「ねえ、ハビー」
「はい……」
そこには正座している先生と、ピンクの髪をした幼女がいる。
「ハビーはさ、メグメグのこと大好きなんだよね?」
「うん」
「メグメグのこと推しだって言ってたよね?」
「勿論でございます……」
「じゃあさ」
メグメグはあるものを見せた。
コンパスの個人ヒーローランキングであり、上からアタリ、リュウ、猫宮、デンジ、そしてメグメグと使用率ランキングが続いている。
「これどういうことかな?」
「いやどうと言われても」
「おかしいよね。なんでメグメグの上に“4人も”いるの?」
50口径のガトリングの銃口が先生に突きつけられる。
「いやあそれには深いわけが」
「じゃあメグメグは好きでもなんでもないアタリに3倍も差を付けられてる理由があるの?メグメグは安定したガンナーなんだよ?」
「すいません桃鍋でモンサ擦るの気持ちよかったです」
「ハビーってホモだったりする?」
「いや違うんです。あいつとは桃鍋だけの関係なんで……」
「じゃあその下に居るガチムチのおっさんは?」
「それはマジで近距離が凸ってる関係上安定して使えるキャラだから使ってるんです許して」
「うーん、じゃあ許してあげる。このおっさんはハビーにとっての仕事仲間……やっぱり〆る?」
「リュウは悪くないから!」
言い訳を聞いたメグメグという少女は、さらに問い詰める。
「しかもさ、デンデンはこの前まで500回だったよね?」
「うん……」
「なんでメグメグの回数超えてるの?」
「ルー君をデンジで擦るの楽しくって」
「おかしいよね?メグメグが推しなら普通そうやって抜かされることなんてなくない?」
「うん……」
「ハビーはメグメグのこと嫌い?」
「いや大好きです……」
「嘘つけクェスみたいなもんだと思ってますよ」
「ちょっと速水ボイスでそれ言うのやめて」
外は大変なことになっている。
色んな不良が襲って来ているのをみんなで対処しているのだから。
不良を殴り飛ばすアリス。
「おりゃあ!」
「うがあー!」
椅子を振り回したりして相手を攻撃しているのはあまりに破天荒。銃弾よりもこう言った物理と勢いで殴り飛ばした方が強いようだ。
「うわあ結構人がいますね!」
「そりゃそうでしょう!先生があんな状態なんだから!」
本人はメグメグに拘束されている。
「まあね?ハビーはそもそもFPS沼からやって来てるのは知ってるから、LoLがむずいのは分かってたよ?そう言うゲームの方が得意なのにメグメグに会うために始めてくれたのは嬉しいもん。実際デンジに抜かされてるけど数少ない500回超えのキャラだからメグメグも」
メグメグは自分の成績が載っている画像を出してくる。使用回数は553回。
「まあ、メグメグはこれだけ使ってくれている。時期にあのネコババも越せるだけはある!って思ってたんだよ」
「思ってた……?」
首を傾げる先生。
「いやあ、手軽にできるLoL、陣取り合戦こそがコンパスの醍醐味だから他のやつは続かないと思ってるよメグメグは。非人類学園だって長く続かなかったし、LoL本家はやる気が出ないとスルーされている。唯一他にやっているであろうポケモンユナイトは試合時間10分!とてもコンパスみたいに試合回数稼げないだろうなって思ってた。思ってたんだよ、ハビー」
そうして見せたのはユナイトのよく選ぶポケモンの欄。
なんと言うことだろう、ザシアンの使用回数は568回だ。
「なんでメグメグの回数よりもザシアンの方が多いのかな?」
「えっ」
「メグメグはザシアンに負けてるんだよね」
「いやそのこれは」
「なんで10分の試合をするゲームの、しかもポケモンに、メグメグは負けてるのかな?」
「その_____」
「なんで?」
「ザシアンの聖剣が気持ちよかったからです……」
メグメグはため息をついた。
「ハビー、それはないよ。メグメグ悲しいよ、なんでそんなことしちゃうの?」
「それに関してはマジで仕方ないじゃないか!全盛期ザシアンがどれだけ強かったか知ればみんな使うって!」
全盛期ザシアンはせいなるつるぎを使えば相手の防御を100%無視した上でクリティカルを出してタンクだろうが問答無用で破壊する上にダメ軽減50%、おまけにスタンや状態異常で動けなくしても後出しのこうそくいどうで即座に抜け出して行動可能とかいうインチキ性能。
言ってしまえばバフも乗る上に攻撃に回復まで付いている上条と言えばいいのだろうか。それくらいやばい性能をしていた。
挙げ句の果てには超火力のユナイト技とボールさえあればいつでも火力出し放題試合を破壊し放題とくれば仕方のないこととも言えただろう。特にユナイトはコンパスのシーズンのように一チームに一キャラしか出せない仕様になっているため、この時のシーズンは大体のチームにザシアンがいた。なおロールがOWのように固定されていないのでLoLに慣れてないキッズは2進化の相棒ポケを選び事故るのも日常茶飯事である。
ただそれはそれ、これはこれ。メグメグは大きくガトリングを振りかぶった。
「もうボコすしかなくなっちゃったね」
「わ、わあ!」
「危ないです!先生!」
不良をボコし終わったアリスはメグメグの殴りをガード。
「ちょっと邪魔しないで!」
「先生を殴らせません!」
アリスは徐にアルコールを取り出して飲む。
「これで負けません!」
「ハビーはメグメグのものだから絶対にあげない!」
メグメグは襲いかかり、フルークを振ろうとするがアリスは回避。
「あっ」
「うおおお!」
そのままアリスは酔ったような動きで相手に蹴りをかます。
「わーっ!」
メグメグのダメージボイスが流れるが、アリスはそのまま攻撃を続行。
酔った勢いでそのままぐるぐるまわりながらかまいたちで攻撃!
コンパスにはヒットストップはあるがエクバのようなダウン無敵はないために攻撃をくらい続けるメグメグ。
体力倍率0.9では流石にジャッジアイズみたいな動きをされるととても厳しかったのか、彼女はコンボの締めで倒れるようにナタデココになった。
「次は手榴弾でバレーしようね☆」
そう言い残して。
先生は推しに詰められてる間に、いつの間にか不良の山が出来上がっていた。
「ふいー、大変でしたね」
「いや大変のベクトル先生だけ違うんですケド」
「先生がこ○んぐさんみたいに遊んでるのが悪いところがある」
「まって先生は別にTinderやってないよ!?」
とりあえず三人は歩き始める。
「いやあ、なんというか、推しっていう二文字に痛い目を見た気がするよ」
「普通こんなことは起きないはずなんですけどね。と言うことはあの不良たちも若しくは」
「ちょっと怖いこと言わないでよ」
おお、怖いと先生は身震い。
「まあでも、彼女を使えない理由は何か?」
「単純にデキレ問題かな。フリバでわざわざ使う性能でもないし、かといってバトアリだと160が限度なんだ。素直にシノンとか使うし、13とかの方が180で使えるから。というかスプリンターとかだったら200組めるし_____」
「デッキ問題というやつですか」
「アタッカー基本170より上だからそっち使った方がいいよね、担ってしまってるんだよな」
「では、メグメグが使われるのは」
「全天かディーバかお母さんが3凸してからだなあ」
先生はため息をついて、二人が慰める。
空は今にも雨が降りそうな様子だが、まだ湿った匂いはして来ていない。
早く帰れば濡れずに済むだろう、悪夢を振り払うためにも三人は小走りでシャーレへと帰っていった。