はい!アリスは戦い方を学びます!ゲームから!   作:らんかん

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ダーツをするアリス

 アリスは不良の溜まり場に出向いていた。

 

 このキヴォトスもやはり不良による被害や騒ぎというのは無縁にはならない。むしろ、不良側も色々変なものを手に入れて暴れているのが常である。

 

 それでもシャーレ側の戦力が強いので問題は起こっていないのだが、そういった喧騒の中を潜り抜けて内通者を作り治安を維持するのも重要。

 

 今回も変なことを画策しているヘルメット団の一派閥をなんとかするために、そういう情報を知ってそうな人間のところに足を運んだ次第である。と言ってもこれには、そう言ったアウトロー系のシナリオを作るためにモモイに依頼された面もあるが。

 

「お邪魔します!」

「いらっしゃい」

 

 不良が出迎える。

 

 えらく朗らかなお出迎えだが、彼女はアリスを一度負かして、ついでに地下生活者を決闘で敗北に追い込んだあの不良だ。

 

 場所は不良らしいバー、色々遊び道具がある。

 

「どんな用事だ?態々ここに来るってことはそれなりの話か?」

「最近ミサイルを購入しようとしてる動きがスケバン達の間で流行ってると聞きました。それでアリスは情報を聞きにやってきたんです」

「じゃあ、当然私流の付き合いもしてくれるんだね?」

「もちろん!」

 

 元気なアリスに他にいたスケバンたちも朗らかになってる。

 

 ミサイルを仕入れようとしているのはこの不良達とは違う、PMCと絡んでいる半グレのことだ。キヴォトスの治安も酷いもの。

 

「何、いかがわしいことをしようとは思わない。ダーツをしようじゃないか」

「ダーツですか?」

「ルール知ってる?」

「アリス知ってます!ダーツを投げて当たった点数で競うやつですよね!」

「そうそう。ルールも細かく指定できるけど、どうする?」

「501ダブルアウトでいかがですか?」

「うっわむっず。ダブルアウト?いいよ」

 

 ダブルアウト。

 

 まずこのルールは501点を取らないといけないルールだ。それもオーバーしていいわけではなく、ピッタリ取らないといけない。ただオープンアウトというルールならピッタリ取ればなんでもいいのだが、このダブルアウトは違う。

 

 ダーツ盤には外側の細い縁がある。数字のすぐ近くのところだ。そこにダーツが刺さると書いてある文字の倍の点数を手に入れることができるのだが、その点数でピッタリ取らないといけない。つまり残り20点の時、20点の部分に当てるのではなく、10の二倍で上がらないといけないのだ。

 

 アリスは初心者同然だったが、流石に少し顔を知ってる相手に楽しんでもらう方が先だと考えたのだろう。花を持たせつつ、それなりの情報を聞き出そうとしてる彼女の愛嬌に照れながら、不良は了承した。

 

「わかった、難しいから逆に白熱した勝負になるな」

「じゃあ、先行どうぞ!」

「ああ」

 

 不良は先行をもらうことにした。

 

 一投目は20にヒット、二投目も20にヒット。

 

「おお、うまいこといってる」

 

 そして三投目は20のトリプルにヒットした。

 

「すごいです!」

「マジか当たるもんだな今日。あ、アリス。どうぞ」

 

 アリスのターンが回ってきた。

 

 一投目は18、二投目も18、そして三投目。

 

 慣れてないのもあったのか、2にヒットしてしまった。

 

「難しいですね」

「私も慣れてないからな」

 

 不良が残り401、アリスが残り463である。

 

 不良の2ラウンド目。

 

 一投目が20、二投目が5、三投目が1、どれもシングルだ。

 

「うっひゃあ、結構ブレたな」

「アリス行きます!」

「うん」

 

 アリスのターン。

 

 一投目が3、二投目が20、シングルが19。

 

「良いところに当たりました!」

「おお、すごいな」

 

 これで不良が残り375、アリスが残り421。

 

 不良の三ターン目。

 

 一投目が19、二投目でトリプルの20、三投目で5。

 

「っああ〜、どうもうまくいかないな」

「でもリードしてるし良いではないですか」

「まあそっかあ」

 

 そしてアリス。

 

 一投目が9、二投目が8、三投目が20。

 

「うーん、なかなかアリスも安定しませんねえ」

「点数そのものはしっかり稼げてるからすごいと思うよ」

「そうですか?」

 

 不良残り291、アリス残り384。この時点で100点も差が出てる。

 

 不良のターン4。

 

 一投目が7、二投目が1、三投目が20。

 

「ブレちゃってるな」

「アリス行きます!」

 

 アリスの番。

 

 一投目が20、二投目が5、三投目が20。

 

「だいぶ安定してきてるじゃないか!すごいな!」

「アリスは勇者なので上達も早いです!」

「勇者関係ある?」

 

 ____少し飛ばす。

 

 不良のラウンド8。不良の点数は残り180、アリスが270。

 

 一投目がシングルの20、しかし、ここから大変なことが起きる。

 

 二投目と三投目が、20のトリプルだった。一気に140点減って、残り40点となる。

 

「よっし!」

「うわーん!手加減してください!」

「ごめんねえ!強くってさあ!」

 

 不良に負けじとアリスは投げるが、シングルしか出ない上に10と20と1で31点。

 

 残り点数が40と239で、圧倒的な差ができた。あとは不良が20のダブルに当てれば勝利である。

 

「頼む当たってくれよー!」

 

 そう彼女は祈りながら投げる。

 

 ダーツはしっかりと直線を描いて_______

 

 20のダブルに刺さった。

 

 40点でジャスト、しかもダブルで入れたので不良の勝利である。

 

「ィィイやったああああああああーっ!」

 

 どっかの盟主王ぶりの狂乱ぶりを見せる不良。アリスも文句を言いたくなったが、それはそれとして自分が出したルールで負けている以上は何も言えない。

 

 不良はそのまま勢いに任せてステージにあるギターを持ち上げて振り回すが、その際に階段から足を捻って転けた。

 

「何をしてるんですか」

「たは、たはは____いてえ」

「そりゃそうですよ。初心者に勝って狂喜乱舞してこれはちょっと恥通り越してますよ」

「あはは」

 

 二人はそのまま、カウンター席に座った。

 

「んで、なんだっけ。何を聞きたいんだっけ?」

「ミサイルの買おうとしてる奴らの居場所です」

「ああ、それなら_____マスター、あれ」

「ここのマスターアンタだよ」

「そうだわ。でもまあ取ってきて」

「はいよ」

 

 カウンターにいたバーテンダーに取ってきてもらったケースファイルのうちファイルを一個取り出してアリスに渡す不良。

 

「ほら」

「ああ、ありがとうございます。って、アリス負けてるんですけど」

「付き合ってくれた例だよ。ま、渡したあとじゃ引き下がるなんて無様な真似はできないしな」

 

 楽しそうな不良は適当なカクテルを寄越させてから飲み始める。

 

 実際ファイルにはいろんな不良の流通ルートの記録が載っていた。その中には当然アリス達が追っていたものもある。今はゲヘナ近くにいるようだ、納入は先らしい。つまり早めに襲えばオッケーということ。

 

「じゃあこれ持って帰って良いですか?」

「良いよ良いよ持って帰っちゃえ。どうせシャーレが解決したらその情報の意味ないから!」

「わーい!ありがとうございます!」

 

 これでアリスは知りたい情報を手に入れることができた。

 

 彼女は挨拶する。

 

「もう少し休んでいきたいですけど、アリスこれから急いで先生にこれ渡さないといけないので失礼しますね」

「オッケー。んじゃあね、頑張って」

「はい!」

 

 そう言って二人は別れた。

 

 この隠れ家はそれでもシャーレから歩いて10分程度の距離、大通りを取って小刻みに走るアリスを襲おうとする人もいない。

 

 外はもう春景色、桜吹雪も街路を流れる風で通り抜けていくその光景は人々に癒しを与えている。

 

 新学期が近づいていくこの時期は、休みが消えていくのを憂う声もまた響いていた。

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