はい!アリスは戦い方を学びます!ゲームから!   作:らんかん

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特別幕間:今のキヴォトスを探検しよう-その4/降臨、ヒナ*テラー(後)

「あ、プレナパテス。それにマコト」

「大丈夫ですか先生!」

「ぱっと見大丈夫ではないな」

 

 ヒナの手札は8枚あって先生には1枚もない。

 

「ろくなカードに恵まれてない。置かれたデッキにメンデルスゾーンの代わりに別のカード入れられてるんじゃないかってくらい来ない。ま、元々置かれているデッキだ、そんなこともあり得る」

「なんでそんな落ち着いていられるんですか!」

「遊戯王ならとっくに絶望してるが、デュエマは盾もある種のリソースだ。十分希望は持てる」

「全く、これだ!私より年上だからしっかりしてると思ったら!」

「文句を言うな。お前とほぼ同い年だ、そんなこともある」

 

 ヒナは今来た二人の方は見ずに、先生の方を見ている。

 

「今熱烈な告白を貰ったところだが、茶化すには妙に悲鳴が入ってる。だが、今シャーレに居て手伝ってくれている奴らと比べたら心底くだらない。希望がないから私が飼ってあげる、だとさ!」

 

 先生は笑う。

 

「そんなことで自分は止まらない!幸せな家庭を築くまで戦い抜いたやつと、家庭を持っても世界のために戦った男の前で惨めな真似はしない!俺がこの世界に来る前から、感動をくれた憧れに今度は俺が生き様を見せつける番だ!」

 

 それが彼の、結論だった。

 

 色彩は彼が異様な人間で、なんとしてでも先生として存在させて演算させたいのだろう色彩はいろんな世界の人間を放り込んだ。それが尚更、彼個人の性格と思想を強化させてしまっている。

 

「先生_____」

「しかし手札は0枚!次のターンでなんとかなる保証はあるのか!?」

「保証なんかあるか!この世界に来て保証が役に立ったことはないしな!

 だがいいタイミング、次は自分のターンだ。見ていてくれ、このターンで決着をつける!」

「無駄よ!たった一枚の手札で、どうすることもできないわ!」

「やってみなければ分からない!絶望だけを膨らませて歪んだ今のお前に、本当の希望を見せてやる!」

 

 諦めさせようとするヒナに対し、真っ向から彼は叫ぶ。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

 勢いよく、デッキの一枚上をめくる。

 

 出てきたのは王道の革命 ドギラゴン。

 

(よし、これならある程度動けそうだ)

 

「マナチャージをスキップ、手札から5マナ払って《王道の革命 ドギラゴン》を召喚!」

 

 手札から出てきたのは、新しいドギラゴン。

 

「このカードが召喚された時、山札上2枚をマナゾーンに置き、マナゾーンのカード一枚を手札に戻す!」

 

 山札上2枚を捲る。

 

(来た!)

 

 山札上から墓地に行った2枚のカード、それはメンデルスゾーンと蒼き団長 ドギラゴン(バスター)

 

「自分はドギラゴン剣を手札に戻す!そして、王道の革命 ドギラゴンで攻撃する時____革命チェンジ!」

 

 今出たドギラゴンを手札に戻し

 

「現れろ!《蒼き団長 ドギラゴン剣》!」

 

 フィールドにドギラゴン剣が出てきた。

 

「そしてこの時、革命チェンジによって出てきたドギラゴン剣の効果で、手札またはマナゾーンから合計6コスト以下になるように多色クリーチャーを出せる!」

「なっ!」

「自分はマナゾーンに埋まっている《ボルシャック・サイバーエクス》を出す!」

 

 新たなモンスターが、場に現れた。

 

「ボルシャック・サイバーエクスの効果、相手は自身の場の一番パワーの低いクリーチャーを破壊するか、相手のクリーチャーを一枚選び手札に戻させるかの二択を選べる。自分は前者を選択!」

 

 ブロッカーを持っているフミシュナがパワー4000でヒナのフィールドの中で一番パワーの小さいクリーチャーだ。

 

 それをサイバーエクスで破壊して、ドギラゴン剣でトリプルブレイク。ただ、シールドは2枚しか無い。

 

「ガードストライク!邪心臓の魔法陣を公開し、ドギラゴン閃の攻撃を止める!」

 

 シールドにあったのは邪心臓の魔法陣と、ドルファディロム。

 

「無駄だ!それでも場に出たサイバーエクスの攻撃が残っている!ボルシャック・サイバーエクスでダイレクトアタック!」

「私は《悪夢神バロム・ナイトメア》の効果を発動!」

 

 ヒナの手札にある、バロム・ナイトメアの効果が発動した。

 

「相手の攻撃時にシールドが無いプレイヤーがいて、さらに同名クリーチャーがいない時に山札下を確認し、それが進化でないデーモン・コマンドならこのカードを召喚できる!」

 

 山札下を確認すると、そこにあるのは悪魔神ドルバロム。

 

「え_____」

 

 ドルバロムは進化クリーチャーだ。これでは、バロム・ナイトメアが召喚できない。

 

「どうして!カオスチャージャーで確実に墓地にはフミシュナが!」

「どうやらカオスチャージャーを使った次のターンのお清めシャラップが功を奏したようだな」

 

 先生はすまし顔で、解説する。

 

「お清めシャラップは墓地のカードを全て選んでデッキに戻させることができる。そして戻したデッキを()()()()()()()。その意味は分かるな?」

「まさか」

「そう、そのまさか。お前がフミシュナを山札の一番下に置いた後、2枚目のお清めシャラップによって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()せいで、ドルバロムがずっと下のままだったらしいな。面白いことがあるものだ」

「そ、んな」

「どうやら、勝利の女神は自分に微笑んだらしい」

 

 他に使えるカードがなかったヒナ。

 

 それにより、ボルシャック・サイバーエクスのダイレクトアタックは、成立した。

 

 ヒナは軽く吹っ飛んで、後ろの地面に倒れ伏す。

 

 先生の勝利だ。

 

「これで自分の勝ちだ」

 

 勝ち誇った先生は、そのまま彼女に近寄った。

 

 服装だけはいつも通りに戻ったが、気絶してるせいでヘイローが確認できず、結局元に戻ったのかどうかは分からない。

 

「先生!」

「お、来た」

「まさか本当に逆転するなんて!」

「シールドを全く破らなかったからな。中途半端に殴るのも確かに躊躇われる、か」

「一体何があったんです」

「ヒナは地下生活者に催眠をかけられていたようだ、故に敵対するしかなかった」

 

 彼は軽く説明を済ませる。

 

「ま、こうして真っ向勝負をして勝ったし、しばらくは落ち着いてくれるだろ。そうじゃなきゃ困るし」

「そうでしょうけど」

「行くぞ、プレナパテス。あんまり休んでる暇はないからな」

 

 先生は立ち上がり、別の学園へ行こうとする。

 

 だが、それを止めるのが一人。

 

「待て」

「ん?」

 

 マコトだ。

 

 彼女は、先生の目の前に歩いてくる。

 

「まさか、彼女に何も言わないままという訳ではあるまいな」

「後でモモトークに詫びを入れておく。では、ダメ?」

「確かにそれが今は一番だろうな。だが」

「だが?」

 

 先生が続きの言葉を聞こうとした、その時だ。

 

 パン。

 

 その音が聞こえたと同時に、先生は頬にビンタを食らった。

 

「_____わかるだろう、先生」

「ああ」

 

 打たれた方は、静かに答える。

 

「プレナパテスは高潔が故に、彼女のような本音が一切聞こえず破滅した。だが、先生はそれよりも酷い理由で生徒に敵対し、今までの信頼がなかったように振る舞い戦った。それは、指導者の観点からしていいことだと思っているのか?」

「間違っているだろうね。だが、自分も人間だ。地球ですら人類すべてのエゴを飲み込めやしないのに、一人の人間では背負うことは到底無理だ。自分もエゴを飲み込ませる側だ、それが人間というものだから」

 

 いつもの調子で話す彼。

 

「だけど、その人間を全て飲み込ませ……いや、人間のエゴで骨組みして出来たのが社会というものだ。自分も社会の一員である以上、衝突は避けられない。そして今回は、衝突したんだ」

 

 先生はようやく、相手の顔を見た。

 

「自分が正しいとは一切思わない、だが、自分の欲望のままに力を振るって何かを手に入れようとすることは、自分にとっては獣と変わらない。獣に社会は作れない、ただそれだけ。マコトも分かるはずだよ」

「……」

「だけど、マコトが感じた怒りも事実。自分は彼女の願いを踏み躙った。自分は彼女にとって大きなウェイトを占めている存在であるのは重々理解していたけど、それそのものこそが馬鹿らしくて仕方ない。でも地下生活者の能力は特定の思想や思考を肥大化させるもの、言い換えればヒナの本音だった。それを馬鹿にした、咎を受け謝るべきことだから」

「その咎を忘れたくなければ、頬の痛みを覚えておくことだ」

「_____わかったよ」

 

 先生は一度眼を閉じて、頬を抑えながら開いた。

 

「じゃあ、自分は別のところにも行ってくる。ヒナのこと、お願いしてもいい?」

「ああ、わかった」

「ありがとう。

 よし、行こうプレナパテス。」

「ええ、では」

 

 そうして男二人は、ゲヘナを後にする。

 

 まだ巡ろうと思っていた学園は4か5ほどあるのだ、止まっている時間はない。

 

 次の人間は、どう歪み、暴走するのか。

 

 自分にも戦えるルールで誘われている以上、逆を言えば逃げることが許されないのである。

 

(今度はどうなっているか、正直怖いな)

 

 そう思いながらも急いで電車に乗り、彼らは急ぐ。

 

 次の行き先は、トリニティだ。

 

 

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