ある日、先生達はドローンやゴリアテが出る雪のステージに出てきた。
必要だからとレッドウィンター近くで戦闘しているのである。
「いいかい!チェリノ、ミカ、ココナ!頑張って撃ち落として頂戴!」
「はーい!」
「よかろう!」
「まっかせてー!」
「アリスもよろしく!」
「はい!」
……先生は違和感を感じていた。
普通に、普通に戦っているじゃないか。ドローンを貫通弾で撃ち落とし、ココナが回復し、ミカが全力で撃ち抜いて、チェリノが部下呼び出して弾ばら撒いて沢山落とす。その上で後ろの方からマコトが砲撃する。
「ここから先に行かせないよ」
そう言いながら撃つとドローンは爆散。あまりに早い。
アリスも後ろから光の剣で射撃して、撃ち漏らした分をまとめて排除するなど活躍している。
「シグレ!温泉だして!」
「温泉は出さないけど分かった〜」
シグレ召喚。そのままみんなに回復をばら撒く。
御礼を言って、ストライカー四人はそのまま迎撃を続けた。ドローンはしっかりと処理されているため、相手の出るペースよりこちらが上回っている。
手薄どころか壊滅させたらどんどん前に進んでいって、ドローンも何もかも貫いて廃棄処分しながら進んでいく。彼女達は強い、少数精鋭が一個旅団くらいあってもおかしくない壊滅力でガンガンと前に進んで行った。
すると、目の前にはゴリアテが出現。
「あ、お目当てが出てきたよー!」
「最近いろんなところに出没してるんだよなドローンと一緒に……調べるためにも可能な限り破壊して数を集めよう。総員、かかれー!」
そのまま交戦が始まった。
小型ドローン等はどうやら無数にいるらしい。構うだけ無駄なのだが、ゴリアテよりも前にいる以上まず邪魔なのには違いない。状況確認をしつつ、先生はチェリノとミカに指示を出した。
「チェリノ!もう一回部下読んで蹴散らして!ミカはその後に隙を逃さずゴリアテに弾ぶちこんで!」
「うむ!」
「分かった!」
まずはチェリノのターン。
「粛清!粛清!粛清だー!」
もう一度部下が出てきて、そのまま四方八方に弾が飛んでいく。跳弾もあってか、後ろにいたドローンですら破壊されて落ちていく。乱れ打ちでも精度がすごく、範囲攻撃と言って大差ないほどだ。
これでゴリアテの周囲には何もいなくなった。これを確認して、先生はミカにゴーサインを出す。
「いけ!ミカ!」
「いっくよー!」
そのままアサルトライフルで集中砲火を浴びせるミカ。
当然ゴリアテには大ダメージが与えられるが、撃ち切った後に下がらせたはずのドローンが大量に前に出てきて弾の邪魔になる。
「あーもう!せっかく私がトドメ刺そうと思ったのに!」
「煙吹き出してるから問題ない!アリス!マコト!正面と上からありったけを叩き込め!」
「了解です!」
「了解!対象ゴリアテ、ファイエル!」
マコトの攻撃の方が早く、上から降りそそぐ砲弾が相手の大多数を抉って数を減らした。
それ幸いとばかりに、アリスは最後の一撃をお見舞いする。
「さよならです!」
そう言って、光の剣の一撃はゴリアテを貫く。
もう戦えずに負荷がかかり過ぎていたゴリアテはその攻撃によって大爆発、するとドローンも制御を失って退散、この場から戦力が消失した。
先生達は勝利を収めたのだった。
「やったー!勝ったぞー!」
「やったじゃんね」
「やりましたね!」
「わーい!」
みんな大喜び。
これでこの周辺の安全はある程度確保出来たから、あとはレッドウィンターの生徒に安全確認をしてもらって仕事終わりとなる。
「皆の者!よくやったぞ!」
その代表者としてチェリノは胸を張って叫んだ。
「これから諸君らの健闘を讃え、晩餐会を開く予定だ!時間があるなら寄ってってくれたまえ!」
「ククク……キキ、いいだろう。このマコト様は御相伴に預かろう。そこのトリニティのやつ、どうする?」
「わーい!折角ならいただいていくじゃんね。後寒いからさっさと校舎に行こうよ」
「山海経のはどうする?」
「今日中に帰れるなら頂いていきます。あとでシュンに連絡しますから」
「よし!ではついてこい!カムラッドは強制だ!」
「後で行くから先行ってて、こっちも電話しないといけないから」
「うむ!」
そうしてアリス以外は、チェリノの後ろについていくようになった。
このキヴォトスでも当然エデン条約の一件があったのだが、それ以上にとんでもない事態が起こり過ぎて(プレナパテスやユメが生き返ったり本来居ないはずのアベンチュリンやロビンがシャーレに滞在して)て中々カオスなのが実情。
そんなシャーレでも先生は受け入れた以上、学校間の取り決めを守って交流を深めるべきだよなという風潮が出来てある程度話せる程度には仲が改善した。その役をミカが引き受けたのもあるが、彼女自身そうした活動によって友人であるナギサを楽にさせたかったようである。
事実ナギサもそれで内政に力を入れれるようになっており、あの時よりも“正しく安全に役に立てる”のだからミカもその活動でボランティア代わりとなることも多くなってきた。と言うよりかは、元のポストに戻ってきたの方が正しいか。
この好転を当然よしとした先生はその景色を微笑ましく思いつつ、電話をかけた。
『もしもし』
「あー、プレ先?私だよ」
『おや先生。そっちの仕事は終わりましたか?』
「本来予定してた分は終わったけど、追加で入った。レッドウィンターでの晩餐会に来いって言われちゃって」
『断れないのですか?』
先生は困った声を漏らしながら説明する。
「本来であれば断ることもできたんだけど、トリニティとゲヘナと山海経のお偉いさんも集まる部隊でやっちゃったもんだからちょっとこれ逃げらんないよ。だから帰りが遅れるって今連絡したわけ」
『あーそれは仕方ないですね。逆にほっぽると後々めんどくさくなりそうですから、頑張ってください』
「そいやそっちなんか動きあった?例のゴリアテ群のことなんだけど」
『いやー、見つかってないですね。余程そちらでの活躍を重く見たのでしょう、被害が大きかったのか他のところでは出てないですね。他の人たちからも連絡がないので多分しばらくは動きが無いと見ていいでしょう』
「ありがとう、じゃそう言うことで」
『気をつけて帰ってきてくださいね』
「アリスもいるから大丈夫さ」
そうして電話は終わった。
先生はゲーム部に連絡を入れ終わったであろう、アリスに話しかける。
「アリスも連絡終わった?」
「はい!」
「なら大丈夫か……いや、なんだろうな」
先生はやはり、なんかしっくりこないらしい。
アリスも口に出さずとも、その違和感はハッキリ感じていた。
「あの……言いたいこと、アリスわかります」
「あー、分かっちゃう?」
「別に大したことでもなければ、いやメタ的に言えば大変と言うか、でもまあ日常的に言えば問題ないと言うか。でもやっぱり大変だというか……」
「うん、言い切れない気持ちはとてもわかる。先生も思ってるから」
「ですよね……“普通”でしたね」
そのモヤモヤを先に口に出したのはアリスだった。
「なんで誰も気が触れたようなことしないんでしょうか。アレだけ人数がいるならバハムート出すなり黄金劇場が出てくるなりとアリスは思ってたんですけど」
「いやまあ、みんなそう思ってたが故の事故かそもそも考えてなかったんだと思うよ。
でもいいじゃん、勝ったんだし。こう言う戦い方もイエスだね」
「そのイエスだねって伝わる人いるんですか?」
「わからないや」
しかし終わったことに関しては、あれこれ言っても仕方ない。アリス達は、互いに軽く首を振ってから、雪に出てきた足跡を辿るようにレッドウィンターの校舎へ向かった。
天気は明るめの雲に雪。冬の真っ只中である。