スターウォーズ エピソード3.5 ジェダイの逃走 作:壊れゆく鉄球
クイーンを取り返したのもつかの間、アリスが捕まってしまった!
しかし、アリス捜索のために残り少ない兵を割くわけにはいかず議論は硬直してしまう。そこで、レヴィルはアリス捜索の傍ら、アリスが作らなくてはいけない武器『ジャバウォックの目玉の杖』の最後の部品で最も重要なもの、ジャバウォックの目玉を取りに出かけに行くのであった……
「ねえ…勝手に出てよかったの?」
「よくはないだろうが、なにもしなかったら状況は良くならない。むしろ悪くなるほうが多い。そういったときはまずは動かなくてはならない。自分がパダワン時代に学んだことだ。それに、アリス嬢は赤の国へ行く前に白のキングは言っていたらしい。『ジャバウォックの目玉の杖を作らなくてはならない』と」
「そのジャバウォックはここを行ったところにいるの?」
「自分のカンがこの道を進めと言っている。自分はそれに従うだけだ」
そこで会話が途切れる。突然、レヴィルは思い出したかのように声を上げ、東條に問いかけた。
「そういえば君は英雄になりたいと言ってたな。それはどうしてかな?」
「英雄になったら、みんなから好かれるかもしれないから…」
「『みんなから好かれる』か…。トージョー君、英雄になる条件を2つ言ってあげよう」
「…?」
「『英雄になろうとしない』ことだ。英雄になろうとすればするだけ英雄から離れて行ってしまう。そして『無償の善意で動く』ことだ。今まで英雄と呼ばれてきた者たちは、自らの利益のためではなく、他人のために動いた。だから英雄と呼ばれているんだ。…大丈夫か?」
立ち止まった東條は「大丈夫」と言ったが、レヴィルはフォースにより東條の内心が伝わっていた。怒りと困惑だ。レヴィルは東條の肩に手を置いた。
「トージョー君。『英雄になる』というのは目標だ。それではない、死んでもそれだけは譲ることはできないという、いわば『芯』になるものを探すのだ」
「うん…」
そのまま歩き続け、東條の情緒が安定しだした頃にそれは見えた。屋敷だ。燃えているように見えるが、近づいてもそこまで熱を感じない。まるでホログラムだ。
中に入り、周囲を警戒する。レヴィルは腰のライトセーバーに手をかけ、東條はすでにタイガへと変身している。
「おやおや。自らの欲のために戦う戦士と、裏切者の陰謀に巻き込まれた騎士様とは。これは意外なお客様だ」
声は上からだった。上を見上げるとドラゴンが降りてくる。フォースが示している反応はあのドラゴンからだった。
「君がジャバウォックか…。悪いとは一切思わないが君の眼をいただこう」
「できるかな?」
「HAHAHAHA!」
再び上から声が聞こえた。今度はレヴィルに聞き覚えのある声―――サイガだ。
「あの白いの…よっぽど暇なのかな?」
「数時間ぶりだねナイト君。今度は倒させてもらうよ。僕が蘇るためにもね」
「また『蘇る』か…。まさか…いや、よそう。今はこれに集中しないと」
火山の噴火の音だけが聞こえるほどの静寂な場所で、沈黙を破ったのはジャバウォックだった。ジャバウォックがレヴィルたちに向けて火を噴く。レヴィルとタイガは分かれてしまったが、2人は事前に打ち合わせしたかのようにレヴィルはジャバウォックへ、タイガはサイガへと向かった。
「あの白いのはトージョー君に任せて、自分は狩猟にいそしむかな。数年ぶりだ。腕がなまってなければいいが」
「我を狩るつもりか?その貧弱な武器で?」
「やってみせるさ」
ジャバウォックの細長い腕を潜り抜け、ライトセーバーを振るう。腕をもらった、と確信していたレヴィルに衝撃が走った。
「(ライトセーバーが効かない…。確かに以前遭遇してきた生物にそんなものはいた。いや、正確には巨大すぎてほんのちょっとしかダメージを与えられなかっただけだ。こういう手合いは罠を張ってはまるように誘導するんだが…)」
レヴィルの考えがまとまらないうちにジャバウォックの尻尾はレヴィルに迫っていた。
☆
建物の中ではタイガとサイガ、決して出会うはずのなかった二人の戦いが始まろうとしていた。
先に動いたのはタイガだった。支柱の間を駆け巡りサイガへ接近する。サイガはフライングアタッカーをブラスターモードに変形し一撃必殺の弾丸を撃つ。それをタイガはデストバイザーで防ぎつつさらに接近する。
『READY』
接近戦に対応するため、サイガはフライングアタッカーをトンファーエッジに変形させる。デストバイザーとトンファーエッジが交差する。この力比べに勝ったのはタイガだった。トンファーエッジが地面に叩きつけられる。しかし、これはサイガの策略だった。返しの刃でデストバイザーは勢いよく振り上げるが、先に反撃のパンチを2発くらってしまう。サイガはよろめいたタイガを蹴り飛ばす。
「これで終わりだ」
『EXCEED CHARGE』
サイガの身体を駆け巡るフォトンブラッドが右足に集約される。それをファイナルベントに似た『何か』であることを感じ取ったタイガは、カードデッキからカードを一枚装填する。
『ADVENT』
「!!」
突如として現れた背後からの気配に気づいたサイガは後ろに向けてコバルトスマッシュを放った。しかし、気配に頼ったためか、完全には決まらずデストワイルダーは灰化しなかった。
「一度は防いだようだけど、それはいつまで続くかな?」
『STRIKEVENT』
タイガがデストクローを呼び出すと同時にサイガはトンファーエッジを回収する。先ほどとは逆に、サイガが猛ダッシュでタイガに接近する。そして攻撃すると見せかけて側面に飛び込んだ。タイガの武器はその性質上大振りにしなければならず、それを利用し、後ろに回り込んだサイガはタイガを切りつけた。その衝撃でタイガは変身が解けた。
「所詮は人間、これが限界だ」
サイガは変身を解き、男の姿が現れた。男―――レオは指を伸ばし東條を突く。オルフェノク共通の同族を増やす能力『使徒再生』を使ったのだ。指が刺さった場所から灰化が始まる。
「トージョー君!」
ジャバウォックから身を隠すために建物に入り込んだレヴィルは、不運にもあの光景を見てしまっていた。東條に駆け寄り肩を抱く。
「大丈夫か!?」
「レヴィルさん…。僕はいつも中途半端で…英雄に…なれ……」
「トージョー君?トージョー君!?」
無情にも東條は完全に灰となった。灰を握りしめレオをにらみつける。レヴィルの中にどす黒いものが膨れ上がってくる。必死に抑えようとするがこの若いジェダイには無理があった。
「お別れは済んだかな?さあ、ショーの続きだ」
レヴィルは、灰の中からあるものを見つける。だが、この道具を使うには時間を稼がなければならない。そう考えた時にはすでに体が動いていた。
ライトセーバーを投げる。しかし簡単に防がれライトセーバーはどこかへ飛んでいった。だが、このちょっとした時間があればよかった。この
「変身」
身体がタイガの装甲に包まれる。レオも変身してサイガになった。
2人は同時に動いていた。デストバイザーとトンファーエッジが交差し火花が散る。タイガは武器を持っていないほうの手でサイガの腕をつかんだ。つかんだ腕を引っ張りサイガの腹を膝で打ち付けた。腕を離し腹を思いっきり蹴る。
サイガが突きを出してくるが、回転して避け、さらに利用して胴を切る。サイガを吹き飛ばすほどのダメージを与えたもののまだ力尽きていない。
サイガはフライングアタッカーををブラスターモードに変形し外に逃げようとする。だが、それが叶うことはなかった。
『FINALVENT』
「!?」
デストタイガーが再びサイガを引きずる。引きずられ、ダメージを負うがサイガは冷静にサイガフォンをフォンブラスターに変形させて撃った。デストタイガーの拘束が解ける。
フォンブラスターを今度はタイガに向けて撃った。それをデストバイザーで防ぎつつ駆け出す。タイガはタイミングを見計らってデストバイザーを投げた。サイガは三度トンファーエッジにして防ごうとする。それと同時にタイガはフォースを使ってジャンプ、さらにライトセーバーを引き寄せた。
背後に降り立ち、回転してサイガの胴を薙ぎ払った。
サイガの変身が解ける。ライトセーバーをレオに向け、タイガは油断せず手を踏んづけた。
「ショーは終わりだ」
「いや、まd…!」
「いや、もう終幕だ」
レオが最後のあがきとして『使徒再生』をやろうとするが、それに気づいたタイガはライトセーバーで首をはねた。数秒もしないでレオの身体は灰へと変化した。たった一つ、『サイガドライバー』を残して。
☆
外ではついに、アリスがジャバウォックと対峙していた。
「…それはもう夢中だったわけだ」
「やめてーーー!!」
アリスは無我夢中でトランプを投げつけた。しかし、ジャバウォックの強靭な皮膚は傷つかなかった。
ジャバウォックは笑いながら叩き潰そうとする。しかし、それは失敗に終わった。タイガがジャバウォックの手を持ち上げていたからだ。
「銀色の…サイガに倒されなかったのか」
「……」
タイガは無言でジャバウォックを切りかかる。しかし、ジャバウォックには何のダメージもなかった。
ジャバウォックは火を噴く体制に移った。それを見て取ったタイガはアリスを抱えて建物の中に逃げ込む。
「ここは…私の…うっ!?」
「アリス嬢、大丈夫か?君はさっきから乱れているが」
そういいつつアリスにフォースを送りリラックスさせる。アリスは自分のことを話し始めた。この建物は自分の住んでいた家に似ている。私の家族は火事で死んだなどと。
「大丈夫だ。君が助けを求めればちゃんと助けてくれるさ。例えば、彼とかね」
視線の先ではアリスを助けに来てくれたグリフォンがジャバウォックと戦っていた。空中で体勢を整えながら爪で攻撃する。よく見ると、すべてが固いわけではなく、一部やわらかいところがあるようだ。グリフォンはそこを見極めて攻撃していた。そしてついに、グリフォンはジャバウォックの眼球を抉り出した。
「ああ…!目がっ、目がああああ!!」
ジャバウォックは目を押さえて飛び去って行く。タイガは安全を確認し、変身を解いてグリフォンのところへ飛び降りた。
「助かった。それにしてもすごいな、あの硬いジャバウォックに傷をつけるなんて」
「どんな生物もすべてが硬いわけではない。必ずどこかに柔らかい場所は存在する。でなければあの柔軟な動きはできないだろう」
そういってグリフォンはアリスにジャバウォックの目玉を渡す。するとアリスのポケットが光りだした。ポケットから杖が現れ目玉と合体する。ようやく『ジャバウォックの目玉の杖』が完成したのだ。
「杖は完成した。仲間も集まっている。ついに時が来たのだ!赤の女王を倒す時が!」
「すまないグリフォン。このことを白の王国に伝えに行ってくれないか?今の状態なら国王陛下も軍を動かすことに賛成してくれるだろう」
「了承した、若き騎士よ。アリスを護り、先に赤の女王を倒しに行ってくれ」
「わかった。ではグリフォン、フォースとともにあらんことを」
グリフォンは首を傾げ飛び去ってゆく。アリスとレヴィルはそれを見送り、赤の城へ向かった。
☆
「え!?東条君は倒されちゃったんですか?」
「そうだ。戦闘経験豊富な相手だった。純粋に経験の差で負けたのだろう。だがトージョー君の敵は自分がしっかり取った」
「それで、そのあとにアリスちゃんに合流したんですか?」
「ああ。『ジャバウォックの目玉の杖』を完成させてね。ここから赤の国の城に侵入する。さすが本拠地というべきか、敵兵はいたるところにいたんだ」
☆
城壁をライトセーバーで焼き切り侵入する。ここは庭のように見えるが、堀には溶岩のような液体が流れている。ここに落ちたら無事では済まないだろう。
視界にはトランプ兵が1人だけいる。レヴィルは集中してトランプ兵にフォースを送った。するとトランプ兵は頭を掻き、通路の奥へと消えていった。
「ここはジャンプを多く使うけど手を貸そうか?」
「お構いなく。この程度なら飛び越えれますので」
「そう。では自分の後ろに、離れないで」
ジャンプを繰り返し、岸にたどり着く。トランプ兵は奥を曲がったところだった。音をたてないように忍び足で進む。曲がり角で顔を少しだけ出して覗くと、対岸に扉があった。先にレヴィルがフォース・ジャンプで扉の前に降り立つ。次にフォースでアリスを持ち上げ、扉の前まで持ってきた。トランプ兵は最後までレヴィルたちの存在に気付かなかった。
扉を潜り抜けた先は歯車の多い部屋だった。ここは何かの装置を動かすための歯車だろうか?歯車には穴が開いており、奥には同じタイプの歯車と扉がある。通路としても使われているようだ。
歯車は意外と速く、一瞬でもためらえば自分の身体を二分する羽目になるだろう。アリスが1個目の歯車をくぐった時に、防犯システムでも働いたのか、壁が開いて中からドロイドのようなものが出てきた。
アリスが叫ぶ。
「気を付けて!あのロボットは爆発するわ!」
その言葉を聞いたレヴィルの行動は早かった。一瞬にしてライトセーバーを起動して頭と足を切り取った。動けなくなったドロイドは倒れて機能を停止する。
「あなた早いのね?一瞬でロボットがやられたわ」
「一瞬でも遅かったら危ない状況にずっと立っていたからな。いやでも早くなる」
そう言ってもう一つの歯車をくぐる。敵がいないことを確認して先を急ぐ。
その後いくつかの部屋を経由し外に出る。一本道の通路でできていて、多くの敵が待ち構えていた。トランプ兵、イビル・マッシュルーム、多くの敵を切り伏せ次の扉をくぐった。
つづく
ジャバウォックについて
彼なんですが、ライトセーバーが通用してしまった場合一瞬にして消えてしまうので
ライトセーバーだけでなく『熱』に強いという設定にしました。
ですので、肉質によっては刃物を使って倒すことができます。また、爆発物による衝撃でも倒せます。