バリシュヴァのお夜食 作:歴山
"ぐう~"
真夜中、シュヴァルのお腹から鳴ったその音は寝静まった部屋の中で多いに響いた。
(う~~)
間食のとりすぎて少々太り気味になってしまったシュヴァル。そのためダイエットのために間食を抜く以外にも食事の量をいつもより少なくしており、その分お腹が空くのである。
何とかして音を止めようとするが、気にしすぎて逆になる回数が増えてしまう。そしてお腹がなるたびに部屋の中で大きく響く。
(このままだとシオンさんを起こしちゃうかも…)
そう考えたシュヴァルはなるべく音を立てずにベットの上から降りて部屋を出た。
廊下はほとんど明かりが灯ってなくて、先の方まで真っ暗だった。
「とりあえず水飲も…」
何かお腹に入れなければいけないと思ったシュヴァルは喉も乾いていたので寮の食堂まで向かうことにした。
「暗くて歩きづらいなぁ…」
ほとんど光がない中でわずかに見える廊下の景色と壁を使って歩いていく。懐中電灯のようなものを使えたら良かったがそれで
迷いながらも何とか食堂にたどり着いたシュヴァル。この栗東寮ではよく真夜中の食堂に
「あんまりお腹に入らないなぁ…」
食堂の電気をつけずにコップ数杯分の水を飲んだシュヴァルだったがやはりお腹を満足させることはできなかった。もう一杯飲んだら部屋に戻ろうとした時、廊下の方から床下がきしむ音が聞こえてきた。
(誰か来てる!)
盗み食いしているわけではなかったのだがついつい隠れてしまったシュヴァル。過ぎ去ってくれることを望みつつ机の下から廊下の方を見る。
暗くて静かな所にわずかに聞こえる床下のきしむ音。その音が段々と近づいてくるのに恐怖を感じ始めるシュヴァル。まるで化物に追われているかのように思えてきて、少しでも音を立てないようにしようとするが、
"ぐう~"
と大きなお腹の音が漏れ出てしまい、逆にその音にビックリして机に頭を勢いよくぶつけてしまう。
「っっ!!」
ぶつけたところを手でさすっていると廊下の方から聞いたことある声が。
「シュヴァルさん?いるんっすか?」
「え…?」
恐る恐る机の下から頭を出してみるとそこには、
「し、シオンさん!?」
「目が覚めたらシュヴァルさんがいなくて、そのうち帰ってくると思って少し待っていたんですけど、なかなか帰ってこなかったっすから...」
「す、すみません…」
「いやいや、怒っているわけじゃないっすから!特に何も起こってなくて良かったっす。ところでシュヴァルさんは何でここに?」
「そ、それは…その…」
お腹のことに対して恥ずかしさを持っていたシュヴァルだったが何故だか、この
「じ、実は...」
「なるほど、だからたくさん水を飲むために食堂に来たと?」
「は、はい。お腹の音でシオンさんを起こさないようにしなきゃって思って…」
「…あたしのことをそんなに気にしてくれるのは本当に嬉しいっす。でもそれでシュヴァルさんが無理するのはよくないっすよ!」
「す、すみません…」
「それじゃあ、シュヴァルさんはそこに座ってください」
「え?」
疑問に思っているシュヴァルを横目に食堂の冷蔵庫の中を確認するシオン。すると中からいくつかの食材とうどん乾麺を取り出して茹で始めた。
突然料理をし始めたことに困惑していたシュヴァルだったが、段々と匂ってくるソースの香りにお腹をすかせて待つことにした。麺を茹でたり、豚肉を炒めたりして数十分経った時、
「よし、できた」
作った料理を皿にのせて、箸と小皿を二枚を持って机に向かうシオン。座っているシュヴァルの前に差し出されたものは焼きそばのような料理だった。
「これは?」
「焼きうどんっていう小倉発祥の料理っす。ぜひシュヴァルさんに食べてほしくて」
「で、でも…僕は…」
「シュヴァルさん。我慢することも大事ですけど我慢しすぎるのもよくないっすよ。時間が遅いのがあれっすけど一人分しか作ってないから二人で分けて食べれば大丈夫っす」
「でも、それだとシオンさんの体重管理に影響があるんじゃ…」
「そしたら明日、一緒に朝練してチャラにすればいいっすよ」
シオンの猛烈な説得にここまでしてもらって食べないのはよくないと思って焼きうどんを一口食べる。
「ど、どうっすか?久しぶりに作ったからおいしく作れたか分かんないっすけど…」
「そ、そんなことないですよ!すっごくおいしいですよ!」
「そ、そうっすか?それなら良かった...」
おいしそうに食べる顔を見てホッとするシオン。そうして箸をとって自分の小皿に焼きうどんを取り、一口食べる。口の中にソースの味が広がる。
(結構おいしくできたからネイチャさんにも今度、食べて欲しいなぁ)
そんなことを考えながら食べているとふとシュヴァルの前に置いた焼きうどんを見てみるとすでに三分の二がなくなっていた。
「本当においしそうに食べるっすね」
シオンに言われるまでまったく気づかずに食べ続けていたシュヴァル。二人で一緒にわけて食べるものをほとんど食べてしまい、顔を赤らめる。その様子を見て、
「次はもっとたくさん作った方が良さそうっすね」
「すみません…」
「いやいや、こんなにおいしそうに食べてくれると作りがいがあるもんっすよ。…もう無理して食事を取らないようなことはしないように!」
静かに頷くシュヴァル。その顔は先程よりも力がみなぎっているようだった。
残りの焼きうどんを二人で平らげた後、バレないように(実は最初から寮長にバレていたことを後日教えられた)片付けをして部屋に戻った二人。翌朝、約束通り一緒に朝練をして体重調整をしたという。その後、無茶なダイエットはしなくなったシュヴァルであった。
ちなみに妹のダイエットのことを知った
もっとシオンとシュヴァルの絡みをみたい!
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