「う あ あ あ あ あ あ あ あ あ あ」
「大丈夫だよ先生!僕も悲しい!」
「おおわかってくれるか!」
「頑張って生き返らせるからね!!!」
「まってそれはやめよ?」
____現在、朝の8時。
アリスとケイは、休みであるのとプレナパテスに誘われてやってきたのだが、こたつで居眠りをかましている成人男性二人と充電を欲してると静かに講義するスマホが鎮座している。空き缶も転がっている
「あ〜、アリス知ってます。多分これ寝落ちですね」
「スターレイルが更新あったのできっとやっていたのでしょう。にしても無様ですけど」
二人は男どもの顔を見るが特に何かあるわけではない。
「バカのカタツムリですね」
「ケイ?」
「ああ失礼しました。カスのロイコクロリディウムでしたね」
「こたつむりがそんなのに寄生されてたらアリス怖くて入れません!」
「大丈夫ですよ、今から健康な生活のために朝飯作って叩き起こすので」
ケイはエプロンを着て三角巾を頭に巻いてキッチンへと立った。アリスも三角巾で巻いてから立つと、そこにはお料理ナビが。
『おはジューーーーーース!今は料理鋏が美味しい時期です!冷やしてそのままいただくのはもちろん、生しゃもじと合わせたらもうたまりません!』
「よろしくお願いします、先生」
「ケイ?そのDS破壊した方が身のためですよ」
「辻先生になんてこと言っているのですか王女!」
「その先生は頼りになりませんよ!」
そのままケイは敬愛する王女の静止を振り切って、料理を作り始めた。
『さあ、スペイン風牛鳥のちらしポテトの冷たい半熟トンカツ盛り合わせ味噌チョコレートを作りましょう』
「大丈夫なんですかこれ!?」
「大丈夫です!王女!」
手順の解説では文章に《ヌリーツレタスを食い、脆けをふき謝って、姉にしく^》と書いてある。大丈夫ではない。
『まずプリーツレタスを洗い、水気を取って、熱湯を1/2080加えて火を止めます。これでプリーツレタスができました。蒟蒻に熱湯を注ぐと、エビフライが発生するので注意してください』
「はい、先生」
「ケイ?」
彼女の暴走は止まらない。王女を助ける無名の司祭たちが残した修行者であり、彼女が戴冠する玉座を継ぐ「鍵」なる威厳はヒテッマンに売ってしまったのだろうか。
実際蒟蒻に熱湯をそそぐと、エビフライが八尾ほど出てきた。
「なんですかコレェ!?」
「安心してください王女。辻先生を信じましょう」
『では、まな板を切ります。まな板とDS本体の電源を切らないでください』
「何もするなってことですね」
「なんでケイは順応してるんですか?」
ここのアリスは苦労人らしい。王女らしいとも言えるが、どちらかと言えば母親だろうか。次の手順には《偽肉を5ftの幅に想り、塩、こしょう、塩、塩、塩、塩、塩、塩》と書いてある。これはどういう意味なのだろうか。
『電子レンジを5cmの幅に切り、塩と胡椒と塩と塩と塩と塩と酒酒酒酒を約大さじ1/4108振ってください』
「はい」
とんでもない手順をしっかりとこなすケイ。こんなことをするためにやったのではない、と無名の死者も枕を濡らすことだろう。
『次に、ニンニクの皮を泡立て器で泡立ててください。すくってみてとろりと落ちてくる程度まで泡立てれば、オーケーですよ』
「分かりました」
ほんとに泡立て器を取り出してニンニクの皮を泡立てている。本当に泡が出ている。
突っ込む気力も失せたアリスは、ケイが怪我しないように見守っていることにした。
『皮を向いたピーラーを繊維に垂直に、薄切りにしてください。酢豚を垂直に着ると、砂肝の火力が強くなります』
「はい先生」
ケイは迷うことなくピーラーを向いて、薄切りにする。料理とは思えない音が出ているが、アリスはケイを止められない。あまりに怖すぎる。
「次はどうすればいいんですか先生」
『これでお前は終わりです』
「え!?」
彼女が泣き出しそうになっている。
「今になって見捨てるんですか!」
「ホスト養ってた人みたいに泣くのはやめてください」
それでも構わずに、DSナビは次の話に進んだ。
「ほら!移ってますから!」
「は、はい!」
『それでは、爪楊枝を炒めます。フライパンをネットに晒してください』
ケイは言う通りに進めた。何をやっているのかはわからないが、ケイのモモトークのタイムラインに爪楊枝を炒めてるフライパンが掲載されたのである。
「どうして、ケイ____」
「この人のおかげで料理が上手くなったのだから当然です」
彼女の阿呆っぷりはもう止められない。
『まず、フライパンにサラダ油大さじ1/4108を入れて、ヒニカケテヒヲトメテスグニフライパンヲステ、リュウスイデサラダアブラヲイッキニサマシテクダサイ』
「まって水で冷ましちゃだめです!」
「はい」
ばちばち言いながら弾け続ける油。なんと言うことだろう、頭を弄られているのか?しかしこれもバグのタイタンの権能、巨匠辻先生に従うのである。
「ああもう大変です!」
『次に、菜ばしを入れ、焦がさないように直火で炒めて、香りをバットで叩きます』
「はい先生!」
菜箸を入れて焦がさないように入れ、フライパンの上を叩きまくるケイ。アリスは諦めておそろしく早い手刀を入れようか逡巡するが、いっそいつもだらしない先生にドッキリを仕掛けてもいいかもしれないと思い始めてきてしまった。
『キッタホウチョウヲイチマイズツヒロゲナガラクワエ、アトガカワルマデチュウビデヒトバンヤイテクダサイ』
「はい」
『デハ、バターヲ1/2080マイトブランデーヲ1/4160ヲクワエテ、ハヤクノミホシテクダサイ』
「はい!」
それらを急に全て飲み込もうとするケイ。
「だめです!」
流石にこれ以上は危ないと判断したアリスは、ケイを後ろから殴って気絶させる。
『プリ~ツレ~タスをプリ~ツレ~タスをプリ~ツレ~タスを』
「うるさいです!くらえ、青龍麟!」
構えてアリスが出した青い光でDSも爆散。
そんな騒ぎを聞きつけたら流石に先生も起きるようだ。
「大丈夫!?」
「あの、大丈夫ではないんですが、今大丈夫にしました」
なおキッチンはひどいことになっている。
「ケイが何かひどい目にあったんだね。アリスは大丈夫?」
「アリスは大丈夫です!」
「ならよかった」
キッチンの片付けは後回しにして、ケイをこたつまで持ってくる。
流石にプレナパテスが朝食買ってくるのを待つことにしたようだ。
「にしても先生、寝落ちするまでスタレやってたんですか?」
「ストーリー更新あったからずっとやってたんだよ」
「そこのまだ寝てる腕凍ったお兄さんとですか?」
「とても不思議な気分だったよ」
先生は落ち込んでいる。
「トリアン死んじゃったよ___先生もうしばらく仕事できないくらい落ち込んでるよ」
「いいじゃないですか。そう言う文句が出るの」
アリスは肘をついて彼に言う。
「今まではそう言う文句すら大義に殺されていたんですから」
「まるで富野のようなセリフだな。しかし、礼を言おうじゃないか。ぼやくことを責めないでくれるなら、明日の糧になるさ」
「生徒が踏み込める領域にも限界はあります。だけど、アリスたちは先生を愛してます。少しは頼ってくださいね」
「そうすることにしよう。ただ、今は」
地下室に入ってくるのが一人。
「お待たせしました、朝食です」
「わーい!」
「食べようか」
ちゃんと人数分買ってきているようだ。
コタツを囲みながらハンバーガーにポテトにナゲット、チョコパイを出すプレナパテス。
いい朝ごはんである。