シャーレの先生は不死身な兵隊サン 作:富士見の山崎
お久です。
まさか用事が済んだ直後にインフルにかかるとは思わんでしょ・・・
今回ブルアカ要素薄め、舩坂軍曹要素濃いめです。
嫌いな方はご注意。
丼一杯の銀シャリを
「米が食べたい・・・・。」
シャーレのビルに住み込んで三日目、口を突いて出た言葉がこれだった。
ここ、シャーレ、もといキヴォトスの食糧事情は恵まれている。
迅速な物流と効率的な生産によって、少なくとも通常の食卓に於いて食料に困ることはない。
ここ数日は書類や
というか初日は食事をとっておらず、見かねた連邦生徒会員が恵んでくれたような形だ。
「(キヴォトスに米は有るのだろうか・・・?)アロナ、聞きたいことがあるんだが・・・・・。」
『はい!舩坂先生。何でしょうか?』
『シッテムの箱』・・・もとい、搭載OSのアロナへ声を掛ける。
キーボードの打ち方からガスコンロの扱い方まで、何もかもわからなかった俺の情報源は、『キヴォトスのことなら何でも知っている』と公言して憚らないアロナだった。
この数日だけで相当お世話になった。
今度カステラでもあげたら喜ぶだろうか。
「キヴォトスに米・・・若しくはそれに類似した穀物ってあるのか?」
『?キヴォトスではパン食の次に米食が一般的ですよ!』
全くの予想外である。
正直冗談半分の望みであった。
ア島では戦闘開始前の艦砲射撃によって物資が殆ど燃やされてしまい、米はおろか単なる栄養源にすら困らされていたのだ。
捕虜時代などは言うまでもあるまい。
「・・・・一番近くで米を販売している店は?」
『えーと、最寄りのスーパーで売っているみたいですよ!』
もはや、居ても立ってもいられなくなった。
「米だ。米を買いに行くぞ。」
『え!?業務中ですよ!?』
「腹が減っては戦は出来ぬってよく言うだろう?」
『むむむ・・・。ナルホド!それなら仕方ないですね!!』
単純で助かる。
・・・・・
・・・・
・・・
「さて・・・・欲望のままスーパーマーケットに来てみたはいいものの・・・どこにあるんだ・・・米・・・・。」
どうもキヴォトスの商店というものはどこも規模がでかい。
敷地的に小規模の店であっても、置いてある商品の種類も量も、日本とは桁違いだ。
こう言う時は店員に聞けば良い。
すぐさまバイトらしき生徒に声をかける。
「すみません、お米は何処にあるのでしょうか。」
「ああ、お米ですか?反対側のレジの前ですかね。」
「ありがとうございます。」
言われた通りに行ってみれば、あるわあるわ。米の山。
『米』と書かれた透明な袋(アロナ曰くビニールというらしい)にパンパンに米が詰まっている。それがいくつも積みあがっている。
故郷の茨城でも似たような光景をよく見た。
「・・・これでいいか。」
一番安い物を担ぐ。
この際、日本米だろうがナンキン米だろうがトンキン米だろうがキヴォトス米(?)だろうがこだわっていることは出来なかった。
先ず、キヴォトスに米があることに感謝するべきだ。
「よっこいせっと」
米を担ぎ上げる。
流石に重い。
「野菜や調味料も探さないと・・・重くて買うのも一苦労だな・・・。」
こうなると自動車・・・せめて自転車、欲を言うなら
まぁ、それ以前に免許が無いのだが・・・・・・
その後、通貨の違いや会計のシステムに混乱しつつも、何とか買い物を済ませたのであった・・・。
・・・・
・・・
「よっこらせぇっと。」
道ゆく人に変な目で見られながら、シャーレにまで米を担いで帰り着く。
早速炊いていく訳だが・・・
「まさか飯盒で炊く訳にもいかんしな、土鍋か釜は・・・・・・あった。」
給湯室に何故かあった土鍋を拝借。
これで炊く。
来た当初は瓦斯コンロに点火装置があり、マッチを使わずに火をつけられると聞いて栃木出身の俺は驚いていたが、人間の適応力とは素晴らしいもので、今は違和感なく操作できる。
閑話休題。
「先ずは、米を研ぐ。」
適当な容器に米二合、水を適量入れて少し掻き回す。これだけだ。
貧乏性の俺はあまり研ぎたく無い。研ぐとカロリーが落ちるからだ。
炊き立てなら味はあまり落ちない。
「水を捨てる。次に浸水させる。」
夏は30分、冬は1時間。
この度合いで米の味が決まる。
「この間に付け合わせと汁物を作る・・・と言っても大したものは出来ないが・・・。」
出来れば漬物が良いのだが、生憎そこまで手間暇かける時間がない。
そこで、人参と白菜の塩揉みを作る。
これなら手軽かつ満足度が高い。
「人参は細切れ、白菜は一寸程度に切る。塩をまぶす。揉む。小鉢に盛り付ける。終わり。」
極めて手軽でよろしい。
「米は・・・よし水が白く濁ってる。」
容器から土鍋に水ごと米を入れる。
土鍋で浸水させると、土鍋が割れる恐れがある為要注意だ。
この状態で火にかける。
沸騰するまで中火、したら弱火にする。
沸騰するまでの間に味噌汁の準備だ。
具材は豆腐、葱、削節、味噌である。ここに旬の野菜でも加えてやると尚良い。
「豆腐は細かく切る。葱は一寸位か。」
小鍋を火にかける。
「と、米の方が沸騰してきたな。」
弱火にして、15分くらい待つ。
正確に言えば水気が無くなるまでだ。
その後10分蒸らせば良い。
具を切ってる内に今度は小鍋の方が煮立ってきたので、削節を投入、味噌をお玉と箸で溶く。
「ちょいと置いてから塩漬けの余の人参、葱、豆腐を入れる。人参がほぐれたら完成だな。」
具体的には箸が適当に貫通するぐらいが程良い。
あまり硬すぎても柔すぎても美味くない故に。
皿に盛り付け、これで全品完成と言いたい所だが、タンパク源が少々足りないので、鯖缶(やはり貰い物)を開封する。
「本当は白米だけのつもりだったんだがな、それだけじゃ味気ないと思って、つい欲が出てしまった・・・。」
サッと片付けた机の上にて湯気を立てる、陸軍の一般的な食事(+鯖缶)。
何はともあれ、実食だ。
久々の米に興奮する。
手を合わせる。
「『いただきます』」
米を箸で持ち上げ、口に運ぶ。
「・・・あついなぁ・・・・・・。」
熱い米を咀嚼して飲み込む。
もう一度口に運ぶ。
飲み込む。
もう一口。
「あつい・・・うまい・・・・・・・・・・・。」
途端に走馬灯の様に走り抜けるアウンガルの情景。
飯はない。
水はない。
弾もない。
夜露を集めて舐め、火炎放射で焼かれた蜥蜴を幾人分にも分けて食べた。
敵を殺したのは昨日か、戦友が死んだのは今日か。
俺の目の前で幾人も死んで逝く。
只々、苦しく、救いのない、戦場。
そんな地獄で、皆の眼はギラギラと光っていた。
絶望の中で尚、自分の戦う意義を見出して、鈍く光り輝いていた。
「うく・・・あ・・・・くそ・・・・・・・。」
気づけば、幾年ぶりかに、泣いていた。
涙が、零れ落ちて、止まらない。
砲弾に消し飛ばされて、
銃弾に抉られて、
炎に焼かれて、
考えうる限りの暴力で殺されていった戦友の顔が過ぎってゆく。
飢えと渇きと痛みの中で、這いずり回った洞窟の冷たさが蘇る。
「・・・おれだけ・・・・おれだけ・・・・・なんでいきてんだっ・・・!」
自分だけ、今生き残って、自分だけ、あれ程求めた食事にありついている。
この食事にありつき、『先生』という役目を与えられるのも、自分であるべきではないのではなかろうか。
わからない。
わからない・・・。
俺の目の前で、温かい飯は死人の如く冷えていった・・・・・・・。
舩坂氏以外の軍人も出すべき?
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出してほしい
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出さないでほしい