「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
「暴れないでくださいこんな狭い部屋で!」
「デュランダルざああああああああああああああああ」
「あ、そこのお姉さん!」
「相棒!」
「ぎゃああああああーっ!」
「ちょっと!こういう時に限ってトラウマを誘発しないでください!」
「これワールドのウケツケ=ジョーのモノマネだよ!」
「うええええええええん助けてえええええええ」
「あ!先生ずるい!」
「ちょっとこの槍を借りますよ」
「まってそれ大事なの!ルー君!」
「いだだだだッ!」
「黙ってないでなんか言ったらどうですか!」
「もごごごごごごごごごご」
「ルー君で殴ったら相手の喉割とダメになるの!」
「あれ、そういえばカードの範囲やたら広いですね?ゆららの感覚で振ってたから______」
《味方が倒されてしまいました》
_____五月某日。
「ということが、ありましてね」
「まずお兄さん誰ですか」
アリスともう一人、先生よりも先生らしい。声が速水奨のお兄さんがいた。
「私は俗にプレナパテスと呼ばれている男です」
「プレナパテスだったんですか____え?」
アリスは聞き返す。
「いつの間に生き返ったんですか!?」
「あれだけ色々な世界の技術がなだれ込んでくると、あの繭で人体を再錬成する方法も構築されるのです。ただ、生前よりもコーディネートできるので、このプレナパテスはコーディネーターとも言うべきものですが」
「生前からいじった箇所は?」
「声帯だけですよ。前は京極政宗みたいな声だったので」
「本当ですかそれ」
「滅亡の原因は私の刺殺です」
「その事実を軽く持ち出さないでください!」
あはは、すみません、と彼は言う。
「まあ、最も生まれ直しとかでもないので、そうそう怪しいものでもありませんよ」
「アリス知ってます!バイオリレーションシステムですね!」
「その例えだとろくでなしみたいになるのでやめてください」
そうこう言っているうちに、相手が出てきた。
でっかいクレーン車と、運ばれてきたのはデカグラマトンを模った何か。
「はっはー!ここであったが百年……あれ、先生じゃない!?」
「いや待てよく見ろシッテムの箱持ってるから」
「あんなお兄さん然としてないぞ!」
「私はプレナパテスです、まあ、この姿を見せるのは初めてですがね」
今回のIGLは、プレナパテス、もっと言うなら並行世界の先生だ。
「くっそ!いつの間に蘇りやがった!」
「準備そのものは前段階から出来ていましたが、ここの先生がだらしないのか下手に暴れた挙句怪我しましてね」
「どうせ木曜日だしスターレイルの更新やったんだろ」
「ご名答」
「じゃあ先生以下のお前に負けるわけないな!」
相手はたかをくくっている。
自分たちの知ってる先生には敵わないが、それに下されたやつなど取るに足らないと考えているからだ。
「どうしますか?彼女達の挑発行為に乗らなければこの場は争いが生まれずに済みますが」
「避難誘導ってされてるんですか?」
「一応は」
「なら応戦します!」
「とは言ってもアリス一人では」
「一人じゃありません!」
アリスが指を鳴らした。
すると、後ろの方からモーターのいかつい音がする。
「えっ」
プレナパテスは声を漏らした。
光景を見れば当たり前だった。
でかいロボットを牽引するでかいトラックがオートパイロットでやってきた挙句、荷台が垂直になるとそのロボットの全容が明らかになる。
「え、えぇ」
困惑と絶句が、彼を支配した。
白を基調としたボディに、少しばかり古めかしいスタイリッシュなムーバブルフレームを採用し、左肩には赤色のマーク。全体的に騎士と思わしき見た目をしているが、駆動系を見るとやはり機械感が強いそれ。
「ブラッドテンプル……!?」
「はい!ユウカが融通を効かせてくれました!」
「融通効かせて持ってくるようなものではないでしょうこれ!」
「操作方法はエルガイムと同じ仕様です!」
アリスは近くに運ばれてきたビークルに乗って、上に昇る。
「まるでパトレイバーみたいなノリで持ってきてますけど色々手加減してくださいね!」
「わかってます。ドッキングセンサー!」
彼女はそのままブラッドテンプルに乗り込んだ。
360度の全天周囲モニターには周りの景色が映り込み、その目線の先には、まるでミノタウロスになったようなケテルっぽい何かがいた。
「アリス!行きます!」
「かかってこいやあ!」
まずはケテルもどきからの攻撃、スピードをつけてからジャンプすることで思い切って飛んでいく。
「それならまずこれを!」
荷台から下ろされたブラッドテンプルは、円盤状の爆弾を持ってそれを相手に投げる。
爆発してから分裂すると、大きな破片が相手に直撃。
「くっそ〜!だがケテルは地の高機動が売りだ!」
「ワイヤーを使ってきます!アリス!」
「なら!」
アリスは近くにあった装備を拾い、そのままコードを差し込んで接続すると右腕に付けたランチャーから相手を撃つ。
ケテルもどきはワイヤーを使って上から飛びかかろうとしていたものの、ワイヤーの巻き取り速度が粗製な為に遅く、ビーム兵器に対して何も出来ずに貫かれた。
「うわぁ!?私達の特製ケテルが!くっそあの女、どこからあんなものを持ってきた!」
「これはユウカ達がアビドスを調べていたら出てきた出土品のうちの一つです!使えるようにするのに苦労したって言ってました!」
「そんなもの使えるようにしなくて良いですから!」
「レッドミラージュ……?みたいなものも出てきましたよ!」
「こんな戦いよりも今すぐ埋めてきた方がいいやつですよそれ!」
「だめです今ラインハルトさんが乗り回してます!」
「気が狂いそう!」
金髪の小僧は自分とは違うSFの兵器に乗って大はしゃぎ。そんなことは関係なく、戦いはフィナーレを迎える。
流石にハリボテ当然とはいえ基礎機能はしっかりしてるケテルもどきの背中には、低出力だがビーム砲が付いている。対ビームコーティングで受け切れる威力だが、乱射されると被害が大きい。
「バスターランチャーを使います!距離とかはどうですか!」
「大丈夫!100kmぶっ放してもそんなに破壊されないはずです!」
「使います!」
でかいビーム砲のようなものを抱えて、狙いを定める。
爆発とビームランチャーの二つによって機動力がほぼ皆無となっていたケテルもどきに、その砲口を向ける。
「バスターランチャー、エネルギー充填完了!そこです!」
引き金を引くと、バスターランチャーは光を放った。
それは巨大なビームであり、ヘルメット団のメンバーは吹き飛ばされるだけで済んだもののケテルもどきはそうはいかない。
膨大な熱量は、不良達が集めた瓦礫ではどうしようもないもの。コンクリートや鉄では受け止め切れるわけはなく、またビームや熱に対する処置をしているわけもないので、そのままデカグラマトンの一文字を担う存在は、バスターランチャーの力で消え去ってしまったのだった。
「やりました!プレナパテス!」
「町の被害は……うーん警備ですね。よくやりました」
ブラッドテンプルを元に戻して、アリスはプレナパテスのところに戻ってきた。ヘルメット団はもうすでに退散した後で、静かになっている。
「はあ、今回もなんとかなりましたね」
「地下室で暴れた挙句ルー君を振られてステリアさんと一緒にぶっ倒れた先生の様子でも行きませんか?」
「そうしましょうか」
2人は歩き出す。
雨はまだ降らないが、曇り空の濃さは後々に降りそうだと告げている。
「何を食べさせましょう?」
「アリスはドーナツを推します。ミスド」
「いいですね」
この2人の後ろ姿も乙なもの。
もう一度生身の身体を得たプレナパテスは、雨の雰囲気さえ恵みである、身体が濡れて風邪を引きそうになるような熱の予感さえも嬉しく思っているようだった。