「先生!大変です!」
「なんだい」
「1時間だけなんか変なことになりました!」
「ざっくりしすぎ。もっと細かく」
「生徒の中の人で変わるそうです」
「つまり?」
プレナパテスは鳴っている携帯を先生に差し出した。
「あーそう言う……イオリからだ。もしもし」
『あーっ!ハビー!なんで1コールで出ないのー!』
イオリか?と思うほどのロリボイスから繰り出される束縛性の強いセリフ。
『あと武器を買いに行こうって言ってるのになんですぐ来ないワケ?』
「それは先生はハビーじゃないからだよ。イギリス育ちの嬢ちゃんなら分かると思うが、人にはどうしようもない急用ってのがある。
君の事は心配だが、それでも今手が離せなくてね」
『そうやって浮気とかしないよね?』
「しないさ。安心して」
『じゃあ待ってあげるからさっさと終わらせてきてね。あ、でも1時間に一回は電話ちょうだい?それなら出来るよね?』
「ああ、約束しよう」
そう言ったらイオリの電話を使った誰かからの電話が切れた。
「あー。そういう……はぁ……」
「まあこれらがひっきりなしにかかってくると言うわけです」
「ひでえなあ……またか」
また電話が鳴る。
次も風気委員、アコからの電話だ。
「スズカだといいなあ……もしもし」
「ようやく出た。僕の電話に気づくの遅くない?」
「すまない、いろいろあってね。書類仕事は君に任せられないから」
「でも僕最強だよ?」
「腕っぷしが強くてもどうにもならないから。とりあえず君の身を案じるわけではないが、しばらく適当な部屋でくつろいでてくれ」
「いいだろう。どうせ僕のところに来るんでしょ?待ってあげるよ」
「ありがとう。恋人をクリスマスに一人で置き去りにしないから」
もう一度電話が切れた。
プレナパテスは気を利かせてココアを先生に持ってきた。
「これ、口に合うかどうか分かりませんがココアです」
「前セリナの漫画で睡眠剤入りのやつ見たからちょっと抵抗あるな」
「睡眠薬は入ってませんよ」
「信じよう」
ココアを先生は飲んだ。
何もないが、とりあえず甘さと暖かさでリラックスはできた。
「ありがとう……また電話だ」
……ミネからだ。正直そんな責任者が変更されてたらとんでもないことになる。
『お竜さんだぞ、いぇーい』
「2/3カルデア出身ってマジ?」
『なんだ。文句あるのか。帝都出身にすれば被らないぞ』
「まるでネタ不足の言い訳だな……んでお竜さん、そっちに坂本龍馬いる?」
『いないぞ』
「とりあえず適当な部屋で1時間ぐらい暇つぶしといて」
『いいだろう』
ガチャ。
お竜さんはかなり良心設計だったようだ。事態が異常なのは理解しているらしい、先生は少し安堵した。
だけど電話は病みやまない。今度は、公衆電話からかかって来た。
「公衆電話からってほんと?ちょっと出るの怖いなあ」
かと言って生徒からだったりすればまず出ないという選択肢はない。
「もしもし」
『ここちょっと寒すぎるのだわ……』
「あー、もしかしてカノンさんですか」
『そうなの。アリウスって場所水着で過ごせない……ミラクルとミステリーの扉とかホーガンブラスターとかで火文明のカード出すしかないのだわ』
「それで何を出すつもりで」
『ニコル・ボーラスとかヴィルヘルムとか鬼丸『覇』を出すのだわ』
「やめてくださいね。とりあえずこっちの者手配させるからそこから動かないでください」
『分かったのだわ……』
ガチャ。つー、つー。
「ごめんサオリとかミサキに連絡して彼女をちょっと安くてもいいからホテルまで持ってくように言ってあげてくれない?お金はシャーレ持ちでいいって付け加えといて」
「既に僕もいるんだし、追い返さなくてもいいんじゃない?」
「ほら、急だとちょっと大変だから監視できるところに置いとかないと」
「賢明な判断だね」
書類にハンコ押したりサインしたりしてる金髪のお兄さんも頷いている。
連絡自体はプレナパテスがやるようだ。先生はそのまま、鳴り止まない電話の相手をし続ける。
「今度は……ああ、ヒマリ?なんかもう読めたぞ」
『ではピザを貰おうか』
「やっぱりか。あとごめん、ピザはあげれない」
『随分とケチな男じゃないか。財布の紐を少しくらい緩めてくれてもいいだろう?』
『あんまり無茶を言っちゃダメだ。相手の……先生?だって忙しいんだから』
『そうは言ってもお前だって腹が減ってるじゃないか』
『それはそうだけど……』
お腹を空かせているのは流石にまずい。
「分かった、ピザを頼んでおくようにC&Cっていうメイド軍団に頼んでおくよ。その人達から貰ってくれ」
『本当にいいの?ありがとう、先生』
『急な心変わりじゃないか。誰かにギアスをかけられたのか?』
「飯ってのは大事なんだ、どこに行ってもね。じゃあ、出来る限りその部屋から動かないように。安全のためだから」
そう言って電話は終わった。
騒がしい。何度も電話が掛かってくると、精神が結構摩耗する。
それでも電話は鳴り止まない。
「今度は……ああ、イズナからか。イズナ……いやまあまともだといいなあ。もしもし」
『ああ、もしもし。先生の電話で合っていますか?』
「もちろん。そちらは……どちら様?」
『私はブローニャ・ランド。困った時にはこちらに、とあったので』
「はい、困り事はこちらでお受けしますが……今お困りなのは多分飛ばされて来た事ですか?」
『そうなの。いきなり飛ばされたのに少し驚いてしまって……それだけなら安全な場所に待機すればいいのかもしれないけど。どこで待った方がいいとかは?』
「今いる場所でのんびりしててください。そのうち帰れます」
『幸い一歩も動いてない。良かった。
あともう一つ、相談してもいいかしら』
「はい?」
ブローニャと名乗る人物は、相談をする。
『声が姫子さんと似てる人も一緒に飛ばされて来たらしいのだけど、あまり迂闊な行動はしないようにと注意した方がいいかしら』
「分からないものは触らないで置いといた方がいいでしょう。ちなみにその方は何を?」
先生が聞くと、彼女はその問題の人物のセリフを盗み聞けるようにした。
『いいですか?いい花嫁になるには恋人の心を読み取り、揚げ物で逆兵糧攻めをして、弱ったところをロマンティクスするのが一番ですわ』
『じゃあ先生にそれやれば!』
『多分イチコロですわ』
「ラクスかぁ……ごめんなさいブローニャさん、少女にそんなこと吹き込まないように伝えてもらえるかな」
『分かった。では、一度切るわね』
「何かわからないことがあったら聞いてください。では」
電話は切れた。
「随分丁寧な対応をしたではありませんか」
「丁寧な対応かなあ。フランクになれなかったの間違いな気がするけど」
「あれ?そういえばアリスちゃんは無事かい?」
金髪のお兄さんはそう言って、出口の方を見た。何か音が聞こえてくる。
プリズムヲー……と、微かに聞こえて来た。
「ねえあれ誰か一撃決められてない?」
「決められてますね一撃」
「様子見に行った方がいいんじゃないのそれ」
「ここのキヴォトスだと一撃はノーカンだから」
「と言うよりリメイク版の方ですよね、あの人のさつきって」
そんな話を男達はしている。アリス(?)が暴れているうちに、先生にプレナパテスは質問した。
「そういえば先生も変わらないんですか?」
「そりゃ今まで通り異形だったり女だったりする先生もいるわけで、自分もそう言う形の一つにすぎない。ま、それでも魅力が有り余るってことは先生そのもの事態がニャルラトホテプみたいなもんさ」
「いやー折角ならモゼとか銃の悪魔になるのかなって」
「モゼはともかくとして銃の悪魔呼びはライン越えじゃない?」
「私はまだ声ついてないのでそれと比べたらマシですよ。ま、ZONEみたいになってそうですけど」
そんな男三人は、ついに鳴り止んだ電話を見つめる。
_____プレナパテスが騒ぎ立てた1時間後、しっかり事態は収束したのだった。
《お知らせ》
12月の30日。晦日に、特別幕間として今までいただいた感想と共に先生たちが今までの話を振り返る話を出します!
その際、今まで頂いた感想をお名前を伏せた状態でご紹介させていただきたいと思っております。
もしいつもご覧いただいてる方、今まででコメントを頂いた方に私のコメントは紹介しないで〜!という人がいたらお知らせください。コメント出してもいいですよ〜!って方はそのままで結構ですが、もしよろしければ質問等をいただけると幸いです。
感想・質問募集期間は12月25日までです!よろしくお願いします!