シャーレの先生は不死身な兵隊サン   作:富士見の山崎

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そろそろアンケート閉めさせていただきます。


ユメは砂塵と消ゆ、然れど未来はホシノ光と相成りて
銀輪讃歌


 

『先生!おはようございます!突然ですが、先日の銀行強盗撃退の件が話題になってますよ!』

 

「・・・まじ?」

 

シッツムの箱に次々映し出されるニュース。

 

『D.U.にて銀行強盗犯が自首!』

『ネット掲示板にて指導を受けたと供述。』

『制圧した人物は不明か。』

 

全て俺が数日前に制圧した不良関連の物だ。

 

あの後、取り敢えず不良達から武器を没収すると、銀行に自分達の足で行く様に促したのだ。

 

ただ、『シャーレの先生』という名前は使わなかったし、なるべく穏健に済ませた。

『シャーレ』という存在がこのキヴォトスで未知数である以上、突発的な動きはどんな影響を及ぼすか分からなかったからだ。

 

無論今回の行動を実力や存在感の誇示(プロパガンダ)にも使えただろう。しかし、それが生む他組織からの嫌がらせ、嫉妬、疑念等を往なすだけの政治力が俺には無い。

 

 

よって『シャーレ』が表沙汰に上ってくるのはもっと後でも遅く無い、と考えた訳だ。

 

 

しかし、いくら本で学んだとはいえインターネットの集団的情報力を舐めていた。

ここまで強盗犯のことが話題に上がるのは予想外だったのだ。

 

これだけの情報力があれば『シャーレの先生』の行動がばれるのも時間の問題だろう。

 

「・・・・・・もうどうでもいいか・・・。」

 

『はは・・・ところでちょっと不穏な手紙が届いているのですが・・・。』

 

急に神妙な顔になるアロナ。

 

「何?」

 

『一度先生に見てもらったほうが良いかと・・・。』

 

「うん、分かった・・・・・・アビドス高等学校?」

 

知らない学校名だ。

『キヴォトス全学園及生徒会』を引っ張り出す。

 

「アビドス高等学校・・・・・砂漠に隣接した地域に存在し、かつてはキヴォトス最大の学園であった。しかし数十年前からの砂漠化の進行により、衰退した。現在は少数の生徒によって廃校対策委員会が運営されている。・・・・・・如何にも限界な学校って訳か。骨が折れそうだ・・・。」

 

 

手紙を読む。

 

 

『連邦捜査部の先生へ

 

こんにちは、私はアビドス高等学校の奥空アヤネです。

 

今回どうしても先生にお願いしたいことがありまして、こうしてお手紙を書きました。

 

単刀直入に言いますと、今、私達の学校は追い詰められています。

 

それも、地域の暴力組織によってです。

 

こうなってしまった事情はかなり複雑ですが・・・・

 

どうやら、私たちの学校の校舎が狙われているようです。

 

今はどうにか食い止めていますが、そろそろ弾薬品などの補給が底を突いてしまいます・・・・

 

このままでは、暴力組織に学校を占領されてしまいそうな状況です。

 

 

 

それで、今回先生にお願いできればなと思いました。

 

どうか私たちの力になっていただけませんか?』

 

 

「・・・・思ったより事態が逼迫してるな。」

 

『さっき先生の調べた通り、かつてはアビドスがキヴォトス最大の学園だったそうですが・・・・そこまで追い詰められるなんて、何があったんでしょうね?』

 

「さあ。取り敢えず放ってはおけんだろう。アビドスへ行くぞ。」

 

『今から出発するんですか!?』

 

「いや、しないに決まってるだろ。アビドスは砂漠なんだろ?色々準備が必要だ。しかし、時間が無い。準備を整えたら明日の朝にでも出よう。」

 

『はい!わかりました!』

 

 

結局その日は、補給品と砂漠に備えた持ち物の調達で1日を費やした・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

 

 

「・・・・時刻マルゴーマルマル(午前5時)・・・そろそろ準備するか。」

 

昨日の内に玄関へ集積しておいた荷物を持つ。

主に弾薬、あと自分用の水とかだ。

 

今回は相手が暴力組織とのことで、恐らく大人数と考えられるから流石に三八式歩兵銃だけとは言ってられない。

そこで、愛しの八九式重擲弾筒を持っていくことにした訳だが、少々工夫が必要であった。

 

まず、携行する小銃弾薬は定数の半分、六十発とした。

擲弾筒用の八九式榴弾は十六発とする。

これを前盒一つに小銃弾三十発、雑嚢に三十発紙袋のまま入れる。

榴弾を四発入れることの出来る砲弾入れ四つに入れる。

 

本来なら弾帯には、前盒二つと後盒一つで計百二十発の小銃弾と銃剣を取り付けるか、拳銃一丁と榴弾十二〜六発を砲弾入れを以って取り付けるかのどちらかだが、雑嚢に小銃弾と榴弾を入れて尚且つ拳銃の代わりに小銃を携行することによって擲弾筒と小銃を両方持って行ける様にしたのだ。

 

自分自身の武器はこれでよかった。

 

が、大変であったのは・・・・

 

「救援物資の弾種が多すぎる・・・・。」

 

7.62mm弾や5.56mm弾の様なキヴォトスにおいて一般的な小銃弾薬のみならまだなんとかなったかもしれない。

しかし、ショットガン用の12ゲージ弾、拳銃用の9mm弾、果てや何に使うかも分からぬ噴進砲弾(ロケット弾)等もあっては流石に手に負えない。

 

散々悩んだ末、物資の大部分は後日郵送、今回は一部の銃弾を持てるだけ持って行く事とした。

 

だが、一部とはいえ重たい弾薬を大量に持って、しかも砂漠へ行くなど自殺行為に等しい。

子供の未来のためなら戦に死ぬる覚悟だが、犬死は意地でも避ける所存だ。

 

「だがしかし、シャーレには期待の新兵器がある・・・・。」

 

そう!遂に、遂に自転車が届いたのだ!

 

・・・おっと失礼。つい興奮してしまった。

 

唯の自転車と侮ること勿れ。

ユウカの居るミレミアムで制作されたフレームは軽量かつ剛健、カゴと後輪側面の鞄により積載力も高く、オマケに小型の空気入れまで付いている。

 

「よし、弾薬を積み込んでゆこう。」

 

先ず、側面の鞄には救援物資の銃弾をパンパンに詰め込む。前カゴには食料と方位磁針に地図、オマケに入れた6.5mm弾三十発を入れた雑嚢と予備の水筒、そして擲弾筒を、後ろの荷台には水用のポリタンクと食糧をゴム紐で縛り付ける。

 

この自転車に先程の弾帯を巻き、天幕雑嚢に水筒小銃と飯盒円匙を背負った状態で乗れば完成だ。

 

「・・・・重いな・・・。」

 

許容範囲ギリギリだが、無情に物資だけが輸送されるのと援軍が物資を持ってやってきたのでは、安心感と士気の上がり具合に雲泥の差がある。

昨日の手紙とアロナの心配気な顔をお守り代わりに心に留めて行くしかあるまい。

 

・・・・まぁ、擲弾筒兵一人が来たところで士気が上がるのかどうかは知らないが・・・。

 

 

 

暗い考えを吹き飛ばす様に、自身へ号令をかける。

 

「・・・・マルゴーヒトマル、舩坂軍曹・・・改め教諭、前へ!」

 

 

こうして俺は明空の下をアビドスの砂漠へ向けて漕ぎ出した・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




◯シャーレの自転車
ただのママチャリ・・・に見えるが上記の通り高性能。
舩坂先生の頼もしい()()だ。

舩坂氏以外の軍人も出すべき?

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