「勝負です!」
「う、ぐ_____貴様あ!」
それはある日のこと。
また不良達がやらかしたせいでその後を追っていたアリス達は、暴れていたグループのリーダーを捕縛。逃げられないようにサティスファクションスタイルで、ゲームを仕掛けることになっていた。
しかし二人の腕にはデュエルディスクが。
「シャドバの試合始まりそうな感じですけど、持ってるのデュエルディスクでは?」
「なんかウタハ達が改造したらしいよ」
「えぇ……」
デュエルディスクでシャドバすると言うとんでもない光景だが、リーダーはそれでもシャドバで戦うと宣言。
「へっ!シャドバだったら得意だもんな!あのRR使いだって倒したんだから!」
「じゃあ、勝負です!」
「デュエル!」
試合が始まった。
相手はロイヤルのデッキで、アリスはドラゴン。手札にはベルエンジェル・リア(2コス)、迸る光明・アポロン(3コス)、戦斧の竜殺し(6コス)、白鱗の御使い(4コス)。
「えっと……」
アリスは後ろ2枚を交換。引いたのはドラゴニュートクラッシュ(1コス)と栄弦の奏楽(3コス)。
相手も2枚引きなおして、試合が開始された。
先行はアリスのターン。どちらも手札が4枚で、先行ドローあり。
「ドロー!」
引いたのは駆け出しのドラゴンスレイヤー(4コス)。
1コスのドラゴニュートクラッシュは場にフォロワー(他のカードゲームでいうところのモンスターやクリーチャー)に2ダメ与えるもの。特にやる事はないため、このままターンエンド。
「私のターン!ドロー!」
後攻もワンドロー。
「私はこの瞬間、エクストラPPをしようして2コスの《ベルエンジェル・リア》を召喚!」
出てきたのはベルエンジェル。
シャドウバースビヨンドでは、従来と違い後攻のプレイヤーはエクストラPPという最大二回使える追加の1PPがある。
他のゲームでよく見るマナがPPであるが、基本PPは1ターンに1しか増えない。旧来はドロー枚数と進化権の多さでカバーしていたものを、今回はエクストラPPという追加で一個使えるPPを与えることで動きの幅を広げようという事らしい。
なので1ターン目に2コスのフォロワーが置けるのだ。
「うわあ、ちゃんとやってそう」
「それでもアリスは勝ちますよ」
「ターンエンドだ」
また、アリスのターン。
彼女が引いたのは竜の啓示(3コス)。
「おお、引いた。でもナーフされた託宣なんだよなこれ」
「託宣は強過ぎたからナーフされましたもんね」
「いやカードゲームビッグマナが年々弱くなりつつあるから2コスのままでもよかったじゃん______許さんぞサイゲ。ドラゴンにだけペテンシー実装しろ」
「壊れちゃう!」
「アリスもベルエンジェル・リアを召喚!」
同じフォロワーを置いて彼女もターンエンド。
「私のターン!」
エクストラPPはあと5ターンで再使用可能になる。今はまだ使えない。つかえるPPは2だ。
「私は《勇猛のルミナスランサー》を召喚!」
出てきたのは2コスのフォロワー。場に出た時効果でナイトを1体召喚している。そしてそのナイトがルミナスランサーの効果で突進を持ち、攻撃力0/体力2のベルエンジェルに襲いかかる!
幸い相手の攻撃力は1のため破壊はされず、そのまま場に残り続けた。
「アリスのターン!」
また、彼女のターンが回ってくる。ここでドラゴニュートクラッシュの2枚目が手に入った。
「アリスは竜の啓示を発動します!これでPP最大値は4になりました!」
PPブースト、ドラゴンのカードが持つ特徴の一つだ。
これでアリスは相手とPPの差をつけた。しかし使うのに3コス使っているために他のアクションが取れない。故にここでターンエンドだ。
「私のターン!《サイレントスナイパー・ワルツ》を召喚!」
3コス払って召喚したワルツの効果は、召喚時に相手のフォロワーの一体に5ダメージ。
HPが0になったアリスのベルエンジェルは破壊され、引いたのは栄弦の奏楽。
「ルミナスランサーとナイトで攻撃!」
どちらも攻撃力は1、リーダーの体力は20なので1の二回攻撃でアリスの体力は18となった。
「よし!上手いことやれてるぞ!」
「調子に乗らないでください!」
ターンエンドしてアリスのターン。彼女が引いたのは灼熱のアナテマ・バーンドナイト(7コス)。ただ、まだPP5なので使えない。
「アリスは《迸る光明・アポロン》を召喚!」
出てきたのはアポロン。召喚時に相手のフォロワー全部に1ダメを与える。
彼女のフィールドに並んでいたワルツ、ナイトは体力1なので破壊され、ルミナスランサーとベルエンジェルは体力2なので1となった。
「さらにドラゴニュートクラッシュを発動して、ルミナスランサーに2ダメージ飛ばします!」
「くっ!」
相手の攻撃力を持つフォロワーを全部破壊したアリスは、1PP残したままターンエンド。
「私のターン!」
相手はも一枚のベルエンジェルを召喚して進化させる。進化時には1枚ドローが入ったようだ。そのままアリスのアポロンは攻撃力2の進化したベルエンジェルで破壊され、ターンエンドとなった。
「アリスのターン!」
引いたのは栄弦の天宮・リュウフウ。
「アリスは《栄弦の天宮・リュウフウ》を召喚!」
出てきたフォロワーにさらに進化権を使い進化させる。するとPPが1増え、この5ターン目でPP最大が7になった。
「アリスは進化していない方のベルエンジェルにリュウフウで攻撃します!」
進化していないベルエンジェルにリュウフウで攻撃する時、相手は攻撃力0の体力2、リュウフウはどちらも5であるために破壊。
「さらにアリスは手札からドラゴニュートクラッシュを発動!進化しているベルエンジェルに使います!」
「バカめ!ダメージはたったの2だろうに!」
進化したベルエンジェルには、4ダメが入り、ちょうどHPがゼロになって破壊された。
「んだとぅ!?」
「ドラゴニュートクラッシュは覚醒時、ダメージが4になります!そしてアリスの最大HPは7!覚醒が丁度発動しています!」
ドラゴンは、覚醒という固有能力を持っている。
PPの最大値が7だと覚醒状態に入り、カードにある固有能力が使えるようになるのだ。
「アリスはこれでターンエンドです!」
「私のターン!私はもう一体、ワルツを召喚!」
登場時効果で5ダメージが飛び、また体力が0になってリュウフウは倒れる。
「さらに《王家の御者》を召喚!」
丁度5PPを払って二体を出し、リーダーはターンエンド。
「アリスのターン!」
アリスが引いたのはアポロンの2枚目。
「アリスは4PPを支払い《駆け出しのドラゴンスレイヤー》を召喚!」
駆け出しのドラゴンスレイヤーは、登場時相手のフォロワー1体を破壊。それでワルツを破壊して、さらに《栄弦の奏楽》を発動。2枚ドローすると同時に、このターンはPP最大値が8であるため、覚醒効果で2回復。序盤にダメージを負った2ダメをこれで打ち消した。
引いたのは龍人演義・ガリュウ(8コス)とは最果ての罪・サタン(10コス)
「ターンエンドです!」
不良のリーダーのターン。
このターンから超進化という新要素が使用可能になったが、使わないらしい。
「《卓越のルミナスセイジ》を召喚!」
5コスを払って、ルミナスセイジを召喚。登場時効果でスティールナイトが3体出現。それらはルミナスセイジの場にいる時効果で守護を持つ。
「そしてルミナスセイジを進化!」
進化する時は特に効果はないが、攻撃力3の体力5となり、アリスの場にいたドラゴンスレイヤーは破壊。場に残っている王家の御者の攻撃力の1点がアリスに飛んで、彼女のHPは19になった。
「アリス大丈夫かな」
先生達が心配している間に、アリスのターンがやってきた。
「ドロー!」
アリスが引いたのは烈火のファイアリザード(2コス)。
だが彼女はそれを使わずに、まず手札のガリュウを捨ててあるものを召喚。
「アリスは灼熱のアナテマ・バーンドナイトを召喚!」
そう、このアナテマを召喚。
ガリュウを召喚時に捨てたことによって、そのコスト分が相手のフォロワー全体へのダメージになる。全てのモンスターは8以下であり破壊され、王家の御者の効果でナイトが1体出てきた。
「そしてアリスは、超進化させます!」
アナテマが、新たな進化を遂げる。
超進化。ビヨンドで出てきた新要素だ。
進化が基本体力と攻撃力を2プラスするのに対し、超進化は3プラスする。その上で超進化時に使える効果が使え、普通の進化時の能力も使えるのだ。
その上で超進化したターンは破壊されず、ダメージも受けない。
進化とはまた別の超進化権があり、どちらも2回まで。先行後攻で差はない。
「そしてクレストの効果を持ってもらいます!」
「くそ!」
クレストはリーダーが持つ能力で、同じ能力は基本重複しないようになっている。また、5個までしか持てないもの。
「アナテマでナイトを攻撃!」
指示通りに攻撃が開始されると、ナイトを攻撃した瞬間に体力がゼロになり、相手へと吹っ飛んでいく。
「ぎゃっ!」
超進化したフォロワーは相手のHPをゼロにすると、そのモンスターを吹っ飛ばして相手に1ダメを与えることができる。
相手のリーダーはダメージを1くらい、19となった。
彼女はファイアリザードをついでに出し、現在のPP9を全部使ってターンエンド
「アリスはこれでターンエンドです!」
白熱しているバトル、相手も当然怯むわけはない。
「ドロー!」
アナテマのクレストはターン開始時並びにターン中一回回復した時に1ダメージを与えるというもの。HPは18になった。
「3PP使って《救援のルミナスヒーラー・リララ》を召喚」
ルミナスヒーラーがスティールナイトを召喚し、兵が出たことで1回復するが、クレストの効果でダメージをくらって回復が無駄になる。
「さらにまだ使っていなかったエクストラPPを使い、5マナでルミナスセイジを召喚!」
またルミナスセイジが召喚される。
シャドバは上限5体までなので、スティールナイト1体は消滅。それでも守護を持ち、3回召喚されたことでHPは3回復。このターンはクレストの効果はもう全部使い切っているので、HPは20に戻った。
「さらに私はスティールナイトを超進化!」
ルミナスヒーラーで出したスティールナイトが超進化。
「ファイアリザードを攻撃!」
ファイアリザードは2/2、スティールナイトは超進化して5/5。
フォロワーが飛び、アリスにダメージが入った。
「うぐ」
「はははは!兵が並んだぞー!」
「まだ負けてません!」
相手はターンエンドして、アリスのターンになった。引いたのはファイアリザードの2枚目。
「アリスは《最果ての罪・サタン》を召喚!」
10コス払ってサタンの召喚。
サタンの効果はデッキをコキュートスデッキという10枚の強力なカードで構成されたデッキに変えてしまう効果。6コスで10/10の疾走(シャドバは基本召喚したターンはプレイヤーを攻撃できないが疾走があると攻撃可)、1コスで13/13、敵2体と相手に6ダメージ与えるやつといる。
「そしてアリスはサタンを進化!進化したサタンと超進化したアナテマで守護のスティールナイト2体を攻撃!」
サタンは進化して12/12でスティールナイトを粉砕、アナテマは超進化なので相手に1ダメージを飛ばした。
それでターンエンドしたら、今度は相手のターン。
「私のターン!」
ダメージを喰らって18。PPは8
「私は《クイックブレーダー》と《王断の天宮・スタチウム》を召喚!そしてスタチウムを超進化!」
5PPで二体召喚し、片方を進化。
超進化したフォロワーが2体。
スタチウムの超進化時効果はナイトを2体出した上で他のフォロワーを攻撃力と体力両方をプラス1する効果。
盤面は超進化したスティールナイト、ルミナスヒーラー、ルミナスセイジ、クイックブレーダーがいるためナイトは出てこなかったが、全員バフされた。
「そして残りの3マナを使い《王断の威光》を発動!」
使われたのはスペル。
モードといい二つの効果のうちの一つを選べるが、そのうちのフォロワーを+1/1する効果を選択。さらに攻撃力が上がった。
「まず一体目!このターンに超進化したスタチウムでアナテマ・バーンドナイトの攻撃!」
スタチウムは8/8、アナテマは10/10。だが超進化したターンはダメージを受けないため、アナテマのHPが一方的に減り、体力は残り2。
「クイックブレーダーでアナテマを攻撃!」
クイックブレーダーは3/3になっており、アナテマと相打ちに。
「そしてルミナスセイジでサタンに攻撃!」
ルミナスセイジは3/5、サタンはスティールナイトと交戦したことで12/10。サタンの体力は7に。
「超進化済みのスティールナイトでサタンを攻撃!」
超進化したスティールナイトは7/7。
サタンの攻撃力はスティールナイトを破壊できるが、超進化したフォロワーが先に相手のフォロワーの体力を0にした時にはそのまま吹き飛ばすのでアリスに1ダメージ。
「うぐっ」
「そしてルミナスヒーラーでダイレクトアタック!」
「きゃあっ!」
アリスのHPは削れ、さっきの攻撃と合わせてHPは14に。
「やばい!」
先生が焦るのも理解できた。
手札にあるのは軽いダメージを与えるカード2枚とドローカード。一応ドローができるとはいえ、一枚でひっくり返す手段が引けるかは運次第。
それでもアリスは、怖けずに戦う。
「どうだよ!超進化2体!これを突破できる手段があるか!?」
相手は勝ち宣言をしてる。体力も多い以上、それは間違いはないのだろう。
アリスは、このドローが逆転の一手だと信じるしかない。
「アリスのターン!」
引いた。
出てきたのは、アスタロトの宣告というカードだった。
「ぷ、くくく_____」
「なんだ急に笑い始めて!あ、いいカード引けなかったんだな!?」
煽る不良のリーダーは、そのドローが何かは知らずに喋り続ける。
「そうです。アリスは、アリスは盤面を処理できないカードを引きました________」
「じゃあもうお前の負けだ!諦めて私を見逃し、カッコつけたその罰を」
「なぁんちゃって!」
遊戯王ばりの顔芸を見せるアリス。
「は?」
疑問に思うリーダーに関せず、声高らかに引いたスペルを発動。
「なら見せてあげます!もっと面白いものを!スペル発動!《アスタロトの宣告》!
そう、それはほぼ死刑宣告のようなものだった。
10PP発動して、相手の体力の最大値を1にする。
これだけではギリギリ足りない、本来であれば何かしら相手にダメージを与えられるものがあってこそ機能するもの。
「おいおい脅かすなよ私の」
「クレストをもう一度見てみますか?」
そう、クレスト。リーダーにかかる効果。
アナテマはターン開始時、相手に1ダメージを与える。
「_____まさか!」
「そう!体力の最大値が1になったことでターン開始時の回復も無効、そのままクレストの効果で1ダメージを喰らってあなたの負けです!」
「そ、そんな!」
「アリスはこれでターンエンド!さあ、引いてください!」
アリスはターンエンド。
そのまま不良のリーダーのターンになるが、クレストの効果がここで発動。
1しかないHPに、1ダメージ入る。
「う、まさか、バカな!うおああああああああああああっ!?」
相手は吹き飛び、そのまま試合は終了。
アリスの勝利だ。
「やりました!先生!」
「おお、おめでとう!」
先生とプレナパテスも近寄ると、そのままヴァルキューレに連絡する。
報告が終わったら回収を頼んで、三人は歩き出す。
「アスタロトの宣告は引いてもちょっとどうしようか悩むカードだったけど、初期環境であんな闘い方が出来るのはすごいな」
「シャドバ初期と違って、ビヨンドの初期はそこそこパワーあるかつ新要素を使わせようというのも噛み合ってあんなIVみたいな動きもできるんですね」
「はい!でも生徒のことIVっていうのやめてください!」
「急にベクターのモノマネした子に言われたくない」
なんて話をしながら、三人は歩いていく。
梅雨の香りが残る、小雨を潜りながら。