地下生活者のターン。
「小生のターン!」
相手の手札は11枚。
「小生は手札より《サンダー・ボルト》を発動!相手フィールドのモンスターを全て破壊する」
「不良!」
ベアトリーチェは叫ぶ。
「あのカードは私でも知っている!モンスターを全破壊するカードだ、早く手を打て!」
「案ずることはないよ。即効魔法発動!RUM-ファントム・フォース発動!」
伏せカードを不良はオープン。ブレイブ・ストリクスの効果で手札に加え、そしてセットしたランクアップマジックを発動した。
「通るかどうかは別に、私は墓地のストラングル・レイニアス、レイダーズ・ウィング、ブルーム・ヴァルチャー、トリビュート・レイニアス、ファジー・レイニアス、ワイズ・ストリクス、そしてバニシング・レイニアスを……」
「ランク12、ファイナル・フォートレス・ファルコンか!」
不良は、言葉を続けた。
「____2体、墓地から除外する」
「なんだと!?」
その言葉に驚いたのは、地下生活者だった。
「な、何を言っているんだ!?ランク13だと!?そんなカードがあるものか!」
「あるんだよ。RRにはな。私はブレイブ・ストリクスを、ランクアップ対象にする!」
そして、相手側は無効にする手段はない。
チェーンの処理、効果の発動。
「私は、ブレイブ・ストリクス1体でオーバーレイネットワークを再構築!」
目の前の銀河のような渦に、星屑のような光となったブレイブ・ストリクスは入っていく。
「漆黒の闇より出でし隼よ、天壌無窮の翼翻し、今再び反逆せよ!ライズランクアップ・エクシーズ・チェンジ!超越せよ!ランク13____」
手を広げ、不良は天に掲げた。
「RR-ライジング・リベリオン・ファルコン!」
翼を大きく広げ、紫電解き放ち降臨したライジング・リベリオン・ファルコン。
「ライジング・リベリオンの攻撃力は4000、だがエクシーズ素材となったブレイブ・ストリクスの効果によってその攻撃力はランク×100の効果を得る!ランクは13、故に攻撃力は5300だ!」
「何ぃ!?」
「さあ放ってこい、サンダー・ボルトを!」
召喚が終わって、最初に発動したサンダー・ボルトが放たれる。
不良の場にあったトークンは破壊されるが、ライジング・リベリオン・ファルコンは破壊されない。
「は、はぁ!?そ、そんなことがあり得るのか!」
「ライジング・リベリオンはこのカード以外の他のカード効果を受けない!その意味が分かるな?」
「破壊も除外もできないのか!?」
「ついでにこのカードの召喚時効果を発動させてもらう!このカードがエクシーズ召喚した際、相手フィールドのカードを全て破壊する!」
ライジング・リベリオンの効果によって、ニビルは破壊された。
地下生活者の場はガラ空き。
「舐めるな、ガキが!小生は手札から《天威龍-ヴィシュダ》を特殊召喚!このカードは、自分の場に効果モンスターが存在しない場合に手札から特殊召喚できる!」
ヴィシュダが召喚された。
「そして手札から《龍相剣現》を発動!デッキから相剣モンスター1体を手札に加える。小生が手札に加えるのは《相剣師-莫邪》だ!」
「天威相剣か!」
相手はシンクロテーマの相剣。コインで先行をとって、少しでも命拾いできる壁を建てられたことが不良にとって幸いした。
「小生は相剣師-莫邪を通常召喚!このカードの効果発動!」
効果モンスターの莫邪の横に、レベル4チューナーのトークンが現れる。
「このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、手札の相剣モンスター1体を相手に見せて、自分フィールドに《相剣トークン》を特殊召喚できる!」
彼が見せたカードは《相剣軍師-龍淵》だ。
「小生は相剣師-莫邪に、相剣トークンをチューニング!シンクロ召喚、現れろ、レベル8!《相剣大師-赤霄》!」
地下生活者の真ん中のメインモンスターゾーンに、シンクロモンスターが現れた。
「小生は赤霄の効果を発動し、それにチェーンして墓地に行った莫邪の効果も発動する!」
唯一発動できる幻影霧剣を発動せず、チェーン処理開始。
地下生活者は莫邪の効果で、シンクロ素材になったことで条件を満たしたそれの効果で一枚ドロー。そして、赤霄の効果でシンクロ召喚成功時の効果を発動し、デッキから相剣軍師-龍淵を手札に加えた。
「そして小生は手札から龍淵を捨て、手札より出てこい!《相剣軍師-龍淵》!」
また、彼のモンスターゾーンにモンスターが現れた。レベル6のモンスター、そしてまた相剣トークンが召喚された。
「龍淵の効果は、1ターンに一度手札から相剣カード1枚、もしくは幻竜族モンスター1体を手札から捨てて特殊召喚できる。その後、相剣トークンを自分フィールドに召喚できる!」
「あの男らしいな」
ベアトリーチェは呆れている。一枚で強力な、というのはいかにも強大な力で引っ掻き回して悦に浸る地下生活者らしいと、そういった幼稚さへの、侮蔑の視線だ。
「小生は相剣軍師-龍淵に、相剣トークンをチューニング!シンクロ召喚、現れろレベル10!《フルール・ド・バロネス》!」
今度はレベル10モンスターを召喚した彼。
「墓地の龍淵の効果によってシンクロ召喚の素材となった時、貴様に1200の効果ダメージだ!」
「くっ!」
不良のLPは8000から、6800へと減った。
「そしてフルール・ド・バロネスの効果!貴様の伏せカードを一枚破壊する!」
「トラップ発動!幻影霧剣!」
「無駄だ、バロネスの効果によってその効果は無効になって破壊される!」
彼女のトラップは有効化せず、そのまま破壊され墓地へと送られた。
「大丈夫なのか!?」
「ああ、大丈夫なはずだ!」
大声で返す彼女だが、やはり不安の色は拭えない。
(兎にも角にも、龍淵が厄介だ。あれにシンクロ召喚を許せば、
「小生はさらに通常魔法《大霊峰相剣門》を発動!自分の墓地の相剣モンスター1体を対象として、そのモンスターを特殊召喚する!守備表示で龍淵を召喚!」
警戒していた龍淵が墓地から蘇った。
「小生はカードを一枚伏せてターンエンド!」
「このターンはこれで終わりか____」
不良のターン。
「私のターン!ドロー!」
手札に来たのは墓穴の指名者。
「バトルだ!私はライジング・リベリオン・ファルコンで、龍淵を攻撃!」
ライジング・リベリオンはそのまま龍淵を攻撃して、破壊した。守備表示のため、地下生活者にダメージはいかない。
「私はカードを一枚伏せ、ターンエンド」
地下生活者のターン。
「小生のターン、ドロー!
スタンバイフェイズ、バロネスの効果を発動してこのカードをデッキに戻し、墓地の莫耶を特殊召喚!」
フルール・ド・バロネスは墓地に行き、召喚されたのは相剣師-莫邪。
「莫耶の効果を発動!前のターンと一緒だ、小生は手札の天威龍-ヴィシュダを公開し、相剣トークンを特殊召喚する!」
「私は速攻魔法、墓穴の指名者を発動!このカードは相手墓地のモンスター1体を対象として除外、次のターンの終了時まで除外したモンスターおよびそのモンスターと同名モンスターの効果を無効にする!当然私が選ぶのは、龍淵だ!」
墓地に2枚ある龍淵のうち、一体がゲームから除外して無効化された。このターンでシンクロ召喚してもダメージはない。
「____どうやら手詰まりのようだな、地下生活者とやら」
「なんだと?」
「お前には、ライジング・リベリオン・ファルコンを突破する手段がない」
「だがいずれ龍淵のバーンダメージでお前は倒れる!あと6回、いずれ決着がつく!小生が貴様の喉元に」
「本当にそう思うか?」
不良は、低い声でそう言い放つ。
「自分のデッキ枚数を見てみろ」
「何____」
「私のデッキは28枚、そしてお前のデッキは」
「22枚……!」
「ようやく気づいたか」
彼女は楽しそうな声をあげる。
「そうだ、膠着状態だ。だが、最初のターンで無遠慮に引いた分だけお前は死に近づいている。ライブラリアウト、という終わりがな」
「だがそれでも龍淵2枚は初手で確保して、残る一枚ももう一つの赤霄で」
「それでどうするつもりだ?」
不良は、すでに勝った気でいるような口ぶりだ。
「確かに天威相剣は強い。今でこそ他のデッキに遅れをとっているが、少なくとも時代を築いたデッキだ。だが、それは先行制圧寄りのテーマ、壊獣を入れるほどの余裕はない。おそらくお前のデッキに眠ってるであろうエフェクト・ヴェーラー、そして一度使ったニビルがある以上そういう余裕はない」
「まるで知ったような口ぶりを!」
「お前はデッキパワーに驕って龍淵を無駄に捨てた。バロネスを戻す判断は良かったが、当然莫耶なんて出そうものならその分のダメージは減る。おまけに魔法カードの相剣門をあまり考えずに使用した、その分をライジング・リベリオンで咎めたから当然その分もシンクロ召喚は不可能だ」
「____」
地下生活者は彼女を睨んでいる。
「生き返らせることには意味がある。だが、あの魔法カードは除外したとてレベルの上下以外に効果はない。そしてもう一つ、あの魔法は基本は一枚しか積まない」
「な、何故それを!」
「当然だ。蘇生させるカードを沢山積んでも事故を起こす可能性が高い。そして先行制圧、誘発入りとなれば当然その分数は減る。他に天威龍がいたとしても、レベル1の手札に戻すやつも同じく一枚しか積まないだろう。お前が頑張って回せたとしても、ダメージを与えれるところはせいぜい4回じゃないか?無論私もバカじゃない、これ以上は展開もしないし、殴る気もない。あとドローを続ければ当然私にも誘発やトラップ、それにもう一枚の墓穴も手札にくる。その分だけ、お前の龍淵を無効化する」
彼の顔が、だんだんと青ざめていくように震え出した。
「な、な、なななななぜ小生の考えていることが!?」
「なんとなーく読めたんだよ。話の続きだ、展開しなければライジング・リベリオン・ファルコンはニビルでリリースできないし、制圧に重きを置いたデッキならさっきも言った通り壊獣もラヴァゴーレムもいない。そして、相剣は手札に戻せてもデッキに戻す効果は確かなかったはずだ。山札を回復できないなら、当然ライブラリアウトの運命からは逃れられない」
「とすると……つまり、あの男は既に敗北していると言いたいのか?」
ベアトリーチェの問いに、不良は考えつつ首を縦に振った。
「概ねそうだ。当然、デッキは非公開情報。蘇生させる手段がもっとあるのかもしれないし、もしかしたら怪獣も入っているかもしれない。だが、どれも相剣では滅多に見ないし、私のデッキを先読みしてピン刺しすることもできないだろ。仮に先読みできる方法があったとしても……すでにベアトリーチェによって対策されているんだからな」
不良は威勢よく、地下生活者に叫ぶ。
「さあどうする!今急いでサレンダーをするなら、この恥辱は私とベアトリーチェだけが見ることになる。当然こんな端金以下の勝利、私は忘れる。さあどうする!今ここで一時の恥を忍び、潔くサレンダーして冥界に帰るか……それとも抗ってありもしない糸口を見つけに行き、役に立たなくなった紙束に恨み節を吐きながらライブラリアウトで負けるか!さあ、選べ!」
「くそ、くそ……くそおおおおおーッ!嘘だ!インチキだ!チートだ!」
「コイントスはお前も私のハーフ&ハーフ、あの時で既に私の勝ちが決まっていたんだろうな。どうする!」
「覚えてろ、覚えてろクソアマ!そしてベアトリーチェ!」
亡者に引っ張られるような黒い手が、瞬く間に地下生活者に絡みついて地面へと引っ張っていく。
「いずれお前も黄泉に引き摺り込まれる!生徒達に破られ、力も何もかも届かずにお前も無様に死ぬ!凌辱であれば良かったと思うほどに!」
「……そうだろう。私も、いずれそのような事を受ける。先生によってな___だが、敗者である事の裁きすら逃げたお前のようにはならない」
「ベアトリーチェェェェェェ……」
そうして、彼はこの世から消えた。
数多の手はデュエルディスクすら飲み込んだが、当然その手はデッキに長く手を置いた。
サレンダーとして認識され、不良の勝利である。彼女は、少し眩暈がしたのかその場に膝をついた。
「大丈夫か?」
「ああ、大丈夫。あいつにデュエルふっかける前に飲んだ、あんた手製の薬が効いてるだけだ」
「二つも打つからそうなる」
「記憶保持のアンプル、おかげでデュエルが上手くいった気がするよ」
「あまり無茶をするなと言ったはずだが……ほら」
ベアトリーチェは不良を抱える。
「だが……ありがとう。私の気分は晴れた」
「そりゃどーも」
そんな二人の会話に水を差すように、足音が。
「あ!こんなところに!」
先生だ。
「何をやってたんだこんな場所で!?」
「浮浪者の爺さんを葬ってた。白い目が何個もある、な」
「地下生活者が……!?そいつはどうしたの!?」
「ベアトリーチェの小細工を使って私が倒した、デュエルでな。だがゲマトリアの薬剤はあんまり人に合わないらしい」
「当たり前だ!ベアトリーチェも何をやってるの!?」
「私が私の仲間を黄泉へ送り返す理由は理解出来るはずだが?」
「だからと言って無茶に耳を貸して!二人とも、落ち着いたら説教だからね!」
そうして三人は、ショッピングモール跡……そしてアビドスを後にする。
年が終わるまでに、10日を切った。
《与太話》
これはデュエリストカップでやった時の一戦をベースに少しだけ展開変えてやりました。不良vs地下生活者、楽しんでいただけたなら幸いです。あと一万文字くらいアリス出ないの正気の沙汰じゃないな、ごめん!
《お知らせ》
12月の30日。晦日に、特別幕間として今までいただいた感想と共に先生たちが今までの話を振り返る話を出します!
その際、今まで頂いた感想をお名前を伏せた状態でご紹介させていただきたいと思っております。
もしいつもご覧いただいてる方、今まででコメントを頂いた方に私のコメントは紹介しないで〜!という人がいたらお知らせください。コメント出してもいいですよ〜!って方はそのままで結構ですが、もしよろしければ質問等をいただけると幸いです。
感想・質問募集期間は12月25日までです!よろしくお願いします!