とやらを使って魂を引き寄せたのだ。しかし、6つの魂がそろえば残った1人は元の場所に戻れる。それこそ時間や空間を飛び越えて」
「だとすれば残っているのはあと2人…」
「そして君は苦しみを味わうと同時に苦しみをもたらし、悲しみと罪の意識に耐えてきた。しかし、この先さらに苦しい試練が君を待っている。そう、これからもだ。君か赤の女王かのどちらが死ぬまでだ。もとをただせばどちらも同じ…ぎゃッ」
チェシャ猫がつぶされたのは一瞬だった。チェシャの話に夢中になっている間に扉が開き、チェシャをつぶしたのだ。
「赤の女王め…!卑劣な!」
アリスたちは走って扉をくぐる。
女王は部屋の奥に座っていた。女王は顔がひび割れており、足が何本もあった。
「あなた、まるでタコね。いえ、タコの方がまだかわいげがあったかも」
「逆さにしたらイソギンチャクになるな」
「こいつら…!」
女王の怒りの力か、アリスの前の地面が崩れた。直接攻撃するにはグルフォンに乗るしかなくなった。わざわざ直接攻撃する意味はないが。
「アリス、うかつな行動をするな。女王の攻撃手段がわからない」
アリスはとりあえず『ジャバウォックの目玉の杖』を手に取った。女王の顔に狙いを定める。
すると、アリスの身体が宙に浮かんだ。そして、女王のもとへと引き寄せられていく。
グリフォンが空を飛んでアリスのもとに向かう。アリスはグリフォンの身体をつかんで謎の現象から抜け出した。
「今の何だったかしら?」
「わからない…。だが止まっていたら同じことが起きるかもしれない」
アリスは再び女王を狙う。
☆
一方そのころ、タイガは幽気に対して攻めあぐねていた。むやみに跳躍したら鞭や独楽の的になってしまう。また、フォースで飛ばすにしても距離がありすぎていた。
「来ないのか?ならこちらから行く!」
さっきと同じで独楽を分裂して攻撃する。タイガはそれを走って攻撃範囲から脱した。
「やりたくないが、賭けに出るか…」
タイガは思いっきりデストバイザーを投げた。幽気は独楽を投げるが、1、2個じゃびくともしない。幽気は仕方がなく鞭を使ってデストバイザーを叩き落す。
タイガはそれを待っていた。フォース・ダッシュで一気に近づく。
幽気は鞭を振るった。タイガはダメージ覚悟で鞭をつかむ。
「…ッ」
腕に痛みが走るが、我慢して鞭を引っ張った。幽気のもとから鞭が離れる。
フォースでデストバイザーを引き寄せ切りかかった。
幽気はデンガッシャーを巨大な剣に変形させて迎え撃つ。
火花が散る。二の太刀でタイガは横なぎに、幽気は突きを放った。2人の得物の切っ先がぶつかる。
「ここまでできるのか。初めてだ」
「鍛えてますから」
切り払い、タイガはアタロの動きに入る。けん制、ブラフを織り交ぜた派手なものだ。
それを幽汽は正確に見切り、突きを入れてきた。
間に合わないと思ったタイガは膝蹴りでサヴェジガッシャーを振り払った。タイガはやるなと思いつつ体術を加えていく。
徐々に幽汽が押されていく。
そして、幾回もの打ち合いの末、蹴りが幽気の膝に炸裂する。関節をけられ、膝まついてしまう幽汽。
タイガはチャンスだと思いデストバイザーを振り上げた。
しかし、それは幽汽が隠し持っていた独楽によって防がれた。ひるんだすきに幽汽はタイガを切り、蹴り飛ばした。
数mか吹き飛び、距離を離されるタイガ。それを見た幽汽は笑いながらライダーパスを取り出した。
「これで最後だ。ソラのために死ねェ!!」
《FULL CHARGE》
「これはやばいかも…!」
サヴェジガッシャーにフリーエネルギーが集う。そして、地面へ突き立てた。
衝撃波が地表を砕きながら突き進む。
タイガは避けるためにジャンプする。しかし、ジャンプすることを予測していたかのように幽汽は独楽を投げる。
デストバイザーを振るい防御をするが、数に勝つことはできずに墜落する。その先には衝撃波が待っていた。
「あ"あ"!!」
変身は解除されなかったが、デッキにひびが入る。タイガはそれに気づかず、カード抜き取る。
しかし、装填する前に幽汽に顔を蹴られ、倒れたところを踏んづけられた。
「正直に言うと、ここまでやるとは思っていなかった。お前に敬意を払って聞こう。最後に言い残すことはないか?」
「その仮面いいな。おかげで顔色がよく見える」
「ふん!」
「グフッ!」
タイガが皮肉を言うと、そのお返しに幽汽は力を入れて踏んづけた。
幽汽はとどめを刺すためにサヴェジガッシャーを持ち上げる。
振り下ろした瞬間、タイガは起き上がって幽汽のベルトに手を伸ばした。
「貴様、まさか!」
幽汽が気づくがもう遅い。タイガは幽汽ベルトを取り外した。
幽汽の変身が解ける。運がいいのか悪いのか、幽汽の変身が解ける直前にタイガのデッキも割れ、タイガの変身も解けた。
「最後は肉体で勝負か。いいね」
死郎は無言で蹴りを放った。レヴィルは蹴りをいなしパンチを放つ。死郎は受け流しわきに挟んだ。レヴィルはやばいと思い膝蹴りをかます。死郎は片手で抑える。しかし、それは悪手だった。挟まれた手で死郎の頭を掴む。レヴィルは頭突きをかます。頭に痛みが走る。死郎の拘束が解ける。
「第二ラウンドだ」
レヴィルのローキックが炸裂する。死郎が苦痛に顔を変える。レヴィルは死郎に気を向けず殴る。死郎の顔があらぬ方向に曲がる。ほどなくして死郎が力なく倒れた。そして、突如現れた列車が死郎を轢く。死郎の体がどこにもない。
「消えた…。いや、今重要なのはそれじゃない。アリスの怒り?嫌な予感がする」
痛みを我慢してレヴィルは走り出した。
☆
レヴィルが死郎に勝利したころ、アリスたちは赤の女王に対して有効打を出せずにいた。止まったら引き寄せられ、動いたら狙い撃てない。
「アリス!どうする!?このままではジリ貧だぞ!」
「分かっているわ!体だけでなく頭も動いた方がいいんじゃない!?」
アリスはそう言うが策を考えていた。そろそろこの快適な体験にも慣れてきた頃だ。
「グリフォン、女王の上を取って!策があるわ!」
グリフォンはアリスの指示に従って女王の上を取る。
アリスは『びっくり箱ボム』を投げた。おもわず女王はボムをキャッチしてしまう。
「そうよね。私もそうしちゃうわ。グッバイ、クイーン?」
「バカにするなアリス!」
すぐにボムを投げ捨てる。数回バウンドした後に爆発する。爆発の影響で壁にひびが入る、一部が崩れる。そのせいで壁に張り付いていた女王の体勢が崩れた。
「今よ!」
意識が壁に向かった瞬間にグリフォンが急接近し、のど元を切り裂いた。アリスが追加でいくつかボムをくっつける。
数秒後、ボムが爆発し煙が女王を包む。
「やった!?」
煙が晴れるが、そこにはただでさせ異常と言える女王がさらに異様だとを感じた。これで少しはまともになっていればいいんだけど、それはかないそうもない。
「小娘が、我を我をォオオオ!」
さらに正気を失った女王が肥大化する。そのせいで、足場が崩れ女王を中心とした円形のものしか残らなかった。
「なんて…醜い…」
中央の口が開き、何かを吐き出す。でもその正体を確かめる気はない。
「間違っても口の真ん中に行かないでよ!?」
「わかってる!」
口から吐き出されるものだけでなく触手もグリフォンを襲う。
「数が多い!これは籠だ!我々を閉じ込めておくための!動けば動くだけ追い込まれるぞ!」
「止まっても追い込まれるだけでしょ!だったら動いた方が可能性がある!」
―――いや、触手を切るって選択肢はどうだ?
頭に声が響く。しかし、この声は信頼できる男の声だ。
赤い塊が前方の触手を切り裂いた。塊―――レヴィルは華麗に足場に着地した。
「アリス!これを使え!」
レヴィルは道中で見つけた武器『らっぱ銃』を投げ渡す。アリスは見事キャッチし、構える。
「これ使うのに時間がかかる!時間を稼い…危ない!」
アリスの声に反応して後ろを向く。目の前には何かが迫っていた。
レヴィルはライトセーバーを使って切るが、鼻を突くようなにおいがレヴィルを襲った。とてつもなく臭い。
再び女王は吐き出す。
「避けるには数が多いが、切るには臭すぎる。この手は嫌だが…」
《BLASTER MODE》
レヴィルはサイガフォンを取り出しブラスターモードに変形、フォトンブラッドの弾丸を撃ちこんだ。
友の命を奪った道具だ。使うのには抵抗がある。しかし、友の命を救うには仕方がない。無駄プライドで新たな友を殺させるわけにはいかないのだ。
サイガドライバーを腰に巻き、サイガフォンに『3・1・5』と打ちこむ。
《STANDING BY》
「あの男は好きじゃないが力を貸せ、変身」
《COMPLETE》
「う”あ”あ”あ”あ”!」
フォトンストリームがレヴィルを包む。その際、かなりの衝撃が走る。まさに『命を削っている』感覚だ。
フライングアタッカーを操作して空を飛ぶ。感覚はジェットパックを使っているのと変わらない。すぐに操作に慣れた。銃口を女王に向ける。
ズバババとフォトンブラッドが女王に突き刺さる。当たった場所から灰化するが、すぐに再生してしまう。毒よりも再生力が上回っているのだ。
「アリス!こいつを倒すには同時にやるしかない!」
「本当に倒せるの!?再生してるじゃない!」
「
下を指さし、つられてアリスが下を見る。女王がバカでかいせいでアリみたいな大きさに見えるが、足元に白の国の軍人が見えた。
「…もう少し頑張ってみる。あと少しで準備が終わるわ」
「やるんじゃない。やるんだ」
サイガはアリスからつかず離れずの距離でフォトンブラッドを撃つ。結果は変わらないが、女王はサイガに釘づけだった。
「だがこの対応は…自分の事をハエだと思っているんじゃないのか?」
「出来たわ!いつでも撃てる!」
「…そうか」
足元では白の軍隊の結集が終わりつつあった。
「キング!軍の約9割が終わりました」
「そうか我らも彼らために!撃て―――!」
キングを含めたすべての兵士が女王の足元を攻撃する。足元と言うこともあって女王がぐらついた。
「あああああああ…」
女王がぐらつく、足元でやってくれたのだ。サイガは叫ぶ。
「アリス!」
「ええ!」
《EXCEED CHARGE》
フォトンブラッドが銃口に集まる。そして、それは四角錘となって女王に放たれた。フォトンブラッドが女王を拘束する。
「ハーーーッ!」
「えい!」
サイガは蹴りを放ち、アリスはラッパ銃の砲弾を撃った。先にサイガの『コバルトスマッシュ』が通り抜け、貫通した穴の中心で砲弾が爆発した。そこを中心に女王がはじけ飛ぶ。
戦いが終わったのだ。
サイガは地上に降り立った。サイガに続いてグリフォンが着地する。サイガは変身を解いた。
「アリス、おめでとう。これでこの世界に平和がもたらされ…」
「レヴィルさん!?」
レヴィルの体が徐々に灰化していく。
「気にする…な。こいつを使った時点でこうなることはわかっていたんだ」
「でも…!私、あなたにもサトルにもお礼が…」
「もともと我々はイレギュラーなんだ。そうだな。友情の証としてこれを君に渡すか」
そう言ってレヴィルはかぶっていた帽子をアリスにかぶせる。
「強いて言うのなら。自分たちの事を忘れない…で…」
レヴィルは手を伸ばす。アリスはしっかり握り返した。
「ええ!絶対、絶対に忘れないわ!あっ…」
レヴィルの意識が途切れるのと同時に体が完全に灰になる。当然、アリスが握っている部分も灰になった。
「みんな――――」
☆
「さて、夢の話はもう終わりだ。どうだったかな?」
「夢とは思えないほどの臨場感があふれるというか…。なんか『すごい』としか言えません」
「そうか、お茶飲むかい?」
「あ、私がやりますよ」
「すまない」
茄子が立って台所に向かう。ヤカンの取ってに手を触れたとき、レヴィルは「あ」と言った。
「どうかしました?」
「いや、お茶を飲んだら引っ越しの準備の続きをしようってね」
「わかっていますよ。それでどこまで行くんですか?しかもこの時期に」
「この貸家にいるのも申し訳なくてね。大きい家を見つけたんだ。ちょっとした戦闘機が隠せそうなくらい大きいね」
「そうなんですか」
「ああ、そうだ」
そう言って新聞に目を向けた。次のページをめくると、大きな写真に目がいった。その写真には、派手な色の帽子をかぶった少女が写っていた。
つづく