直哉「禪院やない、養子に出されたんでな 今は森田や」 作:ジャックマン二
ドカ食いだいすき乙骨さん。
(はやく‥‥‥はやくカロリーを!!!)
ある日の晩、乙骨は町中を全力疾走していた。
今日は呪術界の雑誌の取材で唯一マトモに話が出来そうな乙骨が呼ばれてしまい、昼食がかなり少なかったからだ。
彼の体は既に枯渇寸前、はやく目的地に着かなければ危険なのだ。
「いらっしゃいませ~」
「予約してた乙骨です!」
「は、はい!?」
チェーン牛丼屋に着くなりネット注文していた番号を伝え、カードで料金を支払いすぐに走り去る。
その姿は店員曰く「声と合わさってゼルエル戦のシンジにしか見えなかった」とのこと。
寮に戻ると目が血走った乙骨はすぐさま自室の炊飯器(十合炊き)を開け、残りの米(四合)をパーティー用の大皿に盛り付けて買ってきた牛丼をその上にぶちまけた。
見渡す限りの肉、米、肉、米、肉、米。
そして小型の冷蔵庫(私物)から明太マヨ、マヨネーズ、からしマヨを取り出し物体Xの上にぶちまけ、そして大量の一味と紅生姜を乗せた。
「ハァハァハァハァハァ‥‥‥取材のせいでお昼はラーメン三杯しか食べられなかったからギリギリだったよ」
乙骨憂太。
彼は呪術界の闇が産んだ悲しき暴食モンスターだった。
ストレスフルのハートフルボッコな呪術界で特級として仕事をこなし、その上で学生として勉学も必要。
もはや彼のストレスはマッハで溜まるのだ。
「いただきます!」
両手を合わせてからしマヨ牛丼を一口。
何か秤のフィーバー状態みたいに突然裸になってとんでもない図が見えたが気の所為だ。
気の所為ったら気の所為だ。
「乾いた体にカロリーが染み渡る!
からしマヨのピリッとこってり感が牛丼の味を引き締めて体にエネルギーが行き渡る!」
コレは‥‥‥なんて言うか、糖尿病一直線の自殺飯か?
若いからって油断してると死にますよ?
「こんなにこってりしてるのにマヨネーズには酢が入ってるから体に良いし、肉と野菜(玉ねぎ)が入っててマヨの卵と酢で完全栄養食なのは最高だよ!」
そんなわけ無い!断じてそんなわけ無いからな!
更に追い討ちをかけるように冷蔵庫から黒烏龍茶のリットルを取り出して飲み一息。
「そして余分なカロリーは黒烏龍茶でリセット!」
黒烏龍茶を信頼しすぎだ!
こんな暴食してれば体壊すからね!
「マヨが減ったら追いマヨネーズ!か〜ら〜の〜卵&チーズ!」
ある程度食べ進めてマヨネーズが尽きたら今度はマヨネーズに卵。
そしてシュレッドチーズを乗せてバーナーでさっと炙って食い進めていく化け物。
「ふぅ‥‥‥あ‥‥‥キタキタキタ!!!滾る
食べ終えて横になると突然そんな事言って意識を失う乙骨。
ちなみにコレは血糖値スパイクと言って細かい説明は省くが非常に危険な状態だ。
こんなのを繰り返してたら間違いなく早死にするので絶対にやらないように。
本日のメニュー
牛丼メガ×四
白米四合
黒烏龍茶二リットル
マヨネーズ各種
卵×六個
シュレッドチーズ大量
推定カロリー七千キロ
ドカ食いだいすき乙骨さん弐
「お待たせしました牛丼キングと卵とみそ汁です」
(はやく‥‥‥はやく食べなきゃ!)
ある日、乙骨は駅近くの牛丼チェーンで見るもおぞましい大きさの牛丼に大量の卵を掛けてとんでもない早さで食べ進めていた。
驚く事に僅か十分少々で食べ終え、代金を払いすぐに走り去って行った。
もはや何と例えれば良いのだろうか。
(準備!食べる!準備!)
何故乙骨がこんなに焦っているのか、それは此処に全て詰まっていた。
(東京‥‥‥こうして来るのは初めてだな)
「あ、与君」
「すまない乙骨、待たせたか?」
与幸吉、またの名を究極メカ丸。
彼は本来天与呪縛の影響で自身の術式で動くメカ丸を経由して活動していたのだが、特級クソ親父こと伏黒甚爾と五条悟やら東京の面子のお陰でこうして出歩ける様になったのだ。
何が有ったか掻い摘むと、交流会の時に特級クソ親父が相手した呪霊が魂に関与する非常に貴重な術式持ちであり、もしかしたら金儲けに使えると考えたのだ。
そこで秘密裏に出張で各地を転々としてた乙骨に連絡、もはや「‥‥‥して‥‥‥殺して‥‥‥」としか言えなくなった呪霊こと真人の術式をコピーさせ、そして天与呪縛で苦しみやたらと金を持ってる幸吉に売り付けたのだ。
その甲斐もあり幸吉はスパイとかする事なく健康な肉体を手に入れ、京都校の面々と幸せに暮らしてる。
ちなみに
それでお礼と人生初の小旅行を楽しむため、恩人兼
「アレから何か不調とか無い?」
「いたって健康だ
まさか俺がこうして日の下を歩けるなんて‥‥‥幾ら感謝してもしたりない
ありがとう乙骨」
「そんな‥‥‥」
二人が朗らかに話してると鳴り響く腹の音。
いや待て、乙骨はさっきまでヤベー牛丼食ってたよな?流石にこれで空腹とか嘘だよな?
「そうだ、オススメのカレー屋さんが有るから行ってみよう♪」
「そうだな、是非」
朗らかに話してる様に見えて目茶苦茶目がヤバい事になっていた。
そして着いたカレー屋でメニューすら見ずに注文、席について体のあらゆるところを震わせながら到着を待った。
いや、なにこれ?危ない薬とかやってない?
「お待たせしました、メジャーカレー ワールドチャンピオンクラスです」
出されたのはカレーなのだが、コレがなんとも言えないヤバさを醸し出している。
簡潔に説明すると、手前にロースカツ・奥にチキンカツ・左手にエビフライ二本とキャベツ・右手に揚げウインナー四本と輪切りされた茹で卵一個。
総重量二・五キロのモンスターメニューだ。
二人は無言になり手を合わせると凄まじい勢いで食べ始めた。
(サクサクこってりロースカツ、サクッとしつつさっぱりよりのチキンカツ
揚げ物の王道海老フライにみんな大好きウインナー!
そして言い訳程度のキャベツとゆで卵!)
(旨い!旨い!旨い!
コレは今度加茂に紹介してやろう、このボリューム感なら術式でウエイトを上げなければならないから喜ぶぞ)
いや、その前に食える量で頼むって言われるぞ。
食べ進めて行くと乙骨のペースは変わらないのに幸吉のペースは落ちていった。
これには流石に心配そうな表情を浮かべるが、幸吉はカバンから大きめな瓶に入った赤い液体を取り出した。
「味変は有りか?」
「勿論!」
「刺激‥‥‥刺激が足りない‥‥‥」
与幸吉。
彼の人生はほぼ死んでた様なものなので生を感じる事が少なかった。
だからかやっとマトモに食べられる様になった今では食事にも刺激を求めて、このデスソースタップリの料理を食べる辛味ジャンキーになってしまったのだ。
ちなみにコレには京都校の面々にも止められ、しかも東堂にすら「俺の理解を越えた性癖だ‥‥‥」と言わしめる程のバグりっぷり。
「刺激が有れば幾らでも入る!」
「旨い‥‥‥旨い‥‥‥」
亡者二人は全て食べ終えると満足そうに笑顔を浮かべ、二回戦目として違う店へと旅立つのだった。
ちなみに最終戦は乙骨の部屋で
ちなみに翌日も爆食を決め、与幸吉人生初の東京旅行は爆食で終わりを告げるのだった。
ちなみにコレをたまたま見掛けた
ドカ食いだいすき乙骨さん
なんて言うか、他のキャラが濃いのに乙骨だけ無味無臭並に地味なのと、望月さんのあの表情が乙骨がやっても違和感無くねって思いやってしまったこと。
反省も後悔もしています。