【完結】迷宮、地下十五階にて。   作:羽黒楓

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第43話 あたしの口からは言えません

:リャンペコちゃん〈ハラミ〉

:おならのらなお〈ロース〉

:支釣込足〈タン! 生で!〉

:パックス〈おっぱい〉

:由香〈おっぱい〉

:小南江〈おっぱい〉

:積乱雲〈おっぱい〉

:U.N.応援〈お尻〉

:みかか〈ケツ〉

:レモンモンモンモン〈おっぱい〉

 

 今はタブレットは由羽愛(ゆうあ)に持たせている。

 次々と読み上げられるコメント欄に、由羽愛(ゆうあ)は心底あきれた顔をしている。

 

「人間って、醜い生き物ですね」

「ははは、そうさ、だがその醜さが愛おしくもある……で、どこを食べさせてくれるんだい? 残念ながら私は幽霊だから食えないが……。個人的にはホルモンがいいな」

 

「悪趣味だな、さすが魔女。マスターが食べたいところを言ってくれ」

「俺は悪趣味じゃないからな、なるべく痛くないところで頼むぜ。ミシェルの内蔵なんてできれば死ぬまで見たくはないよ」

「子宮とそこに続く内臓部分ならいくらでも見てもいいぞ。なんならマスターのをつっこんでもいいのだが。今も濡れているしな」

 

:大山権三郎〈愛液〉

:サイドチェスト〈ラブジュース〉

:コバエ〈びらびら〉

 

「てい! ごめんだけどあなた達はコメントBAN!」

 

 由羽愛(ゆうあ)が怒った顔でタブレットを操作している。そして、

 

「できるならミシェルさんもコメントBANしたいです」

 

 無理もない、女子小学生を前にして良い会話ではなかった。

 

「まあしかし、実際に肉をえぐるところをみてしまったらマスターの食欲がなくなる可能性もあるな……私はマスターの最愛のモンスターだからな。私がいたがるところを見たくはないだろう、なにしろ私はマスターに愛されているからな。マスターの最大の愛玩動物、それが私だ。その私がマスターに食わせるためとはいえ、自分を傷つけるところは見たくはあるまい。なにしろマスターは私のことが大好きだからな。由羽愛(ゆうあ)、こっちに来てくれ」

 

「え、いやです」

 

 ミシェルは少し傷ついた顔をして、

 

「いや、そうじゃなくて……こっちの見えないところで私が自分の肉を切り取るから、終わったらすぐに治癒魔法をかけてくれないか? 頼むよ……」

 

「うう……いやだなあ……私はそのシーン、見ることになるのかあ……」

 

     ★

 

 しばらくして、ミシェルがふたかたまりの肉塊を手に持ってきた。

 隣の由羽愛(ゆうあ)はげっそりした顔をしている。

 

「まさかあんなところを切り取るなんて……うへぇ……トラウマです……」

 

 それとは対象的にニコニコしているミシェル。

 

「ふふふ、痛かったがマスターのことを思えばその痛みさえも……ふふふ。さあ、刺し身でいいか?」

 

 さすがの光希も顔をしかめて、

 

「火、通しちゃ駄目か……?」

「しょうがないにゃあ……じゃあ焼き肉にするか」

「にゃあって……ウサギだろお前」

「しょうがないピョン」

「草」

 

 そんなわけで、光希と由羽愛(ゆうあ)はミシェルの肉を食べることになった。

 

 コッヘルで少し炒めると、なかなか良い匂いがしてくる。

 塩と胡椒で味付けをする。

 

「さあ、食ってくれ!」

「お前は食わないのか?」

「さすがに自分の肉を自分で食っても効果ないからな。ささ、マスター!」

 

 なるほど、肉汁がしたたるそれはちょっと焦げたところも香ばしい匂いがして、うまそうだ。

 うまそうだが、さすがに躊躇する。

 

「おい、由羽愛(ゆうあ)、これ、どこの肉だよ……?」

「……あたしの口からは言えません……」

「おいおい、こえーな……」

「さ、早く! 早く!」

 

 催促するミシェルの目は瞳孔が開いていて少しイッている。

 しかしまあ、これから死闘が繰り広げられるのだ、幸運値は少しでも上げておきたい。

 

 光希は目をつぶり、思い切って肉にかぶりついた。

 

 さすが鍛えているミシェルの肉だった。

 最高級比内地鶏みたいな歯ごたえとうまみで、最高に美味しかった。

 むむ、こちらはじゅわっと脂が口の中に広がる……。

 まるで最高級和牛のようだった。

 どうやら、二つの部位の肉のようだった。

 

「マ、マスターが! 私の肉を食べてるぅぅ!」

 

 ミシェルはそんな光希を見ながら全身をビクンッビクンッと痙攣させると、

 

「アハァ……」

 

 と吐息をついて失神してしまった。

 

「うわぁ……ほんとにやだなあ……なんでわざわざあんなとこ切り取ったんだろ……」

 

 由羽愛(ゆうあ)もいやな顔をしながらも、鼻をつまんで一気に口にいれた。

 

「……おいしいのが悔しいです」

 

 準備は整った。

 最終決戦のときがやってきたのだ。 

 

 

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