アリスと先生は囲まれていた。
「きゃー先生サインしてー!」
「しないなら死んでー!」
「ああ!?」
急に殺されそうになっているのは面白いの一言に尽きるが、何にせよ危ない。
先生は急いで下り、アリスが出る。
「アリスに任せてください!」
「一人で全部相手できるの!?」
「任せてください!」
厄介ファンと化した生徒達の相手をアリスはする。
みんな銃撃をするがそれは素直に避けると、一部の生徒は彼女を殴ってこようとするのだ。
「見てください!アリスの新技!」
突然アリスは刀を取り出した。暴れん坊将軍の時に使用した、模擬刀である。
それでも殴りかかってくる相手は刀で受け流すのだろうか?そう思ったときだ。
「はっ!」
そのままアリスの体は黒い羽根と霧に包まれて消える!
「えっ!?」
「アリスはここです!」
上に出てきたアリスは刀を振って、相手を飛ばす。模擬刀とはいえ刀、鉄で殴れば当然痛い。
「うぐっ」
「まだまだ!」
まだ殴りかかってくる相手が沢山いる。銃はどうした銃は。
しかしアリスは怯まない。今度は何かしら腕に装着して振るうと____鉄の傘が出てくるではないか!
「よっこいしょ!」
その傘は展開するが、紫色の炎が同時に出て相手を火傷させる。傘を畳んでから殴ると、その生徒は気絶した。
「すごいな……」
先生はシッテムの箱を抱えながらクネクネして避け続けている。
ただ相手の勢いは止まらない、アリスに向かってハンマーだったりバットだったりを持って突撃してくるのだ。
「今度はこれを使いましょう!」
すると腕から、今度は火炎放射が出てきた。
いかにキヴォトス人と言えど火傷するし、その火炎放射をばら撒き続けたら当然のように相手は暑さに驚いて飛び退く。
「あっつ!?」
「あついっ!?」
「どうですかアリスの忍具、すごいですよね!?」
楽しそうにそんなものを振り回すアリスは魔王超えて修羅である。
そんな彼女に恐れ慄いて逃げていく生徒も出てきたが、不良を中心に一部はまだ襲う気満々。
「アリス、容赦しません!よくわからないですけど、襲ってくる人はこうです!」
彼女は既に忍具で遊ぶことで精一杯。
飛んでくる相手に投げたのは、火がついた何か。
それが何なのかを理解する前に、正体が現れる。一瞬で花火のように爆音をあげて爆発したそれは、爆竹であった。
「ぎゃああああ!?」
流石にこの一撃は相手にとっては不測の事態。そのままアリスは光の剣で殴り飛ばし、戦えるやつを全員ノックダウン。
勝利である。
「ふぅ……なんか急にアリスが凄いことになってたけど、勝てて良かった」
「アリスは空戦型の描写も追加されたというのになんで修羅になっているのでしょうか」
「それ今言う?」
「でもまあかっこいいのでオッケーです!」
「やったぜ」
しかしとんでもない理由で襲われた。
なんでファンみたいなこと言って、殺してくるのだろうか。謎に包まれた行動に、先生は首を傾げた。
「で、なんで襲ってきたの?」
「これ多分、アレですね。この前アリスたちが取材で訪れたスタジオの動画のおまけ映像のせいです」
「大人組でバカやってParty Boys歌ったやつ?」
「それです」
モモイが軽音部のシナリオを書こうと、ゲーム部や先生と一緒にスタジオに出向いた事があった。
アリス達も下手ながら一生懸命歌ったりしたのだが、その際追加の映像でシャーレに居候してた大人達と一緒に先生が何曲か歌ったのである。
その際一番出来が良かったのがParty Boysだったのでそれをゲーム開発部の動画の最後のおまけ映像で付けたら思ったよりも人気が出てしまった。
まあ、キヴォトスでの影響力が強すぎる先生、その大切な仲間として知られるプレナパテス、銀河一の歌手であるロビン、そして歌姫のラクス……後半なんかおかしいがそんなメンバーが歌ったら、それはもう人気が出て然るべきと言うべきか。
「サビをロビンさんとラクスさんに任せてラップ部分を自分とプレ先で歌ったやつ。あれ伸びたんだ」
「アリスたちが取材してギター触ったり歌ったりしたのにコメントだいたいそっちに取られてるんですけど」
「歌姫二人がロック歌ってたらそりゃそうなるよね」
「生徒より目立って恥ずかしくないですか?」
「それは……いやごめんて。確かに先生の影響力あればいけるとは思ってたしだから取材に同行して見てもらおうってのは成功したけど結構斜め上行っちゃったから」
自販機に寄ってジュースを2本買ってから、たまに立ち止まって飲みながら進み続ける2人。
新緑に染まりつつある都会の街もこう見るとなかなか綺麗なもので、二人の会話が弾むくらいには呑気な天気であった。
「新しくまたいいシナリオ来るのにいつになったら本筋に触れるのでしょうか」
「書いてる人曰く『ん〜焼鳥がブルアカのシナリオ書いたらやりますぅ』って言ってるしそのうちじゃない」
「ホヨバ終わらないと永遠に触れないじゃないですかそれ」
「てか普通に担当したら燃えそう、いいシナリオ書くけどキャラ贔屓割とあるから」
「それ言ったらリオのこと悪者のまま終わったパヴァーヌ編どうするんですか?今更ですよ」
「ちょっと言い方酷くない?」
「ブルアカはアビドス3章で終わり!って言ったら『ユメ生き返らせろ』というバカと『生き返らないからこそ云々』と正義を語る阿呆で成り立っているので今更焼鳥シナリオ来たところで焼けるのは頭だけですよ」
「ファビョン……ってコト!?」
しかしまあこの作品を見てる方はそんな奴が居ないのである。(なおネタバレのせいで星1付けられたのは内緒だ)
「でもまあ、うん。新しく出来たらネタにするから……どう?」
「あんなものよりボンドルド装備一式の方が強いと思うんですけど」
「また全盛期ボンドルドするの?」
「ビュンビュン飛んでるより合わせグモスした方が強いのでは?」
「やべえ何も言えねえ」
「テンペスト!」
「ひぃ……っ!」
突然のトラウマを刺激された先生は怯え始めた。魔法の言葉テンペストは、カットが張れない心には刺さるのである。
「ところで今日は何買って帰ろ」
「うーん、アリス何か甘いもの食べたいです!」
「いつもドーナッツだからね。なんかこう、和菓子とかどう?好きそうじゃないシュロとか」
「でも和菓子……羊羹とかですかね?カステラもいいかもしれません」
「え、カステラって和菓子なの?」
「えっと……」
2人はスマホで調べる。
「カステラは和菓子でも洋菓子でもあるそうです」
「あー、どうだろ?シュロは夢女だから解釈違いになるかな?」
「御意御意御意御意」
「ん?」
壁で何か呟きながらやって来ている少女が1人。全体的に紫色、蝶が近くで飛んでいる。
「どうもこんにちは、先生。ワカモです」
「ワカモ……?いや、部分的にはワカモかもしれないけど、え……?」
「和菓子についてお困りなら、おはぎを買ってみては如何でしょうか?」
「アレはれっきとした和菓子だからまあそうだけど」
「う ま い」
「ああ、うん?そうだね」
「以上不死斬りの擬人化でした。では……」
そのまま少女は壁を伝ってビルの奥へと消えていった。
「なんか今TOBIUOが居なかった?」
「違いますよ先生あれは御意御意ゼミですよ」
「そっかーセミかーってならんわ!」
なんかとんでもないのが居た気がするが、このキヴォトスでは仕方ない。ずっとナムカプみたいなものだと考えれば、平和だとも言える。
「じゃあおはぎとか饅頭とか、買って帰ることにするか」
「そうですね」
「いっくよー!」
「はい!」
2人は走り出した。
五月、休みが沢山来る日。楽しみで仕方ないと、時が過ぎるのも早いものだ。