スターウォーズ エピソード3.5 ジェダイの逃走 作:壊れゆく鉄球
しかし完成したのはあくまでも骨組み部分だった。
そこで「肉付け」するための一人としてレヴィルは抜擢されたのだった……
カリカリカリカリカリカリ・・・
『………』
レヴィルは今テストを受けていた。システムを操作して点数を設定すればいいのではないかと開発者の藤堂カヲルに訴えたのだが、彼女は実際に測るのだからいいのだとか言いきられてしまった。そもそもレヴィルは雇われ側なので強く言えないのもあるのだが。
ピピっピピっピピっ
「これで試験は終わりさね。10分ぐらいで入力が終わるから休んでいるといい」
「わかった、博士」
「うぅ~つ~か~れ~た~」
「夕美。飲み物渡すからそのだらしなく机に突っ伏しているのをやめなさい」
ガタっ
「飲み物!?やったー!」
「君は元気だなぁ」
みんなは疑問に思うだろう。なぜここに彼女がいるのか。これはレヴィルが夕美の見聞を広げるためにバイトとして雇っているのだ。…この1件のみだが。
「で、現役の学生としてはここの問題はどうだったのかな?」
「最初のほうは簡単だな~って思ったけど進めば進むほど解けなくなったよ~…」
また突っ伏した夕美みて苦笑する。
夕美から視線を外し、周囲を見る。先ほどまで使っていた机が二組、藤堂博士が座っていた椅子、あと強いていうなれば壁に掛けてある時計か。それしかない。博士はここに戻り試験召喚すると言っていたが、それらしい機械はどこにもない。どういうことなのだろうか。
そのことを考えていると、10分経ったのか藤堂カヲルはすでに部屋に入っていた。
「さて、じゃああんたたちの点数を使った召喚獣を呼び出そうじゃないか。呼び出すのは音声認識にしているさね。起動ワードは『
「わかっ…いやちょっと待ってくれ。召喚を手伝いそうな道具すら見えないのだが?」
レヴィルが聞くと、藤堂カヲルはなにがおかしいのか笑い出した。
「何か変なこと言いましたか?」
「あっははは!いや、そう思うのは当然さね。心配ないさね。床に仕込んでいるのさ」
「「床に!?」」
レヴィルと夕美は声を出して驚いた。さしものレヴィルも床に仕込んでいるとは思わなかったのだ。
「…始めてもいいさね?」
「いいぞ。
「いきます!
二人が起動ワードを言った途端、足元に魔法陣のようなものが現れる。するとその中から二人をデフォルトされたのが出てきた。二人と違うのは頭からは獣耳が、お尻からはしっぽがあることだけだ。
『生物 レヴィル・ヴァスティ VS 相葉夕美
480点 238点 』
「なにこの子達かわいい!そう思わない?レヴィルさん!」
「え?ああそうだな」
召喚獣の格好は、レヴィルのものがジェダイローブに緑色のライトセーバーで、夕美のが花の模様を基調としたドレスで手のひらサイズのスコップを持っている。
夕美は召喚獣を持ち上げて言った。
「本当にかわいいな~この子達。持って帰ってもいい?」
「ふ、フィールドから出ると消えるから無理さね」
あまりのテンションにか藤堂もたじろぐ。しかしレヴィルが注目したのはそこではなかった。ホログラムを
「持ち上げることができるのか?」
「そうさ。でも物理干渉能力を加えると召喚者になにが起きるかわからない。だから今回の実験でそれを調べるさね」
「なるほどねぇ。じゃあ早速始めてみようか。夕美!いつまでも戯れてないで準備しろ」
「はーい」
一瞬シュンとなった夕美だが、意識を切り替えて召喚獣の操作に集中し始めた。
「じゃ、始めてもいいのさね」
「じゃあお先に!やぁっ!」
「……」
夕美の召喚獣がスコップを振って攻撃するが、レヴィルの召喚獣は最低限の動きでよけ、足をひっかけて転ばせた。すると夕美は「いたっ」といい額を押さえた。
「夕美?」
「召喚獣が転んだだけなのに頭が痛いよ~。なんで~?」
「ほう…。物理干渉能力を与えると召喚者自身にもフィードバックするのか」
そう言って藤堂はパソコンに今の出来事を書き込む。その一方で夕美は攻撃をためらっていた。
『生物 レヴィル・ヴァスティ VS 相葉夕美
480点 235点 』
「傷つくのは嫌いだけど、レヴィルさんが傷つくのはもっとやだし…」
「夕美。もしやらなかったらほかの人にこの役割が行くだけだ。それに、自分は痛みには慣れている。大丈夫だ。安心して攻撃してこい」
「う、う~ん…」
「(まだためらうか。優しいのはいいことだが…!)来ないか。ならこっちから仕掛ける!」
「やっ」
レヴィルの召喚獣が殴り掛かると、夕美の召喚獣は反射的にスコップを横凪に払った。平たい部分が顔に当たり、レヴィルの召喚獣が横に少し飛ぶ。
『生物 レヴィル・ヴァスティ VS 相葉夕美
461点 238点 』
(確かに痛いな…。だが言うほどには痛くはない。点数の差なのか?)
「レ、レヴィルさん!?」
「心配するなと言っただろ?対して痛くないよ」
「ほ、ホントに?」
本当だ、と言いながら夕美の攻撃をかすめる程度によけていく。その結果、レヴィルの点数は夕美と大体同じになった。
『生物 レヴィル・ヴァスティ VS 相葉夕美
213点 230点 』
「さて、そろそろこっちからも攻撃をしてみようか…な!」
「わっ!」
召喚獣がライトセーバーで切りかかる。夕美の召喚獣はスコップで受け止めようとする。そこで普段では考えられないようなことが起こった。ただのスコップがライトセーバーを抑えたのだ。
「受け止めた…!?」
「レヴィルさんが止まってる!やぁ!」
「おっと」
ついには押し切られ、はたかれそうになるのをすんでのところで避ける。
「甘い甘い」
「むう。だったらこれでもくらって!」
「おいおいおいおいおい!それはだめでしょう!」
何と夕美は召喚獣に命じて机を投げてきた。レヴィルの召喚獣は横に跳び避ける。机は一回バウンドし、窓を割って外に落ちていった。
「やりすぎだ」
「うん。反省します……」
「博士、まだやったほうがいいか?これ以上やると予想だにしないことが起きるかも」
「いや、十分とは言えないが目標値までは出ているから終わりでいいさね。もう帰っていいさね」
「どうも」
「お疲れさまでした♪」
そう言ってレヴィルと夕美の二人は出ていく。パソコンで先ほどまでのデータを見て思い出す。そういえばまだ召喚フィールドを消していないと。
ヴォン
その背後でライトセーバーの起動音が鳴った。
★
レヴィルが駐車場に着く頃には日はすでに沈み、飛行機のライトが目立つくらい明るさだった。レヴィルが帰ったらEZを磨こうかなぁ、などと考えていた時に夕美が話しかけてきた。
「あのさぁ…レヴィルさん」
「ん?なにかな?」
「ホントに大丈夫なの?えっと…いっぱい攻撃受けてたけど」
「ああそのことか。問題ないって言ってただろ?それに、昔わけわからないでっかい竜に突進された時があってだな。そん時のほうが痛かった」
「竜に?おm{ドッーーーン}きゃう!」
爆発の衝撃で倒れる夕美を支えながらバイクのところまで進む。レヴィルの頭の中にあったのはまず脱出し、夕美を安全な場所まで送ることだった。
「大丈夫か?」
「うん。ちょっと転んだだけだし」
そうか、と返事をしてヘルメットを渡す。夕美がヘルメットをかぶっている間にレヴィルはバイクを起動させる。
「!夕美!早く乗れ!」
「は、はい!」
バイクを起動させた瞬間、レヴィルは何かを感じ取った。夕美は何かただ事ではないと悟ったのか短い返事をしただけですぐに乗る。夕美の後ろを何かが横切った。
「今何かが!?」
「いくぞ!しっかり捕まってろよ…!」
後ろの何かが物陰から出てくる前にバイクを発進させる。後ろから発砲音が聞こえる。
夕美が後ろを見て確認すると、それはバイクに乗った召喚獣だった。
「レヴィルさん!召喚獣が!」
「暴走…?新規技術だからな。否定できないか」
「そんなぁ!」
「振り落とされないように気をつけろよ!」
レヴィルはカーブでさらに90度回転して召喚獣とすれ違い、駐車場の4階まで進む。しかし、召喚獣たちはすぐに追いついてしまった。
夕美はレヴィルが上に進むことに悪寒を覚え、レヴィルに問いかけた。
「まさかこっから飛ぶってことしないよね?!」
「カンがいいな夕美、その通りだ!」
「きゃあああ!」
フォースでうまい具合に柵を曲げ勢いよく飛ぶ。レヴィルの乗ったバイクは建物の屋上に飛び乗り、そこからさらに飛んで地面に着地した。召喚獣たちはその軽さから壁に向かってディープキスをして点数が消し飛んだ。
「ふう…危なかった~」
「まったくだよ!これからはそうゆうの禁止!わかった!?」
「あーわかったよ。なるべくそうならないように気を付ける」
「ホントだよ!?ホントのホントだからね!!」
「はい、そうします」
押し切られる形で同意させられたレヴィルはようやく出口にたどり着いた。夕美を降ろして爆発した研究所の中に入ろうとしたところ、夕美が前に立ちはだかる。
「レヴィルさんどこに行く気なの?」
「夕美…そこをどきなさい」
「答えて」
「ビルに入って取り残された人たちを助けるんだ」
「なんでそんなことするの!?レスキュー隊に任せればいいじゃん!!」
「レスキュー隊が来るのに何分かかる?10分後か?1時間後か!?救助が必要なのは今なんだ。それがわからないのか!?」
「レヴィルさんがやる必要があるの?私にとってはレヴィルさんのが大切なんだよ!?」
「……」
「何とか言ってよ!!」
「…済まない、友よ。当て身」
素早く夕美に近づき首を強打する。力が抜け、倒れる夕美を支えバイクに乗せる。バイクを適当な場所に隠しいまだ燃えている研究所に入っていった。
つづく