ある日。
「そういえば先生、知っていますか」
「なに?」
「のほたんと便利屋の陸八魔アルさんは同じ声なんですよ」
「え」
アリスの言う突然の自室に先生は固まった。
「えっそれほんとなの?」
「どちらも近藤玲奈さんですよ。不思議ですね」
「な、なんですって〜!」
先生は白目を剥く。
やけに早口で眼鏡をかけた2枚チェーンソーを振り回す少女と、ハイテンションで失敗したりあたふたする少女のギャップに驚きを隠せないでいたようだ。しかし事実、乃保とアルは同一人物なのだ。
「声優ってすごいだなあ」
「そうですね……あ!」
そうやって会話している中、デカグラマトンがふつーに街中に現れる。
だが、やってきたビナーはその変わりように二人を驚かせた。
「なんか羽生えてませんか!?」
「普通に翼生えてるね。無限抱擁でも打っとく?」
「大丈夫です先生!アリスはちゃんといい装備を持ってきましたから!」
光の剣はもう修復が終わっているものの、それを使うことはないらしい。彼女の腕を見てみると、赤と黒の色で作られた大きめの機械がある。大きなコマのようなものもついていた。
「えっアリス何それは!」
「まあ見ててください!キャプチャー・オン!」
キャプチャー開始。
コマ自体はデカグラマトンからすれば非常に小さいので気づいていない。予め用意したプレナパテスの別働隊が翼の生えたビナーを攻撃している間にコマに力をためた。
虹色の軌跡を生み出したコマは、捕まえる力が非常に強そうだ。
「アリス、行きます!」
……それから、彼女の凄腕が披露された。
星を描き続けながら相手を囲い続けるが、尋常じゃなく早い。貯めるのはもちろんメリットではあったものの、舐めプに等しく感じられるほど囲むスピードが速かった。
ビナーも当然それには気づいて応戦しようとするが、アリスのコマが早過ぎて捉えるのは困難。落ち着いて本人を狙おうにも、極太の光で見えずらいし普通にプレナパテス達からの攻撃が熾烈を極めてせっかくの翼さえ役に立っていないのだ。
そんなことをしているうちに、相手は何かに包まれていくエフェクトに囲まれた。
しゅいいいいいいいいいーん
きゅぽっ
何かが射出された音と共にビナーは消えた。
何かがクリアした音が鳴る。
「先生!ビナーをキャプチャーしました!」
アリスは仰け反りながら笑って、一回転してから右腕を天に伸ばしてポーズを取った。
そこ10分もない出来事である。
「……先生?」
「色々聞きたいことがあるんだけどさ」
「なんでしょう」
「まずそれ、スタイラーだよね」
「はい!スタイラーですよ!」
スタイラー。
ポケモンレンジャーという職種の人間が使う、ポケモンと心を通わせて助けてもらうための道具。
コマみたいなのを出してアリスがビナーをキャプチャーしたように使うことが使用用途であり、その通りにアリスは使ったが問題は彼女が何故それを持っているかだ。
「で、それ腕につけるやつだから……ユニオンのスタイラーかな?」
「ユニオンのですけどファインスタイラーじゃないですよ」
先生は思い返す。
アリスがスタイラーのコマを操っていた時に、虹色の線は太かったな。
ん、太い?それをピンポイントで思い出した時に先生は彼女に質問した。
「もしかしてそれ、バトナージスタイラーじゃないよね?」
「大正解です!キャプチャディスクの虹色も太かったから流石に先生なら分かりますね!」
「なんでそれ持ってんの!?」
バトナージスタイラー。
ポケモンレンジャー・バトナージの主人公が持っていて、しかも世界に一つしかないスタイラー。コマのようなものはキャプチャディスクと言うのだが、これに三つの特別な石の力を備えて、操られている状態でも難なく仲間にすることができるというほどの強力な道具だ。
故にデカグラマトン相手でも効いたのだろう。しかしとんでもないものを彼女は持っていた。
「これは開発部の方に作っていただきました!対総力戦用鎮圧兵器、っていう名目です」
「確かに有用かもしれないけど……もしかして人に効果あったりする?」
「ないですよ〜」
その一言で安堵する先生。
「一応聞いてみたのですけど、どうやら機械に対する書き換えをあれでやっているそうです。なのでこうして、変異したセフィラもキャプチャー出来るって算段です」
「なるほどね。それを聞いて安心したよ」
話を終えると、プレナパテスもやってきた。
「無事でしたか」
「もちろん。そっちはどうだった?」
「こちらも無事ですよ、ご安心ください」
全員無事を確認したら、近くに置いた車に乗り込んでシャーレへと向かうことにした。
そんな車の中で、適当なことを話す。
「そういえばアリス、なんか今回の作戦をする前に言いたそうなことあったっぽいけど何かあったの?」
先生は、アリスに聞いた。
出発する前には何かあったのだろうか、話しかけようとしては戸惑って止めるが多かったので気になっていた様子。
「あのー……その、あまりこういう風なことをこんな時にいうのもあれなのですが……アリス達、この話で10万文字達成します」
「……は?」
「えっ冗談でしょう?」
「冗談じゃないんです……」
____そう、いつもと変わらないのだ。いつもと変わらず、あれこれやっては話しているだけのこの作品。
実は今回の話で、10万文字を超える。嘘ではない。
「えーっ!?いいのそれ!?基本先生達テキトーなこと話して、テキトーなことやって、テキトーに締めくくってるだけなんだよ!?それが10万文字って……えぇ!?」
「いやあ驚きました。私もあまり気にしていなかったのですがいつのまに……10万文字ってどれくらいですか?」
「分かりやすい例だと文庫本一冊が出来るレベルの文字数だね。だからこのタイトルで本を出しても全然星新一のショートショート一冊分の厚さにはなると思うよ」
「すごいなあ」
これも今まで応援してくださった、皆様のおかげです。ありがとうございます。改めての礼は、晦日の特別編でやらせていただきたいと考えています。
「しかしまあ、これだけやってきたのにあまり手広くやった感じはしませんね」
「喋ってるだけってのも多かったからね」
「アリスも驚いています」
そうこうしている間にも、お気に入りは197件、感想も47件来ているのだ。ゆっくりではあるが確実に伸びているこの状況、とてもありがたい限り。
「ちゃんと今度やるのも成功させたいですね〜」
「もちろん。その為にも、ちゃんと飯でも食べようか」
時刻はほぼ夕方、寒い風が吹く中で目に止まったレストランの駐車場に止まる。
アリスと先生は降りたが、プレナパテスは降りなかった。
「私は飯を食べることはできないので、ここで待っていますね」
「ああ、わかった」
そう言ってアリス達はレストランに入った。
イタリアンレストランに入った二人は、黒服とよく分からない少女二人が何かを食べているのを見つける。
「あ、先生だ!いらっしゃいませ〜!」
レストランでバイトしてる少女がやってきた。
「先生!ちょうど良かった!今1席開いたところなんですよ!」
「あの黒い人と離れたところ?」
「ちょうど幕が張られてあるので見えにくいところですよ」
「ではそこで食べるとしよう」
アリスと二人で、その席に案内される。
案内された席に座ると、アリスはメニューを開いた。
「好きなの頼んでいいよ」
「はーい!」
そうして、二人はレストランでゆっくりし始めた。
外は雪は降っていないが、イルミネーションの暴力的な輝きが続く。
いずれ雪が降ることを期待して、先生は外をぼんやりと眺めていた。
《お知らせ》
12月の30日。晦日に、特別幕間として今までいただいた感想と共に先生たちが今までの話を振り返る話を出します!
その際、今まで頂いた感想をお名前を伏せた状態でご紹介させていただきたいと思っております。
もしいつもご覧いただいてる方、今まででコメントを頂いた方に私のコメントは紹介しないで〜!という人がいたらお知らせください。コメント出してもいいですよ〜!って方はそのままで結構ですが、もしよろしければ質問等をいただけると幸いです。
感想・質問募集期間は12月25日までです!よろしくお願いします!