他の魔法少女から闇堕ちしたと勘違いされてるだけの唯の厨二病魔法少女の話 作:アラ
《うぷっ、吐く。吐くから!吐くから離してよ!分かったから……》
バーテンダー並みのシェイクをモジャ公にお見舞いしていると漸くギブアップの声が聞こえた。危なかった、もう少ししたらこの私が敗北を喫していたかもしれない。
《無かった事には出来ると思うよ。まぁ……ほぼ可能性は低い物だけどそれに賭けてみるか》
『……』
《そもそも、どうしたいんだい?忘れて元通り過ごしたいのかい?》
『うん。冷静になって考えてみると、ちょっと痛いかなぁって。だから、私も忘れて全部無かった事に出来ないかなって』
私だって分かってる、厨二病が痛い事なんて。でも、こうする事でしかストレスの解放は出来なかったんだから仕方無い。毎日毎日、敵との戦いの息抜きとしてその時だけは私じゃなくいられる。
《……そっか、それならボクは深く止めないよ。かなり名残惜しいけどね》
『名残惜しい?』
何を言ってるんだろう?嬉しいじゃないの?何でそんな、勿体無いみたいな顔をしているんだろう。この悪魔は。
《そうさ、だって折角カッコ良い設定まで増えたのにそのまま全てを忘れて辞めるなんて勿体無いと思わないかい?漆黒の魔女》
『ッ!』
確かに、そうだ。人に見られたからなんだ。友達に見られて急に恥ずかしくなって辞めようと思ったけどそれは勿体無い事かもしれない。そうだ、人に見られたからなんだ!よしっ決めた。
『私これからも……』
決意をもって言おうとした言葉は、言う前に挟まれた悪魔の発言により何処かへ消え去った。
《でも、確かに丁度良いかもね。いつも、ボクだってヒヤヒヤしてたし。普段の頼れる皆のお姉さんぶってるシズクが、人が少ない夜で厨二病やってるなんてさ。別にボクは何とも思わないけど世間的に後指指される事だし……》
『うん、厨二病辞める』
《あれ?なんか言おうとして無かった?》
『いやぁ?全然』
……知り合いで、義理とは言え妹に見られたんだからこれを機に辞めよう。さようなら、厨二病の私。いつかは黒歴史だと心から笑えると良いな。
《じゃあ、全部忘れる?黒歴史の事》
『いや……』
《忘れた方が良いよ。暗い思い出は思い出すだけで苦しいよ?人生は長いんだ。ハッピーで生きようよ》
『分かった、そうだよね。その方が良いよね』
《その為には必要な物があってね。それが、ロストマジカルアイテムと呼ばれる物だよ》
『ロストマジカルアイテム?なんか、ファンシーだね。まるで魔法少女っぽい感じがする』
《間違っては無いね。魔法少女が変身するシステムもその一つだし》
それから、モジャ公が長い説明をしてくれたので要約すると。
1.ロストマジカルアイテムは、人類では再現不可能な技術が盛り込まれた結晶らしい。その技術は奇跡や偶然を故意的に連発させるのが可能なレベル。
2.敵のボスが部下にその情報を守る為、直接植え付けた結果。膨大な数になったらしく、現時点ではひたすら敵を倒しては情報を得る作業をする事になるらしい。
『うーん、なんか凄そうなのは分かったんだけど……具体的な事が分からないんだよね。それを私が手に入れてどうするの?と言うかどうなるの?』
話を聞いて沸いた疑問をモジャ公にぶつけてみると答えはすぐに返ってきた。
《ボクらが手に入れるのはタイムマシンさ。つまり時間を逆行させ、時の神の怒りをも買う事になる。と言うか、ロストマジカルアイテムの話は一番最初の契約時に話した筈なんだけど……覚えて無い?》
多分その時には、魔法と言う単語にワクワクを抑えきれなくて他の事は全部聞き流してたんだと思う。記憶に無いし、ごめん。
なんて言えないので、私は何とも言えない顔で誤魔化した。