シャーレの先生は不死身な兵隊サン   作:富士見の山崎

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みじかいです。
すんません()


流るる鮮血や

 

 

「せ、先生・・・・。」

 

何とか不良を制圧した俺は、悠々と生徒たちが隠れているビル陰に戻った、

 

「おい、全員無事か?」

 

「わ、私たちより・・・う、腕が・・・!」

 

「うん?」

 

左腕上腕部を見ると、弾か砲弾の破片でも掠ったのか、5cm程パックリ切れて手を伝って血が流れていた。

 

「・・・興奮してて気づかなかった。クソ・・・かなり痛むな・・・。」

 

「そ、その大丈夫・・・なんですか?」

 

「止血さえすれば、何とか・・・。」

 

そこまで言って気付いた。

彼女たちは血を見たことが無いのだと。

正確には銃撃や砲撃、刺突に刀傷などの戦闘による血を。

キヴォトスの人間は弾丸を受けても、痣程度で済んでしまう。

だから、血が流れるという行為が俺たち以上に危険な状態ということになるのだろう。

俺からしてみれば崩壊しかけたキヴォトスの倫理観にとって、血を流すというのは最後の一線、ほぼ死と同義なのかもしれない。

 

となると俺は彼女たちに瀕死程の心配をかけてしまったかもしれないという訳である。

 

「すまん、心配かけるな。だがこの程度なら平気だ。体は頑丈なんだ。」

 

米軍基地からちょろまかした包帯で腕を止血しながら、無理に笑顔を作って安心させようと試みる。

しかし、彼女らの顔は晴れない。

それどころか、止血の為に圧迫する度に流れ出る鮮血で顔は曇っていくだけだ。

 

「さあ行こう。シャーレとやらの本部まで何キロもあるんだろう?我々に止まっている暇など無いぞ。」

 

嘗て戦友を励ました様に、語る。

 

「だっ、駄目です!直ぐにでも病院に!」

 

しかし、まだ狼狽える早瀬を始めとした面々。

彼女らは頑強なだけの只の少女といえど、流石に我慢がならぬ。

 

「馬鹿者!こんな程度で歩みを止めるものか!お前らは弾丸一発貰った程度では気にも留めないだろう?それと同じどころか俺には直撃すらしていない!」

 

『し、しかしキヴォトスの外の人物では・・・』

 

「なァに!俺は昔から傷の治りは早いんだ!それに、人間そう簡単には死なない。胸の肉を抉られて臓物が露出しても数日は生きれるのだ!これくらい何とも無い!」

 

別にただ彼女らの不安を解消するには、こんな説教など必要ないだろう。

しかし、護る為に戦い続けてきた俺にとって、その戦を封じられるのは納得がいかないし、許せない。

 

だからこれは、キヴォトス(ここ)に勝手に連れてこられた俺の、せめてもの我儘だ。

 

『・・・・はあ。分かりました。本人がそこまで言うのであれば、前進しましょう。』

 

「ッ・・・代行!」

 

「ただし、前線へ出ることは無しでお願いします。これ以上の怪我をされると、業務に支障が出てしまいます。」

 

言葉は薄情に思えるかもしれないが、七神の表情は心配と不安気、少々の怒りが混合した様相である。

 

「まあ、それでいい。だが指揮は俺にやらせろ。後、機関銃か迫撃砲か擲弾筒でも拾ったら俺に寄越してくれ。援護射撃をする。」

 

「え、先生が指揮を?その・・・戦闘能力は拝見しましたが・・・。」

 

「これでも擲弾筒分隊長で陸軍軍曹だ。本業だぞ。」

 

俺以外は全滅したがな、という言葉を飲み込む。

これは、

そう、

必要のない情報だ。

 

「え、先生って軍人なの?!」

 

「通りで・・・。」

 

『連邦生徒会長が残した資料にはそこまで記されていませんでしたので・・・・・初耳です・・・。』

 

 

 

 

 

ズドムッ!!

 

 

 

 

「!?」

「迫撃砲だな。」

 

 

着弾の鈍い音。

硝煙の匂い。

 

「少し話しすぎたみたいですね・・・。」

 

「では、先生!指揮をお願いします!」

 

「期待していますよ!」

 

 

このキヴォトス(戦場)で、俺は満を持して声をあげた。

 

「・・・よし、征くぞ!お前ら!」

「「「「はい!!!」」」」

 

 

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