皆さんは梅花園をご存知だろうか。
小さい子が活躍するゲームを好んでやるユウカ族ならよく知っているであろう、幼稚園のようなものだ。
「シュン姉さん、こっちお願い」
「分かったわ」
そしてその教官、と言うよりの保護者枠にはある姉妹が担当していた。
うち、この話に出てくるのは春原シュン。大きい胸がはみ出てる上に旗袍で母性が溢れる正確なのでみんなは劣情を催すはずだ。
見なさいあのスーツを着ていてもはっきりわかる巨乳、ストッキングによってラインがはっきりとしながらも柔らかい太もも。そして、本当にお母さんになったかのような優しい声に微笑み。そうでありながらもすごい特徴的で神秘的な色の瞳______
「聞いて______先生をここに連れてきて」
今日は先生も時間ができた、と言うよりは予定などなしにドライブをしていたのだが挨拶が出来てなかったのだろう、詫びも兼ねて山海経にやってきたようだ。
車を停めて、アリスと一緒に顔を出す。
「やあ、みんな。先生だよ」
「アリスです!」
「わー!」
「先生だー!」
山海経でも人気の先生は、園児たちに囲まれている。この先生は小さい子も年下もあまり好みではなく、ちょっと年上でお姉さんでムチムチなのが好みのようだ。詰まるところメスガキではない山田じぇみ子が
「聞いて______余計なことは話さないで」
と言うわけでヒーローでありながら、邪なところなど一ミリもない男は肩車したり抱っこしたりと園児に戯れていた。
「先生!」
ココナと、それに釣られてシュンがやってくる。
「ココナ!あと____」
先生は、シュンを見た。それはシュンであるはずなのだが、先生は冷や汗をかいている。
「アリス、先生の見間違いかなあれ。絶対シュンじゃないよね」
「シンプルに絶望します!」
二人は後退りするが、ココナは言う。
「どうしたんですか二人とも?シュン姉さんが何か?」
「うふふ、いつもと変わらないわ」
「いやめちゃくちゃ変わってる!絶対に仲間に引き入れたくないやつだ!」
「13英傑の一人も、カンパニーの幹部も、ましてや指名手配されてるアコードとスーパーコーディネーターもシャーレに居て、私一人に怯えることはないでしょう?」
「アコードとスーパーコーディネーター?」
「こっちの話よ」
先生とアリスは逃げ出そうとするが、シュンとココナがガン見してるのか逃げるタイミングを失っている。
「おかしい!何かがおかしい!たまに自我を出してくる書いてる人もシュンって認識してる!」
彼は、シュンに地下生活者と同じ波動を感じているようだ。アリスも武器を構えようとしているが、なまじ警戒せず近づきすぎたせいで光の剣が園児を焼くかもしれないという恐怖に駆られている。
「やっぱり一度撤退しましょう!アビドスに行けば!」
「ああ」
「ちょっと人の家族見てそんな風に!」
ココナは文句を言いたそうにしているが、その家族が静止してる。
「色々あって錯乱してるのかもしれないわね。任せて」
そう言って、二人の過労を理由に暗示を掛ける。
「聞いて、私は春原シュンよ」
そうすると、先生とアリスは憑き物が落ちたかのように、と言うより付いてても気づかないほどに認識を改めた。
「あれ____シュンだ」
「シュンさん、ですね」
「やっぱり、色々あって疲れてたみたいね」
彼女は微笑み掛ける。
「むぅ」
ココナは納得いかないようであるが、シュンはそれを諌める。
「この前3隻を利用した深海棲艦とセイレーンの連合軍を相手した時に、相当な数を蹴散らしてきたのは知っているでしょう?当然、倒すしかないとはいえ熾烈な戦場は一回でも人の心にひびを入れるのに事足りるのよ。映像でさえショックになるなら、実際なら計り知れないわ」
「でもずっと一緒にいた人を間違えるなんて!」
「ある国では戦場に送られる都合上、家族が居たとしても幻聴や幻覚に苛まれてPTSDを発症することだってあるわ。あまり酷なことは言わないであげましょう」
「____わかった」
「偉いわ」
シュンは自分の妹を撫でている。
その様子をほっこりしながら見ていたアリスと先生は、一度姉妹に謝罪する。
「二人ともすまなかった、自分たちのこともろくにコントロールできないまま迷惑をかけた」
「アリスも申し訳なく思ってます、ごめんなさい____」
「気にしてないわ。寧ろ、私の言霊が効くレベルの程度で良かった。感謝しているのよ、キヴォトスを守ってくれたこと」
頷くココナに、アリスと先生は胸を撫で下ろした。
話がひと段落したところで、先生は二人に話を切り出す。
「ところで最初に言い忘れてたんだけど、新年の挨拶以降寄れてなくてごめん。山海経自体にあまり行く機会がなかったのもあって、時間が出来たからこうして寄ることが出来た」
「シャーレからは遠いもの、仕方ないわ。最近外部スタッフを取り入れて生徒達を楽にさせようともしてるみたいだけど、その調整も大変じゃないかしら?」
「恥ずかしながら責任者は変わらないのもあってまあ大変。下働きはともかく、バイトリーダーとか経験ないからさ。
でも結構上手くやれてるんだ、優秀な奴が多いから生徒と遜色ないほど仕事が回る。特にキラが潜伏に来てからはかなり助かってるよ」
「それは何より。だけど先生」
シュンは彼に近づいた。
「もう少し、生徒に頼ったら?」
「先生がずっと負担かけっぱなしじゃ情けないだろ?」
「気持ちは理解できるわ。けど、貴方に必要とされることに生きがいを感じる者もいる」
「それが母性や庇護欲から来るものなら、私は断りたいが」
「そんな爛れたものじゃないの。子供が親に必要とされたい、そう思うのと一緒よ」
「まるでシャアに近寄る女みたいな言い草だな」
先生は困り顔だが、シュンはそれでもと彼に伝える。
「聞いて、子供の願いを叶えてあげて」
そう、さっきと同じように言霊か暗示か、伝える。
すると先生は納得したかのように、シュンに言葉を返した。
「分かったよ……そこまで言うなら、もっと生徒にも頼ってみる。場合によってはシャーレが持っている技術を渡したりとかも出来たりするし……うん、悪くないね」
「ずっと子供が背伸びし続けた結果、大人らしさに踏み込みすぎたよね。でも、心のどこかではやはり幼い部分が残っている。だから、受け止められる分だけでも受け止めてあげなさい」
「ああ、分かった」
また、この話も先生の了承で終わりを告げた。
シュンは、そのまま先生達を誘う。
「このまま外で話しているのもあれだから、中に入って話しましょう?」
「はい!」
「ああ」
みんなはうなずいて、梅花園の建物に入っていく。シュンは最後に入るのか、立ったままだ。
「シュン姉さん?」
「気にしないで。すぐに行くから」
入り口に、シュンだけが残された。
「聞いて______少しばかり筆を貸して」
ふふ、こうして書いてみるのも面白いわね。
エリオの書いた脚本にはこう書かれていたの。
『この都市から出る生徒と先生の間をカフカが埋める』
最初は意味が分からなかったの、表面上は仲良くしてたから。
ただ、彼は最近大人に頼りすぎてる傾向にあった。子供が大多数の都市では、いずれそれが亀裂を産んで滅びの道を歩むと確信したから、ちょっと彼を待って言い聞かせてみることにした。
子供に向ける愛情と女性に向ける恋の区別を付けずに同時に離れていた彼も、これでしっかり生徒達との関わりをもう少し増やして信頼性を強いものにしていくわ。
そう言えば、本物の春原シュンは何処に行ったか知りたいの?
安心して、すぐに教えてあげる。
聞いて
春原シュンは一緒に梅花園へと戻っていったわ。